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公開日 2008/08/28 19:04
【村瀬孝矢が見た新BRAVIA】LEDエリア制御で液晶テレビの画質は新次元に突入した
この秋、ソニー“BRAVIA”の大攻勢が始まる。上位シリーズを一新、意欲的な性能・技術を搭載したモデルを一挙に取り揃えるが、これまでにない並々ならぬ意欲を感じる出来上がりである。従来の上位モデル「X」、そしてC/P狙いの「V」まで、4タイプが名称を一新するとともに、液晶テレビとして世界初の技術を積極的に採用、搭載するのが特徴だ。まさに最強の液晶テレビ群の出現である。
新モデルのうち、技術・画質の両面でもっとも注目されるのは、最上位に位置する「XR1」シリーズ(関連ニュース)。画面サイズこそ46V型と55V型の2タイプしかないが、量産モデルとしていち早くLEDバックライトを採用したモデルを仕立てた開発力は賞賛に値する。
LEDバックライトモデルを市販した国内唯一のメーカーは同社だが、生産数は受注品レベルであり、量産モデルと言えるものではなかった。優れた画質に色再現性の良さを備えるものの、プライスタグもそれに見合った高価なものであったことから、購入に躊躇する向きも多かったことだろう。しかし、この経験を踏まえ、ついにリーズナブルな価格を実現し、しかも本格的な量産化に踏み切ったことは注目に値する。
ちなみにLEDバックライトと一口に言っても、複数の方式がある。まずLEDバックライトの設置位置から分けられ、1つが3色RGBを使いパネル背後に置くトップ型(同社の従来モデルはこれだ)、もう1つがノートPCなどでお馴染みの画面縁にセットするエッジライト型(この場合、RGBではなく白色のLEDが多く使われる)の2つである。
トップ型はRGB LEDなので、明るさと色バランスを取りやすく、エリアコントロール(別名エリアドライブ)できるという特徴を有する。ただLEDの数が多くなりやすいためコストが掛かり、セットの厚みもそこそこ必要などの欠点もある。エッジライト型は白色LEDなので、色バランスはそこで決まるものの、LED数の削減でコストが安く、しかも薄型化しやすくなるが、エリアコントロールできない、明るさと輝度ムラの制限を受けやすいなどの課題がある。
これらのメリットとデメリットを勘案し、今回のXR1シリーズは画質に注力したモデルであることからトップ型を採用した。これによりエリアコントロールが可能になる。液晶テレビの大きな弱点だった黒浮きを大幅に抑え、真の黒再現と暗部階調性を実現することに成功したのだ。バックライトのLEDをいくつかの小ブロック毎に別け、その点灯をシーン連動で制御する。例えば映画の視聴時に上下に出る黒オビ部分だけの発光を止めたりと、絶対黒が得られるように工夫する。
このエリアコントロールの動作と総合的な画質は、事前に視聴で確認しているが、「液晶テレビの画質が新次元に突入した」と表現できるほど画期的な黒階調性を確保しており、他方式を圧倒する高画質と表現して構わないほどだ。また、豊かな階調性が備わったことやLEDによる色域の拡大も相まって、想像をはるかに越える色再現性が備わった美しい画質と付け加えても良いだろう。
なお、映像処理技術についても今回最新のDRC技術を投入し、「DCR-MF v3」へとグレードアップ。動画の鮮鋭感を大きく改善させた。その他1080p映像の入力にも対応した。
そのほかにも、新製品は注目に値するシリーズが数多い。世界初の240Hz駆動を採用したW1シリーズ(関連ニュース)や超薄型モニターを採用したZX1シリーズ(関連ニュース)などだ。これらは動画ボヤケ対策と超薄型化の流れに沿ったもので、120Hzの2倍のハイスピード処理による動画ボヤケの解消のほか、9.9mm(最薄部)という超薄型液晶テレビなどに実っている。
(村瀬孝矢)
執筆者プロフィール
1948年、愛知県生まれ。オーディオ専門誌「ラジオ技術」誌の編集を経て、1978年よりフリーでA&V評論やコンサルティング活動を始める。 1991年にAV&Cの普及を目指したAVC社を設立。1998年よりプロジェクター専門誌「PROJECTORS」誌を編集、発行。国内外メーカーの最新プロジェクターを同一条件でチェックしており、国内でもっともプロジェクターの素性を知る人間のひとりである。日本画質学会副会長も務める。またの名は「高画質の伝道師」。
新モデルのうち、技術・画質の両面でもっとも注目されるのは、最上位に位置する「XR1」シリーズ(関連ニュース)。画面サイズこそ46V型と55V型の2タイプしかないが、量産モデルとしていち早くLEDバックライトを採用したモデルを仕立てた開発力は賞賛に値する。
LEDバックライトモデルを市販した国内唯一のメーカーは同社だが、生産数は受注品レベルであり、量産モデルと言えるものではなかった。優れた画質に色再現性の良さを備えるものの、プライスタグもそれに見合った高価なものであったことから、購入に躊躇する向きも多かったことだろう。しかし、この経験を踏まえ、ついにリーズナブルな価格を実現し、しかも本格的な量産化に踏み切ったことは注目に値する。
ちなみにLEDバックライトと一口に言っても、複数の方式がある。まずLEDバックライトの設置位置から分けられ、1つが3色RGBを使いパネル背後に置くトップ型(同社の従来モデルはこれだ)、もう1つがノートPCなどでお馴染みの画面縁にセットするエッジライト型(この場合、RGBではなく白色のLEDが多く使われる)の2つである。
トップ型はRGB LEDなので、明るさと色バランスを取りやすく、エリアコントロール(別名エリアドライブ)できるという特徴を有する。ただLEDの数が多くなりやすいためコストが掛かり、セットの厚みもそこそこ必要などの欠点もある。エッジライト型は白色LEDなので、色バランスはそこで決まるものの、LED数の削減でコストが安く、しかも薄型化しやすくなるが、エリアコントロールできない、明るさと輝度ムラの制限を受けやすいなどの課題がある。
これらのメリットとデメリットを勘案し、今回のXR1シリーズは画質に注力したモデルであることからトップ型を採用した。これによりエリアコントロールが可能になる。液晶テレビの大きな弱点だった黒浮きを大幅に抑え、真の黒再現と暗部階調性を実現することに成功したのだ。バックライトのLEDをいくつかの小ブロック毎に別け、その点灯をシーン連動で制御する。例えば映画の視聴時に上下に出る黒オビ部分だけの発光を止めたりと、絶対黒が得られるように工夫する。
このエリアコントロールの動作と総合的な画質は、事前に視聴で確認しているが、「液晶テレビの画質が新次元に突入した」と表現できるほど画期的な黒階調性を確保しており、他方式を圧倒する高画質と表現して構わないほどだ。また、豊かな階調性が備わったことやLEDによる色域の拡大も相まって、想像をはるかに越える色再現性が備わった美しい画質と付け加えても良いだろう。
なお、映像処理技術についても今回最新のDRC技術を投入し、「DCR-MF v3」へとグレードアップ。動画の鮮鋭感を大きく改善させた。その他1080p映像の入力にも対応した。
そのほかにも、新製品は注目に値するシリーズが数多い。世界初の240Hz駆動を採用したW1シリーズ(関連ニュース)や超薄型モニターを採用したZX1シリーズ(関連ニュース)などだ。これらは動画ボヤケ対策と超薄型化の流れに沿ったもので、120Hzの2倍のハイスピード処理による動画ボヤケの解消のほか、9.9mm(最薄部)という超薄型液晶テレビなどに実っている。
(村瀬孝矢)
執筆者プロフィール
1948年、愛知県生まれ。オーディオ専門誌「ラジオ技術」誌の編集を経て、1978年よりフリーでA&V評論やコンサルティング活動を始める。 1991年にAV&Cの普及を目指したAVC社を設立。1998年よりプロジェクター専門誌「PROJECTORS」誌を編集、発行。国内外メーカーの最新プロジェクターを同一条件でチェックしており、国内でもっともプロジェクターの素性を知る人間のひとりである。日本画質学会副会長も務める。またの名は「高画質の伝道師」。