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PR 公開日 2024/11/27 06:30

独自技術を結集したPolk Audioの最高峰「R700」に迫る徹底レビュー

ハイコスパのフラグシップを徹底検証
生形三郎
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いま一番勢いのあるスピーカーブランド、Polk Audio。1972年の設立から、良心的な価格でHi-Fiサウンドを届けてきているが、そのラインナップで一際輝くフラッグシップモデル、「R700」は多くの独自仕様を採用している。今回はそのR700のサウンドに惚れ込んだ生形三郎氏が、改めてその魅力を徹底検証する。

Polk Audio「R700」264,000円(税込/ペア)

価格に比してのこだわりがポークオーディオの真骨頂



音が良くて価格はミニマム。そんな理想を形にしたブランドがポークオーディオだろう。学生でも買えるリーズナブルな価格で、なおかつ、ライヴサウンドのようなダイナミックな音楽表現を実現するという旗印のもと、1972年の創業以来、そのポリシーを守り続けている存在なのである。

日本では2021年の再上陸以来、瞬く間に人気を集める存在となった。調べによるとウェブ販売でのスピーカーシェアは約4割にものぼるといい、数多くの競合がひしめくエントリー価格帯での高い信頼を勝ち取っている。

日本に展開されているラインナップは3シリーズ。エントリーのモニターXTシリーズ、中間グレードのシグネチャー・エリートシリーズ、そして、最上位となるリザーブシリーズである。いずれも価格を抑えて高音質を達成していることが何よりもの魅力で、今回紹介するリザーブシリーズのトップモデルとなるR700でも、ペアで約26万円という衝撃プライスだ。

RESERVEシリーズは、R700のほか、ブックシェルフのR200やセンタースピーカーR400などをラインナップする

しかしながら、その価格に比してこだわりの内容となっていることがポークオーディオの真骨頂である。リザーブシリーズの特徴は大きく3つ。タービンコーンやピナクル・リングラジエーター、そしてX-portである。

タービンコーンは、フォーム材を射出成型した振動板技術で、共振を抑制するために独特の形状になっていることがポイント。これは日本未導入の同社最上位レジェンドシリーズの為に開発されたのだという。

射出時の調整によってフォーム材の表面と内部の硬度や密度が異なるように成型され、剛性や内部損失の確保など異素材を多層構造にした振動板のようなメリットを得つつも、射出成形ならではの歩留まりの良さを確保し、低コストを実現しているのだという。

人間の耳が特に敏感な中音域を自然に再現するために開発されたタービンコーン。この振動板は独自のフォームコアと特殊なタービン形状を組み合わせており、インジェクション成形によって作られている

加えて、トゥイーターにも、独自開発のリングラジエーターやウェーブガイドを採用して、優れた高域特性や指向特性も追求されている。まさに、この両ユニットだけをみても、なかなか他のブランドが真似できないような独自仕様をこの価格帯に持ち込んできていることが分かる。

数十年にわたる試作を経て開発された、ピナクルリング・ラジエーター・トゥイーター。高域エネルギーの拡散性を劇的に改善する精密に調整されたウェーブガイドを採用しており、幅広いスイートスポットを確保する

バスレフポートの仕様にも抜かりがない。X-portと呼ばれる、バスレフポート中央に吸音帯が内蔵されたものを採用し、特定帯域の共鳴を抑え、バスレフで起きがちな低音エネルギーの乱れを抑えて、クリアな低音再生を確保している。

驚異的なローエンドの再現力で音もしっかり手前側に張り出す



そして、そんなリザーブシリーズでも別格的存在なのが、「R700」なのである。このモデルのみ、200mm径のアルミ/ポリプロピレンコーンウーファーが搭載され、ダブルウーファーによる3Way構成となっている。これにより、38Hzで-3dBというローエンドが達成されているのだ。

専用設計の200mmアルミニウム/ポリプロピレン・コーン・ウーファーを2基搭載。大音量再生時にも揺るがないキャビネット構造にPower Port 2.0を組み合わせることで、理想的な低音再生を実現している

さらに、R700と下位の「R600」に与えられるのが「Power Port 2.0」である。これはシグネチャーエリートに搭載されている「Power Port」の最新バージョンで、本体底部へ配置された逆すり鉢状の突起によってポートからのエネルギーを全方位に放出するとともに、ポート内には「X-port」の吸音機構が内蔵されており、まさに両者の合せ技的なポートとなっている。

R700とR600に採用されるバスレフポート技術Power Port 2.0を搭載。X-PortをPower Portに組み合わせた特別なテクノロジーで、従来よりも床に近い位置にレイアウトすることで音響特性と美観を向上させている

筆者が初めてこのR700のサウンドを耳にした際、同社がリザーブシリーズで目指したかった高みはここだったのかと思わず合点した。その時はリザーブシリーズの各モデルを横並びで一斉比較試聴したのだが、他モデルとは異なる次元のエネルギッシュさと広大さを体感した。これは間違いなく、先述したダブルウーファー仕様の3way構成、そして、「Power Port 2.0」あってこそのものあろう。

最も驚異的だったのは、ローエンドの再現力。筆者は、20Hzから30Hzにかけてバスドラムの大きなエネルギーを持ち、その上の100Hz以下の低音域にも厚み豊かなエレクトリック・ベースがミックスされたソースであるKeiko Leeの「Fragile」を低域再現確認によく使うのだが、この低域が、実に深い沈み込みと十二分な量感を持ちながらも、明瞭なバスドラムの輪郭や余韻、そして、非常に明瞭なエレクトリック・ベースの音程で再現された。

形状ゆえ剛性確保に手がかかり低音が不明瞭になりがちなトールボーイ型でありつつも、このサウンドをこの価格帯で実現することは大変得難いことである。勿論、このような特徴ある低音ソースだけでなく、例えば通常のロックソースでも、芯があり雑味を抑えた低音再生によって、レスポンスの良いキックドラムや、迫力ありながらも明瞭なエレクトリック・ベースが堪能できる。

さらにその低音によって、各楽器の姿は等身大の大きさで描画され、臨場感に富む。ジャズのピアノトリオでも、ピアノの低弦やウッドベースの音も充実しているほか、緻密で耳触りのよい中・高音域の描写も合わさり、上質な聴き心地が味わえる。

ブラックのカラーもラインナップする

この低域は、ロックやジャズだけでなくオーケストラにも効果絶大である。クラシックの収録は、超低域の音圧もしっかりと収録できる無指向性マイクをメインマイクにステレオ音像を据える手法が一般的で、そこに含まれる低域成分が音楽のスケール感や臨場感に大きく寄与する。

R700ではそれがしっかりと再現できるため、よりリアルな空気感を楽しむことが出来るのだ。また、50kHzまでの超高域再生に対応するピナクル・リングラジエーターによる描写力や細身のバッフル面もあり、ホール空間の大きさや余韻、各楽器が解像力豊かに再現される点も魅力である。

しかしながら、音がすべてスピーカーの後方へと緻密に再現されるだけでなく、しっかりと音が手前側に張り出す存在感もあり、これがまさにポークオーディオらしい活気やダイナミックさに繋がっていると実感する。とりわけヴォーカルソースなどで顕著で、歌声をはじめギターソロなど、音楽の主役となる存在がしっかりとリスナーの目の前に出てきてくれる力強さもあるのだ。

さらに感心したのが、リスニングエリアの広さ。試しに試聴中に耳の高さを変えたり、リスニングポイントの左右を歩いてみたが、驚くほど音質の変化が抑えられていた。これは、先に述べたトゥイーターのウェーブガイドやコーン形状、Power Port 2.0、そして、的確なクロスオーバー設計の賜物だろう。

LDV設計された肉厚なMDF材をキャビネットに用いることで共振を排除している。ゴム足のカバーを取り外せばスパイクとして使用可能。安定して設置することができる

バイワイヤリング接続でセパレーションが向上した



なお、今回の試聴では、アンプにマランツのHDMIセレクター及びHEOS搭載の「STEREO 70s」を用いたが、十全にその魅力を体感することが出来た。

さらに、R700に備えるバイワイヤリング端子を利用してのバイワイヤリング接続も実施。大口径かつダブルウーファーによる逆起電力の影響が抑制されるためか、より一層その性能が発揮され、セパレーションの良い音質を体感することが出来た。アンプの価格が15万円ほどということを考えると、R700と合わせて総額40万円弱で、良質な超低域再生が可能なワイドバンドシステムが手に入ることになる。

RESERVEシリーズで唯一、R700はバイワイヤリング接続やバイアンプ駆動に対応する

組み合わせたマランツのアンプSTEREO 70sは、バイワイヤリンク接続に対応する

以上のように、R700は、良い音をミニマムな価格で楽しめるポークオーディオスピーカーの中でも、最高のパフォーマンスを得ることが出来る別格的モデルだ。同時に最エントリーのモニターXTシリーズや中間モデル、シグネチャー・エリートシリーズからのステップアップにも最適なモデルなのである。

(提供:株式会社ディーアンドエムホールディングス)

本記事は『季刊・Audio Accessory vol.194』からの転載です

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