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公開日 2022/08/10 23:56
サムスン折りたたみスマホ「Galaxy Z」新モデル登場。驚きは減ったが実用性は高まった
【連載】佐野正弘のITインサイト 第18回
ディスプレイを直接折り畳むことができる、いわゆる“折り畳みスマートフォン”の先駆けとなったサムスン電子の「Galaxy Z」シリーズ。最近では競合他社も折り畳みスマートフォンを投入しているが、サムスン電子はその先駆者で、なおかつ自社でディスプレイ素材を開発できるなど技術的優位性を持っていることは確かだ。
そのサムスン電子が8月10日、米国で新製品発表イベントを開催。Galaxy Zシリーズの新機種を発表した。そして今回も2021年に続き、縦開きタイプの「Galaxy Z Flip」シリーズと横開きタイプの「Galaxy Z Fold」シリーズそれぞれに新機種の投入を打ち出している。
Galaxy Z Flipシリーズの新機種「Galaxy Z Flip4」は、前機種「Galaxy Z Flip3 5G」の正当進化モデル。チップセットにクアルコム製のハイエンド向けとして最新のものとなる「Snapdragon 8+ Gen1」を搭載し、ディスプレイのリフレッシュレートを120Hzに、バッテリー容量を3,700mAhにアップするなど性能面も強化されてはいるが、どちらかと言えば重視されているのはデザイン面だろう。
Galaxy Z Flipシリーズはもともと、通常サイズのスマートフォンを折り畳んでコンパクトにできることを特徴としていることから、カラーバリエーションの豊富さに力を入れるなど、性能よりデザインを重視する傾向が強かった。それだけにGalaxy Z Flip4でもデザイン面が積極的にアピールされており、前機種同様米国などで展開している「Bespoke Edition」も用意されるという。
Bespoke Editionとは、本体のカラーや素材などを自分好みにカスタマイズした特注品を注文できるもの。Galaxy Z Flip4では5種類のガラスフレームと3種類のメタルフレームを選択でき、カラーも含め全75種類から選ぶことができるという。
Bespoke Editionが展開されている国は限定されているため、日本での展開は不明だが、サムスン電子がスマートフォンケースとは異なる、新しいカスタマイズのスタイルを追求しようとしている様子は理解できる。
そしてもう1つ、Galaxy Z Foldシリーズの新機種「Galaxy Z Fold4」は、やはり前機種「Galaxy Z Fold3 5G」の正当進化モデルとなる。
Sペンに対応しているのはもちろん、大きな進化ポイントの1つはボディサイズであろう。Galaxy Z Fold4はヒンジを大幅に改良してスリム化を図り、全体的にボリュームを落としたことでグリップ感を高め、なおかつ重量も263gと、Galaxy Z Fold3 5Gと比べ8gの軽量化がなされているのだ。
もちろん一般的なスマートフォンと比べればまだ重くて厚いのだが、IPX8の防水性能に対応し、前面・背面ともにガラス素材にはコーニングの「Gorilla Glass Victus+」を採用するなど、Galazy Z Fold3以上の堅牢性を実現しながらも、軽量化を実現し持ちやすくなったことは大きい。
そしてもう1つ、大幅に進化しているのがカメラだ。Galaxy Z Fold3 5Gでは広角・超広角・望遠(光学2倍ズーム相当)の3つのカメラを搭載していたが、いずれも1200万画素であった。だがGalaxy Z Fold4では広角カメラが5000万画素と画素数が大幅に向上し、望遠カメラは1000万画素となったが光学3倍ズーム相当となり、より遠くの被写体を綺麗に写せるようになっている。
一連の内容を見ると、確かにGalaxy Z Flip4/Fold4は前機種よりブラッシュアップと性能強化がなされ、使い勝手が着実に向上していることは理解できる。ただ裏を返すと、従来と比べ機能・性能面での驚きが少なくなったというのもまた確かだ。
初代「Galaxy Fold」が発表された際はディスプレイを折り畳めること自体が驚きであったし、Galaxy Z Flip3 5G/Fold3 5Gでは防水性能への対応、そしてGalaxy Z Fold3 5GではSペンに対応し以前の「Galaxy Note」シリーズのお株を奪うなど、Galaxy Zシリーズは発表の度に大きな驚きをもたらしてきた。
それだけに、今回のGalaxy Z Flip4/Fold4で大きなサプライズがなくなっているのは残念な所だが、裏を返せばそれだけ折り畳みスマートフォンの実用性が高まり、普遍的な存在になりつつあることの表れともいえるだろう。ただその普遍性を高める上で、気になるのは価格だ。
前機種の発表時の価格は、Galaxy Z Fold3 5Gが1799.99ドル(発表当時の為替レートで約20万円)から、Galaxy Z Flip3 5Gが999.99ドル(発表当時の為替レートで約11万円)からと、従来モデルより価格が引き下げられたことで注目された。だが日本の携帯各社から販売された5G対応モデルの販売価格はそれぞれ約23万円、約15万円とあまり安くはならなかった。
そして今回のGalaxy Z Fold4とGalaxy Z Flip4の価格を確認するとほぼ据え置かれているようで、前者は1799ドルから、後者は999ドルからとなっている。
ただ現在は急速な円安が進んでいるため、現在の為替レートで日本円にすると前者は約24万円、後者は13万円とより高額になってしまう。日本での販売は未定だが、仮にこれらを日本の携帯電話会社から販売する場合、利益が上乗せされ前機種より一層高額になる可能性が高い。
価格が高ければ購入できる人も限られ、折り畳みスマートフォンの浸透が進まなくなってしまうことはサムスン電子にとっても悩ましいところだが、とはいえ中国メーカーなどが低価格の折り畳みスマートフォンを相次いで投入している現状、自ら積極的に価格競争に走りたくはないし、むしろ折り畳みスマートフォンの付加価値を維持して確実に利益を得たいというのがサムスン電子の本音でもあろう。
折り畳みスマートフォンが普及フェーズに入ることが予想される今後、価格を巡る難しい判断がサムスン電子には求められることとなりそうだ。
テック/ガジェット系メディア「Gadget Gate」のオリジナル記事を読む
そのサムスン電子が8月10日、米国で新製品発表イベントを開催。Galaxy Zシリーズの新機種を発表した。そして今回も2021年に続き、縦開きタイプの「Galaxy Z Flip」シリーズと横開きタイプの「Galaxy Z Fold」シリーズそれぞれに新機種の投入を打ち出している。
Galaxy Z Flipシリーズの新機種「Galaxy Z Flip4」は、前機種「Galaxy Z Flip3 5G」の正当進化モデル。チップセットにクアルコム製のハイエンド向けとして最新のものとなる「Snapdragon 8+ Gen1」を搭載し、ディスプレイのリフレッシュレートを120Hzに、バッテリー容量を3,700mAhにアップするなど性能面も強化されてはいるが、どちらかと言えば重視されているのはデザイン面だろう。
Galaxy Z Flipシリーズはもともと、通常サイズのスマートフォンを折り畳んでコンパクトにできることを特徴としていることから、カラーバリエーションの豊富さに力を入れるなど、性能よりデザインを重視する傾向が強かった。それだけにGalaxy Z Flip4でもデザイン面が積極的にアピールされており、前機種同様米国などで展開している「Bespoke Edition」も用意されるという。
Bespoke Editionとは、本体のカラーや素材などを自分好みにカスタマイズした特注品を注文できるもの。Galaxy Z Flip4では5種類のガラスフレームと3種類のメタルフレームを選択でき、カラーも含め全75種類から選ぶことができるという。
Bespoke Editionが展開されている国は限定されているため、日本での展開は不明だが、サムスン電子がスマートフォンケースとは異なる、新しいカスタマイズのスタイルを追求しようとしている様子は理解できる。
そしてもう1つ、Galaxy Z Foldシリーズの新機種「Galaxy Z Fold4」は、やはり前機種「Galaxy Z Fold3 5G」の正当進化モデルとなる。
Sペンに対応しているのはもちろん、大きな進化ポイントの1つはボディサイズであろう。Galaxy Z Fold4はヒンジを大幅に改良してスリム化を図り、全体的にボリュームを落としたことでグリップ感を高め、なおかつ重量も263gと、Galaxy Z Fold3 5Gと比べ8gの軽量化がなされているのだ。
もちろん一般的なスマートフォンと比べればまだ重くて厚いのだが、IPX8の防水性能に対応し、前面・背面ともにガラス素材にはコーニングの「Gorilla Glass Victus+」を採用するなど、Galazy Z Fold3以上の堅牢性を実現しながらも、軽量化を実現し持ちやすくなったことは大きい。
そしてもう1つ、大幅に進化しているのがカメラだ。Galaxy Z Fold3 5Gでは広角・超広角・望遠(光学2倍ズーム相当)の3つのカメラを搭載していたが、いずれも1200万画素であった。だがGalaxy Z Fold4では広角カメラが5000万画素と画素数が大幅に向上し、望遠カメラは1000万画素となったが光学3倍ズーム相当となり、より遠くの被写体を綺麗に写せるようになっている。
一連の内容を見ると、確かにGalaxy Z Flip4/Fold4は前機種よりブラッシュアップと性能強化がなされ、使い勝手が着実に向上していることは理解できる。ただ裏を返すと、従来と比べ機能・性能面での驚きが少なくなったというのもまた確かだ。
初代「Galaxy Fold」が発表された際はディスプレイを折り畳めること自体が驚きであったし、Galaxy Z Flip3 5G/Fold3 5Gでは防水性能への対応、そしてGalaxy Z Fold3 5GではSペンに対応し以前の「Galaxy Note」シリーズのお株を奪うなど、Galaxy Zシリーズは発表の度に大きな驚きをもたらしてきた。
それだけに、今回のGalaxy Z Flip4/Fold4で大きなサプライズがなくなっているのは残念な所だが、裏を返せばそれだけ折り畳みスマートフォンの実用性が高まり、普遍的な存在になりつつあることの表れともいえるだろう。ただその普遍性を高める上で、気になるのは価格だ。
前機種の発表時の価格は、Galaxy Z Fold3 5Gが1799.99ドル(発表当時の為替レートで約20万円)から、Galaxy Z Flip3 5Gが999.99ドル(発表当時の為替レートで約11万円)からと、従来モデルより価格が引き下げられたことで注目された。だが日本の携帯各社から販売された5G対応モデルの販売価格はそれぞれ約23万円、約15万円とあまり安くはならなかった。
そして今回のGalaxy Z Fold4とGalaxy Z Flip4の価格を確認するとほぼ据え置かれているようで、前者は1799ドルから、後者は999ドルからとなっている。
ただ現在は急速な円安が進んでいるため、現在の為替レートで日本円にすると前者は約24万円、後者は13万円とより高額になってしまう。日本での販売は未定だが、仮にこれらを日本の携帯電話会社から販売する場合、利益が上乗せされ前機種より一層高額になる可能性が高い。
価格が高ければ購入できる人も限られ、折り畳みスマートフォンの浸透が進まなくなってしまうことはサムスン電子にとっても悩ましいところだが、とはいえ中国メーカーなどが低価格の折り畳みスマートフォンを相次いで投入している現状、自ら積極的に価格競争に走りたくはないし、むしろ折り畳みスマートフォンの付加価値を維持して確実に利益を得たいというのがサムスン電子の本音でもあろう。
折り畳みスマートフォンが普及フェーズに入ることが予想される今後、価格を巡る難しい判断がサムスン電子には求められることとなりそうだ。
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