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公開日 2018/05/09 17:23

5分でわかる、Google “次の一手”。「Google I/O 2018」の注目ポイントを解説

Googleアシスタントもさらに進化
海上忍
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2008年以降、毎年5、6月頃に開催される開発者向け会議「Google I/O」。その年に投入されるGoogleの新技術、Android OS関連の新機能が発表されることから注目度は高く、昨年も人工知能関連の取り組み「Google.ai」や次期OS「Android Oreo」が話題となった。

果たして今回は…? 注目すべき項目をピックアップし、キーワード解説を交えつつ紹介してみよう。

AI技術の基盤を支える「TPU 3.0」登場

登壇したCEOのSundar Pichai氏は、立て続けにAI関連の取り組み・新機能を紹介した。音声認識の「Google アシスタント」などクラウド上での技術開発を押し進めるGoogleのこと、この部分が今回の発表における肝と言ってもいい。

Sundar Pichai CEOの話から基調講演はスタート

その熱量を示す取り組みのひとつが「TPU 3.0」だ。TPU(Tensor Processing Unit)はGoogleがクラウドで活用している機械学習/ディープラーニングに特化したプロセッサーで、名称から伺えるとおりTPU 3.0はその3世代目にあたる。

AIには高い処理能力が求められるため、Googleが開発した機械学習ライブラリ「TensorFlow」、その力を借りて動作するAI関連サービスは、この高性能なTPUに大きく依存している。TPUの性能が向上するということは、より高度なAI機能を実現できることでもあるのだ。

GoogleのAI機能を支えるTPUの最新強化版「TPU 3.0」

このTPU 3.0、AI関連発表の途中でさらりと紹介されたに過ぎず、2017年発表のTPU 2.0に比べると性能が8倍パワーアップしたこと、その熱対策のためにGoogleのデータセンターでは初の液体冷却を実施すること程度しか情報がない。しかし、TPUのパワーアップが貢献しているのか、今回発表されたAI関連の新機能には長足の進歩を読み取れる。

新しいGoogle アシスタントは、自然な流れで会話できる。これまでは話しかける度にウェイクワード(ねぇグーグル)を発する必要があり、いかにもコンピュータとやり取りしている雰囲気が否めなかったが、自然な流れで会話のキャッチボールができるようになる。

複合的な質問を受け付けることも可能になる。実際にデモでは「(NBA選手の)Kevin Durant氏がどのチームに獲得されたか、そしてそのときのカリフォルニア州知事が誰だったか」という難しい質問をこなしていた。

新しいGoogle アシスタントはウェイクワードを連発する必要がなくなり、自然な流れで会話できる

Kevin Durant氏がどのチームに獲得されたか、そのときのカリフォルニア州知事は誰だったかという質問をこなしていた

圧巻は、Googleアシスタントがヘアサロンの予約を入れるデモだ。会話のキャッチボールを聞いていると、人間とコンピュータのやり取りとは思えないほど自然で(ネイティブスピーカーが聞けばイントネーションに違和感を感じるのかもしれないが)、時間調整などの受け答えも完璧だった。おまけに、アポイントメントの完了後はGoogleカレンダーにイベントとして登録するという抜かりのなさ。

ヘアサロンに予約を入れるデモでは、時間調整などの難しい会話を難なくこなしていた

「Google Duplex」と呼ばれていたこの機能、日本語対応を含め一般のユーザーが利用できるようになれば、スマートスピーカーやテレビなどGoogleアシスタント対応家電製品にも大きな影響を与えることだろう。現在、スマートスピーカーの市場での動きは一段落した感があるが、本番はこれからなのかもしれない。

CES 2018でいくつか発表されていたGoogle アシスタントが動作する「スマートディスプレイ」は、2018年7月の発売が告知された。基調講演ではLenovo「Smart Display」のデモが行われていたが、JBLの「LinkView」、LGの名称不明な製品も7月発売だという。YouTubeの再生や料理レシピの表示も可能というから、スマートスピーカーとはまた異なる活用がなされるのだろう。日本での早期発売に期待したい。

2018年7月発売予定のLenovo「Smart Display」

次ページ「Android P」と「Google Lens」

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