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公開日 2019/07/16 12:42
僅か1か月半で着信数は1.3倍、受注率は1.5倍へ
AIが「生協の電話注文」を変革。U-NEXTマーケティング「AIコンシェルジュ」導入でコープこうべはどう変わった?
PHILE WEB ビジネス編集部・竹内純
■音声認識で自動注文サービスを劇的に改善
コールセンター受託運営事業やAIコンシェルジュ事業を手掛けるUSEN-NEXT GROUPの「U-NEXTマーケティング」は、生活協同組合「コープこうべ」に、音声認識による自動応答サービス「AIコンシェルジュ」を提供。電話による自動注文の受け付けが4月2日より開始され、着信数や受注率に大きな改善効果が表れている。
コープこうべではこれまで、注文センターの電話注文を補完する機能として、ダイヤルプッシュ式で注文を受け付ける自動音声注文サービスを提供していた。しかし、「新規の注文を受け付ける機能に限定されている」「注文した内容を確認したり・変更したりできない」「プッシュ操作が面倒くさい」「有人の注文センターへの電話が減らない」といった課題を抱えていた。
U-NEXTマーケティングが提供する「AIコンシェルジュ」は、人の発する言葉を認識し、その発話内容に対して辞書やデータベースに基づいた適切な回答を抽出し、音声合成で回答するというもの。今回、コープこうべに導入されたAIコンシェルジュによる自動音声注文サービスでは、組合員が電話をかけると、組合員番号や電話番号がリアルタイムで音声認識され、注文したい商品番号を話せば自動的に注文が受け付けられる。自動音声注文サービスで注文した内容の「変更」「キャンセル」「確認」などの手続きも可能。従来のダイヤルプッシュ式による注文にも引き続き対応しており、音声とプッシュを併用して注文を受け付ける。
コープこうべでは新サービスの導入から1カ月半で着信率は130%、受注率は150%へ劇的に伸長。これまでの課題を解決すると同時に、注文時の利便性や満足度の向上、電話注文が集中する時間帯に電話がつながりにくい状況の解消、これまで受け付けが行えなかった早朝や深夜などサービス時間外への受付対応を実現。深刻な人出不足に対する大きな成果も期待される。
U-NEXTマーケティング代表取締役社長・溝辺和広氏は「音声認識率は何%なのかとよく聞かれるのですが、そもそも皆さんが比較の基準としている人の応対による認識率が100%でないことにあまり気づかれていません」と指摘する。
コープこうべが採用していたダイヤルプッシュ式の自動音声サービスと同社音声認識による自動応答サービス「AIコンシェルジュ」を比較した同社の実証データがある。これによると、打ち間違いなどもあまりなく、ほぼ100%に近いと思われているダイヤルプッシュ式自動音声注文サービスの正答率は78.7%、これに対し、音声認識は95.6%だ。「皆さんが勝手に思い込んでいるものとは反対の結果なのではないでしょうか。実際に数字を見ると、本当に驚かされます」。
コープこうべでは、入電(着信)数に対し、受電対応者(オペレータ)が電話を取って対応した数の割合を示す受電率が、新サービス導入後、実に99.6%に達している。「99.6%という受電率をマンパワーで実現しようとしたら、相当なコストを覚悟しないと実現できません。13人分の自動化を実現していることになります」と説明する。コープこうべは、約140万人の組合員数と約160の店舗、供給高は2,424億円と最大規模を誇る生活協同組合で、自動化による省人化・効率化は避けては通れないテーマ。この結果に対し、「すでに他の生協さんからもお話をいただいています。今後、生協さんでは当たり前のシステムになっていくかもしれません」。
■影に隠された地道な人海戦術
SiriやAIスピーカーなど、音声認識が身の回りの生活の中で当たり前になっていくが、「社会の仕組みや企業の技術としては実はまだまだこれからの領域です。手掛けている企業はうちをはじめ少数に限られます。なにより受け入れる企業の側が、目に留まる事例が出てきたとか、ライバル企業が入れたからとかといった次元にとどまっているのが実情です」。
そこで、トップブランドとして信頼を勝ち取るU-NEXTマーケティング。その強みを溝辺氏は「わたしたちはサービスの企画・設計から、運用開始後の精度向上に至るまで、ワンストップでお手伝いできるのが他社との大きな違いであり、強みになります。運用あっての技術。それぞれの会社へのAIコンシェルジュ導入に際しても、まず、運用の見直しから議論を始め、設計にも一から関わります」。
導入から数カ月が経過したコープこうべ。開発を担当した同社AIソリューション事業部AIコンシェルジュGr.三村華奈氏は「決まった組合員さんがリピートで利用されていくので、どんどん使い慣れて、しっかり注文を完了する人が増えています」と利便性はさらに高まっている。しかし、華やかに見える舞台裏は、実は地道な作業の積み重ねだ。
「わたしたちがすべてのやりとりを聴いてテキストに起こします。それを、AIの対応履歴を保存したテキストと比較して、ひとつひとつ地道に改善していきます」。システムに変更があれば、またそこもチェックをする。こうした作業が立ち上げから約3カ月にわたり続けられるという。「地味な作業ですが、そこは技術的な知識がある人がきちんと聞いて確認しておかなければシステムに反映することができません」。
高齢化や買い物難民などの社会課題が指摘される中、コープこうべが提供するAIコンシェルジュによる自動音声注文サービスは、日々の生活に寄り添う身近なもの。だからこそ、そこにはさらなる可能性が拡がる。そのひとつとして着目するのが、より精度の高い世論調査の実現もそのひとつ。7月21日には参議院選挙が行われる。選挙への関心度や政党支持率などについて、IVR(Interactive Voice Response/自動音声応答)を使った世論調査が珍しくないが、「その結果にバイアスがかかっていないのか大変気になります。数多くの政党があり、その順番ひとつとっても課題があるはず。それが、音声認識による受け答えなら、より正しい結果を導き出せます。回答時の煩わしさそのものも解消され、回答率も高まるはずです」と指摘する。
■切迫する企業課題“単純労働からの解放”
新たなチャレンジとして取り組むのが、コミュニケーションを自動化する「サイネージ」。例えば、受付をサイネージにすれば省人化できるが、「それだけではなく、少しエンターテインメントの要素を加えて差別化したいと考えています。3Dで、キャラクターも明確に打ち出すことで、『お手洗いはどちらですか?』と聞かれて、『あちらです』と単純に受け答えるのではなく、『案内板を見たらわかるでしょ』とちょっと塩対応をしてもらうとか(笑)。また、例えば家電量販店で普段はパソコンの説明をしていますが、定時になると10分間、全国一斉に生配信ライブを行う。そこにファンが集まるようになれば集客面から貢献できます。いろいろな仕掛けができるはずです」と腕を鳴らす。
肝になるのが同社の強みである音声認識エンジン。「対話の言葉はエンジンで分類していきますが、人間に適材適所があるように、対話エンジンも得意分野に応じて複数のものを使い分けることを考えています」と語る三村氏。「対話エンジンを内製化する強みを活かし、提示された課題をすべて巻き取り、チューニングするところまで可視化していきます。可変型で対応できるエンジンを持つ会社は恐らくまだありませんし、エンジンが複数になれば商品価値はさらに上がっていきます」と力を込める。
「テーマは“自動化”、もっとわかりやすく言えば“単純労働からの解放”ですね。われわれのサービスを使うことで、コミュニケーションやBtoB、ものづくり、テクノロジー、さらには海外展開へなどに資源の再配分が図ることが可能になります。人材の最適活用を実現していきたい」と訴える溝辺氏。「東京オリンピックが終了後、景気は徐々に悪化するのではないかと言われています。マーケットの分母が小さくなれば、当然、固定費の圧縮が必要になる。そうした課題に対し、われわれへの問い合わせも増えており、各社が真剣に動き出していることを実感します。本格的な冬の時代になってからでは遅すぎますから」と訴える溝辺氏。多様なアウトソーシングや自動化のニーズに対応するU-NEXTマーケティング。企業価値を高めていくサポートで、さらに存在感を高めていく構えだ。
コールセンター受託運営事業やAIコンシェルジュ事業を手掛けるUSEN-NEXT GROUPの「U-NEXTマーケティング」は、生活協同組合「コープこうべ」に、音声認識による自動応答サービス「AIコンシェルジュ」を提供。電話による自動注文の受け付けが4月2日より開始され、着信数や受注率に大きな改善効果が表れている。
コープこうべではこれまで、注文センターの電話注文を補完する機能として、ダイヤルプッシュ式で注文を受け付ける自動音声注文サービスを提供していた。しかし、「新規の注文を受け付ける機能に限定されている」「注文した内容を確認したり・変更したりできない」「プッシュ操作が面倒くさい」「有人の注文センターへの電話が減らない」といった課題を抱えていた。
U-NEXTマーケティングが提供する「AIコンシェルジュ」は、人の発する言葉を認識し、その発話内容に対して辞書やデータベースに基づいた適切な回答を抽出し、音声合成で回答するというもの。今回、コープこうべに導入されたAIコンシェルジュによる自動音声注文サービスでは、組合員が電話をかけると、組合員番号や電話番号がリアルタイムで音声認識され、注文したい商品番号を話せば自動的に注文が受け付けられる。自動音声注文サービスで注文した内容の「変更」「キャンセル」「確認」などの手続きも可能。従来のダイヤルプッシュ式による注文にも引き続き対応しており、音声とプッシュを併用して注文を受け付ける。
コープこうべでは新サービスの導入から1カ月半で着信率は130%、受注率は150%へ劇的に伸長。これまでの課題を解決すると同時に、注文時の利便性や満足度の向上、電話注文が集中する時間帯に電話がつながりにくい状況の解消、これまで受け付けが行えなかった早朝や深夜などサービス時間外への受付対応を実現。深刻な人出不足に対する大きな成果も期待される。
U-NEXTマーケティング代表取締役社長・溝辺和広氏は「音声認識率は何%なのかとよく聞かれるのですが、そもそも皆さんが比較の基準としている人の応対による認識率が100%でないことにあまり気づかれていません」と指摘する。
コープこうべが採用していたダイヤルプッシュ式の自動音声サービスと同社音声認識による自動応答サービス「AIコンシェルジュ」を比較した同社の実証データがある。これによると、打ち間違いなどもあまりなく、ほぼ100%に近いと思われているダイヤルプッシュ式自動音声注文サービスの正答率は78.7%、これに対し、音声認識は95.6%だ。「皆さんが勝手に思い込んでいるものとは反対の結果なのではないでしょうか。実際に数字を見ると、本当に驚かされます」。
コープこうべでは、入電(着信)数に対し、受電対応者(オペレータ)が電話を取って対応した数の割合を示す受電率が、新サービス導入後、実に99.6%に達している。「99.6%という受電率をマンパワーで実現しようとしたら、相当なコストを覚悟しないと実現できません。13人分の自動化を実現していることになります」と説明する。コープこうべは、約140万人の組合員数と約160の店舗、供給高は2,424億円と最大規模を誇る生活協同組合で、自動化による省人化・効率化は避けては通れないテーマ。この結果に対し、「すでに他の生協さんからもお話をいただいています。今後、生協さんでは当たり前のシステムになっていくかもしれません」。
■影に隠された地道な人海戦術
SiriやAIスピーカーなど、音声認識が身の回りの生活の中で当たり前になっていくが、「社会の仕組みや企業の技術としては実はまだまだこれからの領域です。手掛けている企業はうちをはじめ少数に限られます。なにより受け入れる企業の側が、目に留まる事例が出てきたとか、ライバル企業が入れたからとかといった次元にとどまっているのが実情です」。
そこで、トップブランドとして信頼を勝ち取るU-NEXTマーケティング。その強みを溝辺氏は「わたしたちはサービスの企画・設計から、運用開始後の精度向上に至るまで、ワンストップでお手伝いできるのが他社との大きな違いであり、強みになります。運用あっての技術。それぞれの会社へのAIコンシェルジュ導入に際しても、まず、運用の見直しから議論を始め、設計にも一から関わります」。
導入から数カ月が経過したコープこうべ。開発を担当した同社AIソリューション事業部AIコンシェルジュGr.三村華奈氏は「決まった組合員さんがリピートで利用されていくので、どんどん使い慣れて、しっかり注文を完了する人が増えています」と利便性はさらに高まっている。しかし、華やかに見える舞台裏は、実は地道な作業の積み重ねだ。
「わたしたちがすべてのやりとりを聴いてテキストに起こします。それを、AIの対応履歴を保存したテキストと比較して、ひとつひとつ地道に改善していきます」。システムに変更があれば、またそこもチェックをする。こうした作業が立ち上げから約3カ月にわたり続けられるという。「地味な作業ですが、そこは技術的な知識がある人がきちんと聞いて確認しておかなければシステムに反映することができません」。
高齢化や買い物難民などの社会課題が指摘される中、コープこうべが提供するAIコンシェルジュによる自動音声注文サービスは、日々の生活に寄り添う身近なもの。だからこそ、そこにはさらなる可能性が拡がる。そのひとつとして着目するのが、より精度の高い世論調査の実現もそのひとつ。7月21日には参議院選挙が行われる。選挙への関心度や政党支持率などについて、IVR(Interactive Voice Response/自動音声応答)を使った世論調査が珍しくないが、「その結果にバイアスがかかっていないのか大変気になります。数多くの政党があり、その順番ひとつとっても課題があるはず。それが、音声認識による受け答えなら、より正しい結果を導き出せます。回答時の煩わしさそのものも解消され、回答率も高まるはずです」と指摘する。
■切迫する企業課題“単純労働からの解放”
新たなチャレンジとして取り組むのが、コミュニケーションを自動化する「サイネージ」。例えば、受付をサイネージにすれば省人化できるが、「それだけではなく、少しエンターテインメントの要素を加えて差別化したいと考えています。3Dで、キャラクターも明確に打ち出すことで、『お手洗いはどちらですか?』と聞かれて、『あちらです』と単純に受け答えるのではなく、『案内板を見たらわかるでしょ』とちょっと塩対応をしてもらうとか(笑)。また、例えば家電量販店で普段はパソコンの説明をしていますが、定時になると10分間、全国一斉に生配信ライブを行う。そこにファンが集まるようになれば集客面から貢献できます。いろいろな仕掛けができるはずです」と腕を鳴らす。
肝になるのが同社の強みである音声認識エンジン。「対話の言葉はエンジンで分類していきますが、人間に適材適所があるように、対話エンジンも得意分野に応じて複数のものを使い分けることを考えています」と語る三村氏。「対話エンジンを内製化する強みを活かし、提示された課題をすべて巻き取り、チューニングするところまで可視化していきます。可変型で対応できるエンジンを持つ会社は恐らくまだありませんし、エンジンが複数になれば商品価値はさらに上がっていきます」と力を込める。
「テーマは“自動化”、もっとわかりやすく言えば“単純労働からの解放”ですね。われわれのサービスを使うことで、コミュニケーションやBtoB、ものづくり、テクノロジー、さらには海外展開へなどに資源の再配分が図ることが可能になります。人材の最適活用を実現していきたい」と訴える溝辺氏。「東京オリンピックが終了後、景気は徐々に悪化するのではないかと言われています。マーケットの分母が小さくなれば、当然、固定費の圧縮が必要になる。そうした課題に対し、われわれへの問い合わせも増えており、各社が真剣に動き出していることを実感します。本格的な冬の時代になってからでは遅すぎますから」と訴える溝辺氏。多様なアウトソーシングや自動化のニーズに対応するU-NEXTマーケティング。企業価値を高めていくサポートで、さらに存在感を高めていく構えだ。
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