公開日 2024/09/18 06:30
名門JBLサウンドをより身近にするSTAGE 250BとSTAGE 280Fをレビュー
最新のHDIホーン搭載&デザインを一新した新シリーズ登場
2018年に登場した「STAGE A」シリーズが装いも新たに、大幅にアップデートされた「STAGE 2」シリーズとして新登場した。名門JBLサウンドを継承しながら、脅威のハイコストパフォーマンスまで実現した本シリーズから、ブックシェルフのSTAGE 250BとフロアスタンディングのSTAGE 280Fの魅力を解説する。
JBLのホームエンターテインメント用スピーカーのエントリークラスから、最新のSTAGE 2シリーズが導入された。
近年の同社スピーカーと同様に、高域用にHDIホーンシステムを搭載。アノダイズ(陽極酸化)処理を施した25mmアルミドーム・トゥイーターをHDIジオメトリ-Xウェーブガイド・ホーンと組み合わせた最新バージョンである。中低域ユニットは、ポリセルロース・リブドコーン・ウーファーを一基または二基搭載する。
高剛性エンクロージャーはリアバスレフ方式で、ポートが出口に向かって広がるフレアポートを持つ。バインディング方式のスピーカーターミナルを装備し、各種の接続方式に対応する。
スピーカーの国内売り上げで、JBLは常に上位を位置している。メーカー数が多く栄枯転変の激しいスピーカーの世界でこれは奇跡的。知名度が高いだけでなく、ユーザーの中にJBLの音についてのイメージがしっかりと根付いていることの表れだ。それではこの最新のSTAGE 2シリーズはどうだろうか。今回はアーカムのアンプA5と、CDプレーヤーに同CD5を用いて、オーディオファン注目のブックシェルフSTAGE 250BとフロアスタンディングSTAGE 280Fを試聴した。
まず試聴したのは、STAGE 250B。130mmミッド/バス搭載のブックシェルフ上位機種で、価格はペア5.5万円。
セシル・マクロリン・サルヴァント『メリュジーヌ』は、ピアノの突き刺さるようなアタック、情念を滲ませた激しい歌声、ラテンアメリカ音楽の楽器の色彩感が鮮烈。実体感や空間性はさすがに上位シリーズには及ばないが、音に付帯要素がなくJBLのスタジオ育ちの血をうかがわせる。コンパクトモニターとして、演奏の具体や細部を聴く用途にも向くだろう。
ジェニファー・ウォーンズ『ハンター』は、音離れが良く聴き手に向かってアグレッシブに踏み込む。音場空間への浸透力の高さはJBLの真骨頂であり、この小さなスピーカーにしてその片鱗がある。
『ボブ・ジェームス・トリオ』は、アコースティックベースの音圧が音程によるムラがないだけでなく、胴鳴りの量感が出ている。
『ブルックナー:交響曲第7番』は、均一な順光で照らされたような明快な表現。「アダージョ」は、エロティックなロマンティシズムに表現するというよりは、楽器パートの対位法的な進行が浮かび上がって、音楽の組み立てが分かりやすいのが特徴だ。
フロアスタンディング上位機種のSTAGE 280Fは、200mmミッド/バス(スタガー駆動)を二基搭載する。価格は、ペアで16.5万円。
『ブルックナー:交響曲第7番』は、音がこもらず余さず前に出してくる。弦楽に雑味がなくスムーズに洗練されており、弦楽の倍音も豊かに乗る。明るく細やかで瑞々しさがある。
そして多くのJBLファンが期待するのは、ダンピングの効いた低音の量感だろう。『ハンター』を聴くとシンセベースや、地響きのように転がっていくドラムロールにこのスピーカーの音作りの重点が分かる。スケール雄大な一方、音場はどこまでもクリアで明澄。ヴォーカルが近く、声に明るい倍音が乗りJBLの魅力を発散。
『ボブ・ジェームス・トリオ』のドラムソロはJBLのリアリズム全開。JBLを選ぶ人は演奏の具体を求めるのだ。音がマイルドにならず、音場も矮小化されず、聴き手に音が飛礫のようにぶつかってくる。三人の奏者が目に見えるようだ。
STAGE 250B、STAGE 280Fのいずれも、音のダイレクト感、音像主体、エネルギー感は真性のJBLであり、ディスパージョンに優れるHDIホーンシステムの完成度で、響きに包み込むような広がりが加わった。
エントリーの価格帯でそれらを実現したのは、長年の蓄積という他ない。“憧れのJBL”を実現させたいオーディオファンはもちろん、コストパフォーマンスに優れたスピーカーを求めるビギナーにも必聴の新製品である。
(提供:ハーマンインターナショナル株式会社)
本記事は『季刊・Audio Accessory vol.194』からの転載です
栄枯転変の激しい世界において常に上位を位置するのは奇跡的
JBLのホームエンターテインメント用スピーカーのエントリークラスから、最新のSTAGE 2シリーズが導入された。
近年の同社スピーカーと同様に、高域用にHDIホーンシステムを搭載。アノダイズ(陽極酸化)処理を施した25mmアルミドーム・トゥイーターをHDIジオメトリ-Xウェーブガイド・ホーンと組み合わせた最新バージョンである。中低域ユニットは、ポリセルロース・リブドコーン・ウーファーを一基または二基搭載する。
高剛性エンクロージャーはリアバスレフ方式で、ポートが出口に向かって広がるフレアポートを持つ。バインディング方式のスピーカーターミナルを装備し、各種の接続方式に対応する。
スピーカーの国内売り上げで、JBLは常に上位を位置している。メーカー数が多く栄枯転変の激しいスピーカーの世界でこれは奇跡的。知名度が高いだけでなく、ユーザーの中にJBLの音についてのイメージがしっかりと根付いていることの表れだ。それではこの最新のSTAGE 2シリーズはどうだろうか。今回はアーカムのアンプA5と、CDプレーヤーに同CD5を用いて、オーディオファン注目のブックシェルフSTAGE 250BとフロアスタンディングSTAGE 280Fを試聴した。
音のダイレクト感や音像主体、エネルギー感は真性のJBL
まず試聴したのは、STAGE 250B。130mmミッド/バス搭載のブックシェルフ上位機種で、価格はペア5.5万円。
セシル・マクロリン・サルヴァント『メリュジーヌ』は、ピアノの突き刺さるようなアタック、情念を滲ませた激しい歌声、ラテンアメリカ音楽の楽器の色彩感が鮮烈。実体感や空間性はさすがに上位シリーズには及ばないが、音に付帯要素がなくJBLのスタジオ育ちの血をうかがわせる。コンパクトモニターとして、演奏の具体や細部を聴く用途にも向くだろう。
ジェニファー・ウォーンズ『ハンター』は、音離れが良く聴き手に向かってアグレッシブに踏み込む。音場空間への浸透力の高さはJBLの真骨頂であり、この小さなスピーカーにしてその片鱗がある。
『ボブ・ジェームス・トリオ』は、アコースティックベースの音圧が音程によるムラがないだけでなく、胴鳴りの量感が出ている。
『ブルックナー:交響曲第7番』は、均一な順光で照らされたような明快な表現。「アダージョ」は、エロティックなロマンティシズムに表現するというよりは、楽器パートの対位法的な進行が浮かび上がって、音楽の組み立てが分かりやすいのが特徴だ。
フロアスタンディング上位機種のSTAGE 280Fは、200mmミッド/バス(スタガー駆動)を二基搭載する。価格は、ペアで16.5万円。
『ブルックナー:交響曲第7番』は、音がこもらず余さず前に出してくる。弦楽に雑味がなくスムーズに洗練されており、弦楽の倍音も豊かに乗る。明るく細やかで瑞々しさがある。
そして多くのJBLファンが期待するのは、ダンピングの効いた低音の量感だろう。『ハンター』を聴くとシンセベースや、地響きのように転がっていくドラムロールにこのスピーカーの音作りの重点が分かる。スケール雄大な一方、音場はどこまでもクリアで明澄。ヴォーカルが近く、声に明るい倍音が乗りJBLの魅力を発散。
『ボブ・ジェームス・トリオ』のドラムソロはJBLのリアリズム全開。JBLを選ぶ人は演奏の具体を求めるのだ。音がマイルドにならず、音場も矮小化されず、聴き手に音が飛礫のようにぶつかってくる。三人の奏者が目に見えるようだ。
STAGE 250B、STAGE 280Fのいずれも、音のダイレクト感、音像主体、エネルギー感は真性のJBLであり、ディスパージョンに優れるHDIホーンシステムの完成度で、響きに包み込むような広がりが加わった。
エントリーの価格帯でそれらを実現したのは、長年の蓄積という他ない。“憧れのJBL”を実現させたいオーディオファンはもちろん、コストパフォーマンスに優れたスピーカーを求めるビギナーにも必聴の新製品である。
(提供:ハーマンインターナショナル株式会社)
本記事は『季刊・Audio Accessory vol.194』からの転載です