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公開日 2023/02/17 19:29
まもなく発表の次期Mac Proには間に合わず?
アップル、Appleシリコンで「外付けGPU」可能にする特許出願。将来のMac Proに採用か
多根清史
Appleシリコン搭載Macは、現在SoC内蔵のGPUコアのみでグラフィックスを処理している。それは2020年末に発売されたM1搭載モデルから変わっておらず、最上位となるMac Proの後継機も外付けGPUには対応しない可能性があるという。現行のMac Proは青天井ともいえる出費と引き換えに、莫大なグラフィックス処理能力を得られる高い拡張性が強みだっただけに、プロフェッショナルのユーザーには大きな痛手となりかねない。
AppleシリコンがMac搭載のインテル製プロセッサー(少なくとも移行が始まった2020年当時)から劇的に性能が向上したのは、ひとえに「SoC内にすべてをパッケージ化し、ボトルネックを解消した」ことに由来している。たとえば新たなユニファイドメモリ(RAM)はプロセッサーの近くに置かれ、アクセス速度が飛躍的に速くなった。それと引き換えに、後付けで交換したり増量することは不可能となっている。
グラフィックス性能が向上したのも、やはりGPUコアをチップに内蔵しているからだ。そもそもサードパーティ製の外付けGPUは想定せず、当面サポートする予定がないことも、アップルが事実だと認めていた。
しかし、今やアップルはようやく外付けGPUは必要であると認め、少なくとも技術的には検討を進めているようだ。新たに公開された特許出願から、アップルがこの問題の打破を検討している可能性が浮上している。
まず「GPUの論理スロットとハードウェアスロットのマッピング」なる特許では、「計算能力を高めるため、GPUは現在、大規模なワークロードに幅広く使用されている」と前置き、その上でマルチGPU対応の手法が説かれている。
アップルはGPUが実行するグラフィック作業の個別単位として「キック(kick)」という言葉を使う。これらのキックを適切なGPUに割り当てることが問題だという。そのなかで「たとえば通信ファブリックを介して」とあるのは、外付けのGPUカードを指しているようだ。
このGPUカードは、コンピュータに内蔵あるいは外付けのPCI-Eスロットを占有する場合もある。これらは2つ以上存在し、macOSはそれらを切り替えて使用するとのこと。つまり、複数の外付けGPUが想定されていることになる。
別の特許「グラフィックス・プロセッサ用キックスロットマネージャー回路」は、まさにカードとキック制御の切り替えを目的とするもの。「スロットマネージャー回路は、トラッキングスロット回路のエントリを使い、グラフィックスワークのセットのためのソフトウェアで指定された情報を格納してもよい」とのことで、要はキックを適切なGPUカードに割り振る狙いである。
すなわち2枚のGPUカードを同時に動かせるわけだが、そのためにはタイミングを調整するスケジューリングが必要となる。第3の特許「アフィニティーベース・グラフィックススケジューリング」は、複数のGPUに送信されるデータのスケジューリングを扱う特許である。
これらの特許を組み合わせれば、2つ以上のGPUカードが物理的にサポートされ、しかも特定のタスクを最適なカードに割り振れる。それらGPUからのデータ取り込みは「論理スロットに対応したグラフィックス・ハードウェアのソフトウェア制御技術」なる特許によりカバーされることになる。
アップルのようなハイテク大手は、毎週のように膨大な数の特許を出願しており、そのうち製品化・実用化にこぎ着けるものはごく一部だ。今回の特許も、社内で研究プロジェクトが進行している以上の事実を示すものではなく、Macに反映されるとは限らない。
とはいえ、無関係な特許がたまたま同時に出願されたものでもない。たとえば4件のうち3件は発明者としてAndrew M. Havlirの名前があり、3件はSteven Fishwickの名前がある。少なくとも、アップルが将来のMac Pro等で複数の外付けGPU対応を検討している可能性は、かなり高いはずだ。
Source: USPTO(1), (2), (3), (4)
via: AppleInsider
AppleシリコンがMac搭載のインテル製プロセッサー(少なくとも移行が始まった2020年当時)から劇的に性能が向上したのは、ひとえに「SoC内にすべてをパッケージ化し、ボトルネックを解消した」ことに由来している。たとえば新たなユニファイドメモリ(RAM)はプロセッサーの近くに置かれ、アクセス速度が飛躍的に速くなった。それと引き換えに、後付けで交換したり増量することは不可能となっている。
グラフィックス性能が向上したのも、やはりGPUコアをチップに内蔵しているからだ。そもそもサードパーティ製の外付けGPUは想定せず、当面サポートする予定がないことも、アップルが事実だと認めていた。
しかし、今やアップルはようやく外付けGPUは必要であると認め、少なくとも技術的には検討を進めているようだ。新たに公開された特許出願から、アップルがこの問題の打破を検討している可能性が浮上している。
まず「GPUの論理スロットとハードウェアスロットのマッピング」なる特許では、「計算能力を高めるため、GPUは現在、大規模なワークロードに幅広く使用されている」と前置き、その上でマルチGPU対応の手法が説かれている。
アップルはGPUが実行するグラフィック作業の個別単位として「キック(kick)」という言葉を使う。これらのキックを適切なGPUに割り当てることが問題だという。そのなかで「たとえば通信ファブリックを介して」とあるのは、外付けのGPUカードを指しているようだ。
このGPUカードは、コンピュータに内蔵あるいは外付けのPCI-Eスロットを占有する場合もある。これらは2つ以上存在し、macOSはそれらを切り替えて使用するとのこと。つまり、複数の外付けGPUが想定されていることになる。
別の特許「グラフィックス・プロセッサ用キックスロットマネージャー回路」は、まさにカードとキック制御の切り替えを目的とするもの。「スロットマネージャー回路は、トラッキングスロット回路のエントリを使い、グラフィックスワークのセットのためのソフトウェアで指定された情報を格納してもよい」とのことで、要はキックを適切なGPUカードに割り振る狙いである。
すなわち2枚のGPUカードを同時に動かせるわけだが、そのためにはタイミングを調整するスケジューリングが必要となる。第3の特許「アフィニティーベース・グラフィックススケジューリング」は、複数のGPUに送信されるデータのスケジューリングを扱う特許である。
これらの特許を組み合わせれば、2つ以上のGPUカードが物理的にサポートされ、しかも特定のタスクを最適なカードに割り振れる。それらGPUからのデータ取り込みは「論理スロットに対応したグラフィックス・ハードウェアのソフトウェア制御技術」なる特許によりカバーされることになる。
アップルのようなハイテク大手は、毎週のように膨大な数の特許を出願しており、そのうち製品化・実用化にこぎ着けるものはごく一部だ。今回の特許も、社内で研究プロジェクトが進行している以上の事実を示すものではなく、Macに反映されるとは限らない。
とはいえ、無関係な特許がたまたま同時に出願されたものでもない。たとえば4件のうち3件は発明者としてAndrew M. Havlirの名前があり、3件はSteven Fishwickの名前がある。少なくとも、アップルが将来のMac Pro等で複数の外付けGPU対応を検討している可能性は、かなり高いはずだ。
Source: USPTO(1), (2), (3), (4)
via: AppleInsider
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