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公開日 2023/01/11 19:12
ほかにも様々なプロジェクトに種まき
NASA、土星の衛星「タイタン」の海に降りる飛行艇実現に資金投入
Munenori Taniguchi
NASAは、将来の宇宙探査を進めるため、定期的に一風変わったコンセプトを持つプロジェクトに資金を投じてきた。今回も、14の野心的なアイデアに対して合計17.5万ドルの初期研究費用を助成している。
特徴的なものとしては、まずは土星の衛星タイタンの表面にあるとされる液体メタンの海に降りることが可能な「飛行艇」のアイデアが挙げられる。
Planet Enterprisemのクイン・モーリー氏が開発しようとしている飛行艇は「Titan Air」と呼ばれ、タイタンの海の成分であるメタンやその他の有機物質を詳しく分析するために、機体前方から機内に取り込むようになっている。
なお、液体を取り込んで分析する仕組みについては、いくつかの方法が提案されていてまだ決定していない。また、この機体は翼からも大気をサンプリングする仕組みを備えており、同様に大気組成などについても調査が可能だ。
モーリー氏はこのプロジェクトにはワシントン州立大学のNarasimha Boddeti教授、パデュー大学工学部のSteven Collicott教授、宇宙技術関連のコンサルタント企業Astralyticalのエグゼクティブディレクターで天体物理学者・惑星科学者でもあるLaura Forczyk氏らが加わっていると説明している。
他のプロジェクトとしてはカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)のArtur Davoyan氏による、太陽系外縁部や星間空間へのミッション実現を近づける「ペレットビーム」推進技術を開発するプロジェクトがある。その概要はレーザーを用いて秒速120kmという超高速で移動する微細粒子を生成し、それを探査機にぶつけて推進させるというもの。
うまくいけば、ボイジャー1号が30年かかった100AU(天文単位:地球と太陽の距離を1AUとする)の距離の航行が、1トン程度の探査機なら3年ほどで到達できるようになる。また、15年あれば500AUという未踏の深宇宙に到達できるとのこと。そこまで遠くなれば、今度は通信にかかる時間が問題になってくる可能性があるが、それは到達可能になったときに考えれば良いことだろう。
さらに他の特徴的なプロジェクトを探すと、MITのMary Knapp氏が提案する、無数の小型衛星を使い、地球のような太陽系惑星の磁場や初期宇宙からの低周波電波をキャッチする長波長大観測所 (GO-Low)プロジェクトや、ネブラスカ大学リンカーン校の、将来の火星ミッションにおいて自己成長する居住施設ブロックを作る構想、将来月面に点在する基地間で酸素をシャトル輸送するパイプライン構想なども、その概要だけで非常に興味深い。
NASAはこうした規模は小さいものの、将来役立ちそうなプロジェクトのどれかひとつでも、実現に漕ぎ着けることを期待して資金提供をしている。もしかしたら、いま紹介したプロジェクトのいくつかが、いつか当たり前の技術になって、将来の人々に大いに役立っているかもしれない。
Source: NASA(1), (2), (3), (4)
特徴的なものとしては、まずは土星の衛星タイタンの表面にあるとされる液体メタンの海に降りることが可能な「飛行艇」のアイデアが挙げられる。
Planet Enterprisemのクイン・モーリー氏が開発しようとしている飛行艇は「Titan Air」と呼ばれ、タイタンの海の成分であるメタンやその他の有機物質を詳しく分析するために、機体前方から機内に取り込むようになっている。
なお、液体を取り込んで分析する仕組みについては、いくつかの方法が提案されていてまだ決定していない。また、この機体は翼からも大気をサンプリングする仕組みを備えており、同様に大気組成などについても調査が可能だ。
モーリー氏はこのプロジェクトにはワシントン州立大学のNarasimha Boddeti教授、パデュー大学工学部のSteven Collicott教授、宇宙技術関連のコンサルタント企業Astralyticalのエグゼクティブディレクターで天体物理学者・惑星科学者でもあるLaura Forczyk氏らが加わっていると説明している。
他のプロジェクトとしてはカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)のArtur Davoyan氏による、太陽系外縁部や星間空間へのミッション実現を近づける「ペレットビーム」推進技術を開発するプロジェクトがある。その概要はレーザーを用いて秒速120kmという超高速で移動する微細粒子を生成し、それを探査機にぶつけて推進させるというもの。
うまくいけば、ボイジャー1号が30年かかった100AU(天文単位:地球と太陽の距離を1AUとする)の距離の航行が、1トン程度の探査機なら3年ほどで到達できるようになる。また、15年あれば500AUという未踏の深宇宙に到達できるとのこと。そこまで遠くなれば、今度は通信にかかる時間が問題になってくる可能性があるが、それは到達可能になったときに考えれば良いことだろう。
さらに他の特徴的なプロジェクトを探すと、MITのMary Knapp氏が提案する、無数の小型衛星を使い、地球のような太陽系惑星の磁場や初期宇宙からの低周波電波をキャッチする長波長大観測所 (GO-Low)プロジェクトや、ネブラスカ大学リンカーン校の、将来の火星ミッションにおいて自己成長する居住施設ブロックを作る構想、将来月面に点在する基地間で酸素をシャトル輸送するパイプライン構想なども、その概要だけで非常に興味深い。
NASAはこうした規模は小さいものの、将来役立ちそうなプロジェクトのどれかひとつでも、実現に漕ぎ着けることを期待して資金提供をしている。もしかしたら、いま紹介したプロジェクトのいくつかが、いつか当たり前の技術になって、将来の人々に大いに役立っているかもしれない。
Source: NASA(1), (2), (3), (4)
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