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公開日 2022/06/21 11:14
東京国立博物館との共同プロジェクト

謎多き能面「伝山姥」に8K映像で迫る番組、NHK BS8Kで6/26放送

ファイルウェブ編集部・筑井真奈
NHKと東京国立博物館が共同で行っている、最新テクノロジーを用いて貴重な文化財を3次元CGで表現する「8K文化財プロジェクト」。これまでに「洛中洛外図屏風 舟木本」や「遮光器土偶」といった歴史の教科書にも登場する貴重な文化財を追ってきたが、新たに「伝山姥(でんやまんば)」という鬼の能面の秘密に迫るプロジェクトが進められている。このプロジェクトの模様は、6月26日の19時より、BS8Kにて「見たことのない文化財 人間国宝 最初で最後の舞」として放映される。

杏さんとSAMさんが「伝山姥」の能面の秘密に迫る

番組には、ナビゲーターの杏さんと、近年能に非常に高い関心を寄せているというSAMさんが登場し、ゲームのコントローラーを操作しながらデジタルデータ化された「伝山姥」のディテールをつぶさに追いかけていく。さらに、この「伝山姥」を最新の3Dプリンターで再構成し、人間国宝・四世 梅若実改め、梅若桜雪氏が新たな面を使って「鞍馬天狗」を舞うという構成となっている。

新たに作成された「伝山姥」と梅若桜雪氏

南北朝時代に作成されたとされる「伝山姥」は梅若家に伝来されてきた能面で、現在は東京国立博物館の所蔵品となっている。どのようないわくがあるものなのか詳細な情報が伝わっておらず、本来はもっと違った姿であったのではないか、と以前から考えられていたという。

8K映像によって細部のディテールが精緻に描き出される

「伝山姥」の面が、まさに人間の肉眼を超えるほど超高精細に映像化されることによって、たとえば歯や歯茎などの生々しい表現や、眉間のシワの彫り込みといった細かい技法が明らかになっていく。何らかの理由でヒビが入って修復された箇所や、ヒゲあるいは髪の毛が植わっていたと考えられる穴など、“本来の姿”を想像させる細部にまでカメラは迫っていく。

新たに制作された「伝山姥」の面で鞍馬天狗を舞う

先行して開催された番組の試写会において、番組ディレクターを務めたNHKの鈴木伸治氏は「肉眼で鑑賞するよりもより大きく細やかに見えることで、文化財を作った人の手の跡や汗の跡などにも気づくことができる」とコメント。また、博物館での展示だけを見ても分からないさまざまな角度から光を当て、文化財への理解を深めることにも番組としての意義があると語る。

制作統括の加藤夕香子さん(左)とディレクターの鈴木伸治さん(右)

能面というのは、あくまでひとつの面でありながら、舞台上で演じられることにより、喜び、悲しみ、怒りといったさまざまな感情を観客に喚起させる力を持つ。最新テクノロジーは、そういったイマジネーションは何によってもたらされるのか、という問いに対するヒントも与えてくれるように感じられた。

「伝山姥」や新たに再構成された面などは、今後学術研究用途としてはもちろん、教育プログラムなどでも活用を検討しているとしている。

■番組放送予定
「見たことのない文化財 人間国宝 最初で最後の舞」
6月26日(日) BS8K 19:00〜19:30
6月27日(月) BS8K 11:00〜11:30
6月29日(水) BS8K 17:00〜17:30
7月15日(金) BSP  16:00〜16:30
7月29日(金) BS4K 16:00〜16:30

なお、女面「小面」の魅力に迫る番組も、以下の日程で再放送が予定されている
「見たことのない文化財 謎の能面」
6月21日(火) BS8K 17:00〜17:30
6月23日(木) BS8K 12:30〜13:00
6月25日(土) BS8K 19:00〜19:30

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