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公開日 2008/07/29 19:05
松下電器、2008年度1Q業績は営業利益率5%超、全セグメントで増益達成
松下電器産業(株)は、2008年度第1四半期の連結決算を発表。本日、東京・大阪の2会場で記者会見を開催した。
第1四半期の売上高は2兆1.520億円と、昨年の2兆2,395億円に比べ96%となったが、これは昨年に日本ビクターの売り上げ分である1,353億円が含まれていたことが大きく、映像・音響機器と情報・通信機器で構成されるデジタルAVCネットワーク部門の売上高は、昨年の9,247億円に対して9,755億円と、5%の増収を記録。営業利益率も5.3%となった。
利益は本業の儲けを示す営業利益、純利益とも大幅な増益を記録。営業利益は1,096億円で、営業利益率は5.1%を記録。昨年の3.3%から大幅に利益率が高まった。純利益は昨年の393億円から730億円と、86%の増益を記録した。
映像・音響機器の売上高をくわしく見てみると、ビデオや音響機器は昨年の売り上げを下回り低調だったものの、デジタルカメラ、テレビ、DVDレコーダーが軒並み増収を記録。売上高の前年度比では、デジカメが109%、プラズマテレビが116%、液晶テレビが168%、DVDレコーダーが113%となり、特に液晶テレビの好調ぶりが目立った。
記者会見を行った同社取締役 経理・財務担当の上野山 実氏は、今回の決算のポイントとして、「7年連続の増益を達成した。また、海外の販売はBRICSやベトナムの増収や欧米での堅調もあり、実質2桁成長を記録した。さらに、すべてのセグメントで増益を記録した」とし、「GP3計画の2年目も順調なスタートを切った」と評価した。
グローバルで見た地域別の販売概況についても、前年比20%の増収を記録した中国をはじめ、米州は11%、欧州は12%、アジアは10%の増収となった。日本は横ばいだったものの、海外のすべての地域で2桁増収を記録した。なお、売り上げ高の国内/海外比率は、国内が49%、海外が51%となっている。
北米のコンシューマー事業では、製・販一体組織に変更したこと、またビエラリンクをアピールして商品群を一斉に訴求しこと、また地域量販店での拡販に力を入れたことにより、サブプライムローン問題などがあったものの、好調を維持した。薄型テレビは18%、デジカメは17%の増収となった。
設備投資も強化。上野山氏は「今年は成長へのフェーズチェンジの年と位置づけている」とし、第1四半期の設備投資額は1,027億円と、昨年の868億円を大きく上回った。主に増やしたのは薄型テレビで、逆に半導体は昨年の半分程度に抑えた。
前述の通り、デジタルAVCネットワーク部門は売り上げ、利益ともに好調だったが、同部門はパナソニックAVC社とパナソニックモバイルコミュニケーションの2カテゴリで構成されている。それぞれを見てみると、PAVC社は売上高は5,299億円と前年比15%の増収となったものの、営業利益率は2.7%と、前年比0.4%の減益となった。これはIPSαテクノロジが赤字となったことが大きいという。一方の、携帯電話事業を展開するパナソニックモバイルコミュニケーションは、VIERAケータイの好調などにより、売上高は1,188億円と前年比10%の増収。営業利益率では12.5%という高水準を記録した。
続いて上野山氏は、薄型テレビの販売動向について説明。前年同期比の売上高は、欧州が153%、アジア/中国が168%、日本が110%、米州が111%となり、「全地域で2桁増を記録した」と説明した。グローバルで合算した売上高は2,454億円となり、前年比132%となった。
デジカメについては、薄型テレビほどの勢いはないものの、米州で前年同期比114%の売り上げとなるなど、こちらも全地域で増収となった。
以下、記者会見で行われた質疑応答の中から、主なものをご紹介する。
Q:薄型テレビの増販要因について、何が理由だと認識しているか。
A:商品戦略面では、37型の液晶、46型のPDPなど、前年から商品レンジが増加したことが大きい。フルHD化率の上昇も著しく、北米では23%から50%強に増えた。
地域戦略面で見てみると、北米が回復基調にあることが寄与した。今年から戦略を3つほど変え、これが奏効した。まず一つめは、PDP中心の販売から、液晶、デジカメ、BDなどをビエラリンクという名称のもと展開するよう改めたことで、製品群全体の底上げに繋がった。2つめは地域販売店への拡販で、これがうまくいき、販売を伸ばせた。また、製・販の一体組織にしたことで市場の変化に対応しやすくなったことも大きい。
Q:PAVC社の売上高が前年比115%となったが、営業利益が1%増にとどまった理由を教えて欲しい。
A:利益率が落ちたのは、IPSαテクノロジが大きな原因だ。IPSαテクノロジの第1四半期は赤字で、それ以外は増益となっている。
Q:デジカメは世界的に低価格化が進んでいるが、この分野でも増益となっているのか。
A:どの地域でも増収となっている。利益率も非常に高いものとなっている。ただし、流通在庫が溜まってきているという問題もある。これは弊社だけではなく、他社も同じ状況のようだ。
Q:第1四半期の純益が過去と比べてどのような状況にあるかを教えて欲しい。
A:730億円という数字は、23年ぶりの過去最高となる。
Q:実効税率について教えて欲しい。
A:昨年は実効税率が50%で、今年は36%となった。この理由は、海外の利益が増えたことが大きい。昨年の実効税率が高かったのは、日本ビクターがあったことが大きい。
Q:PMCについて、第1四半期の売り上げ台数を教えて欲しい。
A:第1四半期は199万台。他社に比べて健闘したと思う。
Q:VIERAケータイを含めた、下期の携帯電話の販売見通しについて教えて欲しい。
A:下期は流通在庫があるので、販売は若干苦しくなると見ている。
Q:五輪商戦の現状についてどう見ているか。
A:6月の半ばから盛り上がり出したという実感を持っている。出荷の伸び率を見てみると、薄型テレビの出荷前年比では、5月が128%、6月が154%だった。6月のフルHD比率は83%と、高額商品が売れていることも特徴だ。
Q:PMCの営業利益率は今後もこの水準を維持できるのか。
A:PMCの営業利益率が高いのは、VIERAケータイが非常に売れたこと、8MHzの基地局が売れたことが大きく寄与した。また、昨年から開発コスト削減を行った効果も出た。さらに特許の解決があり、その精算益もあった。今後はこのような利益率とはいかない。
Q:薄型テレビについて、台数ベースでも金額ベースでもかなり増えているが、サブプライムローンの影響はなかったのか?
A:価格下落は2割程度ある。コストを下げていかなければならない。
Q:去年の後半、液晶パネルの調達面で苦しかったと聞いているが、最近の動向は?
A:調達面では、現在逼迫しているということはない。
Q:デジカメは米州で2桁増だが、アジア・中国で9%増という数字は物足りない印象がある。
A:アジアと中国ではバラツキがある。中国は2桁増。アジアは2桁を切っており、若干の差がある。米州では中南米も伸びており、BRICsで拡販が実現している。
(Phile-web編集部)
第1四半期の売上高は2兆1.520億円と、昨年の2兆2,395億円に比べ96%となったが、これは昨年に日本ビクターの売り上げ分である1,353億円が含まれていたことが大きく、映像・音響機器と情報・通信機器で構成されるデジタルAVCネットワーク部門の売上高は、昨年の9,247億円に対して9,755億円と、5%の増収を記録。営業利益率も5.3%となった。
利益は本業の儲けを示す営業利益、純利益とも大幅な増益を記録。営業利益は1,096億円で、営業利益率は5.1%を記録。昨年の3.3%から大幅に利益率が高まった。純利益は昨年の393億円から730億円と、86%の増益を記録した。
映像・音響機器の売上高をくわしく見てみると、ビデオや音響機器は昨年の売り上げを下回り低調だったものの、デジタルカメラ、テレビ、DVDレコーダーが軒並み増収を記録。売上高の前年度比では、デジカメが109%、プラズマテレビが116%、液晶テレビが168%、DVDレコーダーが113%となり、特に液晶テレビの好調ぶりが目立った。
記者会見を行った同社取締役 経理・財務担当の上野山 実氏は、今回の決算のポイントとして、「7年連続の増益を達成した。また、海外の販売はBRICSやベトナムの増収や欧米での堅調もあり、実質2桁成長を記録した。さらに、すべてのセグメントで増益を記録した」とし、「GP3計画の2年目も順調なスタートを切った」と評価した。
グローバルで見た地域別の販売概況についても、前年比20%の増収を記録した中国をはじめ、米州は11%、欧州は12%、アジアは10%の増収となった。日本は横ばいだったものの、海外のすべての地域で2桁増収を記録した。なお、売り上げ高の国内/海外比率は、国内が49%、海外が51%となっている。
北米のコンシューマー事業では、製・販一体組織に変更したこと、またビエラリンクをアピールして商品群を一斉に訴求しこと、また地域量販店での拡販に力を入れたことにより、サブプライムローン問題などがあったものの、好調を維持した。薄型テレビは18%、デジカメは17%の増収となった。
設備投資も強化。上野山氏は「今年は成長へのフェーズチェンジの年と位置づけている」とし、第1四半期の設備投資額は1,027億円と、昨年の868億円を大きく上回った。主に増やしたのは薄型テレビで、逆に半導体は昨年の半分程度に抑えた。
前述の通り、デジタルAVCネットワーク部門は売り上げ、利益ともに好調だったが、同部門はパナソニックAVC社とパナソニックモバイルコミュニケーションの2カテゴリで構成されている。それぞれを見てみると、PAVC社は売上高は5,299億円と前年比15%の増収となったものの、営業利益率は2.7%と、前年比0.4%の減益となった。これはIPSαテクノロジが赤字となったことが大きいという。一方の、携帯電話事業を展開するパナソニックモバイルコミュニケーションは、VIERAケータイの好調などにより、売上高は1,188億円と前年比10%の増収。営業利益率では12.5%という高水準を記録した。
続いて上野山氏は、薄型テレビの販売動向について説明。前年同期比の売上高は、欧州が153%、アジア/中国が168%、日本が110%、米州が111%となり、「全地域で2桁増を記録した」と説明した。グローバルで合算した売上高は2,454億円となり、前年比132%となった。
デジカメについては、薄型テレビほどの勢いはないものの、米州で前年同期比114%の売り上げとなるなど、こちらも全地域で増収となった。
以下、記者会見で行われた質疑応答の中から、主なものをご紹介する。
Q:薄型テレビの増販要因について、何が理由だと認識しているか。
A:商品戦略面では、37型の液晶、46型のPDPなど、前年から商品レンジが増加したことが大きい。フルHD化率の上昇も著しく、北米では23%から50%強に増えた。
地域戦略面で見てみると、北米が回復基調にあることが寄与した。今年から戦略を3つほど変え、これが奏効した。まず一つめは、PDP中心の販売から、液晶、デジカメ、BDなどをビエラリンクという名称のもと展開するよう改めたことで、製品群全体の底上げに繋がった。2つめは地域販売店への拡販で、これがうまくいき、販売を伸ばせた。また、製・販の一体組織にしたことで市場の変化に対応しやすくなったことも大きい。
Q:PAVC社の売上高が前年比115%となったが、営業利益が1%増にとどまった理由を教えて欲しい。
A:利益率が落ちたのは、IPSαテクノロジが大きな原因だ。IPSαテクノロジの第1四半期は赤字で、それ以外は増益となっている。
Q:デジカメは世界的に低価格化が進んでいるが、この分野でも増益となっているのか。
A:どの地域でも増収となっている。利益率も非常に高いものとなっている。ただし、流通在庫が溜まってきているという問題もある。これは弊社だけではなく、他社も同じ状況のようだ。
Q:第1四半期の純益が過去と比べてどのような状況にあるかを教えて欲しい。
A:730億円という数字は、23年ぶりの過去最高となる。
Q:実効税率について教えて欲しい。
A:昨年は実効税率が50%で、今年は36%となった。この理由は、海外の利益が増えたことが大きい。昨年の実効税率が高かったのは、日本ビクターがあったことが大きい。
Q:PMCについて、第1四半期の売り上げ台数を教えて欲しい。
A:第1四半期は199万台。他社に比べて健闘したと思う。
Q:VIERAケータイを含めた、下期の携帯電話の販売見通しについて教えて欲しい。
A:下期は流通在庫があるので、販売は若干苦しくなると見ている。
Q:五輪商戦の現状についてどう見ているか。
A:6月の半ばから盛り上がり出したという実感を持っている。出荷の伸び率を見てみると、薄型テレビの出荷前年比では、5月が128%、6月が154%だった。6月のフルHD比率は83%と、高額商品が売れていることも特徴だ。
Q:PMCの営業利益率は今後もこの水準を維持できるのか。
A:PMCの営業利益率が高いのは、VIERAケータイが非常に売れたこと、8MHzの基地局が売れたことが大きく寄与した。また、昨年から開発コスト削減を行った効果も出た。さらに特許の解決があり、その精算益もあった。今後はこのような利益率とはいかない。
Q:薄型テレビについて、台数ベースでも金額ベースでもかなり増えているが、サブプライムローンの影響はなかったのか?
A:価格下落は2割程度ある。コストを下げていかなければならない。
Q:去年の後半、液晶パネルの調達面で苦しかったと聞いているが、最近の動向は?
A:調達面では、現在逼迫しているということはない。
Q:デジカメは米州で2桁増だが、アジア・中国で9%増という数字は物足りない印象がある。
A:アジアと中国ではバラツキがある。中国は2桁増。アジアは2桁を切っており、若干の差がある。米州では中南米も伸びており、BRICsで拡販が実現している。
(Phile-web編集部)