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公開日 2018/12/18 18:28
超スマート社会「Society5.0」実現は“共創”が鍵。JEITAが電子情報産業の世界生産見通しを発表
18年の世界生産額は過去最高の2兆9,345億ドル
■変革するCEATEC JAPAN
一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)は12月18日、柵山正樹代表理事・会長(三菱電機株式会社取締役会長)が会見を行い、Society5.0の実現に向けた同協会の取り組みについて説明するとともに、「電子情報産業の世界生産見通し」について発表を行った。
柵山会長は冒頭、「本年は当協会にとり、ここ数年の変革を推し進める一年になった」と振り返った。JEITAでは昨年、会員制度に関する定款を変更し、IT・エレクトロニクス業界のメーカーに限定せず、IoTに密接に関連する企業に会員の門戸を開いた。その結果、本年はJTB、損保ジャパン日本興亜、セコムや、ABEJAをはじめとするベンチャー企業など24社/団体が新たに入会。会員数はここ数年、右肩上がりで増加し、390社/団体まで拡大している。
高度な情報利活用により、新たな価値を生み、社会全体の最適化をもたらす世界に先駆けた超スマート社会「Society5.0」の実現・推進を事業指針として掲げ、電子部品・電子デバイス・電子機器・ITソリューションサービスなどを中核に、あらゆる産業をつなぎ、業種・業界を超えて社会課題に向き合う課題解決型の業界団体を目指すJEITA。そこで重要なこととして、柵山会長は「様々な産業との “共創” を進めること」と訴えた。
具体的な取り組み例として、一昨年発足した「スマートホーム部会」を挙げ、「会員企業はもちろん、住宅や住宅設備、電気通信など他の業界団体とも連携し、データを共有、活用するための取り組みを進めている。スマートホームは宅内外のあらゆる機器、住宅設備・サービスが連携することではじめて実現する。業界を越えた連携を進めるにあたり、共通で活用できるデータカタログの構築を進めており、本年度中にガイドラインを策定する」と成果を説明した。
そして、同協会が主催する「CEATEC JAPAN」は、製造業のみならず、サービス産業である小売りや観光などさまざまな産業と連携し、個人の暮らしをより豊かにする未来の実現を目指し、あらゆる産業が共創する未来を発信する場であると位置づけた。家電見本市の枠を超えた、CPSとIoTをテーマとする、Society5.0の展示会として生まれ変わったCEATEC JAPANに、「本年もさまざまな産業・業種の出展企業から、社会課題を解決する革新的なソリューションサービスの提案や新たなビジネスモデルの披露が相次いだ」と変革への手応えを示した。
来場者も各企業のイノベーターから未来を担う学生まで多岐にわたり、「特に学生は前年比2,000名近く増加し、見て・聞いて・考える絶好の機会としてさらに発展させていきたい」と語る。また、ベンチャー企業との共創も重視。優良ベンチャー企業を表彰する「JEITAベンチャー賞」や新たな事業に取り組む企業や団体を支援する「JEITA共創プログラム」を設ける。また、本年で54回目を迎えた「Inter BEE」では、放送機器のみならず、デジタルコンテンツEXPOを同時開催するなど、コンテンツを中核とするメディア総合展へ進化させるための変革を推進する。
■電子情報産業の世界生産見通しは過去最高を更新
続いて、「電子情報産業の世界生産見通し」について発表した。本調査は、世界の電子情報産業の生産規模をデータにより明確にすること。そして、世界における日経企業の位置づけを把握することを目的に、会員会社を中心としたアンケート調査をベースにとりまとめている。
電子情報産業の2018年の世界生産額は、前年比8%増となる2兆9,345億ドルで、過去最高の更新を見込む。世界経済においては貿易摩擦などの不透明要素はあるが、クラウドサービスの拡大によるソリューションサービスの需要拡大、IoT化の進展に伴う大容量データの高速処理のニーズ拡大などにより、過去最高の世界生産額を記録する見込みとなった半導体、電子部品およびソリューションサービスが全体を牽引した。世界経済では、貿易摩擦などの不透明要素や半導体景気への懸念はあるが、今後もソリューションサービスや電子部品、半導体が伸長し、プラス成長が続く見込み。2019年は史上初の3兆ドル突破を見通し。
2018年の海外生産分を含む日系企業の世界生産額は、前年比1%増の39兆946億円とプラス成長を見込む。自動車の電装化率向上による半導体や電子部品搭載数の飛躍的増加、働き方改革や生産性向上に向けた法人向けのパソコンや情報端末の需要が好調に推移していることが要因。国内生産額は対前年0.5%増となる11兆9,640億円で前年規模を維持。今後も、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けたインフラ整備の進展や、半導体や電子部品の搭載数増加などによる継続的な成長が見込まれ、2019年は前年比1%増となる39兆6,495億円を見込む。国内生産額も前年比2%増となる12兆1,530億円とプラス成長を見通す。
さらに、注目分野として「モビリティの分野にも『CASE』(Connected、Autonomous、Shared & Service、Electric)と呼ばれる大きな革命が進行している。自動車は機械分野のみならず、IT・エレクトロニクス分野を巻き込み、業界の垣根を越えた変革が動き出している。その潮流はますます加速していく」と指摘。自動運転車、環境対応車の世界生産台数見通しと、車の進化を支える電子制御装置(ECU)等を把握する調査を実施した。
2030年に、レベル3以上の自動運転車は年平均65.8%で増加して713万台に、電気自動車などの環境対応車は同21.0%増で8,872万台になると予想。これに伴い、ECUの市場規模は年平均4.9%で増加し、2017年の9.5兆円から、2030年には約2倍の17.8兆円に生産額が増加する。CASEに必要となるデバイスも年平均10.8%で増加。2017年の3兆4,923億円から、2030年には13兆2,525億円へ、約4倍の世界生産額になると見通した。中でも、自動運転に不可欠なカメラモジュールは約4.8倍の4兆5,458億円、電動化に不可欠なインバーターは約5.7倍の2,257億円と大きな成長を見込む。
柵山会長は「Society5.0の未来に向けた取り組みがますます進展していくにあたり、あらゆる分野において、IT・エレクトロニクスはこれからますます重要になる。あらゆる産業と連携し、Society5.0の実現に向けた市場創出と事業環境整備により重点的に取り組んでいく。CEATECも来年には20周年を迎え、あらゆる産業による共創をベースにした、Society5.0の実現を目指す場として強化していく。テクノロジーを見せる展示会ではなく、テクノロジーで社会をどう変えていくのかを発信していく場として、豊かな社会を描けるよう取り組んでいく」と力を込める。
「2020年、そして、その先に未来へ向け、当協会は産業と産業のつなぎ役として、新たなビジネス創出を促すことで、社会課題を解決し、世界に先駆けた超スマート社会Society5.0の実現と共に、日本経済のさらなる活性化へ貢献していきたい」と力強く会見を締めくくった。
一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)は12月18日、柵山正樹代表理事・会長(三菱電機株式会社取締役会長)が会見を行い、Society5.0の実現に向けた同協会の取り組みについて説明するとともに、「電子情報産業の世界生産見通し」について発表を行った。
柵山会長は冒頭、「本年は当協会にとり、ここ数年の変革を推し進める一年になった」と振り返った。JEITAでは昨年、会員制度に関する定款を変更し、IT・エレクトロニクス業界のメーカーに限定せず、IoTに密接に関連する企業に会員の門戸を開いた。その結果、本年はJTB、損保ジャパン日本興亜、セコムや、ABEJAをはじめとするベンチャー企業など24社/団体が新たに入会。会員数はここ数年、右肩上がりで増加し、390社/団体まで拡大している。
高度な情報利活用により、新たな価値を生み、社会全体の最適化をもたらす世界に先駆けた超スマート社会「Society5.0」の実現・推進を事業指針として掲げ、電子部品・電子デバイス・電子機器・ITソリューションサービスなどを中核に、あらゆる産業をつなぎ、業種・業界を超えて社会課題に向き合う課題解決型の業界団体を目指すJEITA。そこで重要なこととして、柵山会長は「様々な産業との “共創” を進めること」と訴えた。
具体的な取り組み例として、一昨年発足した「スマートホーム部会」を挙げ、「会員企業はもちろん、住宅や住宅設備、電気通信など他の業界団体とも連携し、データを共有、活用するための取り組みを進めている。スマートホームは宅内外のあらゆる機器、住宅設備・サービスが連携することではじめて実現する。業界を越えた連携を進めるにあたり、共通で活用できるデータカタログの構築を進めており、本年度中にガイドラインを策定する」と成果を説明した。
そして、同協会が主催する「CEATEC JAPAN」は、製造業のみならず、サービス産業である小売りや観光などさまざまな産業と連携し、個人の暮らしをより豊かにする未来の実現を目指し、あらゆる産業が共創する未来を発信する場であると位置づけた。家電見本市の枠を超えた、CPSとIoTをテーマとする、Society5.0の展示会として生まれ変わったCEATEC JAPANに、「本年もさまざまな産業・業種の出展企業から、社会課題を解決する革新的なソリューションサービスの提案や新たなビジネスモデルの披露が相次いだ」と変革への手応えを示した。
来場者も各企業のイノベーターから未来を担う学生まで多岐にわたり、「特に学生は前年比2,000名近く増加し、見て・聞いて・考える絶好の機会としてさらに発展させていきたい」と語る。また、ベンチャー企業との共創も重視。優良ベンチャー企業を表彰する「JEITAベンチャー賞」や新たな事業に取り組む企業や団体を支援する「JEITA共創プログラム」を設ける。また、本年で54回目を迎えた「Inter BEE」では、放送機器のみならず、デジタルコンテンツEXPOを同時開催するなど、コンテンツを中核とするメディア総合展へ進化させるための変革を推進する。
■電子情報産業の世界生産見通しは過去最高を更新
続いて、「電子情報産業の世界生産見通し」について発表した。本調査は、世界の電子情報産業の生産規模をデータにより明確にすること。そして、世界における日経企業の位置づけを把握することを目的に、会員会社を中心としたアンケート調査をベースにとりまとめている。
電子情報産業の2018年の世界生産額は、前年比8%増となる2兆9,345億ドルで、過去最高の更新を見込む。世界経済においては貿易摩擦などの不透明要素はあるが、クラウドサービスの拡大によるソリューションサービスの需要拡大、IoT化の進展に伴う大容量データの高速処理のニーズ拡大などにより、過去最高の世界生産額を記録する見込みとなった半導体、電子部品およびソリューションサービスが全体を牽引した。世界経済では、貿易摩擦などの不透明要素や半導体景気への懸念はあるが、今後もソリューションサービスや電子部品、半導体が伸長し、プラス成長が続く見込み。2019年は史上初の3兆ドル突破を見通し。
2018年の海外生産分を含む日系企業の世界生産額は、前年比1%増の39兆946億円とプラス成長を見込む。自動車の電装化率向上による半導体や電子部品搭載数の飛躍的増加、働き方改革や生産性向上に向けた法人向けのパソコンや情報端末の需要が好調に推移していることが要因。国内生産額は対前年0.5%増となる11兆9,640億円で前年規模を維持。今後も、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けたインフラ整備の進展や、半導体や電子部品の搭載数増加などによる継続的な成長が見込まれ、2019年は前年比1%増となる39兆6,495億円を見込む。国内生産額も前年比2%増となる12兆1,530億円とプラス成長を見通す。
さらに、注目分野として「モビリティの分野にも『CASE』(Connected、Autonomous、Shared & Service、Electric)と呼ばれる大きな革命が進行している。自動車は機械分野のみならず、IT・エレクトロニクス分野を巻き込み、業界の垣根を越えた変革が動き出している。その潮流はますます加速していく」と指摘。自動運転車、環境対応車の世界生産台数見通しと、車の進化を支える電子制御装置(ECU)等を把握する調査を実施した。
2030年に、レベル3以上の自動運転車は年平均65.8%で増加して713万台に、電気自動車などの環境対応車は同21.0%増で8,872万台になると予想。これに伴い、ECUの市場規模は年平均4.9%で増加し、2017年の9.5兆円から、2030年には約2倍の17.8兆円に生産額が増加する。CASEに必要となるデバイスも年平均10.8%で増加。2017年の3兆4,923億円から、2030年には13兆2,525億円へ、約4倍の世界生産額になると見通した。中でも、自動運転に不可欠なカメラモジュールは約4.8倍の4兆5,458億円、電動化に不可欠なインバーターは約5.7倍の2,257億円と大きな成長を見込む。
柵山会長は「Society5.0の未来に向けた取り組みがますます進展していくにあたり、あらゆる分野において、IT・エレクトロニクスはこれからますます重要になる。あらゆる産業と連携し、Society5.0の実現に向けた市場創出と事業環境整備により重点的に取り組んでいく。CEATECも来年には20周年を迎え、あらゆる産業による共創をベースにした、Society5.0の実現を目指す場として強化していく。テクノロジーを見せる展示会ではなく、テクノロジーで社会をどう変えていくのかを発信していく場として、豊かな社会を描けるよう取り組んでいく」と力を込める。
「2020年、そして、その先に未来へ向け、当協会は産業と産業のつなぎ役として、新たなビジネス創出を促すことで、社会課題を解決し、世界に先駆けた超スマート社会Society5.0の実現と共に、日本経済のさらなる活性化へ貢献していきたい」と力強く会見を締めくくった。