公開日 2018/11/07 06:00
“ジンバルを内蔵したような” 手ブレ補正の実力とは?「GoPro HERO7 Black」を使ってみた
新機能「HyperSmooth」「TimeWarpビデオ」
GoProから、新アクションカメラ「HERO7 Black」「HERO7 Silver」「HERO7 White」の3機種が、1ヶ月ほど前の9月下旬に発売された(関連ニュース)。
■GoProに強力な手ブレ補正が搭載
同社のフラグシップとなる「HERO7 Black」は、“ジンバルを内蔵したような” 効果を発揮する手ブレ補正機能『HyperSmooth』と、スムーズなタイムラプス動画を撮影できる『TimeWarpビデオ』を新たに搭載したことが大きな特徴だ。そのほか、スマートフォンを参考にしたUIや、静止画の画質を向上させる『スーパーフォト』機能、ライブ配信機能をはじめ、多くの新機能が追加されている。
記者の趣味の1つに自転車があり、GoProなどのアクションカメラが欲しいとずっと考えていた。また旅行でも、アクションカメラの “広い画角” で動画や静止画を残したい!と思うことが多く、長いあいだ購入を検討していた。
というわけで真剣に探していたのだが、アクションカメラを購入する際、個人的に一番重視していたものが “手ブレ補正” だ。アクションカメラは広角であるため手ブレは目立ちにくいが、やはり手ブレ補正があると無いとでは、雲泥の差。どんなに画質が綺麗でも、ブレた動画ではもったいない。
GoProシリーズは耐久性や画質が高く、ディスプレイを備えている(搭載していないアクションカムも多い)。本体も使いやすい大きさで、さらにサードパーティを含め、多くのアクセサリー用意されるなど、全体的に高い水準でまとまっている。だから候補のトップに入るのだが、昔のモデルは唯一手ブレ補正が非搭載で、そのときは購入を見送った経緯がある。
GoProに電子式手ブレ補正が初めて搭載されたのは、2年前に発売された「GoPro HERO 5 Black」。しかし搭載したとはいえ、HERO5の手ブレ補正はスマホ程度。手ブレ補正が無いより良いが、率直なところ、満足できる仕上がりではなかった。
しかし、その状況が変化したのが昨年。「HERO 6 Black」で一気に強力な手ブレ補正に強化した。そして今回のHERO7 Blackでは “ジンバル級” を実現するというHyperSmoothを搭載し、さらに手ブレ補正がアップグレードされた。
本稿では、新搭載のHyperSmoothとTimeWarpビデオを中心に実際に使用し、感想を述べていきたいと思う。
■ “ジンバル級” を謳う手ブレ補正「HyperSmooth」
HyperSmoothは電子式の手ブレ補正だ。内部でレンズを動かす光学式手ブレ補正とは異なり、ソフトウェア的に補正する。つまりGoPro内部のセンサーで動きを検知し、そのデータを参照して補正する。仕組みとしては前モデルのHERO 6 Blackと同じだが、HERO7ではアルゴリズムの改良と内蔵メモリーの増加によってHyperSmoothを実現させたという。なお後述するTimeWarpビデオの実現も、この内蔵メモリーの増加の影響が大きいとのことだ。
さっそく会社の廊下でテストをしてみた。今回の手ブレ補正は “ジンバル級” とのことだったので、DJIのジンバル「OSMO MOBILE2」にサムスンのAndroidスマートフォン「Galaxy S8」を装着し、GoProとジンバルをそれぞれ両手に持って行った。ちなみにHyperSmoothは設定でオン/オフにすることが可能で、オンにすると10%ほど画角が狭くなる。
下記の動画を見て頂けるとおわかり頂けるかと思うが、GoProはソフトウェアで手ブレ補正を行う電子式手ブレ補正にもかかわらず、むしろジンバルよりもスムーズな映像であることがわかる。距離が近いとソフトウェアでの補正量が大きくなり、映像の安定性が低下するところなどは限界を感じてしまうが、ジンバルはそこそこ大きく、気軽に撮影しづらいことを考えると、GoProの手ブレ補正は非常に魅力的だ。またジンバル+スマホでは、雨の中や激しい振動がある場面で使用できないのに対し、GoProであればフィールドを問わず使用できる。
画角は広い順に「SuperView」、「広角」、「魚眼無効」の3段階から選べる。「魚眼無効」にすると、歪みが抑えられるうえ、画角は一般的なスマホに近くなるので、通常のビデオカメラの代わりにも使えそうだ。解像度は4K(60/30/24fps)、2.7K(120/60/30/24fps)、1080(240/120/60/30/24fps)、720(240/60fps)から選択できるが、HyperSmoothは2.7K以下かつ60fps以下でしか有効にならないことに注意したい。そのため、今回は2.7K/60fpsで撮影している。
■“魔法の絨毯に乗っているような” TimeWarpビデオ
続いて10月16日から19日まで幕張メッセで行われていた、CEATEC JAPAN 2018で使用してみた。写真を撮影してみたが、アクションカメラならではの超広角レンズにより、幕張メッセの会場を収められたた。このような写真を一眼レフなどで撮ろうと思うと、超広角レンズを使用する必要がある。そのような写真を、この小さなカメラで記録できるのは非常に嬉しい。
続いて新機能のTimeWarpビデオを使用し、幕張メッセの会場を歩き回ってみる。TimeWarpビデオは「魔法の絨毯に乗っているようなエフェクト」と説明されており、非常にスムーズなタイムラプス映像を撮影することができる。文章だとイメージが湧きづらいと思うが、動画を見て頂けると1発でおわかりいただけるはずだ。今回の動画では、解像度1440、5分の映像から30秒のビデオを作成できる「10倍」の設定を使用した。そのほかにも、2/5/10/15/30から選択可能。 解像度は2.7Kと1440の2つから選択可能で、画角は広角のみが選べる。
参考までに、通常の「タイムラプス」機能でも撮影してみた。設定は解像度1440で、0.5秒間隔。静止画を一定間隔で撮影したものをつなぎ合わせているため、ブレがあるとカクカクした映像になってしまう。カメラを固定すれば問題ないが、今回のように歩いて撮影する場合は、やはりTimeWarpビデオのほうが相性が良さそうだ。
■撮るだけで印象的な写真に仕上がる「スーパーフォト」機能
静止画の解像度は1,200万画素。今回新たに搭載された、静止画の画質を向上させるという『スーパーフォト』機能は、HDRなどの処理を自動的に行うもので、晴れている空と影になっている建物をワンショットに収める場合など、明暗差がある場合に非常に役立つ。
今回は空とビルのある風景を1枚に収めてみたが、スーパーフォトで撮影した写真は、雲の模様がくっきりと浮かび上がり、立体感のある仕上がり。影になっているビルも暗くなりすぎるわけではなく、影であることを感じられる描写ながらも黒く潰れず、視認性が保たれている。
同じ場面でスーパーフォトをオフにすると、雲の立体感が損なわれて平面のように見え、また太陽に近い部分がより白く飛んでしまった。建物も暗くなり、全体的に眠くなった印象に感じる。どうやらスーパーフォトは、単なるHDRというわけではなく、コントラストやシャープネスなどの調整も自動的に適用しているようだ。後処理をしなくても静止画の画質が綺麗なのは素直に嬉しい。
通常のHDRモードでも撮影してみたが、確かに影となっている部分が明るくなり、空は白飛びが抑えられるのだが、自然な仕上がりとは言えず、改めてスーパーフォトの美しさを実感した。
■専用スマートフォンアプリ「GoPro」
最後に専用アプリ「GoPro」も紹介しておこう。このアプリでは、GoProとアプリをインストールしたスマートフォンを接続することで、カメラの設定変更、リモート撮影、撮影した動画・写真の閲覧/共有、動画の編集などが行える。GoPro本体とスマートフォンはBluetooth+WiFiで接続するのだが、Bluetoothは常時接続される。これによってアプリからすぐに接続できるだけでなく、アプリから電源オフの状態のカメラを、起動することもできるのだ。
またアプリでは、「Quik STORIES」という自動編集機能も使うことが可能。これは昨年追加された機能だが、今作から笑顔・大きな動きなどの特徴的な場面をカメラが認識し、編集に活用するといったことも行っているという。
◇
新たに搭載された手ブレ補正機能『HyperSmooth』は、謳い文句どおり “ジンバル級” を体感できるものであった。一方のTimeWarpビデオは、例えば旅行の道中を記録するのにも役立つだろうし、ほかにもいろいろな使い方がありそうだ。これだけ気軽に撮影できるのだから、ズームを使用しない用途であれば、“ジンバル級”の手ブレ補正により、手軽なビデオカメラとして、日常的な動画撮影にも役立つはずだ。
手ブレ補正については、ほかにもInsta360 ONE Xのように “ジンバル級” を謳うカメラはあるが、GoProのようなコンパクトなボディに、耐久性や高い撮影性能を詰め込んだ製品は無いに等しい。今回、手ブレ性能が大きく向上したことで、GoPro HERO7 Blackはアクションカメラとしての完成形の1つと言える仕上がりになったのではと思う。
スムーズな手ブレ補正、コンパクトで壊れにくいボディ、TimeWarpビデオなどの多くの機能に加えて、アプリとの快適な連携も行えるHERO7 Blackは、アクションカメラに興味がないユーザーにも積極的におすすめしたい。
■GoProに強力な手ブレ補正が搭載
同社のフラグシップとなる「HERO7 Black」は、“ジンバルを内蔵したような” 効果を発揮する手ブレ補正機能『HyperSmooth』と、スムーズなタイムラプス動画を撮影できる『TimeWarpビデオ』を新たに搭載したことが大きな特徴だ。そのほか、スマートフォンを参考にしたUIや、静止画の画質を向上させる『スーパーフォト』機能、ライブ配信機能をはじめ、多くの新機能が追加されている。
記者の趣味の1つに自転車があり、GoProなどのアクションカメラが欲しいとずっと考えていた。また旅行でも、アクションカメラの “広い画角” で動画や静止画を残したい!と思うことが多く、長いあいだ購入を検討していた。
というわけで真剣に探していたのだが、アクションカメラを購入する際、個人的に一番重視していたものが “手ブレ補正” だ。アクションカメラは広角であるため手ブレは目立ちにくいが、やはり手ブレ補正があると無いとでは、雲泥の差。どんなに画質が綺麗でも、ブレた動画ではもったいない。
GoProシリーズは耐久性や画質が高く、ディスプレイを備えている(搭載していないアクションカムも多い)。本体も使いやすい大きさで、さらにサードパーティを含め、多くのアクセサリー用意されるなど、全体的に高い水準でまとまっている。だから候補のトップに入るのだが、昔のモデルは唯一手ブレ補正が非搭載で、そのときは購入を見送った経緯がある。
GoProに電子式手ブレ補正が初めて搭載されたのは、2年前に発売された「GoPro HERO 5 Black」。しかし搭載したとはいえ、HERO5の手ブレ補正はスマホ程度。手ブレ補正が無いより良いが、率直なところ、満足できる仕上がりではなかった。
しかし、その状況が変化したのが昨年。「HERO 6 Black」で一気に強力な手ブレ補正に強化した。そして今回のHERO7 Blackでは “ジンバル級” を実現するというHyperSmoothを搭載し、さらに手ブレ補正がアップグレードされた。
本稿では、新搭載のHyperSmoothとTimeWarpビデオを中心に実際に使用し、感想を述べていきたいと思う。
■ “ジンバル級” を謳う手ブレ補正「HyperSmooth」
HyperSmoothは電子式の手ブレ補正だ。内部でレンズを動かす光学式手ブレ補正とは異なり、ソフトウェア的に補正する。つまりGoPro内部のセンサーで動きを検知し、そのデータを参照して補正する。仕組みとしては前モデルのHERO 6 Blackと同じだが、HERO7ではアルゴリズムの改良と内蔵メモリーの増加によってHyperSmoothを実現させたという。なお後述するTimeWarpビデオの実現も、この内蔵メモリーの増加の影響が大きいとのことだ。
さっそく会社の廊下でテストをしてみた。今回の手ブレ補正は “ジンバル級” とのことだったので、DJIのジンバル「OSMO MOBILE2」にサムスンのAndroidスマートフォン「Galaxy S8」を装着し、GoProとジンバルをそれぞれ両手に持って行った。ちなみにHyperSmoothは設定でオン/オフにすることが可能で、オンにすると10%ほど画角が狭くなる。
下記の動画を見て頂けるとおわかり頂けるかと思うが、GoProはソフトウェアで手ブレ補正を行う電子式手ブレ補正にもかかわらず、むしろジンバルよりもスムーズな映像であることがわかる。距離が近いとソフトウェアでの補正量が大きくなり、映像の安定性が低下するところなどは限界を感じてしまうが、ジンバルはそこそこ大きく、気軽に撮影しづらいことを考えると、GoProの手ブレ補正は非常に魅力的だ。またジンバル+スマホでは、雨の中や激しい振動がある場面で使用できないのに対し、GoProであればフィールドを問わず使用できる。
画角は広い順に「SuperView」、「広角」、「魚眼無効」の3段階から選べる。「魚眼無効」にすると、歪みが抑えられるうえ、画角は一般的なスマホに近くなるので、通常のビデオカメラの代わりにも使えそうだ。解像度は4K(60/30/24fps)、2.7K(120/60/30/24fps)、1080(240/120/60/30/24fps)、720(240/60fps)から選択できるが、HyperSmoothは2.7K以下かつ60fps以下でしか有効にならないことに注意したい。そのため、今回は2.7K/60fpsで撮影している。
■“魔法の絨毯に乗っているような” TimeWarpビデオ
続いて10月16日から19日まで幕張メッセで行われていた、CEATEC JAPAN 2018で使用してみた。写真を撮影してみたが、アクションカメラならではの超広角レンズにより、幕張メッセの会場を収められたた。このような写真を一眼レフなどで撮ろうと思うと、超広角レンズを使用する必要がある。そのような写真を、この小さなカメラで記録できるのは非常に嬉しい。
続いて新機能のTimeWarpビデオを使用し、幕張メッセの会場を歩き回ってみる。TimeWarpビデオは「魔法の絨毯に乗っているようなエフェクト」と説明されており、非常にスムーズなタイムラプス映像を撮影することができる。文章だとイメージが湧きづらいと思うが、動画を見て頂けると1発でおわかりいただけるはずだ。今回の動画では、解像度1440、5分の映像から30秒のビデオを作成できる「10倍」の設定を使用した。そのほかにも、2/5/10/15/30から選択可能。 解像度は2.7Kと1440の2つから選択可能で、画角は広角のみが選べる。
参考までに、通常の「タイムラプス」機能でも撮影してみた。設定は解像度1440で、0.5秒間隔。静止画を一定間隔で撮影したものをつなぎ合わせているため、ブレがあるとカクカクした映像になってしまう。カメラを固定すれば問題ないが、今回のように歩いて撮影する場合は、やはりTimeWarpビデオのほうが相性が良さそうだ。
■撮るだけで印象的な写真に仕上がる「スーパーフォト」機能
静止画の解像度は1,200万画素。今回新たに搭載された、静止画の画質を向上させるという『スーパーフォト』機能は、HDRなどの処理を自動的に行うもので、晴れている空と影になっている建物をワンショットに収める場合など、明暗差がある場合に非常に役立つ。
今回は空とビルのある風景を1枚に収めてみたが、スーパーフォトで撮影した写真は、雲の模様がくっきりと浮かび上がり、立体感のある仕上がり。影になっているビルも暗くなりすぎるわけではなく、影であることを感じられる描写ながらも黒く潰れず、視認性が保たれている。
同じ場面でスーパーフォトをオフにすると、雲の立体感が損なわれて平面のように見え、また太陽に近い部分がより白く飛んでしまった。建物も暗くなり、全体的に眠くなった印象に感じる。どうやらスーパーフォトは、単なるHDRというわけではなく、コントラストやシャープネスなどの調整も自動的に適用しているようだ。後処理をしなくても静止画の画質が綺麗なのは素直に嬉しい。
通常のHDRモードでも撮影してみたが、確かに影となっている部分が明るくなり、空は白飛びが抑えられるのだが、自然な仕上がりとは言えず、改めてスーパーフォトの美しさを実感した。
■専用スマートフォンアプリ「GoPro」
最後に専用アプリ「GoPro」も紹介しておこう。このアプリでは、GoProとアプリをインストールしたスマートフォンを接続することで、カメラの設定変更、リモート撮影、撮影した動画・写真の閲覧/共有、動画の編集などが行える。GoPro本体とスマートフォンはBluetooth+WiFiで接続するのだが、Bluetoothは常時接続される。これによってアプリからすぐに接続できるだけでなく、アプリから電源オフの状態のカメラを、起動することもできるのだ。
またアプリでは、「Quik STORIES」という自動編集機能も使うことが可能。これは昨年追加された機能だが、今作から笑顔・大きな動きなどの特徴的な場面をカメラが認識し、編集に活用するといったことも行っているという。
新たに搭載された手ブレ補正機能『HyperSmooth』は、謳い文句どおり “ジンバル級” を体感できるものであった。一方のTimeWarpビデオは、例えば旅行の道中を記録するのにも役立つだろうし、ほかにもいろいろな使い方がありそうだ。これだけ気軽に撮影できるのだから、ズームを使用しない用途であれば、“ジンバル級”の手ブレ補正により、手軽なビデオカメラとして、日常的な動画撮影にも役立つはずだ。
手ブレ補正については、ほかにもInsta360 ONE Xのように “ジンバル級” を謳うカメラはあるが、GoProのようなコンパクトなボディに、耐久性や高い撮影性能を詰め込んだ製品は無いに等しい。今回、手ブレ性能が大きく向上したことで、GoPro HERO7 Blackはアクションカメラとしての完成形の1つと言える仕上がりになったのではと思う。
スムーズな手ブレ補正、コンパクトで壊れにくいボディ、TimeWarpビデオなどの多くの機能に加えて、アプリとの快適な連携も行えるHERO7 Blackは、アクションカメラに興味がないユーザーにも積極的におすすめしたい。