• ブランド
    特設サイト
公開日 2011/01/06 15:49

【飯塚克味のコレクター魂2011:vol.3】ホラーの名作を次々と高画質化 − イギリスBDの勢いが止まらない!

映画ファン待望の作品が勢揃い
飯塚克味
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
ブルーレイ時代になって喜ばしいことのひとつに、イギリスやフランスなどのPAL圏のソフトを抵抗なく買えるようになったことがある。フレーム数が異なるPALでは1秒25フレームとなり、NTSCの日本のテレビ方式では、どうしても早回しになってしまい、リージョンフリープレーヤーで見ることはできても、見たいという気になれなかった。そうした問題がブルーレイでは見事に解消され、現在では各国のブルーレイソフトを楽しめるようになったのだから、映画ファンには至福の時代が到来したと言えるだろう。(もちろん、字幕など言語の障壁は残っているのだが)

2010年、個人的に注目したのがイギリス版のブルーレイソフトの数々だ。基本的に海外版は北米版を中心に購入しているのだが、どうしても見逃すことのできないソフトの発売がイギリスで続いている。代表的なメーカーのひとつにARROW FILMSという会社がある。VHS時代を思わせる画質の荒れたロゴが印象的なのだが、出すソフトのクオリティは全くの別物。BD時代を実感させる、ハイクオリティなものなのだが、セレクトする映画がホラーファンにはたまらないものばかりで、いくらイギリスでも果たして商売になるのかと心配してしまうほど、カルト色の強いものとなっている。


死霊のえじき
まず春先に驚かされたのがジョージ・A・ロメロの『ゾンビ』と『死霊のえじき』だった。スゴイのが『死霊のえじき』で、ジャケットはリバーシブル仕様で、日本公開時のデザインも含まれている。映像特典も豊富な上に、ポスターとコミックも同梱されている。コミックの内容は、劇中、知性を身に付けるゾンビ、バブの生前の姿を描いた内容で、映画を繰り返し見ているファンなら、唸らずにいられないものとなっている。その他には単純な仕様だった日本版とは打って変わって豪華版となったダリオ・アルジェント監督の『インフェルノ』やイタリアンホラーの巨匠マリオ・バーバ監督の『血みどろの入り江』にもブックレットや膨大な特典が満載されている。もちろん画質&音質のクオリティは保証付きだ。


世にも怪奇な物語
そんな中、筆者が最も心を揺り動かされたのは、67年製作の『世にも怪奇な物語』のブルーレイだった。映画ファンにとってはエドガー・アラン・ポー原作、ロジェ・バディム、ルイ・マル、フェデリコ・フェリーニという映画史の頂点に君臨した三大巨匠が手掛けたオムニバスホラーとして記憶されているが、これが当時の雰囲気も残しつつ、非常に美麗な画質に大変身。メニューデザインのセンスも抜群で、ポップアート風にコラージュされた主演俳優3人(ジェーン・フォンダ、アラン・ドロン、テレンス・スタンプ)の顔が徐々に写真に変わっていくセンスには完全に魅了されてしまった。ジャケットはリバーシブル仕様になっていて、オリジナルの横長ポスターに、どこで見つけてきたのか日本初公開時のポスターデザインまでが使われている。この日本版デザインが実にオシャレでムード満点。ブックレットは全60ページ。フェリーニのイラストや、全米配給したAIPのロビーカードなども見ることができる。音声面も充実。英語(第1話)、フランス語(第2話)、イタリア語(第3話)のオリジナル音声のほか、全話英語版、フランス語版(これは別撮りした本編をSD画質で丸ごと収録)という至れり尽くせりぶり。特典は予告編のほか、ヴィンセント・プライスがポーの詩を朗読するアメリカ版のOPとエンディングも収録し、もう涙もの。このブルーレイを作った担当者の熱意が伝わってきて、日本語がないことなんて、全く気になりません。因みに現在リリース中の国内版DVDはHDマスターではあるものの、吹替えもなく、特典は予告編だけという実に寂しい仕様。この映画がお気に入りであれば見逃すことは絶対できない。


『バトル・ロワイヤル』豪華版
その他のメーカーでも『血を吸うカメラ』や黒沢清監督大絶賛の『回転』、オリバー・リード主演の日本未公開作『PARANOIAC!』、邦画の『子連れ狼』を再編集した『ショーグン・アサシン』など、うれしすぎるラインナップに仰天させ続けられる。年末には深作欣二監督の『バトル・ロワイヤル』豪華版も登場。劇場公開版、ディレクターズ・カット版、特典ディスクの3枚組にコミック、ブックレット、ロビーカードなど日本版では想像できない仕様に、イギリスメーカーの映画愛を強く感じた。2011年も目が離せそうにない!

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

トピック

クローズアップCLOSEUP
アクセスランキング RANKING
1 楽天ブラックフライデーでJBLの超人気サウンドバー「BAR 1000/800」が激安!プロも驚く革新的モデルはどんな音を鳴らす?
2 評論家が厳選!マランツ「MODEL M1」でPolk Audio/KEF/TAD/Harbethのスピーカーを鳴らす
3 ビクター新ワイヤレスヘッドホン「HA-S99N」速攻レビュー! 評論家が「もう驚きでしかない」と高評価した魅力とは?
4 ボーズ、McIntosh Groupを買収。マッキントッシュ、ソナス・ファベールが傘下に
5 レグザが100型クラス大画面4Kテレビを拡充する理由とは? 目黒蓮の特別コメントも
6 パナソニック「2023年度 優秀ご販売店様謝恩会」を開催。21店が栄誉に輝く
7 山之内 正氏によるエソテリック×アキュフェーズ×マランツ比較試聴会、「ハイエンドオーディオ&アクセサリーショウ2024」で開催
8 オーディオファイル待望の物量投入型プリメインアンプ!デノン「PMA-3000NE」をクオリティチェック
9 B&Wの音は “信頼に値する重要な指標”。音元出版の新試聴室に「802 D4」が導入されたワケ
10 新開発ユニットを巧みに操る懐深いサウンド。ELAC「Debut 3.0」フロア型/ブックシェルフ型を聴く
11/22 10:41 更新
MAGAZINE
音元出版の雑誌
オーディオアクセサリー193号
季刊・オーディオアクセサリー
最新号
Vol.194
オーディオアクセサリー大全2025~2026
別冊・ケーブル大全
別冊・オーディオアクセサリー大全
最新号
2025~2026
プレミアムヘッドホンガイドマガジン vol.22 2024冬
別冊・プレミアムヘッドホンガイドマガジン
最新号
Vol.22
プレミアムヘッドホンガイド Vol.32 2024 AUTUMN
プレミアムヘッドホンガイド
(フリーマガジン)
最新号
Vol.32(電子版)
VGP受賞製品お買い物ガイド 2024年冬版
VGP受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2024年夏版(電子版)
DGPイメージングアワード2024受賞製品お買い物ガイド(2024年冬版)
DGPイメージングアワード受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2024年冬版(電子版)
音元出版の雑誌 電子版 読み放題サービス
「マガジンプレミアム」お試し無料!

雑誌販売に関するお問合せ

WEB
  • PHILE WEB
  • PHILE WEB AUDIO
  • PHILE WEB BUSINESS
  • ホームシアターCHANNEL
  • デジカメCHANNEL
AWARD
  • VGP
  • DGPイメージングアワード
  • DGPモバイルアワード
  • AEX
  • AA AWARD
  • ANALOG GPX