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公開日 2019/05/24 17:24
dTVやDAZNなど他社サービスもサポート
NTTぷららが「メディアオペレーションセンター」拡充。高品質映像配信を支える拠点を見てきた
編集部:小野佳希
NTTぷららは、自社サービス「ひかりTV」だけでなく「dTV」や「DAZN」など他社の映像配信サービスの監視・オペレーション業務も行う「NTTぷららメディアオペレーションセンター」を新装。本日5月24日より本格稼働を開始させ、同社の板東浩二社長らが会見を行うとともに内部施設を一部メディアに公開した。
同社では自社で映像配信サービスを開始した2004年当初から映像監視センターを所有し運用してきたが、今回、延床面積を従来の約2倍に拡張し、監視システムをさらに充実させた。
板東氏は「今までもオペレーションサポートの依頼は少しずつあり、個々に対応していたのだが、それだとどうしても拠点や体制も個々になって非効率だった。そこで、体制を刷新し拠点も集約して品質を上げていこうという狙いで今回のセンター構築になった」と経緯を説明。
「地味で注目されづらい部分だが、これからの時代はこうしたオペレーションの質が重要になってくるのではないかと考えている」とし、提供コンテンツやUIといったエンドユーザーに見える部分を支えるオペレーションこそが、今後は各映像配信サービスの差別化ポイントになるであろうという考えを示した。
新センターでは、上記の通り自社の映像配信サービス「ひかりTV」の監視だけでなく、NTTドコモの「dTV」、NTTコミュニケーションズが「DAZN」向けに提供するサッカーの試合映像伝送など、他社サービスの監視・オペレーション業務も受託。映像配信事業のプラットフォームとして24時間365日運用を続けている。今回の拡張によってさらに業務領域を広げ、「各サービスに合わせた多様な監視技術とサポート体制を提供していく」としている。
今回、映像監視モニター数を4倍以上に拡張し、放送型映像サービスの全送出チャンネルをリアルタイム、かつ網羅的に確認できるようになったとのこと。国内最大規模の送出チャンネル数とモニター数で、受託配信サービスを含めてのべ580チャンネルを送出している。
また、ウォールモニターは約650面あり、約320チャンネルを監視ポイント別に表示。約32,000項目というポイントで常時、映像・音声の状態を確認できる。なお、将来のビジネス拡大に備えて、ウォールモニターや監視宅を増設できるように設計している。「4Kや8Kは当然視野に入れて対応できるよう設計している」(NTTぷらら 取締役 技術本部長 永田勝美氏)という。
ウォールモニターには映像監視機能内蔵のマルチビューワーを採用。映像のブラックアウト・フリーズや音声のトラブルを、人の目や耳に代わってリアルタイムに検知するという。監視は映像プラットフォーム出力ポイントとエンドユーザー配信直前の2ヶ所で行う。なお、他社の担当領域の機器故障などシステム的にエラーを検知できないトラブルに備えて、Twitterでの投稿やコールセンターへの問い合わせも「(サービス名) 故障」などのキーワードで見張っているそうだ。
さらに、これまでオペレーターがマニュアルで行っていた映像・音声出力の品質確認作業を、ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)を活用することでより自動化。オペレーター業務の効率化も図った。さらに、これらの品質確認作業の実施間隔が約1/4に短縮されることで、故障発見の精度を高め、サービスの品質維持向上を目指すとしている。
センター内には、スポーツ中継映像の監視・オペレーションスペースも展開。試合中継スタッフのスタジアムでの準備段階から作業の監視およびトラブル時のサポートなどを行ったり、中継映像を監視と同時に録画もしておき終了後に提供するなどといったことを行っている。
このスポーツ中継用オペレーションは以前のセンター時代から行っており、約2年間で2,500試合ほどの対応実績があるとのこと。1日最高20試合の同時対応が可能で、年間で約1,000試合に対応できるという。
なお、NTTぷららは今年7月にNTTドコモの子会社となるが、監視・オペレーション業務の受託なども含めて「ドコモだけのためにやる垂直統合モデルのビジネスではない」と板東氏はコメント。「独自の顧客基盤も開拓していく」とし、「ひかりTVのサービスも今まで以上に他社へ積極的に提供していきたい」と語った。
同社では、「今後も、最先端の技術を活用した高度な監視・オペレーション業務を推進し、故障の未然防止および早期解決に取り組んでいく」とコメント。「幅広い業態の映像事業者向けに、それぞれのサービスに適したオペレーションやサポートをトータルパッケージで提案し、機能性と信頼性に優れた映像監視オペレーション業務をB2B2Xビジネスとして、当社の新たな事業に据えて展開していく」としている。
以下、質疑応答の模様をお届けする。
Q.オペレーションが差別化ポイントになるということについて、もう少し具体的に聞きたい。
A.ひとつは、トラブル時にどれだけ迅速にサービスを回復できるかだ。そしてもうひとつが、トラブルが起こったとしてもサービスに影響が出ないようにするということ。二重化したり切り替えの予備を設けたりといったことを、普段から常に心がけて進めている。
Q.収益化について聞きたい。現在何社くらいから受託していて今後どれくらいにまで拡大していきたいのか。
A.具体的な数字は非公開だ。スタートしたばかりなので数としてはまだそれほど多くない。今後は、映像系ビジネスの拡大にあわせてビジネス化していきたい。オペレーションだけでビジネス化は難しいかもしれないので、例えば配信プラットフォームの提供を希望するお客様に対して、オペレーションセンターを見せて受注につなげるようなこともあるかもしれない。
Q.5Gが実用化されれば、VRなど今までにない映像配信が始まるだろう。そうしたものの監視オペレーションも視野に入れているのか。
A.おっしゃる通り、例えばVRでのパブリックビューイングなどもあるだろう。そうした場合にしっかりと品質を保証していくことが求められる。そうした意味で5G時代のこともしっかりと視野に入っている。
Q.先日、吉本興業とNTTが、5G技術も活用しながら教育コンテンツ等を国内外に発信していく国産プラットフォーム事業「ラフアンドピースマザー」を共同で行っていくことを発表した。ここにもNTTぷららは関係してくるのか。
A.我々が直接出資しているわけではないが、NTTグループのなかで我々が唯一配信の仕組みを持っている。持ち株(NTT本体)のほうからも協力を要請されているので、何かしら一緒にやっていくことになるのではないかと思う。
Q.今後のビジネスではどんな需要があると思っているか。
A.スマートフォン向けの市場が拡大していくだろう。OTT事業者が非常に積極的に展開している。我々も送れないようにやっていきたい。また、我々も「新体感ライブ」(詳細記事:これぞドコモ流の音楽・映像配信! 乃木坂46も生配信する「新体感ライブ」の本気度に迫る)のような新しいものを提案しているが、これまで経験してことのないようなものをビジネスとしてやっていければと思う。
同社では自社で映像配信サービスを開始した2004年当初から映像監視センターを所有し運用してきたが、今回、延床面積を従来の約2倍に拡張し、監視システムをさらに充実させた。
板東氏は「今までもオペレーションサポートの依頼は少しずつあり、個々に対応していたのだが、それだとどうしても拠点や体制も個々になって非効率だった。そこで、体制を刷新し拠点も集約して品質を上げていこうという狙いで今回のセンター構築になった」と経緯を説明。
「地味で注目されづらい部分だが、これからの時代はこうしたオペレーションの質が重要になってくるのではないかと考えている」とし、提供コンテンツやUIといったエンドユーザーに見える部分を支えるオペレーションこそが、今後は各映像配信サービスの差別化ポイントになるであろうという考えを示した。
新センターでは、上記の通り自社の映像配信サービス「ひかりTV」の監視だけでなく、NTTドコモの「dTV」、NTTコミュニケーションズが「DAZN」向けに提供するサッカーの試合映像伝送など、他社サービスの監視・オペレーション業務も受託。映像配信事業のプラットフォームとして24時間365日運用を続けている。今回の拡張によってさらに業務領域を広げ、「各サービスに合わせた多様な監視技術とサポート体制を提供していく」としている。
今回、映像監視モニター数を4倍以上に拡張し、放送型映像サービスの全送出チャンネルをリアルタイム、かつ網羅的に確認できるようになったとのこと。国内最大規模の送出チャンネル数とモニター数で、受託配信サービスを含めてのべ580チャンネルを送出している。
また、ウォールモニターは約650面あり、約320チャンネルを監視ポイント別に表示。約32,000項目というポイントで常時、映像・音声の状態を確認できる。なお、将来のビジネス拡大に備えて、ウォールモニターや監視宅を増設できるように設計している。「4Kや8Kは当然視野に入れて対応できるよう設計している」(NTTぷらら 取締役 技術本部長 永田勝美氏)という。
ウォールモニターには映像監視機能内蔵のマルチビューワーを採用。映像のブラックアウト・フリーズや音声のトラブルを、人の目や耳に代わってリアルタイムに検知するという。監視は映像プラットフォーム出力ポイントとエンドユーザー配信直前の2ヶ所で行う。なお、他社の担当領域の機器故障などシステム的にエラーを検知できないトラブルに備えて、Twitterでの投稿やコールセンターへの問い合わせも「(サービス名) 故障」などのキーワードで見張っているそうだ。
さらに、これまでオペレーターがマニュアルで行っていた映像・音声出力の品質確認作業を、ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)を活用することでより自動化。オペレーター業務の効率化も図った。さらに、これらの品質確認作業の実施間隔が約1/4に短縮されることで、故障発見の精度を高め、サービスの品質維持向上を目指すとしている。
センター内には、スポーツ中継映像の監視・オペレーションスペースも展開。試合中継スタッフのスタジアムでの準備段階から作業の監視およびトラブル時のサポートなどを行ったり、中継映像を監視と同時に録画もしておき終了後に提供するなどといったことを行っている。
このスポーツ中継用オペレーションは以前のセンター時代から行っており、約2年間で2,500試合ほどの対応実績があるとのこと。1日最高20試合の同時対応が可能で、年間で約1,000試合に対応できるという。
なお、NTTぷららは今年7月にNTTドコモの子会社となるが、監視・オペレーション業務の受託なども含めて「ドコモだけのためにやる垂直統合モデルのビジネスではない」と板東氏はコメント。「独自の顧客基盤も開拓していく」とし、「ひかりTVのサービスも今まで以上に他社へ積極的に提供していきたい」と語った。
同社では、「今後も、最先端の技術を活用した高度な監視・オペレーション業務を推進し、故障の未然防止および早期解決に取り組んでいく」とコメント。「幅広い業態の映像事業者向けに、それぞれのサービスに適したオペレーションやサポートをトータルパッケージで提案し、機能性と信頼性に優れた映像監視オペレーション業務をB2B2Xビジネスとして、当社の新たな事業に据えて展開していく」としている。
以下、質疑応答の模様をお届けする。
Q.オペレーションが差別化ポイントになるということについて、もう少し具体的に聞きたい。
A.ひとつは、トラブル時にどれだけ迅速にサービスを回復できるかだ。そしてもうひとつが、トラブルが起こったとしてもサービスに影響が出ないようにするということ。二重化したり切り替えの予備を設けたりといったことを、普段から常に心がけて進めている。
Q.収益化について聞きたい。現在何社くらいから受託していて今後どれくらいにまで拡大していきたいのか。
A.具体的な数字は非公開だ。スタートしたばかりなので数としてはまだそれほど多くない。今後は、映像系ビジネスの拡大にあわせてビジネス化していきたい。オペレーションだけでビジネス化は難しいかもしれないので、例えば配信プラットフォームの提供を希望するお客様に対して、オペレーションセンターを見せて受注につなげるようなこともあるかもしれない。
Q.5Gが実用化されれば、VRなど今までにない映像配信が始まるだろう。そうしたものの監視オペレーションも視野に入れているのか。
A.おっしゃる通り、例えばVRでのパブリックビューイングなどもあるだろう。そうした場合にしっかりと品質を保証していくことが求められる。そうした意味で5G時代のこともしっかりと視野に入っている。
Q.先日、吉本興業とNTTが、5G技術も活用しながら教育コンテンツ等を国内外に発信していく国産プラットフォーム事業「ラフアンドピースマザー」を共同で行っていくことを発表した。ここにもNTTぷららは関係してくるのか。
A.我々が直接出資しているわけではないが、NTTグループのなかで我々が唯一配信の仕組みを持っている。持ち株(NTT本体)のほうからも協力を要請されているので、何かしら一緒にやっていくことになるのではないかと思う。
Q.今後のビジネスではどんな需要があると思っているか。
A.スマートフォン向けの市場が拡大していくだろう。OTT事業者が非常に積極的に展開している。我々も送れないようにやっていきたい。また、我々も「新体感ライブ」(詳細記事:これぞドコモ流の音楽・映像配信! 乃木坂46も生配信する「新体感ライブ」の本気度に迫る)のような新しいものを提案しているが、これまで経験してことのないようなものをビジネスとしてやっていければと思う。