• ブランド
    特設サイト
ガジェット 公開日 2023/06/05 11:00

噂のアップル「HMD」、WWDCで本当に発表されるのか。過去の動きから見える可能性

【連載】西田宗千佳のネクストゲート 第41回
Gadget Gate
西田宗千佳
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
6月5日(現地時間)から、アップルの年次開発者会議「WWDC」がスタートする。

今年も来週から、WWDCがスタート

いろいろな製品の噂は出ているが、あくまで現時点では「噂」に過ぎない。過去も噂は、製品の発売が近いタイミングのもの以外、当たっていないことも多いので注意が必要だ。

とはいえ、予想できることはあるし、考察できることもある。来週にはすぐ答え合わせができてしまうが、その前に少し予想をしてみよう。

■WWDCは「開発者会議」であって「新製品発表会」ではない



まず、確実に発表されるものから予測しよう。iOS/iPadOS/macOSなど、主力製品のOSは確実に発表される。「それはそうだろう」と思うかもしれないが、これがまず大切だ。

そもそも、WWDCは「開発者会議」だ。ハードウェアの新製品ばかりに注目が集まるが、実のところ、これをアピールすることのほうがまれ。ハードウェアをアピールする時には、それを使うOSやサービスがあっての場合であることが多い。

たとえば、ここ数年のWWDCにおいて、Macの話題が多かったり新製品の発表があったりしたのは、MacのプロセッサーがインテルからAppleシリコンに変わり、開発者の移行を促進する必要があったからだ。今年も新しいMacが出る「かもしれない」が、それはAppleシリコンへの移行とAppleシリコンのパフォーマンスを活かしたアプリのアピール、という側面が強いだろう。

昨年のWWDCではM2搭載のMacBook Airが発表された。今年はどうなるのだろうか

iOSやiPadOSは、今年もある程度変化するだろう。まだ改善ですべき点は多々あるからだ。だが、UIデザインがガラッと変わったり、見たこともない新機能が搭載されたりするタイミングではない、と筆者は予想している。

一方でアップルは、iOSとiPadOSについて、すでに「アクセシビリティ」系の機能アップをアナウンス済みだ。英語向けの機能が多いが、「iPhoneのらくらくホン化」と言われた「シンプル画面化」も含まれ、こちらは日本でも使えるものと思われる。

アップルはすでに、次期iOS/iPadOSでの「らくらくホン」的モードの存在をチラ見せ

従来、こうした機能はWWDCの中で発表されることが多かった。だが先に出したということは、それだけWWDCの基調講演で発表するべき内容が多い、という予測が成り立つ。

■アップルは6年前から準備を「公開」していた



そうなると、俄然気になってくるのが「アップルがHMDを出すのではないか」という噂だ。

重ねていうが、この噂が真実か、100%の確証がある情報を筆者は持っていない。ただし「アップルがHMDを作っている」ことは、複数の関係者・競合他社などの取材で確信している。この時期に出てくるのか、確信できないだけだ。

外枠を埋める要素はいくつもある。そもそもアップルは、もう6年以上に渡って「ARやVR」の開発を進めている。iPhone/iPad向けのARフレームワークである「ARKit」が最初に公開されたのは、2017年のWWDCだった。

2017年のWWDCでは、iOS/iPadOSでARを実現する「ARKit」が発表に

この時はまだインテルCPU版のMacだったが、HTCと組んで「VRに取り組む」とアナウンスしたこともある。こちらは、その後のプロセッサー戦略などの変化もあってほぼ立ち消えたが、アップルとしてVRにも興味がないわけではないことの証でもある。

2017年にはMacでVRに取り組んだことも

ただしARKitが存在する以上、アップルがXR向けプラットフォームを提示するとすれば、「iOS/iPadOSベースで、ARKitを使った機器」と予想するのが自然だろう。

とはいえ、夢のような機械をいきなり作るのは難しい。十分な性能を持ち、快適に動き、画質も良い製品を作るのであれば、現在のHMDの水準を考えると、数百ドルの製品にまとめるのはかなり難しい。どこかで割り切りが必要だ。

そういう「割り切った」製品はすでにいくつもあるが、割り切ったレベルのものなら、アップルはすでに出していたはず。そうでないとすると、「相応に品質にこだわったもの」であり、結果として「高価である」「まだ初期の顧客に向けたものである」と予想するのが必然だ。

■Metaはなぜ急に動いたのか



アップルの外の動きもある。その中でも最も大きいのは、競合になるMetaの動きだ。

Metaは6月1日(現地時間)、同社ブランドHMDの最新モデルとなる「Meta Quest 3」を発表した。価格は国内で7万4800円(アメリカでは499ドル)からとされており、発売は今秋の予定だ。

Meta Quest 3。発売は秋だが、突如発表に

Meta Quest 3はフルカラーのビデオシースルー機能を内蔵し、周囲の様子を確認しながらゲームや各種作業ができる。そして、GPU性能はQuest 2の倍に向上していて、より精緻なグラフィック描画も可能になる。それでいて、本体の厚みは40%スリムになり、付け心地も向上する。

カラーシースルーの機能を持ち、「Mixed Reality」的な要素を推し出す

まさに「次世代機」と言っていい性能向上だが、気になる点もある。それは「今秋発売で、詳細発表は9月27日からのイベントで」とされている点だ。

発売までは最低でも4ヶ月以上あって、詳細も公開されていない。発表は9月でも良かったのではないだろうか? このタイミングで発表したのは、「近々強力なライバルが出てくるから」と考えるのがわかりやすい。

「同じようにカラーでのビデオシースルーと薄型ボディを搭載した強力なライバルが発表されるが、価格面では有利」であったとしよう。ならば、「先に価格とデザインとゲームの存在を打ち出し、牽制をしておきたい」と考えるのではないだろうか?

これはあくまで予測であり、実際には外れるかもしれない。だが、そうした外部要因が揃ったのが、今年のWWDCではある。

WWDCは毎回ロゴが変わる。個人的には「このロゴから深読みをしてもたいてい的外れ」である、というのが過去の経験だ。今回「レンズっぽい見た目」であることに寓意性があるのか否か。答えは、日本時間6月6日午前2時からの基調講演で明かされる。

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

トピック

クローズアップCLOSEUP
アクセスランキング RANKING
1 楽天ブラックフライデーでJBLの超人気サウンドバー「BAR 1000/800」が激安!プロも驚く革新的モデルはどんな音を鳴らす?
2 評論家が厳選!マランツ「MODEL M1」でPolk Audio/KEF/TAD/Harbethのスピーカーを鳴らす
3 ビクター新ワイヤレスヘッドホン「HA-S99N」速攻レビュー! 評論家が「もう驚きでしかない」と高評価した魅力とは?
4 ボーズ、McIntosh Groupを買収。マッキントッシュ、ソナス・ファベールが傘下に
5 レグザが100型クラス大画面4Kテレビを拡充する理由とは? 目黒蓮の特別コメントも
6 パナソニック「2023年度 優秀ご販売店様謝恩会」を開催。21店が栄誉に輝く
7 山之内 正氏によるエソテリック×アキュフェーズ×マランツ比較試聴会、「ハイエンドオーディオ&アクセサリーショウ2024」で開催
8 オーディオファイル待望の物量投入型プリメインアンプ!デノン「PMA-3000NE」をクオリティチェック
9 B&Wの音は “信頼に値する重要な指標”。音元出版の新試聴室に「802 D4」が導入されたワケ
10 新開発ユニットを巧みに操る懐深いサウンド。ELAC「Debut 3.0」フロア型/ブックシェルフ型を聴く
11/22 10:41 更新
MAGAZINE
音元出版の雑誌
オーディオアクセサリー193号
季刊・オーディオアクセサリー
最新号
Vol.194
オーディオアクセサリー大全2025~2026
別冊・ケーブル大全
別冊・オーディオアクセサリー大全
最新号
2025~2026
プレミアムヘッドホンガイドマガジン vol.22 2024冬
別冊・プレミアムヘッドホンガイドマガジン
最新号
Vol.22
プレミアムヘッドホンガイド Vol.32 2024 AUTUMN
プレミアムヘッドホンガイド
(フリーマガジン)
最新号
Vol.32(電子版)
VGP受賞製品お買い物ガイド 2024年冬版
VGP受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2024年夏版(電子版)
DGPイメージングアワード2024受賞製品お買い物ガイド(2024年冬版)
DGPイメージングアワード受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2024年冬版(電子版)
音元出版の雑誌 電子版 読み放題サービス
「マガジンプレミアム」お試し無料!

雑誌販売に関するお問合せ

WEB
  • PHILE WEB
  • PHILE WEB AUDIO
  • PHILE WEB BUSINESS
  • ホームシアターCHANNEL
  • デジカメCHANNEL
AWARD
  • VGP
  • DGPイメージングアワード
  • DGPモバイルアワード
  • AEX
  • AA AWARD
  • ANALOG GPX