公開日 2024/01/23 06:30
高解像度を志向するFOCALヘッドホン「BATHYS」。ワイヤレス/ワイヤードの音質を徹底検証
【特別企画】リアルで上質なサウンドは音源の本質に迫る
フランスの老舗スピーカーメーカー・FOCAL(フォーカル)製ヘッドホンの進化が著しい。スピーカーで培った高度な振動板技術を軸に、フラグシップクラスのヘッドホン「UTOPIA SG」から、Bluetoothヘッドホンまでラインナップを広げている。ここでは、“ハイエンドワイヤレスヘッドホン”として注目の「BATHYS(バティス)」の魅力を掘り下げよう。
完全ワイヤレスイヤホンの市場が広がる中、密閉構造による遮音性の高さに加え、ノイズキャンセル機能によってさらなる静寂感を得られるワイヤレスヘッドホンに対しても。使い分けできるツールとして評価が高まっている。完全ワイヤレスイヤホンの売れ筋は1万円以下、ワイヤレスヘッドホンについても、2万円以下のエントリーゾーンが主戦場であろう。
ワイヤレスヘッドホンにおいては、近年その対極にある10万円以上のハイエンドゾーン、特に各社のワイヤレス・フラグシップモデルに対する眼差しが熱い。自宅で有線ハイエンドモデルを愛用するリスナーであれば、外出時にはそれと同等クラスのワイヤレスモデルで好きな音楽を楽しみたいという欲求も当然起こり得るはずだ。純粋にワイヤレスヘッドホンのハイエンド機に興味を持っているリスナーも居られよう。
そうした高級ワイヤレスヘッドホンに興味を持つ方々に対し、特に音質に優れた逸品として推したいモデルが、FOCALのワイヤレス型フラグシップ「BATHYS」である。
FOCALはフランスに本拠地を置く世界屈指のスピーカーブランドであるが、近年ヘッドホンブランドとしても実力をつけ、 フラグシップヘッドホン「UTOPIA SG」によってその評価を揺るぎないものとしている。
このBATHYSはアクティブノイズキャンセル機能を内蔵した密閉型ワイヤレスヘッドホンで、密閉型のミドルクラス有線モデル「Celestee」のアルミ/マグネシウム・ドーム振動板と同じ技術を用いながら、ワイヤレスモデル向けに再設計を行い、携帯性を高めるべく、軽量化を図っているという。
FOCALならではの自社製M字型アルミ/マグネシウム・ドーム振動板を用いた40mmドライバーも他モデルの流用ではなく、BATHYS向けに軽量化した専用品だ。ドライバー背後にバッテリーやアンプ回路などを収めるためにアコースティック空間が有線モデルよりも少なくなることから、マグネットを新設計し、サウンドの最適化を図っている。
Bluetoothのバージョンは5.1、コーデックはSBC、AAC、aptX、そして48kHz/24bitまでのハイレゾ級伝送が可能なaptX Adaptiveに対応している。また、充電にも用いるUSB type-C端子にはPCやスマートフォンを接続でき、192kHz/24bitまでのUSB-DAC機能も装備。さらに3.5mmミニステレオ端子によるアナログ入力(電源ON時に使用可能)も備え、無線だけでなく様々なシチュエーションで使用できる。
外観としては、ハイエンドシリーズの密閉型と共通のハウジングデザインを取り入れており、アウトドアでも邪魔にならない取り回しの良いコンパクトなサイズ感にまとめた。リアルレザーやマイクロファイバーを用いて肌触りの良さも追求したヘッドバンドは、機構部にアルミ材を用いて軽さと剛性を追求。
ハウジングを支えるヨーク部はアルミよりも軽いマグネシウム合金を取り入れた。適度な低反発素材によりフィット感や素の状態での遮音性を追求したイヤーパッドには表面にレザー素材を採用し、肌触りも良い。
専用アプリ「Focal&Naim」との連携ではGoogle AssistantやAmazon Alexaに対応する他、Celesteeに近いニュートラルな音質のホームモードや低域を強化するラウドネスモードといったプリセットを用意するEQを利用できたり、ハウジングの中心部に置かれたロゴのライティング調整も可能だ。
またアクティブノイズキャンセル機能のモード切り替え(ソフト/サイレント/トランスペアレント【ヒアスルー】の3種類)や効き具合も調整できる。ノイズキャンセルにはフィードフォワード用に2つ、フィードバック用に4つのマイクを用いたハイブリッド方式を採用。エアコンのファンノイズや、自動車、電車/地下鉄といった走行音のロードノイズなど、低域方向の騒音を効果的に抑え込む。加えて専用マイクを設けた通話機能もノイズを抑えたクリアな通話を実現しており、音質の良さだけでなく、普段使いにも活用できる汎用性の高さも魅力となっている。
まずスマートフォンを使いaptX Adaptiveコーデックで接続して試聴を行った。中低域の密度の良さ、音像の明瞭な輪郭表現とディティールの滑らかな描写性、高域にかけての上品で艶やかなサウンドはハイエンドモデルならではの世界観だ。密閉型ではあるが、オープン型を彷彿とさせる自然な音ヌケと広大な音場表現も美点であり、音像の重心の低さ、安定感も持ち合わせている。同価格帯のライバルモデルと比べ、BATHYSの方がより解像度指向で、低域の引き締めも良く、ボーカルを中心とした中域の見通しも良い。
飛騨高山ヴィルトーゾオーケストラ コンサート2013『プロコフィエフ:古典交響曲』の管弦楽器はメリハリ良くしっとりと描き、旋律も各パート適度にほぐれている。ローエンドは弾力良く響かせ、音場の見通しも良い。ハーモニーの豊かさと余韻の爽快感も十分に感じられる。
井口裕香「We are together!!」はシンセベースの豊かさ、粘りの良さを前面に押し出し、潤い良く艶やかなボーカルの口元をスッキリと描写。コーラスも滑らかで小気味良く浮き立つ。ロック音源の『MENIKETTI』ではエレキギターのリフが軽やかで分離良く描かれる。リズム隊は程よい厚みがあり、スネアドラムのアタックも耳当たり良い。ボーカルのボディ感は自然であり、口元のハリも滑らか。シンバルの響き、余韻の清々しさも印象的だ。
クリストファー・クロス「Nature Of The Game」はアコギやピアノの響きが煌びやかで、ボーカルは潤い良く温かみがある。リズム隊は伸び良く軽やかなアタックを聴かせ、刺激を抑えたしなやかな音運びが落ち着きを生む。存在感ある音像の緻密な描写はハイレゾ音源ならではの情報量の多さを実感できた。
続いてAstell&KernのDAP「SP3000」からaptXコーデックで接続した状態でも確認してみたが、送り出しのハードウェアが持つ音質傾向を反映しているようで、スマートフォンよりもS/Nが良く、音像の描写もタイトでキレ味が増す。
幾分余韻がドライな印象はあるものの、ボーカルや楽器の質感はスムーズでハリ良く描かれ、ハイレゾ音源のクリストファー・クロスは音像の艶や潤いもナチュラルに表現。低域の押し出しも抑揚良い。MENIKETTIのギターリフの力強さ、井口裕香のボーカルのスッキリとしたクールな描写も存在感豊かに引き出している。コーデックに対する優位性はスマートフォンの方が良いはずだが、ハードウェアそのもののポテンシャルが高ければ、aptX程度のコーデックでも十分高音質に楽しめるだろう。
最後にMacbook ProとのUSB-DAC接続でのサウンドも確認してみたが、ワイヤレスヘッドホンで192kHz/24bitまでのデジタル有線接続対応モデルは多くないため、ハイレゾ音源をダイレクトかつ高解像度に楽しめることは大きなアドバンテージとなる。
音場の前後感もより明確に感じられ、S/Nの良さがより際立つ印象だ。低域方向の引き締めも一層高まり、192kHz/24bit音源ならではのきめ細やかな描写がさらに引き立つ。ストリングスの分離の良さや倍音の艶感の自然さ、澄み切った音場に浮かぶリヴァーブの清らかな余韻まで鮮明に掴み取れる。ワイヤレス環境とは一味違うリアルで上質なサウンド性はより音源の正確さ、本質に迫るものであり、無線/有線ともに満足できる音質を得られることがBATHYSの強みと言えそうだ。
とはいえBATHYSの本分はワイヤレスで使った時に最大限生かされるものであり、その音質は有線モデルに引けを取らない流麗で充実したものである。加えてアクティブノイズキャンセルの効果によって、小音量時でも確かな静寂性、緻密で高解像度なサウンドを楽しめるのも魅力の一つだ。
バッテリーの寿命など、ワイヤレスヘッドホン特有の心配点があるとはいえ、10万円を超えるスペックがもたらす音質の充実度は無線伝送であることを忘れるほどのクオリティに達している。ゆえにBATHYSはワイヤレスでも音質に妥協したくないというリスナーにとって最適解といえる選択となるはずだ。
(提供:ラックスマン)
外出時も音質に妥協なし!高品位ワイヤレスヘッドホンにも注目高まる
完全ワイヤレスイヤホンの市場が広がる中、密閉構造による遮音性の高さに加え、ノイズキャンセル機能によってさらなる静寂感を得られるワイヤレスヘッドホンに対しても。使い分けできるツールとして評価が高まっている。完全ワイヤレスイヤホンの売れ筋は1万円以下、ワイヤレスヘッドホンについても、2万円以下のエントリーゾーンが主戦場であろう。
ワイヤレスヘッドホンにおいては、近年その対極にある10万円以上のハイエンドゾーン、特に各社のワイヤレス・フラグシップモデルに対する眼差しが熱い。自宅で有線ハイエンドモデルを愛用するリスナーであれば、外出時にはそれと同等クラスのワイヤレスモデルで好きな音楽を楽しみたいという欲求も当然起こり得るはずだ。純粋にワイヤレスヘッドホンのハイエンド機に興味を持っているリスナーも居られよう。
そうした高級ワイヤレスヘッドホンに興味を持つ方々に対し、特に音質に優れた逸品として推したいモデルが、FOCALのワイヤレス型フラグシップ「BATHYS」である。
FOCALはフランスに本拠地を置く世界屈指のスピーカーブランドであるが、近年ヘッドホンブランドとしても実力をつけ、 フラグシップヘッドホン「UTOPIA SG」によってその評価を揺るぎないものとしている。
このBATHYSはアクティブノイズキャンセル機能を内蔵した密閉型ワイヤレスヘッドホンで、密閉型のミドルクラス有線モデル「Celestee」のアルミ/マグネシウム・ドーム振動板と同じ技術を用いながら、ワイヤレスモデル向けに再設計を行い、携帯性を高めるべく、軽量化を図っているという。
FOCALならではの自社製M字型アルミ/マグネシウム・ドーム振動板を用いた40mmドライバーも他モデルの流用ではなく、BATHYS向けに軽量化した専用品だ。ドライバー背後にバッテリーやアンプ回路などを収めるためにアコースティック空間が有線モデルよりも少なくなることから、マグネットを新設計し、サウンドの最適化を図っている。
Bluetoothのバージョンは5.1、コーデックはSBC、AAC、aptX、そして48kHz/24bitまでのハイレゾ級伝送が可能なaptX Adaptiveに対応している。また、充電にも用いるUSB type-C端子にはPCやスマートフォンを接続でき、192kHz/24bitまでのUSB-DAC機能も装備。さらに3.5mmミニステレオ端子によるアナログ入力(電源ON時に使用可能)も備え、無線だけでなく様々なシチュエーションで使用できる。
デザインは有線モデルと共通で、コンパクト化を実現
外観としては、ハイエンドシリーズの密閉型と共通のハウジングデザインを取り入れており、アウトドアでも邪魔にならない取り回しの良いコンパクトなサイズ感にまとめた。リアルレザーやマイクロファイバーを用いて肌触りの良さも追求したヘッドバンドは、機構部にアルミ材を用いて軽さと剛性を追求。
ハウジングを支えるヨーク部はアルミよりも軽いマグネシウム合金を取り入れた。適度な低反発素材によりフィット感や素の状態での遮音性を追求したイヤーパッドには表面にレザー素材を採用し、肌触りも良い。
専用アプリ「Focal&Naim」との連携ではGoogle AssistantやAmazon Alexaに対応する他、Celesteeに近いニュートラルな音質のホームモードや低域を強化するラウドネスモードといったプリセットを用意するEQを利用できたり、ハウジングの中心部に置かれたロゴのライティング調整も可能だ。
またアクティブノイズキャンセル機能のモード切り替え(ソフト/サイレント/トランスペアレント【ヒアスルー】の3種類)や効き具合も調整できる。ノイズキャンセルにはフィードフォワード用に2つ、フィードバック用に4つのマイクを用いたハイブリッド方式を採用。エアコンのファンノイズや、自動車、電車/地下鉄といった走行音のロードノイズなど、低域方向の騒音を効果的に抑え込む。加えて専用マイクを設けた通話機能もノイズを抑えたクリアな通話を実現しており、音質の良さだけでなく、普段使いにも活用できる汎用性の高さも魅力となっている。
自然な音ヌケと広大な音場表現、ハイエンドモデルならではの世界観
まずスマートフォンを使いaptX Adaptiveコーデックで接続して試聴を行った。中低域の密度の良さ、音像の明瞭な輪郭表現とディティールの滑らかな描写性、高域にかけての上品で艶やかなサウンドはハイエンドモデルならではの世界観だ。密閉型ではあるが、オープン型を彷彿とさせる自然な音ヌケと広大な音場表現も美点であり、音像の重心の低さ、安定感も持ち合わせている。同価格帯のライバルモデルと比べ、BATHYSの方がより解像度指向で、低域の引き締めも良く、ボーカルを中心とした中域の見通しも良い。
飛騨高山ヴィルトーゾオーケストラ コンサート2013『プロコフィエフ:古典交響曲』の管弦楽器はメリハリ良くしっとりと描き、旋律も各パート適度にほぐれている。ローエンドは弾力良く響かせ、音場の見通しも良い。ハーモニーの豊かさと余韻の爽快感も十分に感じられる。
井口裕香「We are together!!」はシンセベースの豊かさ、粘りの良さを前面に押し出し、潤い良く艶やかなボーカルの口元をスッキリと描写。コーラスも滑らかで小気味良く浮き立つ。ロック音源の『MENIKETTI』ではエレキギターのリフが軽やかで分離良く描かれる。リズム隊は程よい厚みがあり、スネアドラムのアタックも耳当たり良い。ボーカルのボディ感は自然であり、口元のハリも滑らか。シンバルの響き、余韻の清々しさも印象的だ。
クリストファー・クロス「Nature Of The Game」はアコギやピアノの響きが煌びやかで、ボーカルは潤い良く温かみがある。リズム隊は伸び良く軽やかなアタックを聴かせ、刺激を抑えたしなやかな音運びが落ち着きを生む。存在感ある音像の緻密な描写はハイレゾ音源ならではの情報量の多さを実感できた。
無線/有線ともに満足できる音質を得られる
続いてAstell&KernのDAP「SP3000」からaptXコーデックで接続した状態でも確認してみたが、送り出しのハードウェアが持つ音質傾向を反映しているようで、スマートフォンよりもS/Nが良く、音像の描写もタイトでキレ味が増す。
幾分余韻がドライな印象はあるものの、ボーカルや楽器の質感はスムーズでハリ良く描かれ、ハイレゾ音源のクリストファー・クロスは音像の艶や潤いもナチュラルに表現。低域の押し出しも抑揚良い。MENIKETTIのギターリフの力強さ、井口裕香のボーカルのスッキリとしたクールな描写も存在感豊かに引き出している。コーデックに対する優位性はスマートフォンの方が良いはずだが、ハードウェアそのもののポテンシャルが高ければ、aptX程度のコーデックでも十分高音質に楽しめるだろう。
最後にMacbook ProとのUSB-DAC接続でのサウンドも確認してみたが、ワイヤレスヘッドホンで192kHz/24bitまでのデジタル有線接続対応モデルは多くないため、ハイレゾ音源をダイレクトかつ高解像度に楽しめることは大きなアドバンテージとなる。
音場の前後感もより明確に感じられ、S/Nの良さがより際立つ印象だ。低域方向の引き締めも一層高まり、192kHz/24bit音源ならではのきめ細やかな描写がさらに引き立つ。ストリングスの分離の良さや倍音の艶感の自然さ、澄み切った音場に浮かぶリヴァーブの清らかな余韻まで鮮明に掴み取れる。ワイヤレス環境とは一味違うリアルで上質なサウンド性はより音源の正確さ、本質に迫るものであり、無線/有線ともに満足できる音質を得られることがBATHYSの強みと言えそうだ。
とはいえBATHYSの本分はワイヤレスで使った時に最大限生かされるものであり、その音質は有線モデルに引けを取らない流麗で充実したものである。加えてアクティブノイズキャンセルの効果によって、小音量時でも確かな静寂性、緻密で高解像度なサウンドを楽しめるのも魅力の一つだ。
バッテリーの寿命など、ワイヤレスヘッドホン特有の心配点があるとはいえ、10万円を超えるスペックがもたらす音質の充実度は無線伝送であることを忘れるほどのクオリティに達している。ゆえにBATHYSはワイヤレスでも音質に妥協したくないというリスナーにとって最適解といえる選択となるはずだ。
(提供:ラックスマン)