公開日 2017/12/15 14:20
マランツ「SR8012」を聴く ー “全チャンネルがHi-Fiクオリティ”の最上位AVアンプ
一体型のハイエンド機をレビュー
■マランツのAVアンプ最上位モデルが約2年ぶりに新登場
AVアンプの製造メーカーの中で、マランツは他社とやや違った存在感を感じさせる。その理由は、他社がたまにしか手掛けないセパレート型が常時、ラインナップのトップに用意されていることだ。
マランツにとってマルチチャンネルサラウンド再生は、ステレオ再生の延長線上にあり、フラグシップにふさわしい妥協のないクオリティを追求すると、セパレートという形式になる。したがって、マランツの一体型高級機は例え音質が優れていても、少々かげの薄い印象があった。そうした印象を払拭する同社一体型トップレンジの新製品が現れた。11ch内蔵型の「SR8012」だ。
いうまでもなく、一体型には大きな利点と魅力がある。操作性、スペースセーヴィング性に優れ、プリパワー間の接続が煩雑にならないことが最大の魅力。ステレオ再生の場合、セパレート構成には、パワーアンプ(ステレオ/モノラル)をスピーカーシステムの直近に置いくことで、スピーカーケーブルを短く使える音質上の非常に大きなメリットが生まれる。しかし、スピーカーシステムが7〜11台になるサラウンド再生でそれは望めない。
AVサラウンド再生あるいはホームシアターというジャンル自体、一体型マルチチャンネルアンプの登場で確立されたといっても誇張でないほどだ。しかし、セパレート型の構成上の余裕が生む音質上の優位は歴然とある。
このアンビバレンツを乗り越えるためにマランツがSR8012で採用した手法は、まことに同社らしいものだ。同社一体型トップエンドのひとつ前の世代、9ch内蔵型の「SR7010」(関連ニュース)を今回、音質比較用に借りたのだが、別々に見たらサイズアップに気付かない。しかし、2台を並べて見比べると、SR8012は奥行きが伸びて一回り大きい。
次に天板を開けると、内部の眺めは一変している。SR8012のシャシー中央に大型のトロイダルトランスがデンと鎮座し、ヒートシンクと直結のアンプブロックが両側に左右対称に配置され、プリ部、デジタル部が奥に移動した。その分、奥行きが伸びたわけだ。
一方のSR7010は、EIトランスでレイアウトにSR8012のような整然とした印象がない。2台を抱えてみると差は歴然で、SR8012は質量17.4kgとズッシリ重く、よいしょ、と足腰に力を入れないと持ち上がらない。仕様表を見ると、SR7010の13.8kgに比べ1.3倍ほど質量が増している。
SR7010のシャーシと主立った電源周辺のパーツを流用し、SR7010のサイズのままアンプ2ch分を押し込めることだって出来たろう。コストアップを抑えることが出来、ユーザーにも歓迎されたに違いない。しかし、マランツはそれを選択しなかった。
パワーアンプ台数が増えれば、電源部の負荷は増える。既存の電源部の流用では、大パワー同時出力時に、歪みや帯域の制限による音質の低下は避けられない。大型のトランスに換装し、ブロックコンデンサーもより大容量タイプに改め機構のレイアウトも一新した。マランツらしい正攻法の音質最優先の結果、余裕ある設計の11ch内蔵型が誕生したわけだ。
AVアンプの製造メーカーの中で、マランツは他社とやや違った存在感を感じさせる。その理由は、他社がたまにしか手掛けないセパレート型が常時、ラインナップのトップに用意されていることだ。
マランツにとってマルチチャンネルサラウンド再生は、ステレオ再生の延長線上にあり、フラグシップにふさわしい妥協のないクオリティを追求すると、セパレートという形式になる。したがって、マランツの一体型高級機は例え音質が優れていても、少々かげの薄い印象があった。そうした印象を払拭する同社一体型トップレンジの新製品が現れた。11ch内蔵型の「SR8012」だ。
いうまでもなく、一体型には大きな利点と魅力がある。操作性、スペースセーヴィング性に優れ、プリパワー間の接続が煩雑にならないことが最大の魅力。ステレオ再生の場合、セパレート構成には、パワーアンプ(ステレオ/モノラル)をスピーカーシステムの直近に置いくことで、スピーカーケーブルを短く使える音質上の非常に大きなメリットが生まれる。しかし、スピーカーシステムが7〜11台になるサラウンド再生でそれは望めない。
AVサラウンド再生あるいはホームシアターというジャンル自体、一体型マルチチャンネルアンプの登場で確立されたといっても誇張でないほどだ。しかし、セパレート型の構成上の余裕が生む音質上の優位は歴然とある。
このアンビバレンツを乗り越えるためにマランツがSR8012で採用した手法は、まことに同社らしいものだ。同社一体型トップエンドのひとつ前の世代、9ch内蔵型の「SR7010」(関連ニュース)を今回、音質比較用に借りたのだが、別々に見たらサイズアップに気付かない。しかし、2台を並べて見比べると、SR8012は奥行きが伸びて一回り大きい。
次に天板を開けると、内部の眺めは一変している。SR8012のシャシー中央に大型のトロイダルトランスがデンと鎮座し、ヒートシンクと直結のアンプブロックが両側に左右対称に配置され、プリ部、デジタル部が奥に移動した。その分、奥行きが伸びたわけだ。
一方のSR7010は、EIトランスでレイアウトにSR8012のような整然とした印象がない。2台を抱えてみると差は歴然で、SR8012は質量17.4kgとズッシリ重く、よいしょ、と足腰に力を入れないと持ち上がらない。仕様表を見ると、SR7010の13.8kgに比べ1.3倍ほど質量が増している。
SR7010のシャーシと主立った電源周辺のパーツを流用し、SR7010のサイズのままアンプ2ch分を押し込めることだって出来たろう。コストアップを抑えることが出来、ユーザーにも歓迎されたに違いない。しかし、マランツはそれを選択しなかった。
パワーアンプ台数が増えれば、電源部の負荷は増える。既存の電源部の流用では、大パワー同時出力時に、歪みや帯域の制限による音質の低下は避けられない。大型のトランスに換装し、ブロックコンデンサーもより大容量タイプに改め機構のレイアウトも一新した。マランツらしい正攻法の音質最優先の結果、余裕ある設計の11ch内蔵型が誕生したわけだ。
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