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公開日 2024/04/12 10:36
電気製品の安全性の向上および第三者認証「Sマーク」の運営・普及に携わる電気製品認証協議会は、2023年度の活動概要について発表した。
Sマークの2023年度の認知度は32.9%(回答数5,412件)となり、前年度より1.9ポイントのアップとなった。2020年度よりサンケイリビング新聞社の協力のもと、新たにWEBアンケート形式でSマーク市場認知度調査を実施しているが、これで4年連続の認知度上昇となる。広報専門部会長・三浦佳子氏は「年齢層、男女別には差が認められ、特に若年層に向けた広報活動が重要であり、ネット販売サイトへもSマークを訴求していきたい」とさらなる認知度向上へ取り組む。
Sマーク付き電気製品の店頭普及実態調査では、従来から調査を実施する日本百貨店協会(百貨店ルート)、日本チェーンストア協会(総合量販店ルート)、家電量販店、日本DIY協会(DIYルート)、日本通信販売協会JADMA(通販ルート)、全国電機商業組合連合会、石川県電気商業組合(地域小規模電気店調査に今回個別に依頼)の各ルートで計9,317件、および、2020年より調査をスタートした価格.com、ネット販売大手3社(アマゾン、ヤフー、楽天)で計4,871件、合計14,188件について調査を行った。
17品目(炊飯器、ポット、アイロン、オーブントースター、コーヒーメーカー、電気カーペット、電気ストーブ、ヘアードライヤー、掃除機、冷蔵庫、洗濯機、ルームエアコン、空気清浄機、フードプロセッサー、電子レンジ、テレビ、BD/DVDレコーダー)を対象とした店頭普及率は72.1%(前年度72.2%)、価格.com では69.0%(同70.6%)、ネット販売大手3社平均では59.8%(同61.1%)となり、総平均は69.4%となった。
店頭での品目別の普及率で高かったのはテレビ(98.7%)、洗濯機(94.7%)、電子レンジ(94.4%)、低かったのは掃除機(40.0%)、フードプロセッサー(41.7%)、空気清浄機(51.3%)。三浦氏は「店頭普及率は72.1%と前年からほぼ変わりない。Sマークを取得されていない海外製品が市場では多く販売されており、今後この数字がどんどん上がっていくことは考えにくく、何とか70%を維持できれば」との考えを示した。
ルート別では、家電量販店が前年度72.9%から75.3%へアップする一方、日本DIY協会(ホームセンター)が同76.3%から65.3%へ、JADMA(通販)が同66.3%から58.8%へダウン。通販については、ネット通販も同じく数字が下がっているが、「海外製品においては、規模の大きなメーカーでは日本市場での継続的な販売拡大を狙い、Sマークを取得することで安全・安心を訴求する動きも出てきている」とSマークを活用する新たな流れも見受けられるという。
一般消費者に向けたSマークの広報・普及促進においては、SNS(X)を活用した情報発信を強化する。2023年11月15日から2024年1月15日まで2ヶ月間にわたり「お家のSマークを探そう!」と銘打ち、Sマークの付いた電気製品の写真を投稿してもらう「SマークXキャンペーン」を開催。反響も徐々に高まるなか、さらに力を入れていく構えだ。
Sマークの認知とその理解を啓発する新たな切り口として、Sマーク広報用に用意したマンガ冊子「Sマークで安全な電気製品を選ぼう」が、全国小学校家庭科教育研究会のHPに副教本として掲載された。リチウムイオンバッテリーによる火災など電気製品による事故が増加するなか、電気製品を安全に使うため、正しい使い方に加え、購入する際のPSEマーク・Sマークの確認を呼び掛けるもので、今後、全国の小学校の家庭科の授業で活用する方向で準備が進んでいる。
Sマーク認証の試験基準は、電気用品安全法(電安法)の対象製品には同法の技術基準を適用するが、市場の事故情報に基づいて安全性を確保する観点から、独自の「追加基準」や「運用基準」を設け、「電安法に先駆けて安全性の向上に取り組んでいる」(基本問題専門部会長・小野亮氏)と訴える。
Sマーク認証製品を市場で実際に買い上げ、市場品が認証時と同等であるかを確認する調査を2009年度から実施しており、2023年度は12製品(コーヒー湯沸かし器、オーブントースター、炊飯器、ポット、電気カーペット、アイロン、ヘアードライヤー、洗濯機、フードプロセッサー、電子レンジ、BD/DVDプレーヤー、テレビ)を買い上げ調査した。ここ5年間は不適合製品が検出されず、Sマーク認証制度が機能していることを確認している。
2023年4月から12月に、Sマーク認証製品の製品事故、Sマークの不正使用の発生は認められず、また、NITE(製品評価技術基盤機構)から公表された電気製品のリコールは44件あり、そのうちSマーク認証製品が4製品となった。いずれも再発防止については対処されているが、根本原因の追究と対策を当該メーカーとともに進めている。
製品事故における昨今の課題として小野氏が指摘するのは、ネット販売における法令の順守。「ネット販売における製品の安全性を担保するという大きな課題に3年前より取り組んでいる。大手ネット販売会社が加盟するオンラインマーケットプレイス協議会(JOMC)とも意見交換会により意思疎通を強化している。問題解決へ役割を果たしていきたい」と力を込めた。
技術基準の性能規定化に対する審議を行う電気用品調査委員会、事故事例の分析に基づいた新たな基準作りを行う事故事例調査部会等へも参画し、ルール作りに協力するとともに、4つのSマーク認証機関との早期情報共有化に努めている。
毎年行われているSCEA・CMJ合同セミナーでは、コロナ禍を契機にオンライン形式となり3年目を迎え、日本独自の製品安全のルールを中国のエンジニアに対してなかなか正しく伝えられない課題に向き合い、「製品安全:PSEとSマーク」と題したセミナーを前年に続いて中国語でも開催した。
横山明彦会長は「1994年に設立したSCEAは今年で30年の節目を迎える。市場買い上げ調査では5年間にわたり不適合製品が認められず、一方、Sマーク付き電気製品の店頭普及率は72.1%、ネットを含めた平均も69.4%と堅調に推移する。Sマークの認知度調査も4年連続で上昇と着実に上がっている。さらに、Sマークの広報用副読本を全国の小学校の家庭科の授業に取り入れていただく準備も進んでいる」と日々の地道な活動に手応えを感じると同時に、様々な課題の解決へ向けた活動をさらに強化していく。
小学校の家庭科の授業でSマーク冊子を教本として活用へ
「Sマーク」認知度は32.9%と前年比1.9ポイント上昇。若年層やネット販売サイトへの啓発が重要
PHILE WEB ビジネス編集部・竹内純■Sマーク付き電気製品の店頭普及率は72.1%
電気製品の安全性の向上および第三者認証「Sマーク」の運営・普及に携わる電気製品認証協議会は、2023年度の活動概要について発表した。
Sマークの2023年度の認知度は32.9%(回答数5,412件)となり、前年度より1.9ポイントのアップとなった。2020年度よりサンケイリビング新聞社の協力のもと、新たにWEBアンケート形式でSマーク市場認知度調査を実施しているが、これで4年連続の認知度上昇となる。広報専門部会長・三浦佳子氏は「年齢層、男女別には差が認められ、特に若年層に向けた広報活動が重要であり、ネット販売サイトへもSマークを訴求していきたい」とさらなる認知度向上へ取り組む。
Sマーク付き電気製品の店頭普及実態調査では、従来から調査を実施する日本百貨店協会(百貨店ルート)、日本チェーンストア協会(総合量販店ルート)、家電量販店、日本DIY協会(DIYルート)、日本通信販売協会JADMA(通販ルート)、全国電機商業組合連合会、石川県電気商業組合(地域小規模電気店調査に今回個別に依頼)の各ルートで計9,317件、および、2020年より調査をスタートした価格.com、ネット販売大手3社(アマゾン、ヤフー、楽天)で計4,871件、合計14,188件について調査を行った。
17品目(炊飯器、ポット、アイロン、オーブントースター、コーヒーメーカー、電気カーペット、電気ストーブ、ヘアードライヤー、掃除機、冷蔵庫、洗濯機、ルームエアコン、空気清浄機、フードプロセッサー、電子レンジ、テレビ、BD/DVDレコーダー)を対象とした店頭普及率は72.1%(前年度72.2%)、価格.com では69.0%(同70.6%)、ネット販売大手3社平均では59.8%(同61.1%)となり、総平均は69.4%となった。
店頭での品目別の普及率で高かったのはテレビ(98.7%)、洗濯機(94.7%)、電子レンジ(94.4%)、低かったのは掃除機(40.0%)、フードプロセッサー(41.7%)、空気清浄機(51.3%)。三浦氏は「店頭普及率は72.1%と前年からほぼ変わりない。Sマークを取得されていない海外製品が市場では多く販売されており、今後この数字がどんどん上がっていくことは考えにくく、何とか70%を維持できれば」との考えを示した。
ルート別では、家電量販店が前年度72.9%から75.3%へアップする一方、日本DIY協会(ホームセンター)が同76.3%から65.3%へ、JADMA(通販)が同66.3%から58.8%へダウン。通販については、ネット通販も同じく数字が下がっているが、「海外製品においては、規模の大きなメーカーでは日本市場での継続的な販売拡大を狙い、Sマークを取得することで安全・安心を訴求する動きも出てきている」とSマークを活用する新たな流れも見受けられるという。
一般消費者に向けたSマークの広報・普及促進においては、SNS(X)を活用した情報発信を強化する。2023年11月15日から2024年1月15日まで2ヶ月間にわたり「お家のSマークを探そう!」と銘打ち、Sマークの付いた電気製品の写真を投稿してもらう「SマークXキャンペーン」を開催。反響も徐々に高まるなか、さらに力を入れていく構えだ。
Sマークの認知とその理解を啓発する新たな切り口として、Sマーク広報用に用意したマンガ冊子「Sマークで安全な電気製品を選ぼう」が、全国小学校家庭科教育研究会のHPに副教本として掲載された。リチウムイオンバッテリーによる火災など電気製品による事故が増加するなか、電気製品を安全に使うため、正しい使い方に加え、購入する際のPSEマーク・Sマークの確認を呼び掛けるもので、今後、全国の小学校の家庭科の授業で活用する方向で準備が進んでいる。
■ネット販売の製品安全性の担保が大きな課題
Sマーク認証の試験基準は、電気用品安全法(電安法)の対象製品には同法の技術基準を適用するが、市場の事故情報に基づいて安全性を確保する観点から、独自の「追加基準」や「運用基準」を設け、「電安法に先駆けて安全性の向上に取り組んでいる」(基本問題専門部会長・小野亮氏)と訴える。
Sマーク認証製品を市場で実際に買い上げ、市場品が認証時と同等であるかを確認する調査を2009年度から実施しており、2023年度は12製品(コーヒー湯沸かし器、オーブントースター、炊飯器、ポット、電気カーペット、アイロン、ヘアードライヤー、洗濯機、フードプロセッサー、電子レンジ、BD/DVDプレーヤー、テレビ)を買い上げ調査した。ここ5年間は不適合製品が検出されず、Sマーク認証制度が機能していることを確認している。
2023年4月から12月に、Sマーク認証製品の製品事故、Sマークの不正使用の発生は認められず、また、NITE(製品評価技術基盤機構)から公表された電気製品のリコールは44件あり、そのうちSマーク認証製品が4製品となった。いずれも再発防止については対処されているが、根本原因の追究と対策を当該メーカーとともに進めている。
製品事故における昨今の課題として小野氏が指摘するのは、ネット販売における法令の順守。「ネット販売における製品の安全性を担保するという大きな課題に3年前より取り組んでいる。大手ネット販売会社が加盟するオンラインマーケットプレイス協議会(JOMC)とも意見交換会により意思疎通を強化している。問題解決へ役割を果たしていきたい」と力を込めた。
技術基準の性能規定化に対する審議を行う電気用品調査委員会、事故事例の分析に基づいた新たな基準作りを行う事故事例調査部会等へも参画し、ルール作りに協力するとともに、4つのSマーク認証機関との早期情報共有化に努めている。
毎年行われているSCEA・CMJ合同セミナーでは、コロナ禍を契機にオンライン形式となり3年目を迎え、日本独自の製品安全のルールを中国のエンジニアに対してなかなか正しく伝えられない課題に向き合い、「製品安全:PSEとSマーク」と題したセミナーを前年に続いて中国語でも開催した。
横山明彦会長は「1994年に設立したSCEAは今年で30年の節目を迎える。市場買い上げ調査では5年間にわたり不適合製品が認められず、一方、Sマーク付き電気製品の店頭普及率は72.1%、ネットを含めた平均も69.4%と堅調に推移する。Sマークの認知度調査も4年連続で上昇と着実に上がっている。さらに、Sマークの広報用副読本を全国の小学校の家庭科の授業に取り入れていただく準備も進んでいる」と日々の地道な活動に手応えを感じると同時に、様々な課題の解決へ向けた活動をさらに強化していく。
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