公開日 2016/07/14 10:19
マランツの特別仕様モデル「14S1SE」で確認、“コストを度外視したチューニング”の成果
「SA-14S1SE」と「PM-14S1SE」を試聴
今週末に発売となるマランツの「14S1 Special Edition」(発表会レポート)は、同社の中核SACDプレーヤー/プリメインアンプを、サウンドマネージャーである澤田龍一氏自らが“自分専用”のチューニングを施した特別限定モデルだ。コストを度外視して理想的なチューニングを行ったという本機のサウンドを、山之内正氏が分析する。
■“音質”に関わる部分にだけにコストをかけて特別チューニングを施す
マランツの実質的な準フラグシップとして2013年秋に登場した「14S1シリーズ」は、「13シリーズ」と「15シリーズ」を統合しつつ、旗艦ラインとなる「11S3シリーズ」から多くのノウハウを継承した、同社のミドルクラスを担う重要な製品だ。
そしてこの夏、14シリーズのSACDプレーヤー「SA-14S1」と「PM-14S1」の特別仕様モデル“Special Edition”として、「SA-14S1SE」「PM-14S1SE」(関連ニュース)が、それぞれ限定100台で登場することになった。同社のサウンドマネージャーを長年にわたって務めてきた澤田龍一氏が音質チューニングを担当したこともあり、注目度は大変に高い。
2機種ともに外見でまず目を引くのは、天板が鋼板から5mm厚のアルミ製トップカバーに変更されたこと。これだけで製品の格が上がって見えるが、それもそのはず、これは11S3シリーズと共通の贅沢な装備だ。
さらに、プリメインアンプのPM-14S1SEは電源回路のブロックコンデンサーを従来の15,000μF×2から20,000μF×2に増強し、SACDプレーヤーのSA-14S1SEはメカニズムの振動対策を強化するなど、どちらも音質改善に直結するであろうグレードアップとチューニングを行っている。フットをアルミ削り出しタイプに変更するなど、細部の調整まで数えると今回のリファインは多岐にわたっている。
■サウンドマネージャー澤田氏のブレないアプローチ
ところで、特別仕様というと単に物量を投じる手法と勘違いしやすいのだが、総合的なバランスを確保しながらクオリティを高めることが肝心だと思う。低音の量感向上といった特定の効果を狙うやり方もあるが、それによって音楽のバランスがくずれてしまったら正に本末転倒である。よって、全体の調和を意識しながら音を追い込むことが成否のカギを握る。
その点、澤田氏のアプローチはまったくブレがない。今回の例でも、単に重くしたり響きを抑え込むような対策はあえて選んでいない。天板の変更は制振以上に非磁性体化の効用が大きいはずだし、メカニズムの振動対策も剛性アップに加えて音質チューニングの徹底という側面が強い。もちろん、立体的な空間表現や開放感のある音場を追求する姿勢は今回も変わっていないはずだ。そんなことを期待しながら、早速音を聴いてみることにしよう。
■音の純度や瞬発力をさらに高めた「PM-14S1SE」
まずは、プリメインアンプのPM-14S1SEでコルトレーンの『ブルー・トレイン』を聴いた。SACDプレーヤーには、通常モデルのSA-14S1を用いた。
楽器から音が発する瞬間の緊張が強く、しかも一旦音が出るとその緊張が解かれ伸びやかな音色で空間に浸透する。特に管楽器群はテンションの高さと美しい音色が見事に両立していて、プレイヤーごとの音の特徴がはっきり聴き取れるし、楽器が十分に鳴り切っているのがよくわかる。コルトレーンのサックスはもちろん、リー・モーガンのトランペットやカーティス・フラーのトロンボーンも楽器のイメージが自然な輪郭で定位し、リズム楽器の前方まで力強く迫り出してくる。
試聴時に参考のために用意したオリジナルのPM-14S1と比べると、本機の方が音像のフォーカスが一段階シャープで、同じ音量で聴いても音圧の強さを実感できる。エッジを立てるというよりは付帯音や余分な響きをコントロールすることで、音の純度を上げているという印象を受けた。
■“音質”に関わる部分にだけにコストをかけて特別チューニングを施す
マランツの実質的な準フラグシップとして2013年秋に登場した「14S1シリーズ」は、「13シリーズ」と「15シリーズ」を統合しつつ、旗艦ラインとなる「11S3シリーズ」から多くのノウハウを継承した、同社のミドルクラスを担う重要な製品だ。
そしてこの夏、14シリーズのSACDプレーヤー「SA-14S1」と「PM-14S1」の特別仕様モデル“Special Edition”として、「SA-14S1SE」「PM-14S1SE」(関連ニュース)が、それぞれ限定100台で登場することになった。同社のサウンドマネージャーを長年にわたって務めてきた澤田龍一氏が音質チューニングを担当したこともあり、注目度は大変に高い。
2機種ともに外見でまず目を引くのは、天板が鋼板から5mm厚のアルミ製トップカバーに変更されたこと。これだけで製品の格が上がって見えるが、それもそのはず、これは11S3シリーズと共通の贅沢な装備だ。
さらに、プリメインアンプのPM-14S1SEは電源回路のブロックコンデンサーを従来の15,000μF×2から20,000μF×2に増強し、SACDプレーヤーのSA-14S1SEはメカニズムの振動対策を強化するなど、どちらも音質改善に直結するであろうグレードアップとチューニングを行っている。フットをアルミ削り出しタイプに変更するなど、細部の調整まで数えると今回のリファインは多岐にわたっている。
■サウンドマネージャー澤田氏のブレないアプローチ
ところで、特別仕様というと単に物量を投じる手法と勘違いしやすいのだが、総合的なバランスを確保しながらクオリティを高めることが肝心だと思う。低音の量感向上といった特定の効果を狙うやり方もあるが、それによって音楽のバランスがくずれてしまったら正に本末転倒である。よって、全体の調和を意識しながら音を追い込むことが成否のカギを握る。
その点、澤田氏のアプローチはまったくブレがない。今回の例でも、単に重くしたり響きを抑え込むような対策はあえて選んでいない。天板の変更は制振以上に非磁性体化の効用が大きいはずだし、メカニズムの振動対策も剛性アップに加えて音質チューニングの徹底という側面が強い。もちろん、立体的な空間表現や開放感のある音場を追求する姿勢は今回も変わっていないはずだ。そんなことを期待しながら、早速音を聴いてみることにしよう。
■音の純度や瞬発力をさらに高めた「PM-14S1SE」
まずは、プリメインアンプのPM-14S1SEでコルトレーンの『ブルー・トレイン』を聴いた。SACDプレーヤーには、通常モデルのSA-14S1を用いた。
楽器から音が発する瞬間の緊張が強く、しかも一旦音が出るとその緊張が解かれ伸びやかな音色で空間に浸透する。特に管楽器群はテンションの高さと美しい音色が見事に両立していて、プレイヤーごとの音の特徴がはっきり聴き取れるし、楽器が十分に鳴り切っているのがよくわかる。コルトレーンのサックスはもちろん、リー・モーガンのトランペットやカーティス・フラーのトロンボーンも楽器のイメージが自然な輪郭で定位し、リズム楽器の前方まで力強く迫り出してくる。
試聴時に参考のために用意したオリジナルのPM-14S1と比べると、本機の方が音像のフォーカスが一段階シャープで、同じ音量で聴いても音圧の強さを実感できる。エッジを立てるというよりは付帯音や余分な響きをコントロールすることで、音の純度を上げているという印象を受けた。