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公開日 2017/11/07 16:07
シャープから世界初、撮影/収録/再生/ライン出力すべてに対応した業務用8Kカムコーダー
5Gを使った8K/12ch MMT伝送実験も発表
シャープは、世界で初めて1台で8K/60p映像の「撮影」「収録」「再生」「ライン出力」を実現した業務用8Kカムコーダー「8C-B60A」を、12月に880万円(税抜)で発売する。また、NTTドコモとの共同実験で、5G技術を活用した8K映像の12チャンネルMMT伝送に成功したことも発表した。
本日行われた発表会では、取締役兼執行役員 8K戦略推進室長の西山博一氏、常務 電子デバイス事業本部長の森谷和弘氏、同社と協業して製品開発に当たったアストロデザイン株式会社 代表取締役社長の鈴木茂昭氏が登壇した。
冒頭で西山氏は、同社の考える8Kエコシステム構築について説明。同社は昨年5月に受信端末の発表と試験、8月には表示端末である8K対応液晶テレビ「AQUOS 8K」発表と続けてきたが、今回のカムコーダーはこれら8Kエコシステムのいわば入口となる製品。「リアルタイム配信も可能にする機動性と導入しやすい価格を両立した製品で、これから構築されるであろう8Kシステムの可能性を大きく広げる意義がある」とした。
またアストロデザインの鈴木氏は、「これから新しい世界を作っていく8K機器が、これまであまりアピールされていなかった。機材がどうしても高価だと感じていたが、今回の8Kカムコーダー1台でコストが劇的に抑えられることになった」と8K撮影環境の変化を期待する言葉を述べた。
■8Kでのライブ配信やワンマン運用も可能なカムコーダー
8Kカムコーダー「8C-B60A」の開発は、8K映像関連技術を有するアストロデザインが基礎設計を、シャープがセンサーを担当。従来の製品では個別に搭載されてきた「撮影」「収録」「再生」「ライン出力」の4要素を1台に搭載し、さらに煩雑なケーブル接続を廃して可搬性を持たせた製品としては世界初となる。
発表会での製品解説は、森谷氏によって行われた。同氏は「あらゆる分野への8K環境の導入を進め、また家電メーカーという括りを抜け出した当社の新たな姿、8Kという分野への本気度を見てもらいたい」と意気込みを語った。
高精細な8K/60p映像の撮影が可能なだけでなく、「8Kを普及・促進するということを第一義にした」とのことで、撮影・収録時の扱いやすさや収録後の編集作業の負荷低減にも配慮して設計。その一例として、操作感は従来の2K/4Kカムコーダーを引き継いでいる。
価格に関しても市場の競合製品をリサーチし、発表ギリギリまで検討した上で、1,000万円を切る価格としたという。
撮像素子は、3,300万画素のSuper 35mm相当の大型CMOSイメージセンサーを搭載し、8K/60pの4:2:2方式/10bit収録を実現。放送向けHDR規格のHLGに対応する。映像圧縮方式にはCPU負荷が低く、映像劣化しにくいコーデック「Grass Valley HQX Codec」を採用し、8K/60p映像の編集作業の効率化と約40分間の連続収録(同梱の2TB SSDパック使用時)を実現したとしている。
正面から見て右側面には小型モニターを搭載。撮影秒数などのステータスを確認できるほか、収録した映像をフルHD画質で再生・確認することが可能。また映像を収録しながら、8K/60pの非圧縮映像をリアルタイムで出力できる(クアッドリンク 12G-SDI出力端子装備)ため、ライブ配信にも活用可能。加えて収録メディア用のSSDバックスロットを内蔵し、Vマウントバッテリー駆動により、8K撮影時におけるワンマン運用も実現している。なおバッテリー駆動時間などは現在検証中で、後述の「Inter BEE 2017」で公開できるよう準備を進めているとのこと。
森谷氏はこうした「8Kだからできる価値の提供」を目指していると再度強調。一例として、3Dと見まごうほどのリアルさ/立体感による表現、高画素により広範囲を撮影し、必要な部分だけを切り出して使用するという撮影の省力化、配信サービスの多様化、高い情報密度を映像のみならず数値データとして活用する、といった応用例をあげた。
今後、医療監視分野やコンシューマー向けの8K製品の開発、また業務用製品に関しては、120p撮影対応製品の開発も視野に入れていると語った。
なお、本機は11月15日から17日まで幕張メッセで開催される「2017年国際放送機器展(Inter BEE 2017)」にアストロデザインと共同で出展される。アストロデザイン製の8K映像編集機器や「AQUOS 8K」が同時に出展され、実際に触れて試すことができる環境を予定している。
■5G回線での8K伝送成功。高精細スポーツ観戦などへの応用を期待
5Gを介した8K映像の12チャンネルMMT(MPEG Media Transport)伝送は、2017年11月1日(水)に行った共同実験で成功させた。「今回の実験は将来的に、高精細スポーツ観戦映像や、高精細監視カメラ映像などへの応用が期待できる」としている。
なおこの実験は、両社が2017年7月18日に合意していた第5世代移動通信方式を活用した8K映像の伝送に関する実験協力に基づくもの。横須賀市のドコモR&Dセンタにて8月29日〜11月1日の期間で実験を行った。
本実験にあたっては、ドコモが5G無線通信の実験装置や環境を、シャープが8K映像コンテンツの送出装置、8K映像デコードおよびMMT伝送を行うための8K映像受信装置や8Kディスプレイなど8K映像を伝送する実験装置や環境を提供。8K映像エンコードおよびMMTエンコードに関しては、日本放送協会も協力している。
従来、8K映像の伝送には、最適な圧縮技術(H.265/HEVC)を用いても、1チャンネル当たり平均80Mbpsのデータレートが必要となるため、LTEでは安定して複数チャンネルの8K映像伝送を実現することが困難だった。
本実験では、5Gの特長の1つである高速・大容量の通信を活用することで、合計約1Gbpsを必要とする12チャンネルの8K映像伝送を安定して行うことができたという。
また無線通信を行うための電波は、建物や樹木、地形の起伏など障害物や反射物の影響を絶えず受けて伝搬している。そのため、無線区間の伝送誤りによる受信データの抜けやエラーの発生を完全に避けることはできない。これらデータの抜けやエラーによる映像劣化を防ぐためには、送信側でデータに追加データを付与して伝送し、受信側において受信したデータの抜けやエラーを検知・訂正する誤り訂正制御が必要となる。
本実験では、5G無線装置における無線レイヤーの誤り訂正制御に加え、誤り訂正制御を実装した8K映像受信装置を用いて受信データのエラーを検知・訂正することで、無線区間の伝送誤りの影響を大幅に低減した乱れの少ない映像を再現し、8Kディスプレイに表示できたという。
今回の成果は、11月9日(木)から11日(土)まで日本未来科学館で開催されるイベント「見えてきた、“ちょっと先”の未来〜5Gが創る未来のライフスタイル〜」にて展示される予定だ。
本日行われた発表会では、取締役兼執行役員 8K戦略推進室長の西山博一氏、常務 電子デバイス事業本部長の森谷和弘氏、同社と協業して製品開発に当たったアストロデザイン株式会社 代表取締役社長の鈴木茂昭氏が登壇した。
冒頭で西山氏は、同社の考える8Kエコシステム構築について説明。同社は昨年5月に受信端末の発表と試験、8月には表示端末である8K対応液晶テレビ「AQUOS 8K」発表と続けてきたが、今回のカムコーダーはこれら8Kエコシステムのいわば入口となる製品。「リアルタイム配信も可能にする機動性と導入しやすい価格を両立した製品で、これから構築されるであろう8Kシステムの可能性を大きく広げる意義がある」とした。
またアストロデザインの鈴木氏は、「これから新しい世界を作っていく8K機器が、これまであまりアピールされていなかった。機材がどうしても高価だと感じていたが、今回の8Kカムコーダー1台でコストが劇的に抑えられることになった」と8K撮影環境の変化を期待する言葉を述べた。
■8Kでのライブ配信やワンマン運用も可能なカムコーダー
8Kカムコーダー「8C-B60A」の開発は、8K映像関連技術を有するアストロデザインが基礎設計を、シャープがセンサーを担当。従来の製品では個別に搭載されてきた「撮影」「収録」「再生」「ライン出力」の4要素を1台に搭載し、さらに煩雑なケーブル接続を廃して可搬性を持たせた製品としては世界初となる。
発表会での製品解説は、森谷氏によって行われた。同氏は「あらゆる分野への8K環境の導入を進め、また家電メーカーという括りを抜け出した当社の新たな姿、8Kという分野への本気度を見てもらいたい」と意気込みを語った。
高精細な8K/60p映像の撮影が可能なだけでなく、「8Kを普及・促進するということを第一義にした」とのことで、撮影・収録時の扱いやすさや収録後の編集作業の負荷低減にも配慮して設計。その一例として、操作感は従来の2K/4Kカムコーダーを引き継いでいる。
価格に関しても市場の競合製品をリサーチし、発表ギリギリまで検討した上で、1,000万円を切る価格としたという。
撮像素子は、3,300万画素のSuper 35mm相当の大型CMOSイメージセンサーを搭載し、8K/60pの4:2:2方式/10bit収録を実現。放送向けHDR規格のHLGに対応する。映像圧縮方式にはCPU負荷が低く、映像劣化しにくいコーデック「Grass Valley HQX Codec」を採用し、8K/60p映像の編集作業の効率化と約40分間の連続収録(同梱の2TB SSDパック使用時)を実現したとしている。
正面から見て右側面には小型モニターを搭載。撮影秒数などのステータスを確認できるほか、収録した映像をフルHD画質で再生・確認することが可能。また映像を収録しながら、8K/60pの非圧縮映像をリアルタイムで出力できる(クアッドリンク 12G-SDI出力端子装備)ため、ライブ配信にも活用可能。加えて収録メディア用のSSDバックスロットを内蔵し、Vマウントバッテリー駆動により、8K撮影時におけるワンマン運用も実現している。なおバッテリー駆動時間などは現在検証中で、後述の「Inter BEE 2017」で公開できるよう準備を進めているとのこと。
森谷氏はこうした「8Kだからできる価値の提供」を目指していると再度強調。一例として、3Dと見まごうほどのリアルさ/立体感による表現、高画素により広範囲を撮影し、必要な部分だけを切り出して使用するという撮影の省力化、配信サービスの多様化、高い情報密度を映像のみならず数値データとして活用する、といった応用例をあげた。
今後、医療監視分野やコンシューマー向けの8K製品の開発、また業務用製品に関しては、120p撮影対応製品の開発も視野に入れていると語った。
なお、本機は11月15日から17日まで幕張メッセで開催される「2017年国際放送機器展(Inter BEE 2017)」にアストロデザインと共同で出展される。アストロデザイン製の8K映像編集機器や「AQUOS 8K」が同時に出展され、実際に触れて試すことができる環境を予定している。
■5G回線での8K伝送成功。高精細スポーツ観戦などへの応用を期待
5Gを介した8K映像の12チャンネルMMT(MPEG Media Transport)伝送は、2017年11月1日(水)に行った共同実験で成功させた。「今回の実験は将来的に、高精細スポーツ観戦映像や、高精細監視カメラ映像などへの応用が期待できる」としている。
なおこの実験は、両社が2017年7月18日に合意していた第5世代移動通信方式を活用した8K映像の伝送に関する実験協力に基づくもの。横須賀市のドコモR&Dセンタにて8月29日〜11月1日の期間で実験を行った。
本実験にあたっては、ドコモが5G無線通信の実験装置や環境を、シャープが8K映像コンテンツの送出装置、8K映像デコードおよびMMT伝送を行うための8K映像受信装置や8Kディスプレイなど8K映像を伝送する実験装置や環境を提供。8K映像エンコードおよびMMTエンコードに関しては、日本放送協会も協力している。
従来、8K映像の伝送には、最適な圧縮技術(H.265/HEVC)を用いても、1チャンネル当たり平均80Mbpsのデータレートが必要となるため、LTEでは安定して複数チャンネルの8K映像伝送を実現することが困難だった。
本実験では、5Gの特長の1つである高速・大容量の通信を活用することで、合計約1Gbpsを必要とする12チャンネルの8K映像伝送を安定して行うことができたという。
また無線通信を行うための電波は、建物や樹木、地形の起伏など障害物や反射物の影響を絶えず受けて伝搬している。そのため、無線区間の伝送誤りによる受信データの抜けやエラーの発生を完全に避けることはできない。これらデータの抜けやエラーによる映像劣化を防ぐためには、送信側でデータに追加データを付与して伝送し、受信側において受信したデータの抜けやエラーを検知・訂正する誤り訂正制御が必要となる。
本実験では、5G無線装置における無線レイヤーの誤り訂正制御に加え、誤り訂正制御を実装した8K映像受信装置を用いて受信データのエラーを検知・訂正することで、無線区間の伝送誤りの影響を大幅に低減した乱れの少ない映像を再現し、8Kディスプレイに表示できたという。
今回の成果は、11月9日(木)から11日(土)まで日本未来科学館で開催されるイベント「見えてきた、“ちょっと先”の未来〜5Gが創る未来のライフスタイル〜」にて展示される予定だ。