公開日 2024/07/26 15:32
ブルメスターのアンプと組み合わせて披露
<TIAS>ソナス・ファベールの1.5億円超えスピーカー「Suprema」を聴く。メインデザイナー自ら細部を紹介
ファイルウェブオーディオ編集部・筑井真奈
夏の東京インターナショナルオーディオショウが開幕した。午前中から30度を超える猛暑の中でのオーディオショウとなったが、10時の開場前から多くの来場者が列をなし、今年の話題の新製品を体験できる場を楽しみに待ち構えていた。
ここでは、Sonus Faber(ソナス・ファベール)のフラグシップスピーカーを持ち込んだノアのブースについてレポートしよう。
今年1月に発表されたソナス・ファベールのフラグシップスピーカー「Suprema」。先日日本でも正式に発表された。メインスピーカーと別筐体のサブウーファー(1基もしくは2基)と組み合わせて使うモデルで、すでに世界的に大きな注目の的となっている。現在ソナス・ファベールはマッキントッシュとグループカンパニーとなっており、ミュンヘンを含む世界のオーディオショウではマッキントッシュと組み合わせてデモされることが多いが、ここ日本では、Burmester(ブルメスター)を展開するノアが代理店をやっている関係で、世界初のBurmesterのアンプと組み合わせたデモンストレーションが行われた。
会場には、現在のソナスのメインデザイナーであるリヴィオ・ククッツァ氏も来場し、「Suprema」にかけたこだわり、また開発の意図について語ってくれた。
ククッツァ氏によると、Supremaの開発には足掛け4年の歳月がかかっているという。ソナスはイタリア中部の街ヴィチェンツァに拠点をおいているが、数年前に新たにR&Dセンターを立ち上げ、エンジニアも新規採用し新チームとして製品開発を行っている。Supremaはその新開発チームの最大の研究成果ということになる。
ソナス・ファベールの大きな特徴は、スピーカーユニットをすべて自社で開発していることにある。特に今回のSupremaの音質設計あたって非常に重要な役割を果たしているのが、「カメリア・ミッドレンジ」と呼ぶ中域ユニットである。ソナスのユニットは基本的にブラックだが、このカメリア・ミッドレンジは花びらのような美麗なデザインも特徴で、スピーカーの中央にポッと一輪の白い花が咲いたようなイメージを喚起させる。「ピュアな再現を実現するため、着色をせず素材の色そのままを生かしたデザインとなっています」。
通常の円ではなく、エッジを少し切り落としたようなデザインにすることで、より高解像度で歪みが少なく、自然な帯域再生が可能になるのだという。さらに中央にフェーズプラグを設けることで、自然な広がり感を実現。ソナス・ファベールの音質の魅力は女性ヴォーカルやチェロなど中低域のサウンドの独特の艶感にあるが、まさにこのユニットの果たす役割が大きいと感じられる。
高域は40kHzまで伸びる小型のスーパートゥイーターと、一回り大きいサイズのトゥイーターが担う。いずれもソフトドームとなっている。このトゥイーターとカメリア・ミッドレンジを合わせたエリアは、内部で「コルク」による別のチェンバーが設けられているという。「コルクは成形しやすく、音響特性的にも有利というメリットがあります」とククッツァ氏。ソナスの下位モデルにもコルクがさまざまな形で活用されており、いまのソナスの音質設計に欠かせない素材となっていることがうかがえる。
サブウーファーは別筐体として構成。「しっかりした低域を再生するためには、大きなキャビネット、もしくは口径の大きいユニットが必要になります。Supremaではその“両方”を徹底追求しました」。さらに、サブウーファーとメインスピーカーのクロスオーバーは外部の別筐体として設計。「DSPは使いたくなかったのです。すべてアナログで構成することで、DA/ADの段階を経ることがない、アナログの音そのものを体験してほしいと考えています」。
会場では、リヴィオのフェイバリットナンバーというイタリアの女性歌手、クリスチャン・マクブライドのビッグバンド、カティア・ブニアティシヴィリによるラフマニノフのピアノ協奏曲などが披露された。
まさに鳥肌の立つほどの演奏、オーケストラが眼前に展開するとはこのことか、と思わされるステージング表現に言葉を失う。さまざまな楽器の音色の描きわけは素晴らしく、もはや本物よりも本物らしいと言いたくなるようなオーディオ再生の極地たる再生を聴かせてくれる。ピアノがまさに有機的な生命のように自在に眼前を飛び交い、オーケストラとの溶け合うハーモニーの美しさはまさに絶品だ。
クリスチャン・マクブライドのビッグバンドでは、管楽器、打楽器、さまざまな楽器が入り乱れるさまが精緻に表現され、演奏者の熱量が高まっていく様子がそのまま伝わってくる。低域のコントールも見事なもので、最低域まで安定した再生能力を見せつけるのはさすがだ。
ククッツァ氏によると、Supremaで得られた知見は、下位モデルにも順次展開されていくという。その第一弾として登場するのが「Sonetto G2」で、フェーズプラグなどに差はあるものの、白いカメリア・ミッドレンジはこちらにも搭載されている。
さらに今回初披露の製品として、小型ブックシェルフの「Concertino G4」も登場。「ソナス・ファベールの伝統の外観、ソリッドウッドとレザーを組み合わせています」とのことだが、内部キャビネットにはコルクを採用。ソナスが培ってきた最新の音響テクノロジーが息づいていることを感じさせてくれた。
ここでは、Sonus Faber(ソナス・ファベール)のフラグシップスピーカーを持ち込んだノアのブースについてレポートしよう。
今年1月に発表されたソナス・ファベールのフラグシップスピーカー「Suprema」。先日日本でも正式に発表された。メインスピーカーと別筐体のサブウーファー(1基もしくは2基)と組み合わせて使うモデルで、すでに世界的に大きな注目の的となっている。現在ソナス・ファベールはマッキントッシュとグループカンパニーとなっており、ミュンヘンを含む世界のオーディオショウではマッキントッシュと組み合わせてデモされることが多いが、ここ日本では、Burmester(ブルメスター)を展開するノアが代理店をやっている関係で、世界初のBurmesterのアンプと組み合わせたデモンストレーションが行われた。
会場には、現在のソナスのメインデザイナーであるリヴィオ・ククッツァ氏も来場し、「Suprema」にかけたこだわり、また開発の意図について語ってくれた。
ククッツァ氏によると、Supremaの開発には足掛け4年の歳月がかかっているという。ソナスはイタリア中部の街ヴィチェンツァに拠点をおいているが、数年前に新たにR&Dセンターを立ち上げ、エンジニアも新規採用し新チームとして製品開発を行っている。Supremaはその新開発チームの最大の研究成果ということになる。
ソナス・ファベールの大きな特徴は、スピーカーユニットをすべて自社で開発していることにある。特に今回のSupremaの音質設計あたって非常に重要な役割を果たしているのが、「カメリア・ミッドレンジ」と呼ぶ中域ユニットである。ソナスのユニットは基本的にブラックだが、このカメリア・ミッドレンジは花びらのような美麗なデザインも特徴で、スピーカーの中央にポッと一輪の白い花が咲いたようなイメージを喚起させる。「ピュアな再現を実現するため、着色をせず素材の色そのままを生かしたデザインとなっています」。
通常の円ではなく、エッジを少し切り落としたようなデザインにすることで、より高解像度で歪みが少なく、自然な帯域再生が可能になるのだという。さらに中央にフェーズプラグを設けることで、自然な広がり感を実現。ソナス・ファベールの音質の魅力は女性ヴォーカルやチェロなど中低域のサウンドの独特の艶感にあるが、まさにこのユニットの果たす役割が大きいと感じられる。
高域は40kHzまで伸びる小型のスーパートゥイーターと、一回り大きいサイズのトゥイーターが担う。いずれもソフトドームとなっている。このトゥイーターとカメリア・ミッドレンジを合わせたエリアは、内部で「コルク」による別のチェンバーが設けられているという。「コルクは成形しやすく、音響特性的にも有利というメリットがあります」とククッツァ氏。ソナスの下位モデルにもコルクがさまざまな形で活用されており、いまのソナスの音質設計に欠かせない素材となっていることがうかがえる。
サブウーファーは別筐体として構成。「しっかりした低域を再生するためには、大きなキャビネット、もしくは口径の大きいユニットが必要になります。Supremaではその“両方”を徹底追求しました」。さらに、サブウーファーとメインスピーカーのクロスオーバーは外部の別筐体として設計。「DSPは使いたくなかったのです。すべてアナログで構成することで、DA/ADの段階を経ることがない、アナログの音そのものを体験してほしいと考えています」。
会場では、リヴィオのフェイバリットナンバーというイタリアの女性歌手、クリスチャン・マクブライドのビッグバンド、カティア・ブニアティシヴィリによるラフマニノフのピアノ協奏曲などが披露された。
まさに鳥肌の立つほどの演奏、オーケストラが眼前に展開するとはこのことか、と思わされるステージング表現に言葉を失う。さまざまな楽器の音色の描きわけは素晴らしく、もはや本物よりも本物らしいと言いたくなるようなオーディオ再生の極地たる再生を聴かせてくれる。ピアノがまさに有機的な生命のように自在に眼前を飛び交い、オーケストラとの溶け合うハーモニーの美しさはまさに絶品だ。
クリスチャン・マクブライドのビッグバンドでは、管楽器、打楽器、さまざまな楽器が入り乱れるさまが精緻に表現され、演奏者の熱量が高まっていく様子がそのまま伝わってくる。低域のコントールも見事なもので、最低域まで安定した再生能力を見せつけるのはさすがだ。
ククッツァ氏によると、Supremaで得られた知見は、下位モデルにも順次展開されていくという。その第一弾として登場するのが「Sonetto G2」で、フェーズプラグなどに差はあるものの、白いカメリア・ミッドレンジはこちらにも搭載されている。
さらに今回初披露の製品として、小型ブックシェルフの「Concertino G4」も登場。「ソナス・ファベールの伝統の外観、ソリッドウッドとレザーを組み合わせています」とのことだが、内部キャビネットにはコルクを採用。ソナスが培ってきた最新の音響テクノロジーが息づいていることを感じさせてくれた。