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公開日 2022/12/29 12:33
収率が高い = エネルギー効率が良い = 環境にも優しい!(強引)

映画のお供をさらにおいしく。ポップコーンには遠赤外線調理が最適との研究報告

Munenori Taniguchi
年末年始の休暇にNetflixやAmazonプライム・ビデオの映画を腹一杯見ようと思ったら、やっぱりカウチ横のテーブルにはポップコーンが必要だろう。袋売りのポップコーンは手軽だが、映画観賞の雰囲気を高めたいなら、できたての香り豊かなポップコーンを楽しみたいものだ。

もし自宅でポップコーンを作るなら、通常は材料のコーンを電子レンジでチンするか、卓上ポップコーンメーカーを使う、またはフライパン型の容器に詰められた市販品を買って来て、ガスコンロなどで炙ることになる。しかし、ACS Food Science & Technologyに掲載された9月の論文では、遠赤外線による調理がこのスナック菓子を作るための、新しく最適な方法だと報告されている。

赤外線による調理は他の加熱調理法に比べてそれほどエネルギーを消費せず、しかも素早く均一に食品を加熱することが可能だ。この方式を用いた家庭用のピザオーブンや、屋外用のグリルなども販売されている。

昨年、Majid Javanmard氏率いるイラン科学技術研究機関(IROST)の研究チームは、赤外線を使ったポップコーンの製造方法の原理実証に成功しており、その方法を発展させて、従来の加熱方式に比べ短時間でエネルギー効率が高く、環境にもやさしいポップコーンの調理方法を編み出した。

昨年の研究では、2つの赤外線ランプとステンレス製の回転チャンバーを備えたポップコーンマシンが試験的に開発された。トウモロコシの粒を少量の油とともにチャンバー内に入れて回転させることで、常に赤外線ランプと近い位置にトウモロコシの粒が保持される。そして、はじけてポップコーンになったものと、粒のまま残ったものを分けて収量を測定、走査電子顕微鏡でポップコーンを分析した。

その結果、研究チームはポップコーンの体積の膨張と収率が最大(100%)になるのがコーンの粒をランプから10cmに保持したときで、赤外線ランプの出力は550Wであることを確認したという。

ただ、これは本当に誰もが好むポップコーンかというのは研究者らの頭に残っていた。そして、誰もが好むポップコーンとは、収率が最大で膨張率の高いポップコーンではなく、色や形、香り、味、食感(これは主に膨張率に関係する)といった項目が絡み合って、食べたときの感覚的な満足感に結びついていると考えた。

そこで研究チームは前回と同じマシンを持ち出し、主に赤外線ランプの出力を変えて、味覚テスターによる評価を5段階で実施した。また風味出しのためか、赤外線ランプの出力は前回の550Wから強め、600、700、800Wの3段階で設定を行った。

すると、テスターは出力700Wで作ったポップコーンに対して、最高の色、味、および硬さを持つと評価した。さらに、前回に比べるとはじけ切っていない不完全なポップコーンも含まれるものの、それも含めた収率が最大であることがわかったという。

研究者らは、「これは、ポップコーンがはじけるための連続的な赤外線膨張技術に関する最初の研究であり、調査結果は赤外線膨張法がポップコーン調理プロセスにおいて非常に効率的であることを示している」と研究を自己評価した。

機械的に再現するのが簡単であるため、おいしいポップコーンが作れる赤外線式調理器が、近い将来店頭に並ぶのも近いかもしれない。

ちなみにインターネット上では、ポップコーンメーカーでコーヒー豆(生豆)を焙煎するとおいしくできあがるというネタが定期的に話題になっていたりする。コーヒー豆も同じ機械で美味く焙煎できたりすれば、意外なヒット商品になりそうな気もしないでもない。

Source: ACS Food Science&Technology
via: Ars Technica, Phys.org

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