ニュース
HOME > ニュース > AV&ホームシアターニュース
公開日 2023/01/24 11:00
9.4chアンプの最高峰モデル
デノン、メイドイン白河の9.4ch AVアンプ「AVR-X4800H」。上位機譲りの独立アンプ回路を搭載
編集部:杉山康介
デノンは、ミドル帯の9.4ch出力AVアンプ新製品「AVR-X4800H」を1月27日より発売する。価格は313,500円(税込)。
同社AVアンプのミドルクラス“4000番台”の最新モデルで、生産工場を福島県にある白河オーディオワークスへと移すとともに、パワーアンプ回路の構成を、上位機「AVC-X6700H」などと同じモノリス・コンストラクション・パワーアンプへとアップグレードしている。
営業の田中清崇氏によると、かつては4000番台のモデルも白河工場で生産していたものの、2011年の東日本大震災で被災後、生産ラインを再開するにあたり、海外生産にせざるを得なかったという。
しかし震災より10年以上が経過し、白河工場も復旧してきたため、生産ラインを再び白河工場に移行。本機は白河工場でAVアンプを立ち上げた際のエンジニアを再結集して開発した「9.4chアンプの最高峰モデル」だとしている。
前モデルの「AVR-X4700H」のパワーアンプ部基板(9ch)は5ch/4chの2枚構成だったが、4800Hではチャンネル毎に独立したモノリス・コンストラクション・パワーアンプレイアウトを採用。これは上位機のAVC-X6700H、フラグシップ機の「AVC-X8500HA」と同じ構成で、各chが独立しているためクロストークや振動の影響を排除し、全ch同一のサウンドクオリティを実現できるとする。
アンプ回路はAB級の作動1段で、海外工場では製造が難しいうえ、仮に作るとなるとコストが大きくかかってしまうと説明。
また、フロント部のマイコンとデジタル基板を接続するFFCケーブル(フィルム状のケーブル)のレイアウトを変更。前モデルではパワーアンプ上部を通るレイアウトだったが、アンプ上部を避けることで放熱性が上がり、より安定した動作を実現。
さらにオーディオ基板とパワーアンプ基板のワイヤリング接続を廃止。6700Hなどでも用いられている方式だが、ワイヤリング接続では生産に手間やばらつきが生まれていたところ、基板接続にしたことで生産クオリティの均一化、スピード向上を実現した。
信号経路を最短化する「ミニマムシグナルパス」を実現するため、回路デザインも一新。「突き詰めればDACはアナログ回路である」という考えのもと、4700Hでは分かれていたDAC、プリアンプ、マルチルーム用DACを1つの基板に集約している。
また、デジタル回路もHDMI回路+DSP+ジッターリデューサーの新型回路に刷新。DSPは3800Hでも採用している「Griffin Lite XP」で、サラウンド回路設計の中核技術となる「D.D.S.C.-HD32」、マルチチャンネル信号を32bitに拡張する「AL32 Processing Multi Channel」なども搭載。なお11.4chのプロセッシングに対応しており、11.4chのプリアウトを装備する。
電源部のブロックコンデンサーには台湾・スースコンと新規開発した15,000µFの大容量カスタム品を採用。デジタル回路の電源回路も最適なパーツを投入したほか、全体のパフォーマンスを上げるため、ワイヤーツイストに至るまでチューニングを実施している。
サウンドチューニングはデノンのサウンドマスター・山内慎一氏が担当。4700Hの音決めの際、山内氏は最終段階からの参加だったが、本製品では初期段階から携わっている。
機能面ではサブウーファー4基の再生やch毎のプリアンプモード設定などに新対応。サブウーファーはパラレル出力/指向性モードを選択できる。またイマーシブフォーマットはDolby Atmos/DTS:X/AURO 3Dに加え、360 Reality Audioに新対応している。
HDMI端子は入力7系統と出力3系統を搭載しており、入力全てと出力2系統が8K 60Hzに対応。HEOSを搭載するためAmazon Music HDなどの音楽ストリーミングサービスも利用可能で、AirPlay2やBluetoothの送受信などワイヤレス音楽再生機能も搭載。Wi-Fi/Bluetoothといった無線機能の個別オン/オフや、理論上6.93Gbpsの超高速通信が可能なIEEE802.11acに新対応する。
ほかセットアップメニューなどのGUIのリニューアルや、3W以上あったNetworkスタンバイ時の消費電力を2W以下へ低減している。外形寸法は434W×236H×389Dmm(アンテナを立てた場合)で、質量は13.4kg。
■編集部インプレッション
今回、事前に試聴する機会を得たので、簡単ではあるがインプレッションを記したい。
まずは進化を確かめるため、ステレオ音源で前モデル・AVR-X4700Hとの比較を実施。ダイアナ・クラールを聴くと、全体的に音の輪郭がクッキリしていることがわかる。ピアノやボーカルは透明感が増し、芯が太くかつ引き締まっており、山内氏の掲げる「Vivid & Spacious」がしっかり実現されていることが感じられた。
続いて映像ソースを5.3.4ch(サブウーファーは指向性モード)で視聴。『トップガン・マーヴェリック』では、エンジンや爆発の音を大迫力で鳴らしつつ、会話や飛行機の移動などもしっかり描写する。
『ジョーカー』でも雷雨は大迫力ながら、会話など細かな音は繊細に鳴らす表現力の高さを見てとれる。『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』では、ボンドの乗った車が四方八方から銃撃される様や、3つの鐘が異なる音量で鳴り響く様子を立体的に聴かせてくれた。やはりDolby Atmosなどの音声作品を楽しむにあたって、ハイトが4chあると没入感が桁違いになってくる。
前モデルであるAVR-X4700Hは税込198,000円だったため、大きく価格が上昇していることは否めない。しかし白河工場での生産をはじめ、内容的にも音質的にも、上昇した価格“以上”のアップグレードを果たした製品だといえるだろう。
同社AVアンプのミドルクラス“4000番台”の最新モデルで、生産工場を福島県にある白河オーディオワークスへと移すとともに、パワーアンプ回路の構成を、上位機「AVC-X6700H」などと同じモノリス・コンストラクション・パワーアンプへとアップグレードしている。
営業の田中清崇氏によると、かつては4000番台のモデルも白河工場で生産していたものの、2011年の東日本大震災で被災後、生産ラインを再開するにあたり、海外生産にせざるを得なかったという。
しかし震災より10年以上が経過し、白河工場も復旧してきたため、生産ラインを再び白河工場に移行。本機は白河工場でAVアンプを立ち上げた際のエンジニアを再結集して開発した「9.4chアンプの最高峰モデル」だとしている。
前モデルの「AVR-X4700H」のパワーアンプ部基板(9ch)は5ch/4chの2枚構成だったが、4800Hではチャンネル毎に独立したモノリス・コンストラクション・パワーアンプレイアウトを採用。これは上位機のAVC-X6700H、フラグシップ機の「AVC-X8500HA」と同じ構成で、各chが独立しているためクロストークや振動の影響を排除し、全ch同一のサウンドクオリティを実現できるとする。
アンプ回路はAB級の作動1段で、海外工場では製造が難しいうえ、仮に作るとなるとコストが大きくかかってしまうと説明。
また、フロント部のマイコンとデジタル基板を接続するFFCケーブル(フィルム状のケーブル)のレイアウトを変更。前モデルではパワーアンプ上部を通るレイアウトだったが、アンプ上部を避けることで放熱性が上がり、より安定した動作を実現。
さらにオーディオ基板とパワーアンプ基板のワイヤリング接続を廃止。6700Hなどでも用いられている方式だが、ワイヤリング接続では生産に手間やばらつきが生まれていたところ、基板接続にしたことで生産クオリティの均一化、スピード向上を実現した。
信号経路を最短化する「ミニマムシグナルパス」を実現するため、回路デザインも一新。「突き詰めればDACはアナログ回路である」という考えのもと、4700Hでは分かれていたDAC、プリアンプ、マルチルーム用DACを1つの基板に集約している。
また、デジタル回路もHDMI回路+DSP+ジッターリデューサーの新型回路に刷新。DSPは3800Hでも採用している「Griffin Lite XP」で、サラウンド回路設計の中核技術となる「D.D.S.C.-HD32」、マルチチャンネル信号を32bitに拡張する「AL32 Processing Multi Channel」なども搭載。なお11.4chのプロセッシングに対応しており、11.4chのプリアウトを装備する。
電源部のブロックコンデンサーには台湾・スースコンと新規開発した15,000µFの大容量カスタム品を採用。デジタル回路の電源回路も最適なパーツを投入したほか、全体のパフォーマンスを上げるため、ワイヤーツイストに至るまでチューニングを実施している。
サウンドチューニングはデノンのサウンドマスター・山内慎一氏が担当。4700Hの音決めの際、山内氏は最終段階からの参加だったが、本製品では初期段階から携わっている。
機能面ではサブウーファー4基の再生やch毎のプリアンプモード設定などに新対応。サブウーファーはパラレル出力/指向性モードを選択できる。またイマーシブフォーマットはDolby Atmos/DTS:X/AURO 3Dに加え、360 Reality Audioに新対応している。
HDMI端子は入力7系統と出力3系統を搭載しており、入力全てと出力2系統が8K 60Hzに対応。HEOSを搭載するためAmazon Music HDなどの音楽ストリーミングサービスも利用可能で、AirPlay2やBluetoothの送受信などワイヤレス音楽再生機能も搭載。Wi-Fi/Bluetoothといった無線機能の個別オン/オフや、理論上6.93Gbpsの超高速通信が可能なIEEE802.11acに新対応する。
ほかセットアップメニューなどのGUIのリニューアルや、3W以上あったNetworkスタンバイ時の消費電力を2W以下へ低減している。外形寸法は434W×236H×389Dmm(アンテナを立てた場合)で、質量は13.4kg。
■編集部インプレッション
今回、事前に試聴する機会を得たので、簡単ではあるがインプレッションを記したい。
まずは進化を確かめるため、ステレオ音源で前モデル・AVR-X4700Hとの比較を実施。ダイアナ・クラールを聴くと、全体的に音の輪郭がクッキリしていることがわかる。ピアノやボーカルは透明感が増し、芯が太くかつ引き締まっており、山内氏の掲げる「Vivid & Spacious」がしっかり実現されていることが感じられた。
続いて映像ソースを5.3.4ch(サブウーファーは指向性モード)で視聴。『トップガン・マーヴェリック』では、エンジンや爆発の音を大迫力で鳴らしつつ、会話や飛行機の移動などもしっかり描写する。
『ジョーカー』でも雷雨は大迫力ながら、会話など細かな音は繊細に鳴らす表現力の高さを見てとれる。『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』では、ボンドの乗った車が四方八方から銃撃される様や、3つの鐘が異なる音量で鳴り響く様子を立体的に聴かせてくれた。やはりDolby Atmosなどの音声作品を楽しむにあたって、ハイトが4chあると没入感が桁違いになってくる。
前モデルであるAVR-X4700Hは税込198,000円だったため、大きく価格が上昇していることは否めない。しかし白河工場での生産をはじめ、内容的にも音質的にも、上昇した価格“以上”のアップグレードを果たした製品だといえるだろう。