GEOとエイベックス、アダルト有で月額590円の“ハイブリッド”動画配信「ゲオチャンネル」

（株）ゲオホールディングスは、定額制映像配信サービス事業へ参入することを発表した。子会社である（株）ゲオおよび（株）ゲオネットワークスと、エイベックス・デジタル（株）の三社が提携し、新サービス「ゲオチャンネル」を2016年2月に提供開始する。運営はゲオとゲオネットワークスが行う。

ゲオは本日、本サービスに関する記者発表会を開催。同社 代表取締役社長 遠藤結蔵氏らが登壇し、サービスの概要について説明を行った。また、会場にはお笑い芸人キャイ〜ンの天野ひろゆきさんとタレントの千秋さんらも登場し、新サービスのスタートを祝った。

■月額590円で映画やドラマ、アニメ、音楽が楽しみ放題。アダルトも

ゲオチャンネルでは、サービスイン時より、月額590円（税抜）の定額制で映画やドラマ、アニメ、音楽などのコンテンツが見放題・聴き放題になる「ベーシックプラン」を提供予定としている。決済はクレジットカードやキャリア決済に対応予定。コンテンツの個別購入もできるようにする。なお、GEOの会員になれば一部コンテンツを無料で視聴できるようになる。

配信コンテンツの種類は映画、海外ドラマ、キッズ、アニメ、人気アーティストのミュージックビデオやライブ映像、プレステージのアダルト作品など多彩な13ジャンル、合計8万以上のタイトルを揃える。画質はSD標準とHD高画質（720p）の2種類をラインナップする。なお、現時点ではオリジナルコンテンツの制作は検討中とのこと。

視聴には専用アプリ「ゲオチャンネル」を利用する。スマートフォン、タブレット、PCでのマルチデバイス視聴に対応しており、1つのアカウントにつき最大5台までデバイス登録可能。スマートフォンでダウンロード視聴（キャッシュ）も行える。なおテレビでの視聴は、Chromecastを使用すれば可能。

■配信視聴履歴と店舗でのレンタル履歴を連携させて高精度レコメンド

本サービスの特徴の1つとして、独自のレコメンドシステムを持つエイベックスとの連携により、リアル店舗と配信を融合させた高度なレコメンド機能を用意していることが挙げられる。これまでにゲオ店舗を利用したユーザーの過去10年分のレンタル視聴履歴と、ゲオチャンネルの視聴履歴を連携させることで、ユーザー個人に向けたパーソナルなレコメンデーションを実現するという。エイベックスがこれまでの実績で培ってきたノウハウを活用し、配信コンテンツには細かいフィルムタグをつけ、これによって高精度なレコメンドを実現する。

レコメンド機能には全13ジャンルを全て含むため、アダルトコンテンツもレコメンドすることになるが、他ジャンルと一緒にはせず、トップページに入り口を設置するようなイメージでアダルトのみのレコメンドページを設けるようにするという。なお、アダルトジャンルのみレコメンドを非表示にする設定もできる。

さらにゲオチャンネルの契約者に対しては「特別優待プラン」として、店舗・宅配レンタルが得に利用できるオプションプランを用意。月額590円で店舗でも旧作タイトル月20本までレンタルできるプラン、同じく月額590円で宅配レンタルにて旧作タイトル8枚を月一回、14泊15日レンタルできるプランの2つを用意している。

ゲオではこの「映像配信」と「リアル店舗」の2つを連携させたシステムを本サービスの特徴の1つとしてアピールしており、同社ではこれを「ハイブリッドVOD」と呼称している。

■発表会にはキャイ〜ン天野さんや千秋さんも

ゲオは、1989年の創業から映像ソフトのレンタルサービスを中心に展開しており、全国に約1,200店舗、年間のユニーク利用者数は約1,600万人を超える。このゲオと、映像配信プラットフォームの企画・開発・運営を手掛け映像配信サービスの実績を持つエイベックス・デジタルが提携することによって、両社ではそれぞれの強みを活かした新しい形の映像配信サービスを実現するとしている。

本日開催された発表会に登場したゲオホールディングス 代表取締役社長 遠藤結蔵氏は、「より身近になって楽しめるエンターテイメントを多くの方に届けたい。ゲオチャンネルにぜひ期待してほしい」と挨拶した。エイベックス・グループ・ホールディングス（株）代表取締役副社長CSO 千葉龍平氏は、「レンタルと配信という矛盾したビジネスを課題にどう取り組むか。それまでの概念や構造を突き崩しながら、直営店の強みも活かして独自のエコシステムを築いて本サービスに取り組む、遠藤社長の英断に感動した。これから前途多難な戦いになると思うが、必ずこのゲオチャンネルを成功させたい」と語った。

サービスの概要については、ゲオホールディングス 執行役員 林俊樹氏とエイベックス・デジタル（株）常務取締役 村本理恵子氏が説明を行った。

林氏はユーザー数の目標について「できるだけ早期に100万人達成を目指す。また、本事業で100億円の利益を早期に作りたい」と語った。

上述の通り、本サービスは配信と店舗の両方の仕組みを融合させている点が特徴。ユーザーへのレコメンド機能は配信サービスだけでなく、ユーザーの視聴履歴をリアル店舗側でも共有し、店舗へ訪れたユーザーに、店員から直接口頭で推奨作品をレコメンドするような仕組みを実現していくという。

コンテンツの調達も主にエイベックスが担当し、具体的には、海外ドラマ／国内ドラマ／韓流華流／アニメ／キッズ／洋画／邦画／ミュージックビデオ／ライブ映像／カラオケ／教養・バラエティ／個別購入の12ジャンルを用意する。これらについては、dTVやUULAといったエイベックスが提供中の動画配信サービスと同等の作品をラインナップする予定だという。本日の発表会では、村本氏が「私たちエイベックスがこの12ジャンルを用意しますが、今回はもう1つ、ゲオさんならでのジャンルを用意しています。これに関しては私の担当分野ではないので」と林氏にマイクを渡し、続いて林氏から「本サービスの月額見放題にはアダルトコンテンツも含めます」と発表された。

林氏は「アダルトはゲオだからできるジャンル。年齢認証にもきちんと対応します」とし、アダルトを含めて月額590円で提供することについて「運営側としてはギリギリの料金プランですが、ユーザーにお得に楽しんでもらえるようにしました」とアピール。最後には「ゲオの担当分野は以上です」と会場の笑いを誘った。

また本日の発表会には、お笑い芸人キャイ〜ンの天野ひろゆきさん、タレントの千秋さん、メディアコンサルタントの境治さんらも駆けつけ、新サービスに対する期待を語った。

映画監督としての顔も持つ天野さんは、「配信サービスがテレビと共存していけたら良いなと思います。映画かお笑いかわからないけど、僕としてはいつかゲオチャンネル限定のコンテンツが配信されるようになったら、それを生み出す側の人間になりたいです」と関係者に熱烈アピール。「じゃあ私は天野くんが作るコンテンツに出たいです」と答えた千秋さんは「すごく便利なサービスだと思うので、来年2月にスタートしたら私はすぐに登録すると思います！」とコメントした。

境さんは「世界最大の動画配信であるNetflixも、最初はレンタルサービスからスタートしたという共通点がありますよね。しかしNetflixは宅配レンタルだけですが、ゲオはリアル店舗があるところがポイント。そこがゲオチャンネルならではのアドバンテージになって、より良いサービスになっていくと面白いと思います」と、本サービスの今後に期待を寄せた。