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公開日 2016/09/27 12:00
デザインや機能はHA-2を踏襲

OPPO、新ポタアン「HA-2SE」。ESS新世代DAC搭載/アンプ大幅刷新

編集部:小澤貴信
OPPO Digital Japanは、DAC内蔵ポータブルヘッドホンアンプの新モデル「HA-2SE」を9月30日(予定)より発売する。価格はオープンだが、税込39,900円前後での実売が予想される。

HA-2SE


本機は2015年3月に発売された「HA-2」の後継モデル。デザインおよび機能は踏襲しつつ、DACチップは新たにESS製「ES9028Q2M」を搭載。ヘッドホンアンプ回路についてもブラッシュアップした。

USB-DAC機能については、引き続き384kHz/32bit PCM、11.2MHz DSDの再生に対応する。iPhoneやiPadなどのiOS端末とは、付属のLightning - USBケーブルで直接接続が可能。同梱のUSB OTGケーブルにより、対応するAndroid端末との直接接続しての再生も行える。

HA-2SEとPM-3を組み合わせたところ

ヘッドホン出力は3.5mmステレオミニで、4極グランド分離出力に対応する。3.5mmステレオミニ端子によるライン出力も搭載。モバイルバッテリー機能、およびラピッドチャージ(高速充電)機能も踏襲する。

前面部にはヘッドホン出力とライン出力を搭載

背面部にはUSB-A端子、USB-micro B端子を搭載


側面部にはBass Boostやゲイン切り替えボタンを搭載

なお、従来モデルのHA-2は生産完了となるが、そのカラーバリエーションである「HA-2 Red」「HA-3 Blue」は今後も継続される。

ESSの最新DAC「ES9028Q2M」を新搭載

製品発表に先立って開催されたプレス向け説明会では、OPPO Digital Japanの島幸太郎氏が本機の詳細について説明した。

島幸太郎氏

HA-2SEは、外観や筐体、機能面などで従来モデルのHA-2を踏襲する。しかし、DACの変更やアンプの大幅なブラッシュアップなど“中身”は大幅に刷新された。また、こうした変更に加えて、日本市場の意見も積極的に取り入れられて、サウンドも大きく進化させた。

最大の変更点は、DACチップの変更だ。HA-2ではESS製「ES9018K2M」が用いられていたが、本機ではその後継チップとも言えるESS最新の「ES9028Q2M」を採用した。

ESS製「ES9028Q2M」を新たに採用

このES9028Q2Mは、基本的にES9018K2Mのアーキテクチャーを踏襲。タイムドメイン・ジッター・エリミネーター、64bitアキュームレーターや32bitプロセッシングなども同様だが、スペックは改善。ダイナミックレンジを従来の127dBから129dBへと向上させた。

ES9028Q2Mの回路図

しかし、こうしたスペックのちがい以上に、音質が大きく向上していると島氏。ESSのスタッフも「スペックより、まずは音を聴いてほしい」という立場をとっているという。

XMOS採用によるFPGA方式のアシンクロナスUSB入力を搭載。入デジタル力端子はUSB-A、USB-micro Bを備える。iOS端末との接続は、カメラコネクションキットを用いることなく、Lightning - USBケーブルで直結することができる。Androidについても、USB OTGおよびUSB Audio Class 2.0をサポートするデバイスとUSB OTGケーブルで接続できる。

なお、従来はDSDは11.2MHzまでの対応だったが、本機では12.2MHzも再生可能に。いわゆるDSD256の再生にフル対応した。

ヘッドホンアンプを刷新。ノイズを従来の1/2に低減

この新DACに相応しいアンプ回路を目指して、ヘッドホンアンプ部も大幅にブラッシュアップ。アンプ回路はHA-2と同じくAB級で、ディスクリート構成による出力段やマッチドペアの選別品の使用などのアプローチは継承しつつ、新規設計が行われた。結果としてノイズ量を約1/2に低減することができた。

刷新されたアンプ回路の詳細

このノイズ低減は当然音質に現れるが、別の側面として、高感度のイヤホンと本機を組み合わせた際のノイズの拾いやすさも大きく改善したという。

また、High/Lowのゲイン切り替えの設定も見直し。特にLowゲイン時については、高感度のカスタムIEMやユニバーサル型イヤホンにも万全に対応できるように、出力をより小さく調整。ギャングエラーのない繊細なボリューム調整が行えるとする。ヘッドホン出力は、4極端子によるグランド分離出力への対応を継承した。

プレス向け説明会では、具体的な測定値のグラフに基づいた、従来モデルからの性能の向上アップも解説された。

ノイズレベルについては、HA-2と比較して5dB(20kHz〜20kHz, band-pass filter A-weight, 32Ω load)の改善が実現した。

HA-2SEとHA-2のノイズレベル比較

全高調波歪率+ノイズ(THD-N)についても、HA-2比で大幅に歪を低減していることが測定でも明らかになっているとグラフで示された。また、この高調波歪みの抑制の結果、音色の変調が少なくなり、より音楽信号に忠実な再現が可能になったという。音圧周波数特性も、よりフラットな特性を実現している。

HA-2SEとHA-2の全高調波歪率+ノイズ比較

HA-2SEとHA-2の音圧周波数特性の比較

ディスクリートのアナログ回路によるBass Boost機能も搭載。なお、本機はDSPを用いておらず、音量は精密アナログポテンションメーターと、DACチップ内蔵の32bitデジタルボリュームの組み合わせで制御される。

デザインや機能はあえて踏襲。モバイルバッテリー機能も引き続き搭載

筐体については、アルミニウム合金削り出しボディに、天然皮革を採用したブックカバーデザインという構成を踏襲(「SE」ロゴが表記されている点だけ異なる)。質量・外形寸法もHA-2から変わらない。

HA-2SE(手前)とHA-2 Red(奥)当然だが製品名の表記が変わっている

長時間の連続再生に対応しており、HA-2と同じく、USB入力時で約7時間、ライン入力時で約13時間の連続再生が可能になる。30分で70%の充電が可能な「ラピッド・チャージ機能」にも対応する。島氏は「スペック上の数字は変更ないが、実際に使うと連続再生時間はやや長くなったと感じる」と説明していた。

やはりモバイルバッテリー機能も搭載。音楽を聴きながら、接続した再生機器へ給電を行うことができる。内蔵バッテリーの容量は3000mAh。約1時間30分でフル充電となる。

HA-2SEの付属品

付属品については、新たに両端L字のLightning - USBケーブル、両端L字のUSB OTGケーブル(両端USB micro B端子)が付属。その他、ステレオミニのオーディオケーブル、VOOC高速充電器、データおよび充電用USBケーブル、シリコンゴム・バンド(2個)などが同梱される。

推奨ヘッドホンインピーダンスは16Ω〜300Ω、ヘッドホン最大出力レベルは300mW(16Ω)、220mW(32Ω)30mW(300Ω)。外形寸法は68W×12H×137Dmm、質量は175g。

HA-2が評価された理由は「性能・デザイン・利便性」

HA-2SEのプレゼンにあたって、島氏はHA-2SEのコンセプトや、ポータブルヘッドホンアンプの現状について紹介した。

2015年に登場したHA-2が評価された背景には、性能・デザイン・利便性の3点があると島氏は分析。一方で今後ポータブルヘッドホンアンプに求められる要素として、ハイレゾ対応、音質、スマートフォン本体に負けないデザイン性、デジタル接続やモバイルバッテリー機能などの利便性などを挙げ、HA-2/HA-2SEがこれらを満たしているとした。

また、日本ではiOSデバイスのシェアが35〜60%と他国に比べて高いことにも言及。iPhone 7/7 Plusでのイヤホン端子の廃止されたことによって、Lightning接続が行えるポータブルヘッドホンアンプの必要性や、充電しながら音楽を聴きたいという要望が高まると予測。こうした点からも、Lightning直結が可能で、モバイルバッテリー機能も備えたHA-2SEは、市場のニーズに応える製品であると説明した。さらに、ストリーミングサービスの充実も、スマートフォンで音楽を聴く需要を高め、ポータブルヘッドホンアンプの需要を高めるのではと述べた。

HA-2SEと従来機HA-2を比較試聴

プレス説明会の会場にはHA-2SEと、従来モデルのHA-2が用意されており、短時間ながら両機を聴き比べることができた。

iPhone 5SをLightning接続して音質をチェック

HA-2に同社ヘッドホン「PM-3」を組み合わせて聴くと、改めてその解像感の高さを実感する。だがそれをHA-2SEに替えると、音数が明らかに増え、見通しがクリアになる。明らかにニュアンス表現が豊かになって、一歩踏み込んだ抑揚や音の柔らかさが聴き取れる。S/Nの向上も明確で、そして音に“余裕”がある。

これはあくまで比較の話で、HA-2に限って聴けば、解像度やS/N、音楽的な表現力は今なお高いレベル。しかしHA-2SEと聴き比べると歴然とした差を感じてしまった。

カスタムIEMと組み合わせての音質比較も行った

次に両機に、手持ちのカスタムIEM(Unique Melody「MAVERICK」)を組み合わせると、ここでもその差は明快だ。特にS/Nの差は、カスタムIEMを組み合わせるとさらにわかりやすく、HA-2SEの進化がわかる。HA-2も高解像度なのだが、HA-2SEでは特に低域の解像度が明かに向上。また、小音量時の再現性もHA-2SEが優っていて、小さいボリュームでもギャングエラーもなく音楽を楽しめた。

関連リンク

製品スペックを見る
  • ジャンルその他
  • ブランドOPPO
  • 型番HA-2SE
  • 発売日2016年9月30日(予定)
  • 価格¥OPEN(予想実売価格39,900円前後)
【SPEC】●対応サンプリング周波数:PCM 384kHz/32bitまで、DSD 12.2MHzまで ●周波数特性:20Hz〜200kHz ●アナログ入力/ライン出力レベル:1Vrms ●推奨ヘッドホンインピーダンス:16〜300Ω ●ヘッドホン最大出力レベル:300mW(16Ω)、220mW(32Ω)、30mW(300Ω) ●出力端子:ライン出力(3.5mmステレオ)、ヘッドホン出力(3.5mmステレオ(4極/GND分離)) ●入力端子:アナログオーディオ(3.5mmステレオ)、デジタル(USB) ●充連続再生時間:アナログオーディオ入力時…約13時間、USBデジタル入力時…約7時間 ●外形寸法:68W×137H×12Dmm ●質量:175g

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