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公開日 2020/01/14 12:00
サウンド面を大きく強化
<CES>ソニーが披露した新8K液晶テレビ「Z8H」/4K有機ELテレビ「A8H」の進化ポイントを確認
折原一也
米国ラスベガスで開催された「CES 2020」会場で、ソニーは薄型テレビ “ブラビア“ の海外向けラインナップとして8K液晶テレビ「Z8H」(85/75インチ)、4K有機ELテレビ「A8H」(65/55インチ)を披露した。展示されたのはまだ試作機だったが、画質デモと共に、画質設計の井川氏・音質設計の板山氏に最新モデルのポイントをうかがうことができたのでレポートしよう。
CES 2020で発表されたラインナップの考え方は、すでに存在している8K対応の高画質プロセッサー「X1 Ultimate」を搭載するラインナップを拡張、下方展開していくという考えだ。液晶テレビについては、海外で昨年から8Kテレビの「Z9G」(98/85インチ)を発売中なので、Z8Hはよりリーズナブルなラインとして展開。有機ELテレビも、2019年モデル「A9G」に対してA8Hという名称の位置づけで考えると、それに次ぐ2番目のラインの拡大だろう。なお、発表時点では米国・日本とも発売時期や価格は未定だ。
■8K液晶テレビ「Z8H」はフレームを振動させて音を出す「Frame Tweeter」搭載
8K液晶テレビのZ8Hについては、「Full Array LED(直下型LED部分駆動)」に加えて、視野角を広げる 「X-Wide Angle」「X-motion Clarity」と、昨年から提供されていた高画質機能を搭載。デザインコンセプトは「IMMERSIVE EDGE」で、ソニーが2017年に発売した有機ELテレビ「A1E」で打ち出した “画面のみ” という方向性を継承している。現行機種と同じく画面傾斜はなく、スタンドは設置箇所にあわせて、画面とほぼ同じ幅となる両サイド、もしくは中央に寄せた狭い幅の2パターンで取り付け方法を選択可能な「ノイズレススタンド」だ。
そして、Z8Hの特徴的なスピーカー機能が「Frame Tweeter(フレーム トゥイーター)」だ。これは画面左右のフレーム部分を振動させて音を出す構造で、有機ELテレビの画面を振動させて音を出す「アコースティック サーフェス」と同じ発想を液晶テレビのフレームに展開したという考え方が分かりやすい。
ウーファーも背面下部の左右に内蔵しているので、Frame Tweeterは画面横の位置から音を出して、より高い位置に音像定位させる役割を果たしている。なお、正確にはフレーム全体ではなく、画面の高いエリアにアクチュエーターを設置、構造的に厚みを変える事で振動をコントロールしている。
もう一つの新機軸のサウンド機能が「Acoustic Auto Calibration」、つまり自動音場補正だ。これはブラビア付属リモコンのマイクを利用して壁からの反響音などを計測し、音響特性を正確な周波数特性に補正する。音の特性としては、ソニーがテレビの音響特性の設計をしている部屋の特性に近づける補正が行われる。
実際にZ8Hの画質をチェックしてみると、8K液晶テレビらしく直下型LEDバックライトとエリア駆動の完成度が高い。バックライト方式では、映画の黒幕部分との間を黒沈みせずコントロールしたり、輝度変化の起こるシチュエーションなど対応が難しい映像に対して、部分制御により違和感なく映像を表示する精度が重要だが、そこにソニーの技術が発揮されている。なお、液晶テレビの弱点である視野角についても、ソニー独自の広視野角技術X-Wideを導入(水平方向のみ)することでカバーしている。
サウンド面では、音の特性がよくコントロールされており、自然。映像と音を一体化させるというソニーの薄型テレビの方向性を示してきた形だ。
■有機ELテレビ「A8H」は暗部階調とサブウーファーを強化
4K有機ELテレビのA8Hは、明るさを損ねずに動きを補正するX-Motion Clarity機能を有機ELテレビとして初搭載。暗部階調については、駆動技術、回路制御などから画質向上を図っている。
サウンドは引き続き画面を振動させるアコースティック サーフェスを搭載すると共に、新たに左右で独立した2基のサブウーファーを搭載した。従来はウーファーが人の声の帯域までカバーしており、声がぼやけると言われることもあったため、サウンド全体の設計の構成を変更。画面を振動させるアクチュエーターの担当する帯域を拡張し声の帯域もカバーしている。アコースティック サーフェス搭載機として4代目の製品となり、画面を振動させる構造としても、音質向上のノウハウが蓄積されてきたという訳だ。
有機ELのパネルも試作段階というA8Hの画質は、暗部階調の表現力を深めていく方向を踏襲している。詳細な評価はまた製品に近いサンプルが出てからの話になるが、有機ELらしい漆黒を極めていく方向性となりそうだ。
機能面のアップデートも実施。画質モードの表示がイラスト入りになり、デバイス接続時に機能や信号フォーマット、ボイスコントロールに対するヒント表示を追加といった操作性の改良や、アップル「AirPlay2」「HomeKit」対応、さらには「work with amazon alexa」対応も行われる。画質だけでなく使い勝手も向上するだろう。
最後に、会場にはその姿がなかったが、北米向けの48型の4K有機ELテレビ「48A9S」も発表。48型という今までにないパネルサイズ、そして同日発表された他機種と異なり、ソニーの “MASTER SERIES” としての展開にも注目。現在、開発進行中とのことなので、こちらも期待したいところだ。
(折原一也)
CES 2020で発表されたラインナップの考え方は、すでに存在している8K対応の高画質プロセッサー「X1 Ultimate」を搭載するラインナップを拡張、下方展開していくという考えだ。液晶テレビについては、海外で昨年から8Kテレビの「Z9G」(98/85インチ)を発売中なので、Z8Hはよりリーズナブルなラインとして展開。有機ELテレビも、2019年モデル「A9G」に対してA8Hという名称の位置づけで考えると、それに次ぐ2番目のラインの拡大だろう。なお、発表時点では米国・日本とも発売時期や価格は未定だ。
■8K液晶テレビ「Z8H」はフレームを振動させて音を出す「Frame Tweeter」搭載
8K液晶テレビのZ8Hについては、「Full Array LED(直下型LED部分駆動)」に加えて、視野角を広げる 「X-Wide Angle」「X-motion Clarity」と、昨年から提供されていた高画質機能を搭載。デザインコンセプトは「IMMERSIVE EDGE」で、ソニーが2017年に発売した有機ELテレビ「A1E」で打ち出した “画面のみ” という方向性を継承している。現行機種と同じく画面傾斜はなく、スタンドは設置箇所にあわせて、画面とほぼ同じ幅となる両サイド、もしくは中央に寄せた狭い幅の2パターンで取り付け方法を選択可能な「ノイズレススタンド」だ。
そして、Z8Hの特徴的なスピーカー機能が「Frame Tweeter(フレーム トゥイーター)」だ。これは画面左右のフレーム部分を振動させて音を出す構造で、有機ELテレビの画面を振動させて音を出す「アコースティック サーフェス」と同じ発想を液晶テレビのフレームに展開したという考え方が分かりやすい。
ウーファーも背面下部の左右に内蔵しているので、Frame Tweeterは画面横の位置から音を出して、より高い位置に音像定位させる役割を果たしている。なお、正確にはフレーム全体ではなく、画面の高いエリアにアクチュエーターを設置、構造的に厚みを変える事で振動をコントロールしている。
もう一つの新機軸のサウンド機能が「Acoustic Auto Calibration」、つまり自動音場補正だ。これはブラビア付属リモコンのマイクを利用して壁からの反響音などを計測し、音響特性を正確な周波数特性に補正する。音の特性としては、ソニーがテレビの音響特性の設計をしている部屋の特性に近づける補正が行われる。
実際にZ8Hの画質をチェックしてみると、8K液晶テレビらしく直下型LEDバックライトとエリア駆動の完成度が高い。バックライト方式では、映画の黒幕部分との間を黒沈みせずコントロールしたり、輝度変化の起こるシチュエーションなど対応が難しい映像に対して、部分制御により違和感なく映像を表示する精度が重要だが、そこにソニーの技術が発揮されている。なお、液晶テレビの弱点である視野角についても、ソニー独自の広視野角技術X-Wideを導入(水平方向のみ)することでカバーしている。
サウンド面では、音の特性がよくコントロールされており、自然。映像と音を一体化させるというソニーの薄型テレビの方向性を示してきた形だ。
■有機ELテレビ「A8H」は暗部階調とサブウーファーを強化
4K有機ELテレビのA8Hは、明るさを損ねずに動きを補正するX-Motion Clarity機能を有機ELテレビとして初搭載。暗部階調については、駆動技術、回路制御などから画質向上を図っている。
サウンドは引き続き画面を振動させるアコースティック サーフェスを搭載すると共に、新たに左右で独立した2基のサブウーファーを搭載した。従来はウーファーが人の声の帯域までカバーしており、声がぼやけると言われることもあったため、サウンド全体の設計の構成を変更。画面を振動させるアクチュエーターの担当する帯域を拡張し声の帯域もカバーしている。アコースティック サーフェス搭載機として4代目の製品となり、画面を振動させる構造としても、音質向上のノウハウが蓄積されてきたという訳だ。
有機ELのパネルも試作段階というA8Hの画質は、暗部階調の表現力を深めていく方向を踏襲している。詳細な評価はまた製品に近いサンプルが出てからの話になるが、有機ELらしい漆黒を極めていく方向性となりそうだ。
機能面のアップデートも実施。画質モードの表示がイラスト入りになり、デバイス接続時に機能や信号フォーマット、ボイスコントロールに対するヒント表示を追加といった操作性の改良や、アップル「AirPlay2」「HomeKit」対応、さらには「work with amazon alexa」対応も行われる。画質だけでなく使い勝手も向上するだろう。
最後に、会場にはその姿がなかったが、北米向けの48型の4K有機ELテレビ「48A9S」も発表。48型という今までにないパネルサイズ、そして同日発表された他機種と異なり、ソニーの “MASTER SERIES” としての展開にも注目。現在、開発進行中とのことなので、こちらも期待したいところだ。
(折原一也)