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公開日 2023/06/20 19:27
PerL ProはSnapdragon Soundに対応
デノン、医療技術を応用して聴力を解析・パーソナライズドする完全ワイヤレス「PerL Pro」「PerL」
編集部:杉山康介
デノンは、医療技術を応用したサウンドパーソナライズ機能を搭載した完全ワイヤレスイヤホン「Denon PerL Pro(AH-C15PL)」「Denon PerL(AH-C10PL)」を7月1日に発売する。価格はともにオープンだが、PerL Proは税込57,200円前後、PerLは税込33,000円前後の実売が予想される。
■医療機器メーカー・Masimoの技術で聴こえをパーソナライズ化
パーソナライズ機能として「Masimo AAT(Adaptive Acoustic Technology)」を搭載。デノンを擁するSound Unitedグループの現親会社で、医療機器を展開する企業「Masimo Corporation」の有する、新生児の難聴検査に用いられる医療技術を応用したものとなる。
正常な人間の内耳は、一定の音が入ってくると、異なる周波数の音が蝸牛管で作られ外耳道内へと放出される。これを高感度マイクで収音し、音の大きさから聞こえの度合いを解析、最適化する仕組みとなっており、ユーザー側の感覚に一切頼らないことでより正確な解析を実現するという。
同社の営業を担当する田中清崇氏は「さまざまなメーカーからパーソナライズ機能搭載を謳う製品が出ているが、外耳部分までの解析に留まっているものも多く、その奥の中耳、内耳まで調べるのはデノンくらいだと思う」と語る。
また、「イヤホンはワイヤードから始まり、今は完全ワイヤレスが当たり前になった。その次の段階として打ち出すのが、個々人の耳に音を最適化させるパーソナライズ機能」だとし、「デノンサウンドを全てのユーザーへ」というコンセプトのもと、PerL Pro/PerLを開発したとのこと。
ちなみに「PerL(パール)」という愛称は「Personalized Listening」を略したもの。初の完全ワイヤレス「AH-830NCW」「AH-630CW」を発売した際、「名前が覚えにくい」「愛称があった方が良いのでは」という意見があったことから、より覚えやすい愛称をつけたそうだ。
■Snapdragon Sound対応でaptX Losslessをサポートする「PerL Pro」
上位機のPerL Proはクアルコム「Snapdragon Sound」に対応し、44.1kHz/16bitをロスレスで再生できるaptX Losslessをサポート。加えて最大96kHz/24bitまで対応のaptX Adaptiveや、aptX/AAC/SBCのコーデックをサポートする。
また、一般的なマイク機能の場合、通話音声のサンプリング周波数は16kHzまでだが、本機では2倍の32kHzまで高めたaptX Voiceをサポートし、より自然な通話音声を届けるとアピール。反応速度48msの低遅延再生も可能なため、「そこまで音にシビアでないゲームなら充分違和感なくプレイできるのでは」としていた。
ドライバーは専用に開発されたという10mm径の3レイヤー・チタニウム振動板ダイナミックドライバーを搭載。音決めは同社のサウンドマスター・山内慎一氏が監修しており、「パーソナライズ機能とあわせ、デノンのVivid & Spaciousサウンドを狙った通りにお届けする」という。
音質調整機能として5バンドイコライザーや低音調整機能(イマージョンモード)を搭載。さらにステレオ音源を没入感あるサウンドに変換する空間オーディオ機能「Dirac Virtuo」も備える。
周囲の騒音レベルにあわせて効果を自動で最適化する「アダプティブ・ノイズキャンセリング」機能や、外音取り込み機能「ソーシャルモード」も搭載。これらモードの設定は専用スマホアプリ「Denon Headphones」から行うことができる。
本体にはタッチ式の操作ボタンを搭載し、IPX4の防滴性能も備える。BluetoothはVer.5.3で、駆動時間はイヤホン単体で8時間、ケース充電込みで計32時間。Qi規格のワイヤレス充電や、5分の充電で1時間再生可能な急速充電にも対応。ほか、2台のデバイスに同時に接続できるマルチポイント機能も搭載する。
質量はイヤホン本体が8gで、ケースが51.2g。パッケージにはシリコン製イヤーチップ(XS/S/M/L)やフォームイヤーチップ1種類、ウイングアタッチメント2種類が同梱される。
スタンダードモデルのPerLは、10mm径の樹脂振動板ダイナミックドライバーを搭載するモデル。Snapdragon Soundは非対応ながら、こちらも山内氏による音決めが行われている。
ハイブリッド方式のアクティブ・ノイズキャンセリング機能や外音取り込み機能「ソーシャルモード」、低音調整機能のイマージョンモードを搭載。各機能の設定はDenon Headphoneアプリから行うことができる。
BluetoothはVer.5.0で、コーデックはaptX/AAC/SBCをサポート。マルチポイントは非対応だが、接続機器からの解除操作を行わずとも、2台目の機器で接続操作を行うだけで接続機器を切り替えることができる「Bluetooth Quick Switch」に対応する。
駆動時間はイヤホン単体で6時間、ケース充電込みで計24時間。10分の充電で1時間再生可能な急速充電にも対応。本体にはタッチ式の操作ボタンとIPX4の防滴性能も備える。
質量はイヤホン本体が7.4gで、ケースが47g。こちらもパッケージにはシリコン製イヤーチップ(XS/S/M/L)やフォームイヤーチップ1種類、ウイングアタッチメント2種類が同梱される。
■編集部インプレッション
今回、発売前にPerL Proを試す機会を得たので、簡単なインプレッションを記したい。
まずは目玉であるMasimo AATでのパーソナライジングを実施。イヤホンをしっかり装着したことを確認したら、あとはほぼじっとしていれば3分程度で完了する。手順自体は簡単だが、解析はできるだけ静かな状態で行わなければならない。同じ部屋でヒソヒソ話をしたり、体を動かして椅子が軋んだりするのも影響があるため、“何もしない” ことを頑張る必要があるようだ。
パーソナライズをオンにすると、戸惑いを覚えるほどに大きく音が変わる。本製品は人によって聴こえ方が異なるところを、パーソナライズで「同じデノンサウンドが聴こえるようにする」ものなので、オン/オフでの変わり方は個々人で違うが、記者の場合オンにすることで各音のフォーカスがバッチリ合い、特にボーカルなど中域のサウンドに奥行きが生まれ、より艶が出たように感じられた。
あえて他人のパーソナライズ結果をオンにしてみると、あるものでは高音がキツくなったり、またあるものでは全体的にとっ散らかった音になったりと、とても “良い” とは言えない音になる。それだけ聴こえ方は十人十色ということだろう、メーカーの狙う音を確実に届けるためのアプローチとして、かなり有効なのではないか。
■医療機器メーカー・Masimoの技術で聴こえをパーソナライズ化
パーソナライズ機能として「Masimo AAT(Adaptive Acoustic Technology)」を搭載。デノンを擁するSound Unitedグループの現親会社で、医療機器を展開する企業「Masimo Corporation」の有する、新生児の難聴検査に用いられる医療技術を応用したものとなる。
正常な人間の内耳は、一定の音が入ってくると、異なる周波数の音が蝸牛管で作られ外耳道内へと放出される。これを高感度マイクで収音し、音の大きさから聞こえの度合いを解析、最適化する仕組みとなっており、ユーザー側の感覚に一切頼らないことでより正確な解析を実現するという。
同社の営業を担当する田中清崇氏は「さまざまなメーカーからパーソナライズ機能搭載を謳う製品が出ているが、外耳部分までの解析に留まっているものも多く、その奥の中耳、内耳まで調べるのはデノンくらいだと思う」と語る。
また、「イヤホンはワイヤードから始まり、今は完全ワイヤレスが当たり前になった。その次の段階として打ち出すのが、個々人の耳に音を最適化させるパーソナライズ機能」だとし、「デノンサウンドを全てのユーザーへ」というコンセプトのもと、PerL Pro/PerLを開発したとのこと。
ちなみに「PerL(パール)」という愛称は「Personalized Listening」を略したもの。初の完全ワイヤレス「AH-830NCW」「AH-630CW」を発売した際、「名前が覚えにくい」「愛称があった方が良いのでは」という意見があったことから、より覚えやすい愛称をつけたそうだ。
■Snapdragon Sound対応でaptX Losslessをサポートする「PerL Pro」
上位機のPerL Proはクアルコム「Snapdragon Sound」に対応し、44.1kHz/16bitをロスレスで再生できるaptX Losslessをサポート。加えて最大96kHz/24bitまで対応のaptX Adaptiveや、aptX/AAC/SBCのコーデックをサポートする。
また、一般的なマイク機能の場合、通話音声のサンプリング周波数は16kHzまでだが、本機では2倍の32kHzまで高めたaptX Voiceをサポートし、より自然な通話音声を届けるとアピール。反応速度48msの低遅延再生も可能なため、「そこまで音にシビアでないゲームなら充分違和感なくプレイできるのでは」としていた。
ドライバーは専用に開発されたという10mm径の3レイヤー・チタニウム振動板ダイナミックドライバーを搭載。音決めは同社のサウンドマスター・山内慎一氏が監修しており、「パーソナライズ機能とあわせ、デノンのVivid & Spaciousサウンドを狙った通りにお届けする」という。
音質調整機能として5バンドイコライザーや低音調整機能(イマージョンモード)を搭載。さらにステレオ音源を没入感あるサウンドに変換する空間オーディオ機能「Dirac Virtuo」も備える。
周囲の騒音レベルにあわせて効果を自動で最適化する「アダプティブ・ノイズキャンセリング」機能や、外音取り込み機能「ソーシャルモード」も搭載。これらモードの設定は専用スマホアプリ「Denon Headphones」から行うことができる。
本体にはタッチ式の操作ボタンを搭載し、IPX4の防滴性能も備える。BluetoothはVer.5.3で、駆動時間はイヤホン単体で8時間、ケース充電込みで計32時間。Qi規格のワイヤレス充電や、5分の充電で1時間再生可能な急速充電にも対応。ほか、2台のデバイスに同時に接続できるマルチポイント機能も搭載する。
質量はイヤホン本体が8gで、ケースが51.2g。パッケージにはシリコン製イヤーチップ(XS/S/M/L)やフォームイヤーチップ1種類、ウイングアタッチメント2種類が同梱される。
スタンダードモデルのPerLは、10mm径の樹脂振動板ダイナミックドライバーを搭載するモデル。Snapdragon Soundは非対応ながら、こちらも山内氏による音決めが行われている。
ハイブリッド方式のアクティブ・ノイズキャンセリング機能や外音取り込み機能「ソーシャルモード」、低音調整機能のイマージョンモードを搭載。各機能の設定はDenon Headphoneアプリから行うことができる。
BluetoothはVer.5.0で、コーデックはaptX/AAC/SBCをサポート。マルチポイントは非対応だが、接続機器からの解除操作を行わずとも、2台目の機器で接続操作を行うだけで接続機器を切り替えることができる「Bluetooth Quick Switch」に対応する。
駆動時間はイヤホン単体で6時間、ケース充電込みで計24時間。10分の充電で1時間再生可能な急速充電にも対応。本体にはタッチ式の操作ボタンとIPX4の防滴性能も備える。
質量はイヤホン本体が7.4gで、ケースが47g。こちらもパッケージにはシリコン製イヤーチップ(XS/S/M/L)やフォームイヤーチップ1種類、ウイングアタッチメント2種類が同梱される。
■編集部インプレッション
今回、発売前にPerL Proを試す機会を得たので、簡単なインプレッションを記したい。
まずは目玉であるMasimo AATでのパーソナライジングを実施。イヤホンをしっかり装着したことを確認したら、あとはほぼじっとしていれば3分程度で完了する。手順自体は簡単だが、解析はできるだけ静かな状態で行わなければならない。同じ部屋でヒソヒソ話をしたり、体を動かして椅子が軋んだりするのも影響があるため、“何もしない” ことを頑張る必要があるようだ。
パーソナライズをオンにすると、戸惑いを覚えるほどに大きく音が変わる。本製品は人によって聴こえ方が異なるところを、パーソナライズで「同じデノンサウンドが聴こえるようにする」ものなので、オン/オフでの変わり方は個々人で違うが、記者の場合オンにすることで各音のフォーカスがバッチリ合い、特にボーカルなど中域のサウンドに奥行きが生まれ、より艶が出たように感じられた。
あえて他人のパーソナライズ結果をオンにしてみると、あるものでは高音がキツくなったり、またあるものでは全体的にとっ散らかった音になったりと、とても “良い” とは言えない音になる。それだけ聴こえ方は十人十色ということだろう、メーカーの狙う音を確実に届けるためのアプローチとして、かなり有効なのではないか。
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