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公開日 2015/05/26 22:40
<NHK技研公開>IGZOならぬ“ITZO”有機ELディスプレイ研究や裸眼3D技術展示も
スマホとヘッドホンで22.2chを味わう体験型展示なども
NHK放送技術研究所が8Kスーパーハイビジョンやハイブリッドキャストを始めとする各種研究成果を一般に披露する「技研公開2015」が、5月28日(木)から5月31日(日)まで開催される。これに先立ち、プレス向けプレビューが行われた。
技研公開は毎年行われている恒例イベントで、今回のテーマは「究極のテレビへ、カウントダウン!」。8Kスーパーハイビジョンやハイブリッドキャスト(HybridCast)を始めとした、テレビに関する様々な展示が行われる。本稿では、来年からの試験放送実施も控える裸眼3Dを実現したインテグラル立体テレビやホログラフィー技術、スマホアプリとヘッドホンを利用した22.2chバーチャル音響をはじめとした体験型展示などについてレポートする。
■裸眼3D技術がさらに進化
「インテグラル立体テレビ」は、微小レンズ群からなるレンズアレーを撮影と表示の双方に用いて立体像を再現するというもの。いわゆる裸眼3Dを実現できる技術で、今年は昨年よりもカメラの数とレンズアレーを構成する微小レンズの数を増やすことにより、約10万画素のインテグラル立体像の撮影を実現した。
本技術を表示するディスプレイには多くの画素が必要で、さらなる画質向上には8Kを超える画素のディスプレイが必要。多画素化を実現する技術としては複数のディスプレイの映像を結合するタイリングがあるが、通常のディスプレイには外枠があるため結合部分に隙間が生じる問題があった。そこで今回、個々のディスプレイの映像部分のみを光学的に拡大させ、複数の映像を隙間なくタイリングする技術を開発。これにより立体像の画質向上につなげている。
これとは別のアプローチによる裸眼3Dとして、ホログラフィーによる立体テレビを目指し、光の状態(強度や位相など)を制御できる微小な光変調素子を2次元アレー配置した空間光変調器を研究。今回、アクティブマトリクス駆動方式に対応した、低電流で動作する挟画素ピッチのスピン注入型空間光変調器を開発したことを紹介。昨年の5μmから2μmへと画素ピッチを40%狭めているという。
■「多視点ロボットカメラ」や全天周バーチャルスタジオ
裸眼3D以外では、映画「マトリックス」で有名なバレットタイム映像を撮影できる「多視点ロボットカメラ」のデモも実施。昨年よりもカメラ台数を増加させてより広範囲な多視点映像を撮影できるようにしたほか、カメラの小型化やケーブル本数の削減、処理映像の高品質化などを実現している。
また、従来はデジタルズームだったが、今年は光学ズーム対応に進化。さらに映像処理も数十秒で処理できるよう能力を向上させており、実際にスポーツ放送のリプレイなどですでに活かされているという。
そのほか、スタジオで撮影している映像の背景に、遠隔地で撮影した全天周映像をリアルタイムに合成できる実写ベースのバーチャルスタジオを開発したことも紹介。スタジオの出演者があたかも取材現場にいるかのような映像制作を行えるようになったとアピールしている。
■スマホとヘッドホンで22.2chを味わう体験型展示なども
来場者自身が参加する体験型展示も用意。スマートフォンを貼り付けたヘルメット型のヘッドホンをかぶって22.2chの3次元音響を体験できる「音をかぶろう」など4種類のデモを展開している。
この「音をかぶろう」はいわゆるバーチャルサラウンド的な技術で、体験者の周囲に様々な楽器の音が定位しているように聴こえる。そして体験者が体の向きを変えると、例えば左側に位置していたドラムの音が後ろから聴こえているかのように変化するなどといった体験ができる。
このほかにも、画面に表示されている物体を実際に触っているかのような感覚を味わえる「触ってみよう」や、液晶テレビのカラー表示の原理である光の三原色を実際に確認できる「色を見てみよう」、そして画面の前の参加者の表情を読み取り、その表情に応じて笑顔や困った表情などの柄の花火を打ち上げる「表情を出して遊ぼう」といった展示も用意されている。
■IGZOならぬ“ITZO”による有機ELディスプレイ研究も
パネルのみの展示となるが、「IGZO」ではなく「ITZO(In-Sn(Tin)-Zn-O)」を用いたフレキシブル有機ELディスプレイの製作技術説明も披露。IGZOにおけるガリウムの代わりにスズ(Sn/Tin)を使うことで、IGZOを超える移動度を実現したという。
そして大画面化・多画素化に有効という、バックチャンネルエッチ構造のこのITZO-TFTと、長寿命化に有効な逆構造有機ELを用いたフレキシブルディスプレイを開発。折り曲げることも可能なこのフレキシブル有機ELディスプレイを大型化させることで、将来の大画面シート型8Kディスプレイ実現を目指すとしている。
そのほか、「人にやさしい放送技術」として、気象庁が配信している気象電文を用いた手話CG自動生成システムなどもデモ。日本在住の外国人に向けてニュースをやさしい日本語にする自動変換技術なども紹介している。
技研公開は毎年行われている恒例イベントで、今回のテーマは「究極のテレビへ、カウントダウン!」。8Kスーパーハイビジョンやハイブリッドキャスト(HybridCast)を始めとした、テレビに関する様々な展示が行われる。本稿では、来年からの試験放送実施も控える裸眼3Dを実現したインテグラル立体テレビやホログラフィー技術、スマホアプリとヘッドホンを利用した22.2chバーチャル音響をはじめとした体験型展示などについてレポートする。
■裸眼3D技術がさらに進化
「インテグラル立体テレビ」は、微小レンズ群からなるレンズアレーを撮影と表示の双方に用いて立体像を再現するというもの。いわゆる裸眼3Dを実現できる技術で、今年は昨年よりもカメラの数とレンズアレーを構成する微小レンズの数を増やすことにより、約10万画素のインテグラル立体像の撮影を実現した。
本技術を表示するディスプレイには多くの画素が必要で、さらなる画質向上には8Kを超える画素のディスプレイが必要。多画素化を実現する技術としては複数のディスプレイの映像を結合するタイリングがあるが、通常のディスプレイには外枠があるため結合部分に隙間が生じる問題があった。そこで今回、個々のディスプレイの映像部分のみを光学的に拡大させ、複数の映像を隙間なくタイリングする技術を開発。これにより立体像の画質向上につなげている。
これとは別のアプローチによる裸眼3Dとして、ホログラフィーによる立体テレビを目指し、光の状態(強度や位相など)を制御できる微小な光変調素子を2次元アレー配置した空間光変調器を研究。今回、アクティブマトリクス駆動方式に対応した、低電流で動作する挟画素ピッチのスピン注入型空間光変調器を開発したことを紹介。昨年の5μmから2μmへと画素ピッチを40%狭めているという。
■「多視点ロボットカメラ」や全天周バーチャルスタジオ
裸眼3D以外では、映画「マトリックス」で有名なバレットタイム映像を撮影できる「多視点ロボットカメラ」のデモも実施。昨年よりもカメラ台数を増加させてより広範囲な多視点映像を撮影できるようにしたほか、カメラの小型化やケーブル本数の削減、処理映像の高品質化などを実現している。
また、従来はデジタルズームだったが、今年は光学ズーム対応に進化。さらに映像処理も数十秒で処理できるよう能力を向上させており、実際にスポーツ放送のリプレイなどですでに活かされているという。
そのほか、スタジオで撮影している映像の背景に、遠隔地で撮影した全天周映像をリアルタイムに合成できる実写ベースのバーチャルスタジオを開発したことも紹介。スタジオの出演者があたかも取材現場にいるかのような映像制作を行えるようになったとアピールしている。
■スマホとヘッドホンで22.2chを味わう体験型展示なども
来場者自身が参加する体験型展示も用意。スマートフォンを貼り付けたヘルメット型のヘッドホンをかぶって22.2chの3次元音響を体験できる「音をかぶろう」など4種類のデモを展開している。
この「音をかぶろう」はいわゆるバーチャルサラウンド的な技術で、体験者の周囲に様々な楽器の音が定位しているように聴こえる。そして体験者が体の向きを変えると、例えば左側に位置していたドラムの音が後ろから聴こえているかのように変化するなどといった体験ができる。
このほかにも、画面に表示されている物体を実際に触っているかのような感覚を味わえる「触ってみよう」や、液晶テレビのカラー表示の原理である光の三原色を実際に確認できる「色を見てみよう」、そして画面の前の参加者の表情を読み取り、その表情に応じて笑顔や困った表情などの柄の花火を打ち上げる「表情を出して遊ぼう」といった展示も用意されている。
■IGZOならぬ“ITZO”による有機ELディスプレイ研究も
パネルのみの展示となるが、「IGZO」ではなく「ITZO(In-Sn(Tin)-Zn-O)」を用いたフレキシブル有機ELディスプレイの製作技術説明も披露。IGZOにおけるガリウムの代わりにスズ(Sn/Tin)を使うことで、IGZOを超える移動度を実現したという。
そして大画面化・多画素化に有効という、バックチャンネルエッチ構造のこのITZO-TFTと、長寿命化に有効な逆構造有機ELを用いたフレキシブルディスプレイを開発。折り曲げることも可能なこのフレキシブル有機ELディスプレイを大型化させることで、将来の大画面シート型8Kディスプレイ実現を目指すとしている。
そのほか、「人にやさしい放送技術」として、気象庁が配信している気象電文を用いた手話CG自動生成システムなどもデモ。日本在住の外国人に向けてニュースをやさしい日本語にする自動変換技術なども紹介している。