公開日 2020/05/21 06:40
ラックスマンの新CDプレーヤー「D-03X」レビュー。MQAも対応“最新鋭ベーシック機”
【特別企画】確かな基礎力で、正確な音楽表現
■ベーシックでありながら最新鋭。ラックスマン創立95周年を記念したCDプレーヤー
オーディオ専業メーカーとして世界最古クラスの歴史を持つ日本のオーディオブランド、ラックスマンより、創立95年周年を迎えたアニバーサリーイヤーを飾るCDプレーヤー「D-03X」が登場した。
本機は、CD専用機というベーシックな仕様を基本としながらも、独自の音質チューニングを施したMQAレンダリングによるMQA-CDやMQAファイルの再生、そしてDSD 11.2MHzのファイル再生にも対応するUSB-DAC機能が盛り込まれた意欲作となっている。
ラックスマンは、1925年国内でラジオ放送が開始となった年、絵画や額縁を輸入する商社だった錦水堂に、ラジオ部が創設されたことに端を発する。長年のラジオ機器輸入販売と共に海外のラジオ/オーディオ機器への研究を重ね、戦後には出力トランスを始めとする高性能パーツを開発し、1958年にオリジナルの管球式アンプを発表。以後、管球式アンプのロングセラー製品を多く生み出しオーディオブランドとしての地位を確立し、トランジスターアンプや管球式キットアンプから、アナログプレーヤー、カセットデッキ、CDプレーヤーなど、ユニークな独自技術を搭載した名機の数々を送り出してきた、日本を代表するハイエンドオーディオブランドである。
そんな同社のアニバーサリーイヤーに新製品として送り出されたD-03Xは、CD専用機でありながらも、ハイレゾ相当の音質をCD再生できることで注目を集める新たなディスクメディアMQA-CDに、老舗のハイエンドオーディオブランドとしていち早く対応したことが大きなポイントだ。
■独自の音質チューニングを施したMQAレンダリングを搭載
同社は現在、新たなフラッグシップとなるD-10Xを頂点とするフルサイズのSACDプレーヤー、管球式出力を持つ木製箱タイプのD-380やA4サイズのスタイリッシュなD-N150といったCD専用機など、幅広いプレーヤーをラインアップしているが、その中で本機は、CD専用機としてはフラグシップとなる、フルサイズのプレーヤーである。
プレーヤーの核となるDAC部には、これまで同社が手掛けてきたDA-250やD-05uなどでも採用実績があるTI社製のPCM1795をデュアル構成(モノラルモード)で搭載。これによって、これまでのノウハウを活かした確かな音質と、高いパフォーマンスを実現する。USB接続では、PCM 384kHz/32bit及びDSD 11.2MHzまでのファイル再生に対応するほか、PCの処理負荷を軽減して再生音質を向上できるBulk Pet転送も利用できる。
ディスクメカには、D380やD-N150でも採用実績のある、高信頼ドライブを用いた8mm厚無垢アルミメカベースとボックスシャーシ構造を踏襲し、そこへさらにスチール製トッププレートを追加することで読み取り安定性を強化した。
そして、中でも注目の機能は、MQAへの対応だろう。近年、新たな高音質音源フォーマットとしてタイトル数を増やしているMQA(MQA-CD/MQAファイル)にフルデコードで対応し、MQA-CDはもちろん、USBやS/PDIFからのMQAソースの入力と再生が可能となっている(編集部注:D-03XはMQAデコーダーとしてもMQAレンダラーとしても利用できる)。そしてここからが、ハイエンドオーディオの老舗ブランドならではのこだわりだ。
MQAは、デコーダ部でMQAの判定とデコードが行われたのち、88.2kHzもしくは96kHzに展開される。そしてレンダラー部で、その展開された信号を、デジタルフィルターによってそのシステムの最大サンプリング周波数へ展開するという過程を経る。MQAで用いられるデジタルフィルターのインパルス応答波形は、プリエコーが出ないタイプ(Slow roll off)で、ここにMQAの音質的な特徴が現われるという。
そこでラックスマンは、MQAのデジタルフィルターの他に、DAC内部のデジタルフィルター(Sharp roll off)も併用することで、音質を最適化。MQA社のエンジニアと討論を重ね、DAC内部のデジタルフィルター使用を前提に、MQAのデジタルフィルターを若干変更したのだという。結果として、MQA社の認証を通過しながらも、ラックスマン独自の音質が生み出された、というわけだ。この部分が、通常のMQAデコーダ搭載モデルと大きく異なる点なのである。
さらには、MQAデコーダのサウンドを加味した調整は、アナログ回路の定数設定にまで及んでいるという。試聴を繰り返し、音のアタックと余韻がより音楽的に繋がるよう細かくタイミング調整するために、アナログ回路の電源もディスクリート設計を採用した。これらの恩恵は、この後の試聴部分で確かに実感することができた。
オーディオ専業メーカーとして世界最古クラスの歴史を持つ日本のオーディオブランド、ラックスマンより、創立95年周年を迎えたアニバーサリーイヤーを飾るCDプレーヤー「D-03X」が登場した。
本機は、CD専用機というベーシックな仕様を基本としながらも、独自の音質チューニングを施したMQAレンダリングによるMQA-CDやMQAファイルの再生、そしてDSD 11.2MHzのファイル再生にも対応するUSB-DAC機能が盛り込まれた意欲作となっている。
ラックスマンは、1925年国内でラジオ放送が開始となった年、絵画や額縁を輸入する商社だった錦水堂に、ラジオ部が創設されたことに端を発する。長年のラジオ機器輸入販売と共に海外のラジオ/オーディオ機器への研究を重ね、戦後には出力トランスを始めとする高性能パーツを開発し、1958年にオリジナルの管球式アンプを発表。以後、管球式アンプのロングセラー製品を多く生み出しオーディオブランドとしての地位を確立し、トランジスターアンプや管球式キットアンプから、アナログプレーヤー、カセットデッキ、CDプレーヤーなど、ユニークな独自技術を搭載した名機の数々を送り出してきた、日本を代表するハイエンドオーディオブランドである。
そんな同社のアニバーサリーイヤーに新製品として送り出されたD-03Xは、CD専用機でありながらも、ハイレゾ相当の音質をCD再生できることで注目を集める新たなディスクメディアMQA-CDに、老舗のハイエンドオーディオブランドとしていち早く対応したことが大きなポイントだ。
■独自の音質チューニングを施したMQAレンダリングを搭載
同社は現在、新たなフラッグシップとなるD-10Xを頂点とするフルサイズのSACDプレーヤー、管球式出力を持つ木製箱タイプのD-380やA4サイズのスタイリッシュなD-N150といったCD専用機など、幅広いプレーヤーをラインアップしているが、その中で本機は、CD専用機としてはフラグシップとなる、フルサイズのプレーヤーである。
プレーヤーの核となるDAC部には、これまで同社が手掛けてきたDA-250やD-05uなどでも採用実績があるTI社製のPCM1795をデュアル構成(モノラルモード)で搭載。これによって、これまでのノウハウを活かした確かな音質と、高いパフォーマンスを実現する。USB接続では、PCM 384kHz/32bit及びDSD 11.2MHzまでのファイル再生に対応するほか、PCの処理負荷を軽減して再生音質を向上できるBulk Pet転送も利用できる。
ディスクメカには、D380やD-N150でも採用実績のある、高信頼ドライブを用いた8mm厚無垢アルミメカベースとボックスシャーシ構造を踏襲し、そこへさらにスチール製トッププレートを追加することで読み取り安定性を強化した。
そして、中でも注目の機能は、MQAへの対応だろう。近年、新たな高音質音源フォーマットとしてタイトル数を増やしているMQA(MQA-CD/MQAファイル)にフルデコードで対応し、MQA-CDはもちろん、USBやS/PDIFからのMQAソースの入力と再生が可能となっている(編集部注:D-03XはMQAデコーダーとしてもMQAレンダラーとしても利用できる)。そしてここからが、ハイエンドオーディオの老舗ブランドならではのこだわりだ。
MQAは、デコーダ部でMQAの判定とデコードが行われたのち、88.2kHzもしくは96kHzに展開される。そしてレンダラー部で、その展開された信号を、デジタルフィルターによってそのシステムの最大サンプリング周波数へ展開するという過程を経る。MQAで用いられるデジタルフィルターのインパルス応答波形は、プリエコーが出ないタイプ(Slow roll off)で、ここにMQAの音質的な特徴が現われるという。
そこでラックスマンは、MQAのデジタルフィルターの他に、DAC内部のデジタルフィルター(Sharp roll off)も併用することで、音質を最適化。MQA社のエンジニアと討論を重ね、DAC内部のデジタルフィルター使用を前提に、MQAのデジタルフィルターを若干変更したのだという。結果として、MQA社の認証を通過しながらも、ラックスマン独自の音質が生み出された、というわけだ。この部分が、通常のMQAデコーダ搭載モデルと大きく異なる点なのである。
さらには、MQAデコーダのサウンドを加味した調整は、アナログ回路の定数設定にまで及んでいるという。試聴を繰り返し、音のアタックと余韻がより音楽的に繋がるよう細かくタイミング調整するために、アナログ回路の電源もディスクリート設計を採用した。これらの恩恵は、この後の試聴部分で確かに実感することができた。