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公開日 2016/10/22 21:48
デノン/マランツ/B&Wのブースをレポート
<ヘッドホン祭>デノン「AH-D7200」発表会レポ - 新旗艦ヘッドホンの詳細を解説
編集部:小澤貴信
ディーアンドエムホールディングスは、本日から開幕した「秋のヘッドホン祭2016」にて、昨日発表した新フラグシップヘッドホン「AH-D7200」(関連ニュース)の発表会を開催した。
AH-D7200の詳細については、こちらのニュース記事でも紹介している。価格はオープンだが、10万円前後での実売が予想される。発売は2017年1月中旬を予定している。
発表会には、オーディオ評論家の岩井喬氏が登場。デノンの宮原利温氏と共に、AH-D7200の詳細について解説を行った。
プレスリリースにおいても「AH-D7200」が、2006年登場の「AH-D7000」の発展形と紹介され、形状もこちらの雰囲気を発展させたものとなっていることもあり、岩井氏は「AH-D7200と、従来機のAH-D7100とはどのような関係なのか?」と質問。
宮原氏は「AH-D7100は音質も評価され、販売実績もよかったが、外観としては従来のファンのイメージとギャップがあったことは確かです。そこで今回はAH-D7000の外観に再度近いデザインになりましたが、音質的にはAH-D7100で培った成果を反映したものになります。一方で、全てが刷新されており、同じパーツはネジ1本使っていません」と答えた。
なお、ブースではAH-D7200を試聴することができたが、こちらはまだ「音質的には80%」の試作モデルとのこと。現在音質の最終的な練り込みを行っていて、会場での試聴した来場者の声もフィードバックしていくという。
AH-D7200では、イヤーカップに天然のアメリカンウォールナットが用いられた。一方で、同じく木製イヤーカップを採用したAH-D7000では、マホガニーを用いていた。なお、アメリカンウォールナットのイヤーカップは、同社のポータブルヘッドホンの最上位「AH-MM400」でも採用されている。
この点については、ウォールナットはマホガニーに比べて“鳴き”が少なく、ハイレゾを含む現代のサウンドにはこちらの方が適していると判断したのだという。また、マホガニーは木目が出にくいが、ウォールナットは木目が美しい点も、こちらを選んだ理由のひとつだという。
AH-D7200は、50mm口径のフリーエッジ・ナノファイバー・ドライバーを採用。この方式のドライバーはAH-D7000で初採用され、AH-D7200にも用いられた。
このドライバーは文字通り、振動板素材にはナノファイバーを使用。ナノファイバーは軽量で高剛性、かつ適度な内部損失を備えており音響特性に優れ、伸びの良い音につながるという。
岩井氏は「オンキヨーがセルロースナノファイバーの振動板をヘッドホンに用いているが、それとのちがいはあるのでしょうか」と質問。
これに対して宮原氏は「オンキヨーは2015年にセルロースナノファイバー振動板の開発を発表しましたが、我々はナノファイバーを用いた振動板を2006年から使っていますので、蓄積された技術とノウハウでは差があると考えています。また、素材構成の詳細は企業秘密ですが、オンキヨーはセルロースナノファイバーを100%用いているのに対して、デノンはナノファイバー100%ではありません。音の硬さなど音質面の評価を経て、ナノファイバーが100%は適していないと判断しました」と回答した。
岩井氏は、振動板がフリーエッジ構造であることにも言及。一般的なヘッドホンで用いられるPET素材の振動板は、振動板とエッジを兼ねた“ひだ”がついていて、振動時に歪みが多いというデメリットがあるという。これに対して、フリーエッジドライバーは、一般的なダイナミック型スピーカーの振動板と同様の構造で、同様のピストンモーションが可能になっている
岩井氏は、昔はスピーカーユニットがそのまま小さくなって搭載されているようなヘッドホンもあったが、サウンドを求める中でPET素材の振動板が一般化することになったという経緯があると紹介。しかし、現在の技術を持ってすれば、スピーカータイプの振動板で、性能向上および小型化をより進めることができ、ヘッドホンのより理想的なサウンドを追求することが可能だとした。
ケーブルは両出しタイプの着脱式で、7N OFC素材を用いたケーブルを同梱。プラグはヘッドホン側が3.5mmモノラル端子、出力側が6.3mmステレオ標準端子となる。
宮原氏は「リケーブルも可能だが、付属のケーブルをまずしっかりしたものにしたいと考えて、最上のものを用意した」と紹介。一方で、同社が取り扱うKIMBER KABLEから、本機専用のリケーブルも登場予定であることが明かされた。価格は10万円程度になる見込み。さらには、シルバー導体を用いた超高級・専用ケーブルも予定しているという。
イヤーパッドの表面素材やクッション形状など、装着性や耐久性にもこだわったことも紹介された。
なお、本機の開発にあたっては、ヨーロッパのサウンドラボにて綿密な音響特性が実施されたという。より精密な測定情報が得られるようになったことも、本機を開発する上で重要な要素だったという。
本機のスペックも発表。周波数特性は5Hz〜55kHz、インピーダンスは25Ω、感度は105dB/mW、最大入力は1,800mW、質量は385g(ケーブル含まず)となる。
岩井氏は「現在より1つ前の完成度の試作機で試聴しましたが、AH-D7000とは異なる方向で進化を達成為ていると感じました。具体的には、デノンらしいリッチなサウンドは継承しつつ、自然な解像感を備えています。これはウォールナットの響きにもよるところです。AH-7000ではマホガニーを豊かに響かせるという音作りでしたが、AH-D7200では、この響きを締める方向に持って行っていると思います。だから低域の出方も異なっています」と、その音質についてコメントしていた。
■デノン/マランツ/B&Wのブースの模様を紹介
ディーアンドエムホールディングスのブースには、AH-D7200が展示。DNP-2500NEなどとのさっそく試聴の行列ができていた。
ブースには、デノンからは、他にも9月に発売されたイヤホン「AH-C820」「AH-C720」「AH-C620R」や、ポータブルヘッドホン「AH-MM400/300/200」も出展されていた。
10月より発売となるB&Wの50周年記念フラグシップヘッドホン「P9 Signature」も登場した。本機は自社開発による、ナイロン素材振動板を用いた40mmドライバーユニットを搭載。アルミを含む複合素材を用いたイヤーカップには、有限酸素解析技術によって、最適な音響特性を備える形状が用いられ、イヤーカップやヘッドバンドには伊Scabrenta社製のサフィアーノ・レザーが用いられている。
同グループのマランツからは、MusikLinkシリーズのデスクトップコンポーネントであるプリメインアンプ「HD-AMP1」、CDプレーヤー「HD-CD1」が登場。デノンやB&Wのヘッドホンと組み合わせての試聴が行えた。
そのほか、AudioQuestのヘッドホン「NightHawk」やUSB-DAC/ヘッドホンアンプ「DragnFly Red/Black」、KIMBER KABLEのリケーブルなどが出展されていた。
AH-D7200の詳細については、こちらのニュース記事でも紹介している。価格はオープンだが、10万円前後での実売が予想される。発売は2017年1月中旬を予定している。
発表会には、オーディオ評論家の岩井喬氏が登場。デノンの宮原利温氏と共に、AH-D7200の詳細について解説を行った。
プレスリリースにおいても「AH-D7200」が、2006年登場の「AH-D7000」の発展形と紹介され、形状もこちらの雰囲気を発展させたものとなっていることもあり、岩井氏は「AH-D7200と、従来機のAH-D7100とはどのような関係なのか?」と質問。
宮原氏は「AH-D7100は音質も評価され、販売実績もよかったが、外観としては従来のファンのイメージとギャップがあったことは確かです。そこで今回はAH-D7000の外観に再度近いデザインになりましたが、音質的にはAH-D7100で培った成果を反映したものになります。一方で、全てが刷新されており、同じパーツはネジ1本使っていません」と答えた。
なお、ブースではAH-D7200を試聴することができたが、こちらはまだ「音質的には80%」の試作モデルとのこと。現在音質の最終的な練り込みを行っていて、会場での試聴した来場者の声もフィードバックしていくという。
AH-D7200では、イヤーカップに天然のアメリカンウォールナットが用いられた。一方で、同じく木製イヤーカップを採用したAH-D7000では、マホガニーを用いていた。なお、アメリカンウォールナットのイヤーカップは、同社のポータブルヘッドホンの最上位「AH-MM400」でも採用されている。
この点については、ウォールナットはマホガニーに比べて“鳴き”が少なく、ハイレゾを含む現代のサウンドにはこちらの方が適していると判断したのだという。また、マホガニーは木目が出にくいが、ウォールナットは木目が美しい点も、こちらを選んだ理由のひとつだという。
AH-D7200は、50mm口径のフリーエッジ・ナノファイバー・ドライバーを採用。この方式のドライバーはAH-D7000で初採用され、AH-D7200にも用いられた。
このドライバーは文字通り、振動板素材にはナノファイバーを使用。ナノファイバーは軽量で高剛性、かつ適度な内部損失を備えており音響特性に優れ、伸びの良い音につながるという。
岩井氏は「オンキヨーがセルロースナノファイバーの振動板をヘッドホンに用いているが、それとのちがいはあるのでしょうか」と質問。
これに対して宮原氏は「オンキヨーは2015年にセルロースナノファイバー振動板の開発を発表しましたが、我々はナノファイバーを用いた振動板を2006年から使っていますので、蓄積された技術とノウハウでは差があると考えています。また、素材構成の詳細は企業秘密ですが、オンキヨーはセルロースナノファイバーを100%用いているのに対して、デノンはナノファイバー100%ではありません。音の硬さなど音質面の評価を経て、ナノファイバーが100%は適していないと判断しました」と回答した。
岩井氏は、振動板がフリーエッジ構造であることにも言及。一般的なヘッドホンで用いられるPET素材の振動板は、振動板とエッジを兼ねた“ひだ”がついていて、振動時に歪みが多いというデメリットがあるという。これに対して、フリーエッジドライバーは、一般的なダイナミック型スピーカーの振動板と同様の構造で、同様のピストンモーションが可能になっている
岩井氏は、昔はスピーカーユニットがそのまま小さくなって搭載されているようなヘッドホンもあったが、サウンドを求める中でPET素材の振動板が一般化することになったという経緯があると紹介。しかし、現在の技術を持ってすれば、スピーカータイプの振動板で、性能向上および小型化をより進めることができ、ヘッドホンのより理想的なサウンドを追求することが可能だとした。
ケーブルは両出しタイプの着脱式で、7N OFC素材を用いたケーブルを同梱。プラグはヘッドホン側が3.5mmモノラル端子、出力側が6.3mmステレオ標準端子となる。
宮原氏は「リケーブルも可能だが、付属のケーブルをまずしっかりしたものにしたいと考えて、最上のものを用意した」と紹介。一方で、同社が取り扱うKIMBER KABLEから、本機専用のリケーブルも登場予定であることが明かされた。価格は10万円程度になる見込み。さらには、シルバー導体を用いた超高級・専用ケーブルも予定しているという。
イヤーパッドの表面素材やクッション形状など、装着性や耐久性にもこだわったことも紹介された。
なお、本機の開発にあたっては、ヨーロッパのサウンドラボにて綿密な音響特性が実施されたという。より精密な測定情報が得られるようになったことも、本機を開発する上で重要な要素だったという。
本機のスペックも発表。周波数特性は5Hz〜55kHz、インピーダンスは25Ω、感度は105dB/mW、最大入力は1,800mW、質量は385g(ケーブル含まず)となる。
岩井氏は「現在より1つ前の完成度の試作機で試聴しましたが、AH-D7000とは異なる方向で進化を達成為ていると感じました。具体的には、デノンらしいリッチなサウンドは継承しつつ、自然な解像感を備えています。これはウォールナットの響きにもよるところです。AH-7000ではマホガニーを豊かに響かせるという音作りでしたが、AH-D7200では、この響きを締める方向に持って行っていると思います。だから低域の出方も異なっています」と、その音質についてコメントしていた。
■デノン/マランツ/B&Wのブースの模様を紹介
ディーアンドエムホールディングスのブースには、AH-D7200が展示。DNP-2500NEなどとのさっそく試聴の行列ができていた。
ブースには、デノンからは、他にも9月に発売されたイヤホン「AH-C820」「AH-C720」「AH-C620R」や、ポータブルヘッドホン「AH-MM400/300/200」も出展されていた。
10月より発売となるB&Wの50周年記念フラグシップヘッドホン「P9 Signature」も登場した。本機は自社開発による、ナイロン素材振動板を用いた40mmドライバーユニットを搭載。アルミを含む複合素材を用いたイヤーカップには、有限酸素解析技術によって、最適な音響特性を備える形状が用いられ、イヤーカップやヘッドバンドには伊Scabrenta社製のサフィアーノ・レザーが用いられている。
同グループのマランツからは、MusikLinkシリーズのデスクトップコンポーネントであるプリメインアンプ「HD-AMP1」、CDプレーヤー「HD-CD1」が登場。デノンやB&Wのヘッドホンと組み合わせての試聴が行えた。
そのほか、AudioQuestのヘッドホン「NightHawk」やUSB-DAC/ヘッドホンアンプ「DragnFly Red/Black」、KIMBER KABLEのリケーブルなどが出展されていた。
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