HOME > ニュース > AV&ホームシアターニュース
公開日 2017/02/02 16:04
ソニー、減損影響で通期純利益260億円へ下方修正。3Qはゲームと画像センサーが好調
為替の影響や映画の減損がネックに
ソニーは、2016年度第3四半期決算を発表した。昨年4月1日から12月31日までの累積業績は、売上高が5兆6,996億円(前年同期比9.3%減)、営業利益が1,943億円(同49.8%減)、当期純利益は456億円(同80.7%減)だった。
同社はこれにともない、通期の連結業績予想を修正。売上高は7兆6,000億円と前回発表の見通しから増加を見込むものの、営業利益は2,400億円と下方修正した。また純利益も260億円とこちらも下方修正した。
本日開催された業績説明会には、代表執行役 副社長 兼 CFOの吉田 憲一郎氏が登壇。連結業績の詳細について説明した。
売上高については、モバイル・コミュニケーション分野で減収を見込むものの、4Qの前提為替レートを円安にシフトしたことで増収を見込む。営業利益は、半導体分野改善やエムスリー(株)の一部株式売却の372億円を見込むものの、映画分野における営業権減損の影響により下方修正となった。
3Qの売上高は前年同期比で7.1%減となる2兆3,975億円。減収の要因は主に為替の影響という。昨年同期の為替レートを適用した場合、モバイル・コミュニケーション分野は大幅な減収ではあるものの、ゲーム&ネットワークサービス分野や半導体分野は大きな増収となったため、売上高はほぼ横ばいとなっていたとしている。
営業利益は前年同期比1,098億円減少した924億円。大幅な減少は、映画分野において営業権の減損を計上したことが理由だ(関連ニュース)。
来期の営業利益として、5,000億という目標に変更はない。吉田氏は「チャレンジングではあるが達成に向けて全力を尽くしたい」とすると共に、「今期赤字の半導体分野をターンアラウンドさせること、ゲーム&ネットワークサービス分野で利益成長を図っていくこと、今季の減損を重く受け止め収益を安定化することが重要なポイントである」と考えを述べた。
また発表会では、アメリカのトランプ大統領の就任に対して、今後の影響について多く質問された。吉田氏は「現状ではコメントは差し控えるが、ビジネスの7割が海外事業なので、為替については安定していることが望ましいと考えている」とコメントした。
分野別に見ていくと、前述のとおりモバイル・コミュニケーション分野の売上高は前年同期比35.3%減少となる2,486億円となった。欧州地域や前年度に事業縮小を図った不採算地域におけるスマートフォンの販売台数減少が理由として挙げられている。
営業利益は212億円(同29億円減)。構造改革の効果などによる費用削減や為替の好影響、構造改革費用の減少があったものの、売上高減などにより減益となった。販売見通しについては下方修正しているが、売上の減少によるマイナスの影響を小さくできる体制が整ってきており、黒字化実現の可能性はあると考えているとした。
一方でゲーム&ネットワークサービス分野は好調で、売上高6,177億円と前年同期比で5.2%増加。営業利益も前年同期比99億円増加の500億円となった。PS4ソフトの増収やPS4ハードウェアのコスト削減、「PlayStation VR」の販売開始などが貢献した。
PlayStation VRについて、「バーチャルリアリティの世界はまったく新しいユーザーインターフェースなので、大事に育てていきたい。ハード、ソフト共にまだまだ進化する領域ではないかと考えており、一過性のブームではなく、長期で取り組んでいきたい」としている。
またモバイル機器向けのゲームアプリを今春から随時販売予定としており、自社IPをモバイルゲーム化する展開にも取り組む姿勢を見せている。なおゲーム&ネットワークサービス分野の通期見通しとして、売上が向上し利益率は下がっている理由については、「海外売上が大きいため、為替の影響で売上が膨らんでおり、結果として利益率が下がっている」と説明した。
テレビやオーディオ、ヘッドホン等が含まれるホームエンタテインメント&サウンド分野は、売上高3,534円(前年同期比12.1%減)、営業利益259億円(同52億円減)。分野全体で高付加価値モデルへのシフトによる製品ミックスの改善があったものの、為替の影響や家庭用オーディオ・ビデオ市場縮小にともなう販売台数の減少に押されたかたちだ。
売上げが下がったことに加え、事業の分社化および本社機能再編の一環として負担する本社費用、ブランドおよび特許権使用によるロイヤリティ等の算出方法を変更したことによる費用増などが重なり、営業利益も減益に転じた。
カメラ/ムービーカメラ/プロジェクターなどを含むイメージング・プロダクツ&ソリューション分野は、売上高9.6%減となる1,671億円。営業利益は211億円(前年同期比17億円減)。減益は主に為替の影響で、昨年同期の為替レートではほぼ横ばいとされている。
イメージセンサーやカメラモジュール等の半導体分野は好調で、売上高は前年同期比16.9%となる2,339億円。営業利益も前年同期比で59億円増加となる272億円となった。為替の影響や、事業規模を縮小したカメラモジュール事業の大幅な減収はあったものの、主にモバイル機器向けイメージセンサーの販売数量が大幅に増加したことが結果につながった。
半導体あるいはデバイス分野について、「平井CEOからはスピード感をもって取捨選択していく“スピードとフォーカス”の指示が出ている」という。カメラモジュールの縮小などのように、事業整理を詰めていくとしている。
また半導体分野での投資計画として、「過去2年で大きく投資してきたので、来期や再来期を見据えて、投資額が大きくなるということはない」とのこと。ただこれまで同様に投資を行う、またそれをやや加速していく可能性はあるとしている。
映画分野では、売上高は前年同期比14.1%減少の2,252億円、営業損益は前年同期の204億円の利益に対し1,068億円の損失。これは既報の通り、映画製作の大幅な減収があったこと、そして前述の営業権の減損によるものだ。
映画製作の減収については、『007 スペクター』および『モンスター・ホテル2』といったタイトルが全世界で好調だった前年同期に比べ、作品の劇場興行収入が大幅に減少したという。一方でテレビ番組制作は、主に会員制VODからのライセンス収入の増加により大幅な増収となったとしている。
こうした映画分野での収益の現状について、吉田氏は本質的には蓄積されたソニーの経営の問題があると説明。「長期間エレクトロニクス事業が低迷しているなかで、メディアネットワーク事業の売却など、短期的な利益を優先してきたことが収益力の減少につながっている」と指摘し、「IPの重視や米国外市場の強化などを図り、これからの経営で立て直していく必要がある」とした。
音楽分野においては、売上高が前年同期比1.8%減少の1,785億円、営業利益は前年同期比7億円増加した280億円となった。売上高の減収は、米ドルに対する円高の影響及び音楽制作の売上高が減少したことによるものという。一方で映像メディア・プラットフォームの売上高が増加しており、営業利益も増加。これはモバイル機器向けゲームアプリ「Fate/Grand Order」が好調であることが要因という。
こうしたなかで、「アニプレックスのアニメ作品をゲーム化する、PlayStationのタイトルをモバイルゲーム化するといったIP活用についても考えられる」と共に、「おそらく夏にはスパイダーマンシリーズの公開を予定している」とコメントした。
同社はこれにともない、通期の連結業績予想を修正。売上高は7兆6,000億円と前回発表の見通しから増加を見込むものの、営業利益は2,400億円と下方修正した。また純利益も260億円とこちらも下方修正した。
本日開催された業績説明会には、代表執行役 副社長 兼 CFOの吉田 憲一郎氏が登壇。連結業績の詳細について説明した。
売上高については、モバイル・コミュニケーション分野で減収を見込むものの、4Qの前提為替レートを円安にシフトしたことで増収を見込む。営業利益は、半導体分野改善やエムスリー(株)の一部株式売却の372億円を見込むものの、映画分野における営業権減損の影響により下方修正となった。
3Qの売上高は前年同期比で7.1%減となる2兆3,975億円。減収の要因は主に為替の影響という。昨年同期の為替レートを適用した場合、モバイル・コミュニケーション分野は大幅な減収ではあるものの、ゲーム&ネットワークサービス分野や半導体分野は大きな増収となったため、売上高はほぼ横ばいとなっていたとしている。
営業利益は前年同期比1,098億円減少した924億円。大幅な減少は、映画分野において営業権の減損を計上したことが理由だ(関連ニュース)。
来期の営業利益として、5,000億という目標に変更はない。吉田氏は「チャレンジングではあるが達成に向けて全力を尽くしたい」とすると共に、「今期赤字の半導体分野をターンアラウンドさせること、ゲーム&ネットワークサービス分野で利益成長を図っていくこと、今季の減損を重く受け止め収益を安定化することが重要なポイントである」と考えを述べた。
また発表会では、アメリカのトランプ大統領の就任に対して、今後の影響について多く質問された。吉田氏は「現状ではコメントは差し控えるが、ビジネスの7割が海外事業なので、為替については安定していることが望ましいと考えている」とコメントした。
分野別に見ていくと、前述のとおりモバイル・コミュニケーション分野の売上高は前年同期比35.3%減少となる2,486億円となった。欧州地域や前年度に事業縮小を図った不採算地域におけるスマートフォンの販売台数減少が理由として挙げられている。
営業利益は212億円(同29億円減)。構造改革の効果などによる費用削減や為替の好影響、構造改革費用の減少があったものの、売上高減などにより減益となった。販売見通しについては下方修正しているが、売上の減少によるマイナスの影響を小さくできる体制が整ってきており、黒字化実現の可能性はあると考えているとした。
一方でゲーム&ネットワークサービス分野は好調で、売上高6,177億円と前年同期比で5.2%増加。営業利益も前年同期比99億円増加の500億円となった。PS4ソフトの増収やPS4ハードウェアのコスト削減、「PlayStation VR」の販売開始などが貢献した。
PlayStation VRについて、「バーチャルリアリティの世界はまったく新しいユーザーインターフェースなので、大事に育てていきたい。ハード、ソフト共にまだまだ進化する領域ではないかと考えており、一過性のブームではなく、長期で取り組んでいきたい」としている。
またモバイル機器向けのゲームアプリを今春から随時販売予定としており、自社IPをモバイルゲーム化する展開にも取り組む姿勢を見せている。なおゲーム&ネットワークサービス分野の通期見通しとして、売上が向上し利益率は下がっている理由については、「海外売上が大きいため、為替の影響で売上が膨らんでおり、結果として利益率が下がっている」と説明した。
テレビやオーディオ、ヘッドホン等が含まれるホームエンタテインメント&サウンド分野は、売上高3,534円(前年同期比12.1%減)、営業利益259億円(同52億円減)。分野全体で高付加価値モデルへのシフトによる製品ミックスの改善があったものの、為替の影響や家庭用オーディオ・ビデオ市場縮小にともなう販売台数の減少に押されたかたちだ。
売上げが下がったことに加え、事業の分社化および本社機能再編の一環として負担する本社費用、ブランドおよび特許権使用によるロイヤリティ等の算出方法を変更したことによる費用増などが重なり、営業利益も減益に転じた。
カメラ/ムービーカメラ/プロジェクターなどを含むイメージング・プロダクツ&ソリューション分野は、売上高9.6%減となる1,671億円。営業利益は211億円(前年同期比17億円減)。減益は主に為替の影響で、昨年同期の為替レートではほぼ横ばいとされている。
イメージセンサーやカメラモジュール等の半導体分野は好調で、売上高は前年同期比16.9%となる2,339億円。営業利益も前年同期比で59億円増加となる272億円となった。為替の影響や、事業規模を縮小したカメラモジュール事業の大幅な減収はあったものの、主にモバイル機器向けイメージセンサーの販売数量が大幅に増加したことが結果につながった。
半導体あるいはデバイス分野について、「平井CEOからはスピード感をもって取捨選択していく“スピードとフォーカス”の指示が出ている」という。カメラモジュールの縮小などのように、事業整理を詰めていくとしている。
また半導体分野での投資計画として、「過去2年で大きく投資してきたので、来期や再来期を見据えて、投資額が大きくなるということはない」とのこと。ただこれまで同様に投資を行う、またそれをやや加速していく可能性はあるとしている。
映画分野では、売上高は前年同期比14.1%減少の2,252億円、営業損益は前年同期の204億円の利益に対し1,068億円の損失。これは既報の通り、映画製作の大幅な減収があったこと、そして前述の営業権の減損によるものだ。
映画製作の減収については、『007 スペクター』および『モンスター・ホテル2』といったタイトルが全世界で好調だった前年同期に比べ、作品の劇場興行収入が大幅に減少したという。一方でテレビ番組制作は、主に会員制VODからのライセンス収入の増加により大幅な増収となったとしている。
こうした映画分野での収益の現状について、吉田氏は本質的には蓄積されたソニーの経営の問題があると説明。「長期間エレクトロニクス事業が低迷しているなかで、メディアネットワーク事業の売却など、短期的な利益を優先してきたことが収益力の減少につながっている」と指摘し、「IPの重視や米国外市場の強化などを図り、これからの経営で立て直していく必要がある」とした。
音楽分野においては、売上高が前年同期比1.8%減少の1,785億円、営業利益は前年同期比7億円増加した280億円となった。売上高の減収は、米ドルに対する円高の影響及び音楽制作の売上高が減少したことによるものという。一方で映像メディア・プラットフォームの売上高が増加しており、営業利益も増加。これはモバイル機器向けゲームアプリ「Fate/Grand Order」が好調であることが要因という。
こうしたなかで、「アニプレックスのアニメ作品をゲーム化する、PlayStationのタイトルをモバイルゲーム化するといったIP活用についても考えられる」と共に、「おそらく夏にはスパイダーマンシリーズの公開を予定している」とコメントした。