PR 公開日 2024/06/20 06:40
MAGNETAR「UDP900」VS OPPO「UDP-205」、音質ガチ対決!ディスク再生派の救世主なるか!?
“SACDマルチ”も出力できる稀有なプレーヤー
OPPOのUHD BDプレーヤー開発終了の知らせは、オーディオ/ビジュアルファンにとってあまりにも悲しい事件だった。それから6年、ついにその理念を継ぐブランド、MAGNETAR(マグネター)が中国・深センに誕生した。数々のOEM事業で培った技術力を背景に、“趣味性の高い”プロダクトへの展開をスタートさせたのだ。
いまや展開するメーカーも少なくなってしまったUHD BDプレーヤーを新たに送り出してくれるのは嬉しい限りだが、やはり気になるのはその「音質」である。OPPOの最上位機「UDP-205」を長年愛用してきた山之内 正氏の自宅に「UDP900」を持ち込み、CD/SACDマルチ/4K Blu-rayソフトの音質をガチンコ対決で検証してみた。
自宅のCDラックに並ぶ大量のSACD。その8割前後はステレオとマルチチャンネルの音声を含めたCD/SACDハイブリッド盤だが、多くのディスクを所有していても、プレーヤーがなければ意味がない。CDとSACDのステレオ再生ができるプレーヤーにはいまのところ困らないが、マルチチャンネル再生には対応するプレーヤーやアンプが不可欠で、その選択肢はかなり少ないのが現状だ。
2017年以降は、OPPOのUHD BDプレーヤー「UDP-205」でSACDのマルチチャンネル音声を再生している。HDMI出力をAVアンプにつなぎ、サラウンドシステムで聴いているのだ。だが、OPPOのプレーヤーはすでに生産が終了し、修理などのサポートも打ち切られてしまった。万一壊れたらどうすればいいのか。
そんななか登場したMAGNETARの「UDP900」は果たして救世主となるのだろうか。OPPOの製品を研究し、それを超える性能を目指したとされるUHD BDプレーヤーで、少なくとも機能面では「UDP-205」に遜色ない内容を実現しているようだ。肝心なのはクオリティ、特にSACDの音質が筆者としては気になって仕方がない。
そこでUDP900を自宅試聴室に持ち込み、再生音を確認することにした。HDMIでマランツの「AV-10」につなぎ、アキュフェーズのマルチチャンネルアンプ「PX-650」×2台で計9本のスピーカーを駆動するシステムに組み込んだ。
UDP-205と並べるとボディの背が1cmほど高く、重さは約1.5倍に及ぶ。フロントパネルをはじめシャーシとケースは高い剛性を確保しており、ずっしり重く、力を加えても筐体がねじれにくい。下位モデルの「UDP800」もリニア電源を積む高音質設計だが、UDP900はオーディオ回路とメインボードの電源を独立させ、相互干渉を抑えていることが目を引く。
オーディオ回路のグレードも別格で、DACはステレオ出力用にES9038PRO、マルチチャンネル出力用にES9028PROを載せたツインDAC構成。DAC以降のオーディオ回路は専用基板でレイアウトに十分なゆとりがあり、グレードの高いCD・SACDプレーヤーを思わせる入念な作り込みがなされている。最近はSACD再生時にもHDMI接続を使うことが多いので、今回もHDMI出力を中心に検証したが、機会があればアナログのマルチチャンネル出力の音質もUDP-205と聴き比べてみたい。
レイチェル・ポッジャーとブレコン・バロックによるヴィヴァルディ「調和の霊感」(CHANNEL Classics)をサラウンド再生で聴くと、ヴァイオリンの瑞々しさを強く実感させるフレッシュなサウンドが広がり、身体を包み込む柔らかい余韻がとても心地よい。ハーモニーは低重心で低弦が刻むリズムに躍動感があるが、音が太りすぎることがないので、音場には澄み切った見通しの良さがある。低弦の瞬発力はUDP-205よりも力強く、エネルギーの密度が高い。
低音の力強さはヒメノ指揮ルクセンブルクフィル「春の祭典」(PENTATONE)で確信した。打楽器の強打はアタックが緩まず、金管楽器の咆哮もマッシブで荒々しさが容赦ない。マルチチャンネル再生はスピーカー振動板面積の総和が大きく、低音再生にもゆとりが生まれるのだが、この曲のようにオーケストラが極限まで楽器を鳴らし切る演奏だと、その長所をはっきり聴き取ることができる。
弦楽器の低音はUDP-205よりも一音一音に芯があり、音楽の骨格ががっしりしている。ボディの剛性を高めるだけでなく、入念な振動対策を施している点にも注目したい。フォルティッシモでも音像がぶれにくいのはそのメリットのひとつだ。
ストゥールゴールズ指揮、BBCフィルによる『ショスタコーヴィチ交響曲第15番』(CHANDOS)はステージの立体的な再現性が聴きどころで、3次元に展開する各セクションの距離感など、この録音の長所をもらさず聴き取ることができた。マルチチャンネル再生時に奥行きの深さやホール空間の大きさを引き出すためには、音楽信号に含まれる空間情報を正確に再現する必要があり、微小信号の再現性が問われる。UDP-205もその点はかなり優秀だが、UDP900はさらにその上をいく。
CD再生ではヴォーカルとギターのクリアな発音と音像定位の精度の高さをUDP900の長所として聴き取ることができた。リッキー・リー・ジョーンズがギター伴奏だけで歌う「ヤング・ブラッド」は声の定位にぶれがなく、身体の前後の僅かな動きまで把握できるほどリアリティが高い。ギターのアタックがなまらず、リズムを刻む6つの音が揃って瞬時に立ち上がるのも実に気持ちが良いし、遠くから聴こえる聴衆の声の距離感がもたらす自然な臨場感にも感心させられた。
ここまでの試聴でUDP-205を上回る音質を獲得していることを確認できたが、Blu-rayとUHD BDも再生し、画質と音質を検証した。音声はオーディオ用HDMI出力から取り出している。
まず『ミッション:インポッシブル デッドレコニング PART ONE』、ヴェネチアのドゥカーレ宮殿の場面を再生した。低音のビートの力強さは音楽再生と同様だが、それに加えて建物の中と外の環境音の違いを鮮やかに描き分けることに感心させられた。
セリフは肉厚だが男性と女性どちらの音域もこもることはなく、クリアな発音でとても聴きやすい。UDP-205でガブリエルの声がこもり気味になるのとは対照的で、効果音と音楽も抜けが良く、良い意味でテンションが高い。画質は街並みの暗闇に立体感があり、暗部階調をていねいに描き出している点が秀逸だ。
ウィーン・フィル『ニューイヤーコンサート2024』はワルツの一拍目のアクセントを歯切れ良い音で再現し、打楽器と金管楽器が刻むリズムの特長が正確に聴き取れる。ふわっと広がる余韻がムジーク・フェラインザールの空間の大きさと開放的な天井の高さを伝え、しかも空間に隙間がなく密度の高さでもこのホールの響きの良さを再現してみせた。
ハンス・ジマー『ライヴ・イン・プラハ』はベースの動きがもたつかず、複雑なスコアを見通しよく再現。うねるような重低音の音域でも音色が曖昧になりにくく、パーカッションのアタックも力強い。ベースやチェロの持続音の浸透力の強さは強力な電源部と剛性の高い筐体がもたらす音質改善効果の一つと思われる。
OPPOのUDP-205は2017年に登場したので、今年ですでに7年目だ。筆者が使っているUDP-205はいまのところ動作に不安はないが、一般的なディスクプレーヤーの製品寿命を考えると、そろそろ買い替えの時期を迎える頃だ。サポートが切れているのでなおさら状況は逼迫している。UDP900はSACDやCDだけでなく、映像ソフトでもUDP-205に比べて音質が確実に向上していることを確認し、買い替えの強力な候補に上がるという結論を得た。
(提供:エミライ)
いまや展開するメーカーも少なくなってしまったUHD BDプレーヤーを新たに送り出してくれるのは嬉しい限りだが、やはり気になるのはその「音質」である。OPPOの最上位機「UDP-205」を長年愛用してきた山之内 正氏の自宅に「UDP900」を持ち込み、CD/SACDマルチ/4K Blu-rayソフトの音質をガチンコ対決で検証してみた。
SACDマルチが出力できる貴重なプレーヤー
自宅のCDラックに並ぶ大量のSACD。その8割前後はステレオとマルチチャンネルの音声を含めたCD/SACDハイブリッド盤だが、多くのディスクを所有していても、プレーヤーがなければ意味がない。CDとSACDのステレオ再生ができるプレーヤーにはいまのところ困らないが、マルチチャンネル再生には対応するプレーヤーやアンプが不可欠で、その選択肢はかなり少ないのが現状だ。
2017年以降は、OPPOのUHD BDプレーヤー「UDP-205」でSACDのマルチチャンネル音声を再生している。HDMI出力をAVアンプにつなぎ、サラウンドシステムで聴いているのだ。だが、OPPOのプレーヤーはすでに生産が終了し、修理などのサポートも打ち切られてしまった。万一壊れたらどうすればいいのか。
そんななか登場したMAGNETARの「UDP900」は果たして救世主となるのだろうか。OPPOの製品を研究し、それを超える性能を目指したとされるUHD BDプレーヤーで、少なくとも機能面では「UDP-205」に遜色ない内容を実現しているようだ。肝心なのはクオリティ、特にSACDの音質が筆者としては気になって仕方がない。
そこでUDP900を自宅試聴室に持ち込み、再生音を確認することにした。HDMIでマランツの「AV-10」につなぎ、アキュフェーズのマルチチャンネルアンプ「PX-650」×2台で計9本のスピーカーを駆動するシステムに組み込んだ。
低弦の瞬発力や立体的な再現性に魅力
UDP-205と並べるとボディの背が1cmほど高く、重さは約1.5倍に及ぶ。フロントパネルをはじめシャーシとケースは高い剛性を確保しており、ずっしり重く、力を加えても筐体がねじれにくい。下位モデルの「UDP800」もリニア電源を積む高音質設計だが、UDP900はオーディオ回路とメインボードの電源を独立させ、相互干渉を抑えていることが目を引く。
オーディオ回路のグレードも別格で、DACはステレオ出力用にES9038PRO、マルチチャンネル出力用にES9028PROを載せたツインDAC構成。DAC以降のオーディオ回路は専用基板でレイアウトに十分なゆとりがあり、グレードの高いCD・SACDプレーヤーを思わせる入念な作り込みがなされている。最近はSACD再生時にもHDMI接続を使うことが多いので、今回もHDMI出力を中心に検証したが、機会があればアナログのマルチチャンネル出力の音質もUDP-205と聴き比べてみたい。
レイチェル・ポッジャーとブレコン・バロックによるヴィヴァルディ「調和の霊感」(CHANNEL Classics)をサラウンド再生で聴くと、ヴァイオリンの瑞々しさを強く実感させるフレッシュなサウンドが広がり、身体を包み込む柔らかい余韻がとても心地よい。ハーモニーは低重心で低弦が刻むリズムに躍動感があるが、音が太りすぎることがないので、音場には澄み切った見通しの良さがある。低弦の瞬発力はUDP-205よりも力強く、エネルギーの密度が高い。
低音の力強さはヒメノ指揮ルクセンブルクフィル「春の祭典」(PENTATONE)で確信した。打楽器の強打はアタックが緩まず、金管楽器の咆哮もマッシブで荒々しさが容赦ない。マルチチャンネル再生はスピーカー振動板面積の総和が大きく、低音再生にもゆとりが生まれるのだが、この曲のようにオーケストラが極限まで楽器を鳴らし切る演奏だと、その長所をはっきり聴き取ることができる。
弦楽器の低音はUDP-205よりも一音一音に芯があり、音楽の骨格ががっしりしている。ボディの剛性を高めるだけでなく、入念な振動対策を施している点にも注目したい。フォルティッシモでも音像がぶれにくいのはそのメリットのひとつだ。
ストゥールゴールズ指揮、BBCフィルによる『ショスタコーヴィチ交響曲第15番』(CHANDOS)はステージの立体的な再現性が聴きどころで、3次元に展開する各セクションの距離感など、この録音の長所をもらさず聴き取ることができた。マルチチャンネル再生時に奥行きの深さやホール空間の大きさを引き出すためには、音楽信号に含まれる空間情報を正確に再現する必要があり、微小信号の再現性が問われる。UDP-205もその点はかなり優秀だが、UDP900はさらにその上をいく。
CD再生ではヴォーカルとギターのクリアな発音と音像定位の精度の高さをUDP900の長所として聴き取ることができた。リッキー・リー・ジョーンズがギター伴奏だけで歌う「ヤング・ブラッド」は声の定位にぶれがなく、身体の前後の僅かな動きまで把握できるほどリアリティが高い。ギターのアタックがなまらず、リズムを刻む6つの音が揃って瞬時に立ち上がるのも実に気持ちが良いし、遠くから聴こえる聴衆の声の距離感がもたらす自然な臨場感にも感心させられた。
効果音と音楽も抜けがよくセリフも肉厚
ここまでの試聴でUDP-205を上回る音質を獲得していることを確認できたが、Blu-rayとUHD BDも再生し、画質と音質を検証した。音声はオーディオ用HDMI出力から取り出している。
まず『ミッション:インポッシブル デッドレコニング PART ONE』、ヴェネチアのドゥカーレ宮殿の場面を再生した。低音のビートの力強さは音楽再生と同様だが、それに加えて建物の中と外の環境音の違いを鮮やかに描き分けることに感心させられた。
セリフは肉厚だが男性と女性どちらの音域もこもることはなく、クリアな発音でとても聴きやすい。UDP-205でガブリエルの声がこもり気味になるのとは対照的で、効果音と音楽も抜けが良く、良い意味でテンションが高い。画質は街並みの暗闇に立体感があり、暗部階調をていねいに描き出している点が秀逸だ。
ウィーン・フィル『ニューイヤーコンサート2024』はワルツの一拍目のアクセントを歯切れ良い音で再現し、打楽器と金管楽器が刻むリズムの特長が正確に聴き取れる。ふわっと広がる余韻がムジーク・フェラインザールの空間の大きさと開放的な天井の高さを伝え、しかも空間に隙間がなく密度の高さでもこのホールの響きの良さを再現してみせた。
ハンス・ジマー『ライヴ・イン・プラハ』はベースの動きがもたつかず、複雑なスコアを見通しよく再現。うねるような重低音の音域でも音色が曖昧になりにくく、パーカッションのアタックも力強い。ベースやチェロの持続音の浸透力の強さは強力な電源部と剛性の高い筐体がもたらす音質改善効果の一つと思われる。
OPPOのUDP-205は2017年に登場したので、今年ですでに7年目だ。筆者が使っているUDP-205はいまのところ動作に不安はないが、一般的なディスクプレーヤーの製品寿命を考えると、そろそろ買い替えの時期を迎える頃だ。サポートが切れているのでなおさら状況は逼迫している。UDP900はSACDやCDだけでなく、映像ソフトでもUDP-205に比べて音質が確実に向上していることを確認し、買い替えの強力な候補に上がるという結論を得た。
(提供:エミライ)