公開日 2012/09/27 10:18
高品位サウンドをスタイリッシュに楽しめるヘッドホン − MONSTER「INSPIRATION」を聴く
【特別企画】注目新製品レビュー
完実電気が取り扱うMONSTERブランドから、HiFiヘッドホン「INSPIRATON」が発売される。同社のハイエンドヘッドホンとして、すぐれた音質を追求しながら、ノイズキャンセリング搭載モデルも揃えるなど、機能やライフスタイル性も追求している。本機のインプレッションをライターの高橋敦氏がレポートする。
オリジナリティ溢れるMONSTERのHiFiヘッドホン
ヘッドホン&イヤホンブームの中で大きな存在感を持つブランド、MONSTER。ミュージシャンや他業種ブランドとのコラボレーションを積極的に展開し、オリジナリティ溢れる製品を次々と生み出している。
そのMONSTERから新たに登場する「INSPIRATION」は、ファッション性、機能性、音質をハイレベルに兼ね備えるヘッドホンだ。つまりいかにもMONSTERらしいヘッドホンと言える。
早速それらの要素を順に見ていこう。まずはファッション性を含むデザインの魅力からだ。
カラーバリエーションは、ノイズキャンセリング搭載モデルがチタンとホワイト、ノイズキャンセリング非搭載モデルがブラック。バンドとハウジングの接合部は非常に細かなヘアライン仕上げの金属。ハウジング部はチタンとホワイトがグロス仕上げ、ブラックはマットな仕上げになっており、全体の質感はとても高い。
そしてヘッドバンド上部のバンドはマグネットによる脱着ができ、交換可能な仕様になっている。本体パッケージに同梱されるバンドは、チタンとブラックには革製の艶ありと艶消しのブラックの交換用バンドが、ホワイトにも同じく艶ありと艶消しのホワイトの交換用バンドが付属してくる。このバンドを交換で、外観の雰囲気をがらりと変えられる。
この交換用バンドは様々なカラーやデザインのものが用意されているが、そのうちどれが国内で発売されるかは今後の発表を楽しみにしたいところだ。
ノイズキャンセリング機能やマイク付コントローラーケーブルを採用
続いては本体の機能性や使い勝手の部分をチェックしてみた。
ノイズキャンセリング機能を搭載するモデルには、同社の最新技術「Advance Noisecancelling Technology」が採用されている。水準以上のノイズキャンセリング性能を確保しており、例えば交通量の多い都心のビル街に漂う“ゴゴゴゴゴォ”という唸りも、機能をONにしたとたんにすっと消し去ってくれる。ノイズキャンセリング機能のON/OFFのスイッチは本体ハウジングに搭載されている。
電源は単4乾電池×2本。電池が切れてもコンビニなどですぐに買える。またノイズキャンセリングがOFFの状態でも音が再生されるので、なおさら安心だ。
絡みにくいフラット型のケーブルは着脱式を採用しており、交換用ケーブルもiPhone対応の3ボタン&マイク搭載の「ControlTalk for Apple」、その他スマートフォン対応の1ボタン&マイク搭載「ControlTalk Universal」、そして通常のストレートケーブルの3本だ。ノイズキャンセリング機能搭載モデルは、ケーブルは本体左側ハウジングからの片出しタイプだ。
ノイズキャンセリング非搭載モデルは、左右のハウジングのどちら側にもケーブルを装着できる。使いやすい方にリモコンを持ってこられるわけだ。
イヤーパッドとヘッドパッドの表面は、人工皮革系と思われる見た目も肌触りもよい素材。本体重量は重めだが、装着するとさほど重く感じない。バンドの長さ調整と折り畳み機構も丁寧にしっかりとつくられている。
INSPIRATIONのサウンドを徹底試聴:NC搭載・非搭載モデルの両方を聴いてみる
いよいよ本機のサウンドをチェックしよう。
まずはノイズキャセリング搭載モデルはノイズキャンセリング機能のONとOFFで音質が大きく変わる。ONでは低音がドンと存在感を増し、全体の力強さや躍動感も高まる。ONで使われることが多いであろうから、以下はそちらでの評価だ。
エスペランサ・スポルディングの「Radio Music Society」からの曲は、ベースの音像が大胆で大柄だが、緩くはない。ボールに喩えるならば、ボールのサイズは大きくなるが、それに合わせて詰め込む空気の量もちゃんと増えていて弾力や張りを保っているといった感触だ。バスドラムやタムも同様だ。その感触がややおおらかだが、ダイナミックなグルーブを生み出してくれる。
高音側のシンバルも柔らかなタッチ。柔らかいのだがシュッと抜ける音色だ。ギターも硬くはせず、柔らかな艶を見せる。エッジを強調しない音色ながら解像感も十分だ。
ボーカルは宇多田ヒカルの「HEART STATION」でチェック。低音が充実しているおかげで、声の響きの豊かさを見事に再現する。息を強く入れる瞬間もあれば、すうっと抜く瞬間もあって歌の表現が幅広く活かされる。こちらも非常に好感触だ。
ノイズキャンセリング非搭載モデルの音は、搭載モデルでノイズキャンセリングをOFFにした状態の音に当然近い。しかし、それよりも少し明るくて見通しが良く、また勢いがあるように感じられる。帯域バランスは素直に良好だ。
「Radio Music Society」のベースやドラムスの音像は、ノイズキャンセリング搭載モデル(ON時)よりは明らかにコンパクト。しかしつまらないまとまり方ではなく、ぐっと力の入った凝縮感がある。また他の曲で確認したところ、ベースのゴリっと来る感じの再現性はこちらのモデルの方が上回る。
シンバルはこちらの方が少しだけ、金属のざらつく質感を活かしていて音色が荒い。そのおかげで抜けやキレは少しばかりよく、特にロック系の曲ではこちらの方が好ましくも感じる。
「HEART STATION」のボーカルは、響きの豊かさや肉厚さは控えられるが、代わりに歌の骨格はこちらの方がより明確に届いてくる。
INSPIRATIONの魅力はファッション性、機能性、音質をハイレベルに兼ね備えること。どの要素も妥協したくない、欲張りなヘッドホンファンはぜひ注目してみてほしいモデルだ。
◆高橋 敦 プロフィール
埼玉県浦和市(現さいたま市)出身。東洋大学哲学科中退後、パーソナルコンピュータ系の記事を中心にライターとしての活動を開始。現在はデジタルオーディオ及びビジュアル機器、Apple Macintosh、それらの周辺状況などに関する記事執筆を中心に活動する。また、ロック・ポップスを中心に、年代や国境を問わず様々な音楽を愛聴。その興味は演奏や録音の技術などにまで及び、オーディオ評に独自の視点を与えている。
オリジナリティ溢れるMONSTERのHiFiヘッドホン
ヘッドホン&イヤホンブームの中で大きな存在感を持つブランド、MONSTER。ミュージシャンや他業種ブランドとのコラボレーションを積極的に展開し、オリジナリティ溢れる製品を次々と生み出している。
そのMONSTERから新たに登場する「INSPIRATION」は、ファッション性、機能性、音質をハイレベルに兼ね備えるヘッドホンだ。つまりいかにもMONSTERらしいヘッドホンと言える。
早速それらの要素を順に見ていこう。まずはファッション性を含むデザインの魅力からだ。
カラーバリエーションは、ノイズキャンセリング搭載モデルがチタンとホワイト、ノイズキャンセリング非搭載モデルがブラック。バンドとハウジングの接合部は非常に細かなヘアライン仕上げの金属。ハウジング部はチタンとホワイトがグロス仕上げ、ブラックはマットな仕上げになっており、全体の質感はとても高い。
そしてヘッドバンド上部のバンドはマグネットによる脱着ができ、交換可能な仕様になっている。本体パッケージに同梱されるバンドは、チタンとブラックには革製の艶ありと艶消しのブラックの交換用バンドが、ホワイトにも同じく艶ありと艶消しのホワイトの交換用バンドが付属してくる。このバンドを交換で、外観の雰囲気をがらりと変えられる。
この交換用バンドは様々なカラーやデザインのものが用意されているが、そのうちどれが国内で発売されるかは今後の発表を楽しみにしたいところだ。
ノイズキャンセリング機能やマイク付コントローラーケーブルを採用
続いては本体の機能性や使い勝手の部分をチェックしてみた。
ノイズキャンセリング機能を搭載するモデルには、同社の最新技術「Advance Noisecancelling Technology」が採用されている。水準以上のノイズキャンセリング性能を確保しており、例えば交通量の多い都心のビル街に漂う“ゴゴゴゴゴォ”という唸りも、機能をONにしたとたんにすっと消し去ってくれる。ノイズキャンセリング機能のON/OFFのスイッチは本体ハウジングに搭載されている。
電源は単4乾電池×2本。電池が切れてもコンビニなどですぐに買える。またノイズキャンセリングがOFFの状態でも音が再生されるので、なおさら安心だ。
絡みにくいフラット型のケーブルは着脱式を採用しており、交換用ケーブルもiPhone対応の3ボタン&マイク搭載の「ControlTalk for Apple」、その他スマートフォン対応の1ボタン&マイク搭載「ControlTalk Universal」、そして通常のストレートケーブルの3本だ。ノイズキャンセリング機能搭載モデルは、ケーブルは本体左側ハウジングからの片出しタイプだ。
ノイズキャンセリング非搭載モデルは、左右のハウジングのどちら側にもケーブルを装着できる。使いやすい方にリモコンを持ってこられるわけだ。
イヤーパッドとヘッドパッドの表面は、人工皮革系と思われる見た目も肌触りもよい素材。本体重量は重めだが、装着するとさほど重く感じない。バンドの長さ調整と折り畳み機構も丁寧にしっかりとつくられている。
INSPIRATIONのサウンドを徹底試聴:NC搭載・非搭載モデルの両方を聴いてみる
いよいよ本機のサウンドをチェックしよう。
まずはノイズキャセリング搭載モデルはノイズキャンセリング機能のONとOFFで音質が大きく変わる。ONでは低音がドンと存在感を増し、全体の力強さや躍動感も高まる。ONで使われることが多いであろうから、以下はそちらでの評価だ。
エスペランサ・スポルディングの「Radio Music Society」からの曲は、ベースの音像が大胆で大柄だが、緩くはない。ボールに喩えるならば、ボールのサイズは大きくなるが、それに合わせて詰め込む空気の量もちゃんと増えていて弾力や張りを保っているといった感触だ。バスドラムやタムも同様だ。その感触がややおおらかだが、ダイナミックなグルーブを生み出してくれる。
高音側のシンバルも柔らかなタッチ。柔らかいのだがシュッと抜ける音色だ。ギターも硬くはせず、柔らかな艶を見せる。エッジを強調しない音色ながら解像感も十分だ。
ボーカルは宇多田ヒカルの「HEART STATION」でチェック。低音が充実しているおかげで、声の響きの豊かさを見事に再現する。息を強く入れる瞬間もあれば、すうっと抜く瞬間もあって歌の表現が幅広く活かされる。こちらも非常に好感触だ。
ノイズキャンセリング非搭載モデルの音は、搭載モデルでノイズキャンセリングをOFFにした状態の音に当然近い。しかし、それよりも少し明るくて見通しが良く、また勢いがあるように感じられる。帯域バランスは素直に良好だ。
「Radio Music Society」のベースやドラムスの音像は、ノイズキャンセリング搭載モデル(ON時)よりは明らかにコンパクト。しかしつまらないまとまり方ではなく、ぐっと力の入った凝縮感がある。また他の曲で確認したところ、ベースのゴリっと来る感じの再現性はこちらのモデルの方が上回る。
シンバルはこちらの方が少しだけ、金属のざらつく質感を活かしていて音色が荒い。そのおかげで抜けやキレは少しばかりよく、特にロック系の曲ではこちらの方が好ましくも感じる。
「HEART STATION」のボーカルは、響きの豊かさや肉厚さは控えられるが、代わりに歌の骨格はこちらの方がより明確に届いてくる。
INSPIRATIONの魅力はファッション性、機能性、音質をハイレベルに兼ね備えること。どの要素も妥協したくない、欲張りなヘッドホンファンはぜひ注目してみてほしいモデルだ。
◆高橋 敦 プロフィール
埼玉県浦和市(現さいたま市)出身。東洋大学哲学科中退後、パーソナルコンピュータ系の記事を中心にライターとしての活動を開始。現在はデジタルオーディオ及びビジュアル機器、Apple Macintosh、それらの周辺状況などに関する記事執筆を中心に活動する。また、ロック・ポップスを中心に、年代や国境を問わず様々な音楽を愛聴。その興味は演奏や録音の技術などにまで及び、オーディオ評に独自の視点を与えている。