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公開日 2009/10/29 19:59

日立、2Q連結決算を発表 - テレビ事業はエコポイント効果などで損益大幅改善

営業損益は当初見通しから852億円の上方修正
Phile-web編集部
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(株)日立製作所は、本日都内で決算発表会を開催。同社執行役副社長の三好崇司氏が2010年3月期第2四半期の連結決算を発表した。

(株)日立製作所 執行役副社長 三好崇司氏

今期の売上高は、前年同期比1兆1,855億円減の4兆1,249億円。営業損益で見ると前年同期比で2,218億円マイナスとなり、247億円の営業損失を計上したが、期初見通しからは852億円の上積みとなった。

当期の連結損益計算書

営業損益の主な増減要因としては、操業度の悪化で4,200億円、売価下落で1,200億円、為替の影響で330億円の減収となったと説明。しかしその一方で、固定費削減で2,000億円、原価低減などで1,513億円の増収要因も作り出したことを説明した。

固定費削減など損益改善要因も

なお、増減要因を期初見通し比で見ると売価下落が予想よりも150億円多い減収となったものの、固定費削減で650億円、原価の低減などで303億円、為替影響で50億円と見通しよりも売上が改善。1,100億円見込んでいた損失を247億円にとどめた。

当初見通しよりも損失額を大幅に縮小

会見では、売上における国内と海外の構成比についても公表。国内売上高が2兆4,203億円で全体の59%、海外での売上高が1兆7,045億円で74%の構成比だったことを明かした。なお、国内外での売上高を前年同期比で見ると、国内が80%で海外が74%。いずれも前年からは減らしているが、三好氏は「計画に対しては若干上ブレした」とコメントした。

海外売上高比率は41%

事業部門別では各セグメントともに減収となったことを説明。薄型テレビ事業が含まれるデジタルメディア・民生機器部門では、前年同期比で75%となる5,193億円の売上を計上。営業損益では前年同期比で174億円プラスとなる91億円の営業損失となり、損失額を大幅に縮小した。

事業部門別の営業損益

また、グループ全体で行っている構造改革の進捗状況についても説明。薄型テレビ事業では、約4,000名の人員適正化を行ったことや、日立プラズマディスプレイ宮崎工場を昭和シェル石油に売却したこと(関連ニュース)などを改めて紹介。約330億円という2009年度の構造改革費で約900億円の営業損益改善が図れたことを説明し、「AV部門の構造改革は順調に進んだ。AV事業については構造改革を引き続き推進していく」とコメントした。

固定費削減などの構造改革を実施

AV部門の構造改革は特に順調に進んだという

続いて三好氏は通期の見通しについて言及。売上で前期比1兆3,003億円減の8兆7,000億円、営業利益で前期比471億円減の800億円を見込んでいるという。また、通期では2,300億円の純損失になると予想。純損失額が、7,873億円だった前期比で5,573億円改善される見通しであることを示した。なお、通期見通しについて三好氏は「世の中の情勢から判断し、特に1月から3月が不透明なため厳しめの見通しとした」とも説明した。

通期では8兆7,000億円の売上高を見通す

デジタルメディア・民生機器部門では、前期比84%となる1兆600億円の売上を予想。営業損益では前期から905億円の改善となる、150億円の損失計上を見込んでいると説明した。

前期比905億円の損益改善を見込む

各部門の詳細な状況について、デジタルメディア・民生機器部門では第1四半期と第2四半期に海外薄型テレビ事業の縮小や海外空調事業の売上減により、前年同期比大幅な減収となったこと、しかしながら薄型テレビの構造改革効果やエコポイント効果で営業損失が大幅に改善し、第2四半期は黒字に転換したことを紹介した。

テレビ事業などの概況

また、第3四半期と第4四半期の見通しについては、海外薄型テレビ事業の縮小で前年同期比減収となること、白物家電や日立マクセルが堅調に推移する予測していることなどを説明。事業規模縮小や、人員および固定費の適正化など、薄型テレビの構造改革を推進することで業績が前年同期比で大幅改善させ、事業構造改革費用を除き黒字化されるであろうという見通しを示した。

薄型テレビの構造改革を推進することで事業構造改革費用を除いた黒字化を見込む

以下、会見で行われた質疑応答からテレビ事業関連を中心に主なもの紹介する。

Q.構造改革費について、通期見通しを当初見通しから600億円上積みした2,600億円としているが、600億上積みできた内容について具体的に教えて欲しい。
A.人員の削減と拠点の統合によるものだ。

Q.設備投資などについて、投資を抑制している部分を教えて欲しい。
A.全般的に設備投資を絞っているが、AV事業は構造転換したこともあり特に絞っている。また、自動車部品も昨今の情勢から不透明なので絞っている。電力産業については、グローバル展開していくので強気に投資を行っている。

Q.固定費削減について、拠点の統廃合を増やしているという話だったが、上期で650億円前倒ししたことと、通期で600億円上積みした点をセグメント別だとどうなるのかを教えて欲しい。
A.概算だが、情報通信が110億円、電子デバイスが100億円、電力産業が250億円、デジタルメディア・民生機器が30億円、高機能材料が100億円というのが主なものだ。

Q.来年度については以前から最終的な黒字化を目標にしているが、今回発表した赤字が全てなくなると考えていると解釈してよいのか。
A.ふたつの考え方があり、ひとつはやはり赤字部分を構造改革などでプラスにもっていきたいと考えている。それに加えて、情報通信や電力産業部門という社会インフラ事業のさらなる強化で上積みしていきたい。特に半導体については、来年度は構造改革もあるので一気にプラスに持って行くのは難しいだろう。しかしデジタルメディア・民生機器部門などは今年度中に構造改革を行い、来年度からプラスにもっていきたい。

Q.下期を厳しく見ているとのことだが、リスクをどう見ているのか具体的に教えて欲しい。また、政権が変わったがこうした影響などは出ているのか。
A.計画よりも改善している内容は、色々な国の経済政策に起因しており、先にどうなるのかがよく見えない。また、足元の状況を見ると最終商品が改善されていない。継続的によくなっていくのかはクエスチョンマークがつく。そしてもうひとつは設備投資分野。一部で動き出してはいるものの当初の見通しより総じて動いていない。そのあたりは厳しく見ざるを得ないと考えている。政権については、予算がこれから組まれる。具体的にどうなるのか見ていきたい。不況から一時も早く脱出する経済成長政策を期待している。

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