公開日 2019/08/09 11:43
オリジナル電源コンディショナー「Magic Box」も好評
「音や」(青森)が新店舗オープン。お客様目線を貫きオーディオを楽しみたい気持ちに応え続ける
PHILE WEB ビジネス編集部・竹内純
■高さ6mにおよぶ開放的な空間
青森県三戸郡の「オーディオ&ホームシアター専門店 音や」。昨年3月に火災で店舗兼住宅を焼失したが、4カ月後の昨年8月17日には住居兼仮店舗で営業を再開。そして、今年7月11日、待望の新店舗がいよいよオープンした。木の温もりを感じる新しい店舗は、広さが6m×8m、天井高は高いところで6mもある。立花守社長は「新しい店舗にいらっしゃったお客様からは、『いやー、うらやましい』とか、『俺もこういう空間が欲しい』とかおっしゃっていただきました。本当にうれしい限りです」と喜びもひとしおだ。
入口以外の3面には、オーディオとホームシアターのシステムを構える。何と言っても圧巻は150インチの大スクリーン。「体感に優るものはありません」と語る自慢のドルビーアトモスに対応したホームシアターシステムは、スクリーンから約1メートルの場所に特等席を設ける。
残りの2面に配するのはオーディオのシステム。ひとつは、KEFやJBLなど新製品を中心に組まれたもの。そしてもうひとつは、下取り品で組み上げるシステムだ。「下取り品も基本はきっちり音を鳴らして聴いていただくこと。欲しいものが安く手にできたり、新品購入時に下取りに出せば予算面で手助けになったり、ハイファイオーディオの世界を循環させていく上からは非常に大事な役割を担う存在です」と説明する。
「ゆくゆくは住居と店舗の2棟にと考えていました。今までが仮店舗で手狭でしたから」と旧店舗にはオーディオとホームシアターそれぞれ1システムを残し、残りのほとんどが新店舗へ移動された。旧店舗に残したオーディオシステムも差別化して趣向を凝らす。「先日、お子さんに手がかからなくなったので、もう一度、若い頃に楽しんだオーディオをはじめてみたい、そんな60歳を過ぎたお客様がいらっしゃいました。当時、お客様が親しんでいらしたのはパイオニアやサンスイ、トリオといったメジャーブランド。しかし、その時には見えなかったブランドや買えなかったブランドが数多くあります。旧店舗では、そんなブランドを積極的に取り上げています」。
量販店のように棚に商品をズラリと並べた価格云々の商売ではなく、オーディオもホームシアターも、常に心掛けているのは“提案”だと語る立花氏。「きっちりと音を鳴らし、体感していただくことがまず大切。お客様が何を求めているのかを楽しみながら追究していきます。音が楽しいと書いて音楽ですからね。いい音で聴きたい。いい音で聴いてもらいたい。お客様も、我々販売する側も根底に流れる想いは一緒です」。
■原点に立ち戻り、いい音をお届けしていく
オーディオの世界では今、都市部と地方との情報格差がますます拡がっている。地方を中心にオーディオ難民も少なくないのが実情だ。そのような中、立花氏は今年5月から、福島県二本松市でオーディオの催しを開始した。自ら機材をすべて持ち込みセッティング。毎月2日間、1日2回で計4回、20席足らずの会場はオーディオファンで満席、立ち見が出る回もあるという。
来場者へのアンケートを参考にして毎回テーマを選定。5月と6月は、同社開発のオリジナル製品「Magic Box」を使った機器のポテンシャルを引き出すノウハウ。7月は、アキュフェーズのデジタル・ヴォイシング・イコライザーを用いたスピーカーの位相を合わせることによる音の違い。4回目となる8月は中古品をテーマに、全ての機材を中古品で揃えて開催する。
「オーディオ専門店は誰もが簡単にできる商売ではありませんから、閉店したとしたら、お客様も困ってしまう。昨年の火災でこれからどうしようかと考えた時、今思えば“廃業”という選択肢もあったはずですが、なぜか、それを頭にありませんでした。それはやはり、お客様のことがまず浮かんだからだと思います」。
厳しい環境に置かれるオーディオ業界。立花氏は「オーディオの楽しみ方を売り手が知らなさ過ぎるように思います。音づくりが下手過ぎるのではないでしょうか」と歯痒い思いを訴える。オーディオメーカーのセールス担当者も、昔はどうすれば製品の音をもっとよくできるか熱心に話してくれたという。趣味やライフスタイルなど取り巻く環境が劇的に変化したとはいえ、「売れない売れないではなしに、もう一度、原点に立ち戻ることが必要。お客様とお話しする時にも、引き出しが多ければ多いほどいろいろな提案ができます」と鼓舞する。
■大事なのは“継続”すること
オーディオに対する立花氏の熱い想いが結実した、同社が手掛けるオリジナル電源コンディショナー「Magic Box」が好評だ。電流と電圧の位相を整え、ノイズを吸収・抑制することでS/Nを向上する。価格は65,000円。お客様の中には16台も導入されている方もいるそうで、「これまで体験したことのない“変化”を実感いただいています」とその効果をアピールする。
Magic Boxは現在、北海道から神奈川県厚木まで、東日本の18店舗で取り扱いがある。コンスタントに販売実績を示し、電源ケーブルや電源タップへとお客様の関心が拡がる点も注目を集めている。「電化製品の源は電気です。Magic Boxを使用することで、例えば、プロジェクターならば明るさも違ってくるし、炊飯器ならご飯の美味しさも違ってきます。全国にもっと広くご紹介していきたい」と啓発にもさらに力を入れていく構えだ。
新店舗もいよいよオープン。今後の意気込みをうかがうと「松下幸之助さんもおっしゃられているように、大事なのは継続すること。このご時世、続けていくことそのものがとても大変なことですが、それでもお客様がいらっしゃる。だから続けられるのです」と力を込める。
ご子息の良治氏と二人三脚で切り盛りする「音や」。「息子くらいの年齢のお客様をどれだけ増やすことができるかが、これからの大きなテーマのひとつ。その時、伝える側に同世代の者がいることは何より大きな力になります」と心強い存在だ。
「デジタルがあっと言う間にオーディオの世界にも入り込みました。息子がいなければお手上げだったのではないかと思います」と語る立花氏。新たなスタートラインに立ち、「ご年配から若い方まで、それぞれの目線で、オーディオを楽しみたい気持ちにお応えしていきます」と意気込んだ。
青森県三戸郡の「オーディオ&ホームシアター専門店 音や」。昨年3月に火災で店舗兼住宅を焼失したが、4カ月後の昨年8月17日には住居兼仮店舗で営業を再開。そして、今年7月11日、待望の新店舗がいよいよオープンした。木の温もりを感じる新しい店舗は、広さが6m×8m、天井高は高いところで6mもある。立花守社長は「新しい店舗にいらっしゃったお客様からは、『いやー、うらやましい』とか、『俺もこういう空間が欲しい』とかおっしゃっていただきました。本当にうれしい限りです」と喜びもひとしおだ。
入口以外の3面には、オーディオとホームシアターのシステムを構える。何と言っても圧巻は150インチの大スクリーン。「体感に優るものはありません」と語る自慢のドルビーアトモスに対応したホームシアターシステムは、スクリーンから約1メートルの場所に特等席を設ける。
残りの2面に配するのはオーディオのシステム。ひとつは、KEFやJBLなど新製品を中心に組まれたもの。そしてもうひとつは、下取り品で組み上げるシステムだ。「下取り品も基本はきっちり音を鳴らして聴いていただくこと。欲しいものが安く手にできたり、新品購入時に下取りに出せば予算面で手助けになったり、ハイファイオーディオの世界を循環させていく上からは非常に大事な役割を担う存在です」と説明する。
「ゆくゆくは住居と店舗の2棟にと考えていました。今までが仮店舗で手狭でしたから」と旧店舗にはオーディオとホームシアターそれぞれ1システムを残し、残りのほとんどが新店舗へ移動された。旧店舗に残したオーディオシステムも差別化して趣向を凝らす。「先日、お子さんに手がかからなくなったので、もう一度、若い頃に楽しんだオーディオをはじめてみたい、そんな60歳を過ぎたお客様がいらっしゃいました。当時、お客様が親しんでいらしたのはパイオニアやサンスイ、トリオといったメジャーブランド。しかし、その時には見えなかったブランドや買えなかったブランドが数多くあります。旧店舗では、そんなブランドを積極的に取り上げています」。
量販店のように棚に商品をズラリと並べた価格云々の商売ではなく、オーディオもホームシアターも、常に心掛けているのは“提案”だと語る立花氏。「きっちりと音を鳴らし、体感していただくことがまず大切。お客様が何を求めているのかを楽しみながら追究していきます。音が楽しいと書いて音楽ですからね。いい音で聴きたい。いい音で聴いてもらいたい。お客様も、我々販売する側も根底に流れる想いは一緒です」。
■原点に立ち戻り、いい音をお届けしていく
オーディオの世界では今、都市部と地方との情報格差がますます拡がっている。地方を中心にオーディオ難民も少なくないのが実情だ。そのような中、立花氏は今年5月から、福島県二本松市でオーディオの催しを開始した。自ら機材をすべて持ち込みセッティング。毎月2日間、1日2回で計4回、20席足らずの会場はオーディオファンで満席、立ち見が出る回もあるという。
来場者へのアンケートを参考にして毎回テーマを選定。5月と6月は、同社開発のオリジナル製品「Magic Box」を使った機器のポテンシャルを引き出すノウハウ。7月は、アキュフェーズのデジタル・ヴォイシング・イコライザーを用いたスピーカーの位相を合わせることによる音の違い。4回目となる8月は中古品をテーマに、全ての機材を中古品で揃えて開催する。
「オーディオ専門店は誰もが簡単にできる商売ではありませんから、閉店したとしたら、お客様も困ってしまう。昨年の火災でこれからどうしようかと考えた時、今思えば“廃業”という選択肢もあったはずですが、なぜか、それを頭にありませんでした。それはやはり、お客様のことがまず浮かんだからだと思います」。
厳しい環境に置かれるオーディオ業界。立花氏は「オーディオの楽しみ方を売り手が知らなさ過ぎるように思います。音づくりが下手過ぎるのではないでしょうか」と歯痒い思いを訴える。オーディオメーカーのセールス担当者も、昔はどうすれば製品の音をもっとよくできるか熱心に話してくれたという。趣味やライフスタイルなど取り巻く環境が劇的に変化したとはいえ、「売れない売れないではなしに、もう一度、原点に立ち戻ることが必要。お客様とお話しする時にも、引き出しが多ければ多いほどいろいろな提案ができます」と鼓舞する。
■大事なのは“継続”すること
オーディオに対する立花氏の熱い想いが結実した、同社が手掛けるオリジナル電源コンディショナー「Magic Box」が好評だ。電流と電圧の位相を整え、ノイズを吸収・抑制することでS/Nを向上する。価格は65,000円。お客様の中には16台も導入されている方もいるそうで、「これまで体験したことのない“変化”を実感いただいています」とその効果をアピールする。
Magic Boxは現在、北海道から神奈川県厚木まで、東日本の18店舗で取り扱いがある。コンスタントに販売実績を示し、電源ケーブルや電源タップへとお客様の関心が拡がる点も注目を集めている。「電化製品の源は電気です。Magic Boxを使用することで、例えば、プロジェクターならば明るさも違ってくるし、炊飯器ならご飯の美味しさも違ってきます。全国にもっと広くご紹介していきたい」と啓発にもさらに力を入れていく構えだ。
新店舗もいよいよオープン。今後の意気込みをうかがうと「松下幸之助さんもおっしゃられているように、大事なのは継続すること。このご時世、続けていくことそのものがとても大変なことですが、それでもお客様がいらっしゃる。だから続けられるのです」と力を込める。
ご子息の良治氏と二人三脚で切り盛りする「音や」。「息子くらいの年齢のお客様をどれだけ増やすことができるかが、これからの大きなテーマのひとつ。その時、伝える側に同世代の者がいることは何より大きな力になります」と心強い存在だ。
「デジタルがあっと言う間にオーディオの世界にも入り込みました。息子がいなければお手上げだったのではないかと思います」と語る立花氏。新たなスタートラインに立ち、「ご年配から若い方まで、それぞれの目線で、オーディオを楽しみたい気持ちにお応えしていきます」と意気込んだ。
- トピック
- S21 販売店レポート