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公開日 2007/10/23 16:42
超薄型液晶で「レイアウトフリー」推進、PDPも薄型化へ − 日立UTシリーズ発表会詳報
別項でご紹介したとおり、(株)日立製作所 コンシューマ事業グループは、モニター部の最薄部が3.5cmと、世界最薄を実現した液晶テレビ“Wooo”UTシリーズ3機種を発表した。ここでは、発表会の模様をご紹介しよう。
まずはじめに登壇したのは、(株)日立製作所 執行役常務 コンシューマ事業グループ長 兼 CEOの江幡誠氏。同氏はまず、2011年からのテレビ新時代に向け、PDP、LCDともに新しい価値や魅力を提案する、と宣言。さらに、今後は放送と通信の融合が進み、VODやヘルスケア、地域情報、セキュリティ、資産運用など、様々なサービスをテレビで受けられるようになると説明した。江幡氏は、このようなコンテンツの変化に合わせ、今後は多様性、柔軟性を持ったテレビが必要になるとしながらも、現在のテレビは、たとえば周辺機器が増えるとケーブルが絡み合い、インテリア性が悪化するなど、美しさの追求と、機能の強化の2つに相反する要素があると説明した。
このような問題を解決するため、今回のUTシリーズでは、モニター部とWoooステーション部で分業化を図ったと説明。モニター部で美しさを追求し、Woooステーション部で機能の強化を行うという。
さらにモニター部には、美しい画質、自由なレイアウト、インテリア・コンシャスという3点が、コントロール部には、各種機能や周辺機器の接続、自己主張しないという3点が、それぞれ重要であると説明。さらにモニター部とコントロール部はワイヤレス接続することが基本である、とした。将来的には、ステーション部がサーバーのような役割を行い、各部屋のモニターにワイヤレスで映像・音声を配信するようなイメージを持っているという。
今回のUTシリーズについては、設置性を格段に高める「レイアウトフリー」を実現するため、どこからみても美しい「360°beauty」という新デザインを採用したと説明。また、薄型デザインを実現するため、様々な研究所や子会社、関連会社など、日立グループの総合力を発揮したと述べた。
また江幡氏は、今後の薄型テレビの事業戦略について説明。従来の液晶テレビを継続して展開するほか、超薄型液晶テレビを高付加価値モデルとして位置づける。一方、プラズマもこれまで通り力を入れ、液晶と同様、超薄型化を図っていくという。
今後のロードマップとしては、2008年にモニター部のサイズ・デザインのバリエーションを強化し、ステーション部は放送/通信の融合を進める。2009年には液晶モニターを19mmまで薄型化し、プラズマモニターについても超薄型モデルを発売する。この段階で、ワイヤレスを標準搭載する計画だ。
商品の特徴については、同社コンシューマ事業グループ 商品企画本部の山内浩人氏が説明。詳細は別項で紹介したとおりだ。今回超薄型化を図った理由については、ユーザー調査を行った結果、薄さ5.0cmのものは1.6%の回答者が「とても魅力あり」と答えたのに対し、薄さ3.0cmにすると、同様の回答をしたユーザーが55.6%に急増したと説明。「薄さ3cmのインパクトは大きく、顧客ニーズがある」と判断したという。
山内氏は最後に、今回のUTシリーズのキャッチフレーズを発表。“感動&驚き”を表す「Wonder」と、“自由”を表す「Free」を掛け合わせ、「Wonder × Free,Wooo」という言葉を用いるという。また、広告宣伝には「すべてのテレビが、嫉妬する」というキャッチコピーを用い、超薄型テレビの魅力を訴えていくと説明した。
以下、発表会で行われた質疑応答をご紹介する。
Q: 他社より早く超薄型テレビを発売することになるが、いずれ追随するメーカーが出てくるだろう。先行者メリットをどう活かしていくのか。
A: 開発の初期段階では、この時期に出せるとは考えていなかった。ただ、液晶では他社との差別化が十分で無かったということもあり、市場へのメッセージとして開発を早めた。このため、開発リソースをこの商品に集中させ、何とか年末商戦に間に合わせた。他社との大きな違いは、日立は背面まで含めてフラットデザインを実現しているということ。今後、次の世代、次の世代とどんどん開発を進め、準備していきたい。
Q: ソニーが有機ELテレビを発売するが、これに対する戦略はどうなっているか。
A: 有機ELは将来的に楽しみな技術で、当社でも色々と研究している。ただし現段階では、大型化はコストの面で難しい。30インチ超の製品が出てくるのはまだまだ先だろう。当社としては、現在ある技術を使い、なるべく早く製品を出したかった。
Q: 42インチのパネルはIPSでは作っていないと思うが、これは外部調達するのか?
A: その通りだ。42インチは外部から調達する。
Q: 32/37/42Vの各モデルで発売時期をずらした理由は?
A: 開発リソースの関係で、一気にすべてのサイズを展開することは難しかった。このため、段階を踏んで発売することにした。初めに32V型を選んだのは、現在同サイズが40〜50%程度のシェアを占めているからだ。
Q: 従来モデルと比べて想定売価はどの程度高いのか?
A: 32V型の場合、5万円以上高く設定している。
Q: プラズマも薄型化するとのことだが、どのくらい薄型化できるのか?
A: 具体的には決めていない。研究所などと色々と一緒にやっているところだ。
Q: 今回の製品の、液晶パネルモジュールの厚さは何センチか?
A: 約20mmだ。
Q: ワイヤレスユニットのバンドル率は何パーセント程度と予想しているか? また、ワイヤレスユニットのニーズはどのくらいあると考えているのか?
A: バンドル率は10〜15%と予想している。ニーズは潜在的にあると考えている。壁掛けユーザーに使っていただけるだろう。
Q: PDPは、技術的にどこまで薄くできるのか?
A: PDPの場合、液晶と違いバックライトが無いので、パネルそのものは数ミリまで薄くできるが、そのかわりパネルを駆動する回路が必要。これをどこまで薄くできるかが課題となる。LEDと比べてどうか、ということでは、技術的にはかなり近いところに行けるのではないか。
(Phile-web編集部)
まずはじめに登壇したのは、(株)日立製作所 執行役常務 コンシューマ事業グループ長 兼 CEOの江幡誠氏。同氏はまず、2011年からのテレビ新時代に向け、PDP、LCDともに新しい価値や魅力を提案する、と宣言。さらに、今後は放送と通信の融合が進み、VODやヘルスケア、地域情報、セキュリティ、資産運用など、様々なサービスをテレビで受けられるようになると説明した。江幡氏は、このようなコンテンツの変化に合わせ、今後は多様性、柔軟性を持ったテレビが必要になるとしながらも、現在のテレビは、たとえば周辺機器が増えるとケーブルが絡み合い、インテリア性が悪化するなど、美しさの追求と、機能の強化の2つに相反する要素があると説明した。
このような問題を解決するため、今回のUTシリーズでは、モニター部とWoooステーション部で分業化を図ったと説明。モニター部で美しさを追求し、Woooステーション部で機能の強化を行うという。
さらにモニター部には、美しい画質、自由なレイアウト、インテリア・コンシャスという3点が、コントロール部には、各種機能や周辺機器の接続、自己主張しないという3点が、それぞれ重要であると説明。さらにモニター部とコントロール部はワイヤレス接続することが基本である、とした。将来的には、ステーション部がサーバーのような役割を行い、各部屋のモニターにワイヤレスで映像・音声を配信するようなイメージを持っているという。
今回のUTシリーズについては、設置性を格段に高める「レイアウトフリー」を実現するため、どこからみても美しい「360°beauty」という新デザインを採用したと説明。また、薄型デザインを実現するため、様々な研究所や子会社、関連会社など、日立グループの総合力を発揮したと述べた。
また江幡氏は、今後の薄型テレビの事業戦略について説明。従来の液晶テレビを継続して展開するほか、超薄型液晶テレビを高付加価値モデルとして位置づける。一方、プラズマもこれまで通り力を入れ、液晶と同様、超薄型化を図っていくという。
今後のロードマップとしては、2008年にモニター部のサイズ・デザインのバリエーションを強化し、ステーション部は放送/通信の融合を進める。2009年には液晶モニターを19mmまで薄型化し、プラズマモニターについても超薄型モデルを発売する。この段階で、ワイヤレスを標準搭載する計画だ。
商品の特徴については、同社コンシューマ事業グループ 商品企画本部の山内浩人氏が説明。詳細は別項で紹介したとおりだ。今回超薄型化を図った理由については、ユーザー調査を行った結果、薄さ5.0cmのものは1.6%の回答者が「とても魅力あり」と答えたのに対し、薄さ3.0cmにすると、同様の回答をしたユーザーが55.6%に急増したと説明。「薄さ3cmのインパクトは大きく、顧客ニーズがある」と判断したという。
山内氏は最後に、今回のUTシリーズのキャッチフレーズを発表。“感動&驚き”を表す「Wonder」と、“自由”を表す「Free」を掛け合わせ、「Wonder × Free,Wooo」という言葉を用いるという。また、広告宣伝には「すべてのテレビが、嫉妬する」というキャッチコピーを用い、超薄型テレビの魅力を訴えていくと説明した。
以下、発表会で行われた質疑応答をご紹介する。
Q: 他社より早く超薄型テレビを発売することになるが、いずれ追随するメーカーが出てくるだろう。先行者メリットをどう活かしていくのか。
A: 開発の初期段階では、この時期に出せるとは考えていなかった。ただ、液晶では他社との差別化が十分で無かったということもあり、市場へのメッセージとして開発を早めた。このため、開発リソースをこの商品に集中させ、何とか年末商戦に間に合わせた。他社との大きな違いは、日立は背面まで含めてフラットデザインを実現しているということ。今後、次の世代、次の世代とどんどん開発を進め、準備していきたい。
Q: ソニーが有機ELテレビを発売するが、これに対する戦略はどうなっているか。
A: 有機ELは将来的に楽しみな技術で、当社でも色々と研究している。ただし現段階では、大型化はコストの面で難しい。30インチ超の製品が出てくるのはまだまだ先だろう。当社としては、現在ある技術を使い、なるべく早く製品を出したかった。
Q: 42インチのパネルはIPSでは作っていないと思うが、これは外部調達するのか?
A: その通りだ。42インチは外部から調達する。
Q: 32/37/42Vの各モデルで発売時期をずらした理由は?
A: 開発リソースの関係で、一気にすべてのサイズを展開することは難しかった。このため、段階を踏んで発売することにした。初めに32V型を選んだのは、現在同サイズが40〜50%程度のシェアを占めているからだ。
Q: 従来モデルと比べて想定売価はどの程度高いのか?
A: 32V型の場合、5万円以上高く設定している。
Q: プラズマも薄型化するとのことだが、どのくらい薄型化できるのか?
A: 具体的には決めていない。研究所などと色々と一緒にやっているところだ。
Q: 今回の製品の、液晶パネルモジュールの厚さは何センチか?
A: 約20mmだ。
Q: ワイヤレスユニットのバンドル率は何パーセント程度と予想しているか? また、ワイヤレスユニットのニーズはどのくらいあると考えているのか?
A: バンドル率は10〜15%と予想している。ニーズは潜在的にあると考えている。壁掛けユーザーに使っていただけるだろう。
Q: PDPは、技術的にどこまで薄くできるのか?
A: PDPの場合、液晶と違いバックライトが無いので、パネルそのものは数ミリまで薄くできるが、そのかわりパネルを駆動する回路が必要。これをどこまで薄くできるかが課題となる。LEDと比べてどうか、ということでは、技術的にはかなり近いところに行けるのではないか。
(Phile-web編集部)