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公開日 2022/01/20 18:00
デノンサウンドバーのミドル帯
デノン、初のイネーブルド搭載サウンドバー「DHT-S517」。ドルビーアトモス対応、税込59800円前後
編集部:杉山康介
デノンは、ブランド初のDolby Atmosイネーブルドスピーカー内蔵サウンドバー「DHT-S517」を、1月下旬より発売する。価格はオープンだが、税込59,800円前後での実売が想定される。
同社の田中清崇氏によれば、デノンのサウンドバー製品は、2019年発売のエントリーモデル「DHT-S216」が大ヒットを記録するとともに、昨年発売のDolby Atmos対応モデル「DENON HOME SOUND BAR 550」も好評を博しているという。
今回の「DHT-S517」はその間を埋めるミドル帯のモデルで、Dolby Atmosに対応しながら、HEOSなどのネットワーク機能は非搭載となっており、エントリーモデル同様にシンプルな使い勝手で、高音質を楽しめる製品としている。
スピーカーはフロントL/R用に25mmトゥイーターと120×40mmミッドレンジを各1基ずつ、センター用に25mmフルレンジを1基、66mmイネーブルドを左右1基ずつの計7ドライバーを搭載。これにワイヤレスサブウーファーを加えた3.1.2ch構成となる。
センタースピーカーは人の声の再現性を高めるために搭載されたもので、アルミ振動板の採用によりスムーズな高域特性を実現。イネーブルドスピーカーはDolby Atmos認証を獲得しており、バーチャルサラウンドでは再現できないリアルな3Dサウンドを再生するという。トゥイーターとセンタースピーカーには音響リブが採用されるほか、筐体内では各chごとに空気室を分割している。
筐体はFEM(有限要素法)による強度解析を用いて設計し、不要な振動を抑制。透明感の高いサウンドを実現するとともに、ファブリック生地で覆われた前側に細かくリブを入れることで剛性を確保したとのこと。
ワイヤレスサブウーファーには150mmの大口径ドライバーを搭載しており、デノンの求めるストレート&ハイスピードなサウンドを実現するため、フロント向きで配置。バスレフポートも風切り音を低減するため、繋ぎ目のない一体成型のものを新設計し採用している。
SoCには同社ハイエンドAVアンプで搭載しているものをグレードアップして採用。ほか音質向上のため、ソース毎の入力レベルのバラつきを調節する「ボリュームレベラー」の排除、アンプとスピーカーターミナルを最短経路で繋ぐ「ミニマムシグナルパス」、ワイヤレス部/HDMIデジタル部からアンプ部を離すことでノイズによる干渉の低減などを実施している。
音声フォーマットではDolby Atmosに加えMPEG-4 AACに対応。なお、DTSは非対応のためリニアPCMに変換して再生するかたちとなるが、この理由については「Blu-rayソフトからNetflixやDisney+、Apple Musicなどの配信サービスまで、現在の立体音響作品は大部分がDolby Atmosを採用しているため、比較的採用例の少ないDTSは対応を見送り、その分開発コストを下げた」とのこと。
サウンドモードは「MOVIE」「MUSIC」「NIGHT」に加え、バーチャルサラウンドやアップミックスなどの処理をバイパスし、高純度な再生が可能な「PURE」の4種類を搭載。サウンドチューニングは同社サウンドマスターの山内慎一氏が担当しており、特に全てのベースとなるPUREモードは40回以上に及ぶテストを繰り返し、音源の魅力をストレートに引き出す理想的な音質を突き詰めたという。
MOVIE/MUSICモード時には、通常のステレオや5.1ch、7.1ch音源をアップミックスし、3Dサウンドとして再生。PUREモード時はアップミックス機能がオフになる。
端子は4K/60Hz対応のHDMI入出力を1系統ずつと、光デジタルとAUXの入力を各1系統ずつ装備。HDMIはeARCでの接続のほか、HDR10/Dolby Vision/HLGに加えHDR10+、Dynamic HDRに対応する。またBluetooth接続も可能で、コーデックはSBCに対応。
サウンドバー本体の外形寸法/質量は1050W×60H×95Dmm/2.5kgで、サブウーファーは172W×370H×290Dmm/4.3kg。パッケージには専用リモコンなどが付属する。
■編集部インプレッション
今回、発売前に本製品を試聴する機会があったので、簡単にインプレッションを記したい。
最初にオーディオ的な性能を確かめるため、音楽ソースをPUREモードで試聴。アカペラコーラスの作品を聴いてみると、何よりもまず、「さすがは山内さん」と言いたくなるような澄んだ音が飛び込んでくる。サウンドバーとは思えないほど音場が広く、その空間を贅沢に使って各メンバーの歌声を描き分けるのだが、ユニゾンパートでは一転、全員の声が綺麗に溶け合うさまからは、「音楽を制作者の意図通りに再生する」というHi-Fiオーディオの精神性を感じた。
続いて『地獄の黙示録』UHD-BDをMOVIEモードで試聴すると、頭上を通過するヘリコプターのプロペラ音や、木々の上にいる鳥のさえずりをリアルに再現してくれる。『フォードVSフェラーリ』でも、レーシングカーが真横を過ぎ去るような感覚や、迫力あるエンジン音までしっかりと楽しませてくれた。
ちなみにMOVIEモード/MUSICモードは、「スピーカーシステムで再生したとき」のような音場感を楽しめるようチューニングしたとのこと。確かにPUREモードよりも空間性が広く、開放的かつゴージャスで音楽・映画ともに楽しくなる印象。一方、繊細な表現力や密度感はPUREモードの方が高いため、うまく使い分けていきたい。
◇
通常の2ch・3chシステムでもある程度の高さ表現は可能だが、イネーブルドスピーカーで“高さ軸”を追加することの効果は絶大。それこそ音場が2次元から3次元に広がったかのようで、より臨場感のある映画体験が楽しめた。
NetflixやApple Musicなど、Dolby Atmosが身近になった今、サウンドバー+サブウーファーの2アイテムだけで楽しめるという手軽さは魅力的。テレビの音質アップのみならず、“Dolby Atmos入門”にも最適なモデルではないだろうか。
同社の田中清崇氏によれば、デノンのサウンドバー製品は、2019年発売のエントリーモデル「DHT-S216」が大ヒットを記録するとともに、昨年発売のDolby Atmos対応モデル「DENON HOME SOUND BAR 550」も好評を博しているという。
今回の「DHT-S517」はその間を埋めるミドル帯のモデルで、Dolby Atmosに対応しながら、HEOSなどのネットワーク機能は非搭載となっており、エントリーモデル同様にシンプルな使い勝手で、高音質を楽しめる製品としている。
スピーカーはフロントL/R用に25mmトゥイーターと120×40mmミッドレンジを各1基ずつ、センター用に25mmフルレンジを1基、66mmイネーブルドを左右1基ずつの計7ドライバーを搭載。これにワイヤレスサブウーファーを加えた3.1.2ch構成となる。
センタースピーカーは人の声の再現性を高めるために搭載されたもので、アルミ振動板の採用によりスムーズな高域特性を実現。イネーブルドスピーカーはDolby Atmos認証を獲得しており、バーチャルサラウンドでは再現できないリアルな3Dサウンドを再生するという。トゥイーターとセンタースピーカーには音響リブが採用されるほか、筐体内では各chごとに空気室を分割している。
筐体はFEM(有限要素法)による強度解析を用いて設計し、不要な振動を抑制。透明感の高いサウンドを実現するとともに、ファブリック生地で覆われた前側に細かくリブを入れることで剛性を確保したとのこと。
ワイヤレスサブウーファーには150mmの大口径ドライバーを搭載しており、デノンの求めるストレート&ハイスピードなサウンドを実現するため、フロント向きで配置。バスレフポートも風切り音を低減するため、繋ぎ目のない一体成型のものを新設計し採用している。
SoCには同社ハイエンドAVアンプで搭載しているものをグレードアップして採用。ほか音質向上のため、ソース毎の入力レベルのバラつきを調節する「ボリュームレベラー」の排除、アンプとスピーカーターミナルを最短経路で繋ぐ「ミニマムシグナルパス」、ワイヤレス部/HDMIデジタル部からアンプ部を離すことでノイズによる干渉の低減などを実施している。
音声フォーマットではDolby Atmosに加えMPEG-4 AACに対応。なお、DTSは非対応のためリニアPCMに変換して再生するかたちとなるが、この理由については「Blu-rayソフトからNetflixやDisney+、Apple Musicなどの配信サービスまで、現在の立体音響作品は大部分がDolby Atmosを採用しているため、比較的採用例の少ないDTSは対応を見送り、その分開発コストを下げた」とのこと。
サウンドモードは「MOVIE」「MUSIC」「NIGHT」に加え、バーチャルサラウンドやアップミックスなどの処理をバイパスし、高純度な再生が可能な「PURE」の4種類を搭載。サウンドチューニングは同社サウンドマスターの山内慎一氏が担当しており、特に全てのベースとなるPUREモードは40回以上に及ぶテストを繰り返し、音源の魅力をストレートに引き出す理想的な音質を突き詰めたという。
MOVIE/MUSICモード時には、通常のステレオや5.1ch、7.1ch音源をアップミックスし、3Dサウンドとして再生。PUREモード時はアップミックス機能がオフになる。
端子は4K/60Hz対応のHDMI入出力を1系統ずつと、光デジタルとAUXの入力を各1系統ずつ装備。HDMIはeARCでの接続のほか、HDR10/Dolby Vision/HLGに加えHDR10+、Dynamic HDRに対応する。またBluetooth接続も可能で、コーデックはSBCに対応。
サウンドバー本体の外形寸法/質量は1050W×60H×95Dmm/2.5kgで、サブウーファーは172W×370H×290Dmm/4.3kg。パッケージには専用リモコンなどが付属する。
■編集部インプレッション
今回、発売前に本製品を試聴する機会があったので、簡単にインプレッションを記したい。
最初にオーディオ的な性能を確かめるため、音楽ソースをPUREモードで試聴。アカペラコーラスの作品を聴いてみると、何よりもまず、「さすがは山内さん」と言いたくなるような澄んだ音が飛び込んでくる。サウンドバーとは思えないほど音場が広く、その空間を贅沢に使って各メンバーの歌声を描き分けるのだが、ユニゾンパートでは一転、全員の声が綺麗に溶け合うさまからは、「音楽を制作者の意図通りに再生する」というHi-Fiオーディオの精神性を感じた。
続いて『地獄の黙示録』UHD-BDをMOVIEモードで試聴すると、頭上を通過するヘリコプターのプロペラ音や、木々の上にいる鳥のさえずりをリアルに再現してくれる。『フォードVSフェラーリ』でも、レーシングカーが真横を過ぎ去るような感覚や、迫力あるエンジン音までしっかりと楽しませてくれた。
ちなみにMOVIEモード/MUSICモードは、「スピーカーシステムで再生したとき」のような音場感を楽しめるようチューニングしたとのこと。確かにPUREモードよりも空間性が広く、開放的かつゴージャスで音楽・映画ともに楽しくなる印象。一方、繊細な表現力や密度感はPUREモードの方が高いため、うまく使い分けていきたい。
通常の2ch・3chシステムでもある程度の高さ表現は可能だが、イネーブルドスピーカーで“高さ軸”を追加することの効果は絶大。それこそ音場が2次元から3次元に広がったかのようで、より臨場感のある映画体験が楽しめた。
NetflixやApple Musicなど、Dolby Atmosが身近になった今、サウンドバー+サブウーファーの2アイテムだけで楽しめるという手軽さは魅力的。テレビの音質アップのみならず、“Dolby Atmos入門”にも最適なモデルではないだろうか。