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公開日 2015/01/29 11:34

オーディオNASがプレーヤーになる? DELA「N1A/Z」のUSB-DAC接続機能を検証

【特別企画】DAC内蔵プレーヤーと組み合わせ試聴
石原 俊
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オーディオグレードNASとして2014年に登場したDELAの「N1A」「N1Z」に“USB-DAC機能”が加わった。NASなのにUSB? と思われる方もいるだろうが、もともとNASはサーバ機能を持つコンピュータ。USB-DACとの接続では、USBオーディオにおけるPC部をN1A/N1Zが担うことになる。もはや“NAS”というくくりでは収まらなくなり、「ミュージックライブラリー」と名乗るようになった両モデルを、対応するUSB-DACやUSB-DAC内蔵SACDプレーヤーなど4機種と組み合わせ、そのパフォーマンスを探ってみた。

■“オーディオプレーヤー”となったN1A/A1Z

バッファローのオーディオブランドであるDELAが、音楽ファイル用ライブラリー(オーディオNAS)の「N1A」と「N1Z」をファームウェアのアップデートによりバージョンアップした。これによって両モデルは従来のネットワークプレーヤーとの接続に加えて、USB-DACとの接続もできるようになった。

N1AとN1Zは、基本的にストレージ機能をもつコンピュータである(OSはLINUX)。スタンダードモデルのN1Aの筐体は通常のオーディオグレードで、1TB×2(ミラーリング済み)のハードディスクを装備している。一方、スペシャルモデルのN1Zの筐体はN1Aよりも一回り小さく(リンのクライマックスのサイズを意識したという)、非常に剛性が高い。ストレージは自社製のソリッドステートディスク(SSD)で容量は512GB×2。電源部はより強化されている。

DELA「N1Z」¥OPEN(市場想定価格75万〜80万円前後)


DELA「N1A」¥OPEN(市場想定価格15万〜20万円前後)

両モデルとも2系統のLAN端子のほか、N1Aは4系統の、N1Zは3系統のUSB端子を装備しているので、おそらく当初からUSB-DACとの接続を意識していたのだろう。ハードウエアを改変することなく、ソフトウェアの書き換えのみでUSB接続が可能になった背景には、極めて高度な同社の技術力と、可能な限りの自社製のパーツ使用や、国内生産へのこだわりがある。

ネットワークプレーヤーと接続したときのN1A/ZはDMS(デジタル・メディア・サーバー)のみとして機能するが、USB-DACと接続する場合はDMR(デジタル・メディア・レンダラー)すなわち、信号の読み出し装置としても機能する。つまりパソコンではプレーヤーソフトが担っている役割をN1A/Zが果たすのである。ただしコントロール機能はないので、タブレット端末かスマートフォンにKinskyやAudionet Music Managerなどのアプリをインストールして操作する(したがってUSB-DACと接続する時でもルーターと接続しなければならない)。対応するUSB-DACは限られるが、現在次第に増殖しており、対応機種はバッファロー社のウェブサイトのこちらのページで確認することができる。

N1Z/AでUSB-DAC接続機能を用いる際の概念図

言葉で説明しようとすると複雑そうな印象を受けるかもしれないが、汎用機であるパソコンの代わりに音楽ファイル再生専用のN1A/Zを使用する、と考えていただければいい。

ある種のプレーヤーソフトのように、ユーザーに極端なスキルを要求することもなければ、仕事にも使うパソコンがデータの入れすぎで重くなることもなく、複数のドライバソフトをインストールすることによってパソコン内で矛盾が発生する心配もない。そして何よりも音楽に特化した動作をしているのがいい。

■これがCDデータ? 驚愕のハイクオリティ

まずはN1AとラックスマンのUSB-DAC「DA-06」をUSB接続して、CDクオリティのデータを聴いた。音が鳴った瞬間、いつもの編集部のMacとはえらい違いであることに驚嘆した。CDクオリティにありがちな音場の粗さがなく、ざっくりとした質感の音像が清潔な空間に広がるのだ。ジャズは切れ味が鋭く、極めて分解能が高いので、これまで気がつかなかったディテールをいくつも発見したほどである。ヴォーカルは従来の再生音からヴェールを何枚もはぎ取ったかのような清明さと妖艶さが味わえる。クラシックはCDクオリティとは思えないほどの繊細さが引き出せた。

PCM 96kHz/24bitは、通常のPC再生のように音が痩せず、広大な音場に肉厚な音像が広がる。PCM192kHz/24bitは通常のPC再生のような頭打ち感がなく、掛け値なしに96kHz/24bitの2倍の情報量が得られる。現状では1タイトルしかないPMC 384kHz/32bitの「トッカータとフーガ」は、パイプオルガンのペダルトーンが文字通り本誌試聴室の床をぐらりと揺らした。一方、DSD系のデータはPC再生にありがちな音場の膨満感がなく、高所恐怖症的な不安を感じずに音楽を安心して楽しむことができる。

■N1A/N1ZのUSB-DAC接続機能の特徴
・最高384KHz/32bitのPCM、5.6MHzのDSD(DoPのみ)再生に対応(※1)。
・DSD to PCM変換やダウンコンバート再生が可能
・UPnP/DLNAコントローラー・アプリを使用しての選曲・再生が可能
※1 再生スペックの上限はUSB-DACの仕様に依存する


N1Zのサウンドは基本的にN1Aと同種同根ではある。しかしながらN1Aよりも音像の骨格がしっかりとしており、音場の清潔さも若干上回っている。この特質はCDクオリティよりもハイレゾ再生で発揮されるようで、こと精細感に関してはこちらに軍配が上がる。ただしリファレンスとしたラックスマンのDA-06と組み合わせる限り、アナログ的な低音の伸びは、音像に緩みのあるN1Aのほうがよろしい。これに関しては組み合わせる機器によって変わるものと思われる。

ともあれN1A/ZのUSB接続ができるようになったことで、USBオーディオの使い勝手とクオリティは飛躍的に向上した。特に昨今のSACDプレーヤーにはUSB入力があるので、ピュアオーディオ派のユーザーの方々も、N1A/Zを手に入れさえすれば、たちどころにハイレゾ再生が享受できるのは実に大きい。

次ページUSB-DACやDAC内蔵プレーヤー4機種と組み合わせてそのサウンドを検証

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