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公開日 2013/12/26 18:18
NexTV-F、'14年4K試験放送の実証デモ − 4K/60p映像をHEVCリアルタイムエンコードで伝送
CS124/128度衛星で35Mbps程度で伝送予定
一般社団法人次世代放送推進フォーラム(NexTV-F)は、2014 年の高度狭帯域衛星デジタル放送による4K試験放送に対する準備状況の中間報告を説明。2014年のCS124/128度衛星での4K試験放送と同様の環境で、4K60p映像を再生するデモなどを披露した。
NexTV-Fは、8K/4K放送、スマートテレビのサービスを早期に実現するため、放送の送受信に関する規定や仕様の検討・実証、試行的な放送を実施し、さらに参加企業・団体の活動を組織的に運営していくことを目的に設立された団体(関連ニュース)。
8K/4K放送については、2013年内に8K/4K放送の実用化に向けた試験環境を構築・検証。2014年のブラジル・ワールドカップに合わせ、可能な限り早期に4Kの試験放送を開始し、さらに2016年には8Kの試験放送を開始。また2020年には8K/4K放送の本格放送を行うことを目標とするロードマップが以前から発表されており、今回の中間報告はこの準備状況を説明するためのもの。
今回は、2014年に予定されているCS124/128度衛星での4K試験放送と同様の環境で、4K60p映像をHEVCでリアルタイムエンコード。放送で想定している変復調処理、および疑似衛星回線を通して再生した。実際の放送環境にかなり近い状況で4K映像の伝送/再生を行った点が大きなポイントだ。4K60pの高精細映像について、実際の放送環境に即して一貫して実証を行うのは日本で初めてで、世界でも類例を見ないという。
デモでは、4Kカメラで撮影した映像をHEVCでリアルタイムに符号化し、多重化、変調という流れにおけるデータを高度狭帯域伝送方式によって伝送。疑似衛星回線(電波ではなくケーブルで接続しての周波数変換)を介したのちに復調し、さらにHEVCを復号化。最終的に4K対応モニターで4K/60p 4:2:0の映像を上映した。
NexTV-Fによれば、4K/60pのHEVCリアルタイム符号化と伝送を実現したのは世界初だという。2014年度の4K試験放送では、今回のような疑似衛星回線ではなく、実際のCSデジタル放送用パラボラアンテナを使用した電波による映像伝送を目指す。「2014年の試験放送に向けて、現在は必要な機材の調達やチューニングを行っている最中」(NexTV-F 事務局長 元橋圭哉氏)とのことで、実際の試験放送開始にむけて画質の調整を引き続き行っていくとしている。
なお、2014年度の4K放送での伝送方式として「高度狭帯域伝送方式」を想定しているのは、実績のある同方式とHEVC方式による映像圧縮とを組み合わせることで4K放送を実現させるという狙い。40.5Mbpsという衛星伝送路で、35Mbp程度の映像データを伝送するイメージだという。
これとは別に、2016年のCS110度やその後のBSでの8K試験放送に向け、より高精度の圧縮技術をシミュレーションした再現デモも実施。より高画質な4K HEVC符号化が可能なLSIが開発されることを想定し、現時点ではそのLSIでの処理を模したソフトウェアを用意し、映像再生デモを行った。
このシステムにおいては、ハードウェア向けアルゴリズムをLSI化することにより、分割処理によらない4K映像のリアルタイム処理を実現することを想定。4K/60pのエンコーダーの1チップ化、エンコーダー機器の小型化を目指す。そして、8K映像の放送品質を満足したリアルタイム符号化へ展開。マルチLSIにより8K/60pのリアルタイム符号化実現を目標にしている。
なお、スカパー!も過去に4K伝送実験を行っているが、その実験ではH.264を使用していた。「一般的な家庭のアンテナでは受信できない。素材の伝送という位置づけのデモだった。今回は、CS放送と同じ伝送を使っている。現在家庭で使われている45cm程度のアンテナで受信できるというイメージでのデモだ」とした。
NexTV-Fの顧問を務める東京理科大学の伊東晋教授は、「映像の符号化技術の国際標準化というのは、デコーダーの規格、ビットストリームの規格を決めているだけで、実はエンコーダーの規格ではない。つまり、デコードできるストリームであればエンコーダーは何でもいいということで、製造元によって画質が違ってくる」と解説。
「HEVC本来の実力を引き出すまでにはもう1ステップ進む必要がある画質かなと感じた」としながらも、「現状のエンコーダーの実力を本日見てもらったわけだが、H.264からの発展は十分に見られたのではないか」と評価した。
また、符号化レートについて「いずれ、基幹放送の技術基準でやっていくときは、なんとしても20Mbps台まで絞りたいと思っている。それくらいの実力を持っている符号化技術だ」とコメント。「それを考えると今回の圧縮レートはかなり余裕がある。来年以降の実際の試験放送ということを考えると、十分に使ってもらえるレベルに近づいているなと感じている」と述べた。
なお、4K/8K放送のロードマップに対する現時点での進捗状況について元橋氏は「まだまだ追い込んでいくべきポイントはあるが」としながらも、「2014年に4K、2016年に8Kの試験放送というロードマップを実現するために会員各社が努力している」とコメント。「準備は順調に進んでいると思っている」と締めくくった。
NexTV-Fは、8K/4K放送、スマートテレビのサービスを早期に実現するため、放送の送受信に関する規定や仕様の検討・実証、試行的な放送を実施し、さらに参加企業・団体の活動を組織的に運営していくことを目的に設立された団体(関連ニュース)。
8K/4K放送については、2013年内に8K/4K放送の実用化に向けた試験環境を構築・検証。2014年のブラジル・ワールドカップに合わせ、可能な限り早期に4Kの試験放送を開始し、さらに2016年には8Kの試験放送を開始。また2020年には8K/4K放送の本格放送を行うことを目標とするロードマップが以前から発表されており、今回の中間報告はこの準備状況を説明するためのもの。
今回は、2014年に予定されているCS124/128度衛星での4K試験放送と同様の環境で、4K60p映像をHEVCでリアルタイムエンコード。放送で想定している変復調処理、および疑似衛星回線を通して再生した。実際の放送環境にかなり近い状況で4K映像の伝送/再生を行った点が大きなポイントだ。4K60pの高精細映像について、実際の放送環境に即して一貫して実証を行うのは日本で初めてで、世界でも類例を見ないという。
デモでは、4Kカメラで撮影した映像をHEVCでリアルタイムに符号化し、多重化、変調という流れにおけるデータを高度狭帯域伝送方式によって伝送。疑似衛星回線(電波ではなくケーブルで接続しての周波数変換)を介したのちに復調し、さらにHEVCを復号化。最終的に4K対応モニターで4K/60p 4:2:0の映像を上映した。
NexTV-Fによれば、4K/60pのHEVCリアルタイム符号化と伝送を実現したのは世界初だという。2014年度の4K試験放送では、今回のような疑似衛星回線ではなく、実際のCSデジタル放送用パラボラアンテナを使用した電波による映像伝送を目指す。「2014年の試験放送に向けて、現在は必要な機材の調達やチューニングを行っている最中」(NexTV-F 事務局長 元橋圭哉氏)とのことで、実際の試験放送開始にむけて画質の調整を引き続き行っていくとしている。
なお、2014年度の4K放送での伝送方式として「高度狭帯域伝送方式」を想定しているのは、実績のある同方式とHEVC方式による映像圧縮とを組み合わせることで4K放送を実現させるという狙い。40.5Mbpsという衛星伝送路で、35Mbp程度の映像データを伝送するイメージだという。
これとは別に、2016年のCS110度やその後のBSでの8K試験放送に向け、より高精度の圧縮技術をシミュレーションした再現デモも実施。より高画質な4K HEVC符号化が可能なLSIが開発されることを想定し、現時点ではそのLSIでの処理を模したソフトウェアを用意し、映像再生デモを行った。
このシステムにおいては、ハードウェア向けアルゴリズムをLSI化することにより、分割処理によらない4K映像のリアルタイム処理を実現することを想定。4K/60pのエンコーダーの1チップ化、エンコーダー機器の小型化を目指す。そして、8K映像の放送品質を満足したリアルタイム符号化へ展開。マルチLSIにより8K/60pのリアルタイム符号化実現を目標にしている。
なお、スカパー!も過去に4K伝送実験を行っているが、その実験ではH.264を使用していた。「一般的な家庭のアンテナでは受信できない。素材の伝送という位置づけのデモだった。今回は、CS放送と同じ伝送を使っている。現在家庭で使われている45cm程度のアンテナで受信できるというイメージでのデモだ」とした。
NexTV-Fの顧問を務める東京理科大学の伊東晋教授は、「映像の符号化技術の国際標準化というのは、デコーダーの規格、ビットストリームの規格を決めているだけで、実はエンコーダーの規格ではない。つまり、デコードできるストリームであればエンコーダーは何でもいいということで、製造元によって画質が違ってくる」と解説。
「HEVC本来の実力を引き出すまでにはもう1ステップ進む必要がある画質かなと感じた」としながらも、「現状のエンコーダーの実力を本日見てもらったわけだが、H.264からの発展は十分に見られたのではないか」と評価した。
また、符号化レートについて「いずれ、基幹放送の技術基準でやっていくときは、なんとしても20Mbps台まで絞りたいと思っている。それくらいの実力を持っている符号化技術だ」とコメント。「それを考えると今回の圧縮レートはかなり余裕がある。来年以降の実際の試験放送ということを考えると、十分に使ってもらえるレベルに近づいているなと感じている」と述べた。
なお、4K/8K放送のロードマップに対する現時点での進捗状況について元橋氏は「まだまだ追い込んでいくべきポイントはあるが」としながらも、「2014年に4K、2016年に8Kの試験放送というロードマップを実現するために会員各社が努力している」とコメント。「準備は順調に進んでいると思っている」と締めくくった。