公開日 2022/01/17 16:26
1/15にダイナミックオーディオ5555 H.A.L.IIIにて開催
ネットワークオーディオの最先端、国内外6ブランドが集結した試聴イベントレポート
ファイルウェブオーディオ編集部・筑井真奈
去る1月15日(土)、ダイナミックオーディオ5555 4FのH.A.L.IIIにて、ネットワーク&PCオーディオに特化したイベントが開催された。今回は1時間ごとの全6部制となっており、国内外のファイル再生にこだわるブランドの製品が登場し、様々な聴き比べができるイベントとなっていた。この模様をレポートしよう。
全イベントに通しで参加した記者が何よりも感じたことは、「デジタル部」の作り込みによってこれほど多種多様なサウンドが生まれてくるのか、という衝撃である。システムのプリ&パワーアンプにはGOLDMUNDの「TELOS 1000 Nextgen」&「MIMESIS 22H Nextgen」を、スピーカーにはYGアコースティックの「Sonja 2.2i」を共通して使用している。それだけに、データの送り出し〜DA変換部の各社のこだわりを聴き比べることができた。
H.A.L.IIIで開催されるネットワーク&PCオーディオに特化したイベントは今回が15回目になるという。店長代理の島 健悟氏は、10年以上昔、ファイル再生の黎明期からその魅力を伝え、日本のハイエンド市場を牽引してきたキーパーソンでもある。今回のイベントも、ファイル再生の最先端を知る島氏ならではの視点から選び抜かれたブランドたちが勢揃いしてる。
■第1部 LINN 〜スコットランドが生んだネットワーク再生のパイオニア
第1部はスコットランドのLINNから、ディスクリートDAC「ORGANIK」を搭載したフラグシップネットワークプレーヤー「KLIMAX DSM/3」が登場。イベントの最初に再生したのはQobuzから、ジョエル・グラールの「パリ・イスタンブール・上海」。タイトルの通り、各国特有の情緒あふれるサウンドが展開され、あたかも音楽で世界一周をしているかのような不思議な気持ちに。
今回は特別に、KLIMAX DSM/3の天板を外し内部を公開。電源部や独自のFPGAなど、精密な機構が組み込まれた内部構造を、参加者も興味津々で覗き込む。基板は2層構造になっており、ステレオ再生だけでなく、あとからマルチチャンネル用の「サラウンド・プロセッシング・モジュール」を組み込むこともできるという。
さらに1世代前の「KLIMAX DSM/2」(KATALYST搭載モデル)と最新モデル(ORGANIK搭載モデル)との聴き比べも実施。特に打楽器でその違いは顕著に見られ、新型ではさらに立ち上がりが良く切れ味鋭いサウンドを堪能することができた。
他にも、LINN独自のルーム補正機能「Space optimization」の有無も比較。この違いも圧倒的で、定在波を効果的に取り去ることによって、高域の表現もさらに精緻になり、歌い手の感情、音楽そのものの心地よさがさらに高まることが感じられる。
■第2部 ESOTERIC 〜最新N-05XDの魅力を深掘り
続けて第2部はエソテリックの時間。最新モデルの「N-05XD」を中心に、フラグシップネットワークプレーヤー「N-01」との比較試聴などを展開。
営業担当の佐伯氏によると、「N-05XD」は、ヘッドホンリスナーやアクティブスピーカーとの組み合わせなど、これまでのエソテリックユーザーとは少し違うオーディオファンからも大きな引き合いがきているという。N-05XDの仕様については社内でも喧々諤々の議論があったというが、蓋を開けてみれば非常に好調な売り上げを見せているそうだ。
島氏はエソテリックの魅力について、「DSDやMQA、roonなど、話題のフォーマットや再生方式にすべて対応するなど、お客さんのニーズに合わせて新しい取り組みをどんどん行なっている」ことを挙げる。特にNシリーズについては、国内のみならず海外からの引き合いも非常に多いのだという。
さらには、「N-05XD」のOpenHomeでの再生と、Roon(=RAATを利用)での聴き比べというマニアックな聴き比べも実施。記者個人の感覚としてはOpenHomeでの再生の方が楽器の分離感がよく、いかにもなハイファイ調、roonはより音楽を全体として聴かせてくれるといった印象を受けた。これは楽曲によっても違いがありそうで、ユーザーが色々と聴き比べを楽しめる要素にもなりそうだ。
■第3部 aurender 〜峻烈な立ち上がりと安定した操作性が魅力
第3部はエミライ取り扱いのaurenderが登場。aurenderは個人的にもネットワークオーディオの台風の目になるのではないか、と注目しているブランドのひとつでもある。ここでは、フラグシップネットワークトランスポート「W20 Special Edition」が登場した。
aurenderは2010年創業、最初期から「ネットワークトランスポート」にこだわった製品を展開しているブランドである。その背景には、当時非常に評価の高かったハイエンドDAC(dCSやWADIA等)が数多くあり、そういったDACを生かしながらネットワーク再生の利便性を享受する方法はないか、という思いがあったという。そのため、音質はいうまでもないが、安定性・操作性にも非常に重きを置いて開発を進めてきた。
aurender製品の特徴のひとつは、サーバーとトランスポートが一体となっていることにある(日本ではミュージックサーバーというジャンルとして呼ばれることも多い)。内部にSSDを搭載しており、OpenHome/UPnPのように外部サーバーに音源を読み出しにいく必要がないため、安定性の高いシステムを構築できるというメリットがある。今回のイベントでは、コードの「DAVE」と組み合わせて試聴を行なった。
ヴァイオリンでは、レイチェル・ポッジャーの「無伴奏ヴァイオリン・ソナタ&パルティータ」から「プレリュード」を再生。CDクオリティながらその立ち上がりは峻烈で、最初の出音一瞬でポッジャーの世界に引き込まれてしまう。さらにケルテスの「ドヴォルザーク:交響曲第9番 新世界より」では、目が覚めるような弦のスピード感ある表現が印象的で、コントラバスの解像度の高さや安定感にも目を見張る。
最後に、今後の新製品として、FERRUM AUDIOのDC電源「HYPSOS」をお目見え。こちらは出力電圧を可変できる珍しいタイプの電源で、今回はRoon専用サーバー「Nucleus」の電源として使用していたという。イベントでの比較試聴はできなかったが、安定した電源を供給できることで、「SN比の改善やサウンドステージの見通しが良くなる」(エミライ村上氏)といった音質変化が実現できる、と語っていた。
全イベントに通しで参加した記者が何よりも感じたことは、「デジタル部」の作り込みによってこれほど多種多様なサウンドが生まれてくるのか、という衝撃である。システムのプリ&パワーアンプにはGOLDMUNDの「TELOS 1000 Nextgen」&「MIMESIS 22H Nextgen」を、スピーカーにはYGアコースティックの「Sonja 2.2i」を共通して使用している。それだけに、データの送り出し〜DA変換部の各社のこだわりを聴き比べることができた。
H.A.L.IIIで開催されるネットワーク&PCオーディオに特化したイベントは今回が15回目になるという。店長代理の島 健悟氏は、10年以上昔、ファイル再生の黎明期からその魅力を伝え、日本のハイエンド市場を牽引してきたキーパーソンでもある。今回のイベントも、ファイル再生の最先端を知る島氏ならではの視点から選び抜かれたブランドたちが勢揃いしてる。
■第1部 LINN 〜スコットランドが生んだネットワーク再生のパイオニア
第1部はスコットランドのLINNから、ディスクリートDAC「ORGANIK」を搭載したフラグシップネットワークプレーヤー「KLIMAX DSM/3」が登場。イベントの最初に再生したのはQobuzから、ジョエル・グラールの「パリ・イスタンブール・上海」。タイトルの通り、各国特有の情緒あふれるサウンドが展開され、あたかも音楽で世界一周をしているかのような不思議な気持ちに。
今回は特別に、KLIMAX DSM/3の天板を外し内部を公開。電源部や独自のFPGAなど、精密な機構が組み込まれた内部構造を、参加者も興味津々で覗き込む。基板は2層構造になっており、ステレオ再生だけでなく、あとからマルチチャンネル用の「サラウンド・プロセッシング・モジュール」を組み込むこともできるという。
さらに1世代前の「KLIMAX DSM/2」(KATALYST搭載モデル)と最新モデル(ORGANIK搭載モデル)との聴き比べも実施。特に打楽器でその違いは顕著に見られ、新型ではさらに立ち上がりが良く切れ味鋭いサウンドを堪能することができた。
他にも、LINN独自のルーム補正機能「Space optimization」の有無も比較。この違いも圧倒的で、定在波を効果的に取り去ることによって、高域の表現もさらに精緻になり、歌い手の感情、音楽そのものの心地よさがさらに高まることが感じられる。
■第2部 ESOTERIC 〜最新N-05XDの魅力を深掘り
続けて第2部はエソテリックの時間。最新モデルの「N-05XD」を中心に、フラグシップネットワークプレーヤー「N-01」との比較試聴などを展開。
営業担当の佐伯氏によると、「N-05XD」は、ヘッドホンリスナーやアクティブスピーカーとの組み合わせなど、これまでのエソテリックユーザーとは少し違うオーディオファンからも大きな引き合いがきているという。N-05XDの仕様については社内でも喧々諤々の議論があったというが、蓋を開けてみれば非常に好調な売り上げを見せているそうだ。
島氏はエソテリックの魅力について、「DSDやMQA、roonなど、話題のフォーマットや再生方式にすべて対応するなど、お客さんのニーズに合わせて新しい取り組みをどんどん行なっている」ことを挙げる。特にNシリーズについては、国内のみならず海外からの引き合いも非常に多いのだという。
さらには、「N-05XD」のOpenHomeでの再生と、Roon(=RAATを利用)での聴き比べというマニアックな聴き比べも実施。記者個人の感覚としてはOpenHomeでの再生の方が楽器の分離感がよく、いかにもなハイファイ調、roonはより音楽を全体として聴かせてくれるといった印象を受けた。これは楽曲によっても違いがありそうで、ユーザーが色々と聴き比べを楽しめる要素にもなりそうだ。
■第3部 aurender 〜峻烈な立ち上がりと安定した操作性が魅力
第3部はエミライ取り扱いのaurenderが登場。aurenderは個人的にもネットワークオーディオの台風の目になるのではないか、と注目しているブランドのひとつでもある。ここでは、フラグシップネットワークトランスポート「W20 Special Edition」が登場した。
aurenderは2010年創業、最初期から「ネットワークトランスポート」にこだわった製品を展開しているブランドである。その背景には、当時非常に評価の高かったハイエンドDAC(dCSやWADIA等)が数多くあり、そういったDACを生かしながらネットワーク再生の利便性を享受する方法はないか、という思いがあったという。そのため、音質はいうまでもないが、安定性・操作性にも非常に重きを置いて開発を進めてきた。
aurender製品の特徴のひとつは、サーバーとトランスポートが一体となっていることにある(日本ではミュージックサーバーというジャンルとして呼ばれることも多い)。内部にSSDを搭載しており、OpenHome/UPnPのように外部サーバーに音源を読み出しにいく必要がないため、安定性の高いシステムを構築できるというメリットがある。今回のイベントでは、コードの「DAVE」と組み合わせて試聴を行なった。
ヴァイオリンでは、レイチェル・ポッジャーの「無伴奏ヴァイオリン・ソナタ&パルティータ」から「プレリュード」を再生。CDクオリティながらその立ち上がりは峻烈で、最初の出音一瞬でポッジャーの世界に引き込まれてしまう。さらにケルテスの「ドヴォルザーク:交響曲第9番 新世界より」では、目が覚めるような弦のスピード感ある表現が印象的で、コントラバスの解像度の高さや安定感にも目を見張る。
最後に、今後の新製品として、FERRUM AUDIOのDC電源「HYPSOS」をお目見え。こちらは出力電圧を可変できる珍しいタイプの電源で、今回はRoon専用サーバー「Nucleus」の電源として使用していたという。イベントでの比較試聴はできなかったが、安定した電源を供給できることで、「SN比の改善やサウンドステージの見通しが良くなる」(エミライ村上氏)といった音質変化が実現できる、と語っていた。