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公開日 2023/07/19 12:51
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強力な冷却性能、ゲーミングスマホ「ROG Phone 7 Ultimate」速攻レビュー

山本竜也

ASUSが、同社のゲーミングブランドROGから、ハイエンドゲーミングスマートフォン「ROG Phone 7」および「ROG Phone 7 Ultimate」を7月21日に発売すると発表した。

ROG Phone 7は、日本でも発売されているROG Phone 6の後継モデルで、海外では4月に発表されていたスマートフォンだ。ROG Phone 7とROG Phone 7 Ultimateは、どちらも6.78インチのディスプレイを備え、SoCにSnapdragon 8 Gen 2を搭載。基本的な仕様は同一だが、背面デザインや付属品の有無などが異なっている。

まだあまり一般的とは言えないゲーミングスマートフォンだが、名前の通り、ゲームプレイに特化した仕様をもつスマートフォンだ。通常のハイエンドスマートフォンと比べ、特に冷却性能を強化したものが多い。ROG Phone 7についても、長時間のゲームプレイで発熱による性能の低下が起きないよう、様々な工夫が施されている。

今回、発売前のROG Phone 7 Ultimateを借りることができたので、他のハイエンドスマートフォンとは何が違うのかを中心に見ていこう。

■6.78インチの大型スマートフォン

まずは、ROG Phone 7 Ultimateの外観から確認していこう。ディスプレイは6.78インチ(2448×1080ピクセル)のAMOLEDで、リフレッシュレートは最大165Hz、応答速度は1msと高速だ。タッチサンプリングレートも720Hzと高く、ゲームでの細かく素早い操作にも追従する。最大輝度1500nitsにコントラスト比は100万:1と、表示も非常に綺麗だ。


ROG Phone 7 Ultimateの背面には、ROG Visionというミニディスプレイを搭載している。ミニディスプレイといっても、メールなどを表示できるわけではない。基本的には画面オン時や充電時、着信時、ゲーム中などに指定のアニメーションを表示できるというもので、いかにも「ゲーミング」らしいギミックだ。Ultimateではない無印のROG Phone 7にROG Visionは搭載されていないが、こちらは変わりに、背面ロゴの発光やアニメーションが可能だ。

ボリュームと電源ボタンは右側面に配置し、底面にはUSB Type-Cポートと3.5mmオーディオジャックを備えている。ゲーミングスマートフォンでは珍しくないが、USBは中心からズレている。さらに左側面にもUSB Type-Cポートがあり、こちらで充電も可能だ。充電しながらゲームプレイする場合、この位置にあるとケーブルが邪魔になりにくい。またこのポートは、後述する付属の外付けクーラーデバイス「AeroActive Cooler 7」を接続するのにも利用する。

■超音波タッチセンサーのショルダーボタンを搭載

ゲーミングスマートフォンの特徴でもあるが、ROG Phone 7の右側面には、横向きでプレイする際にゲーム機のショルダーボタンのように使える超音波タッチセンサー「AirTrigger 7」を備えている。

超音波タッチセンサーの「AirTrigger 7」は右側面に付いている

ゲームプレイ時、画面上に仮想ボタンを配置し、この超音波タッチセンサーのタップやスワイプを、画面上のタップやスワイプに割り当てることが可能だ。なお、タッチセンサーは右と左に各1つだけだが、それぞれのセンサーの左右を分割して認識(デュアルパーティション)させることで、計4つのボタンとしても利用できる。なかなか使い分けが難しいが、細かい操作も得意だという人は試してみるといいだろう。

実際に「原神」をプレイしてみたが、フレームレートが落ちることもなく快適にプレイができた。AirTrigger 7の操作性も良好だ。ただ、AirTrigger 7を分割して2つのボタンとして認識させる設定は、奥側に指が届かず使い勝手が悪いと感じた。スマートフォンの持ち方やプレイするゲームにもよるとは思うが、シンプルな設定で使うほうが良いかもしれない。

■過不足ないカメラ性能

背面カメラは500万画素のメインカメラに1300万画素の超広角、500万画素のマクロカメラという3眼構成だ。フロントカメラについては、3200万画素となっている。


カメラ性能を売りにしている端末ではないが、長時間露光のライトトレイル撮影など、面白い撮影モードも搭載している。実際の写真写りは好みもあるが、最近のハイエンド端末として十分な性能といえるだろう。

■パワーアップした冷却性能

ゲーミングスマートフォンは、処理能力の高さに比例してしばしば発熱が問題になり、各社とも排熱・冷却には力を入れている。当然、ROG Phone 7 Ultimateも例外ではない。外からは見えない部分ではあるが、先代(ROG Phone 6)比で熱効率が10%向上したグラファイトシートや、循環サイクルを効率化したラピッドサイクルベイパーチャンバーを搭載。こちらも放熱効率は先代比で168%向上している。

ROG Phone 7 Ultimateには、専用の外付けクーラーであるAeroActive Cooler 7が同梱されている。大型のファンを備えており、背面側を最大25℃、タッチパネル側を最大で約8℃下げることが可能だ。

また、ROG Phone 7 Ultimateの背面には、AeroActive Cooler 7と連動する電動開閉式のカバー「AeroActive Portal」が搭載されている。普段は閉まっているが、AeroActive Cooler 7を装着すると自動で開き、本体の熱を排熱する。この機構により、AeroActive Cooler 7の送風を効率よく内部に取り込めるようになっている。

AeroActive Portalは普段は閉まっているが、AeroActive Cooler 7を装着すると自動で開閉する(電動式)

AnTuTuベンチマークのストレステストを実施したところ、AeroActive Cooler 7なしでは約12分でバッテリー温度が45℃となり、テストが終了してしまうが、AeroActive Cooler 7を装着すると45分のテストを完走できた。かなり高い効果がありそうだ。

また、AeroActive Cooler 7には4つの物理ボタンを搭載しており、AirTrigger 7と同様にゲームに割当が可能だ。このほか、サブウーファーも搭載しており、本体に搭載の2つのスピーカーと合わせて2.1chサウンドを実現している。

ゲーム中はイヤホンやヘッドフォンを使うユーザーも多いと思うが、自宅など周りに人がいない場所でゲームをするなら、臨場感のある迫力のサウンドを楽しめそうだ。なおROG Phone 7自体は、ハイレゾオーディオ、およびハイレゾオーディオワイヤレスの認定を受けている。

なお、無印のROG Phone 7でAeroActive Cooler 7は利用できないが、ROG Phone 6用のAeroActive Cooler 6は使用可能だ。AeroActive Cooler 6はROG Phone 7発売後も継続販売する予定となっている。

■総合管理ツールArmoury Crate

ROG Phone 7 Ultimateには動作モードを変更したり、ROG VisionやAirTrigger 7などを設定したりできる「Armoury Crate」というアプリを搭載している。同名のアプリは、ROG Allyを含むROGシリーズのゲーミングノートPCにも搭載されているので、馴染みがある人もいるだろう。

動作モードはゲームで最高のパフォーマンスを発揮する「Xモード/Xモード+」、一般的な使い方で使用する際におすすめの「ダイナミック」、可能な限り電力を節約する「超省電力」から選択可能。なお、Xモード+はAeroActive Cooler 7を接続している場合のみ選択できる。

■ゲーミングの名にふさわしいハイエンドな1台

最後にベンチマーク結果も載せておこう。以下のテストはAeroActive Cooler 7を使わずに「Xモード」で測定している。CPU性能を測るGeekbench 6のスコアは、シングルコアが「1932」、マルチコアが「5695」。3Dグラフィック性能を測る3DmarkのWild Life Extremeは「2357」だった。

また、スマートフォンの総合的な性能を測るAnTuTuでは「1594854」という結果になった。なおAnTuTuは、Google Playからはインストールできないので、apkを直接インストールしている。

ハイエンドスマートフォンとして高いポテンシャルを有しつつ、ゲーミングに特化した数々の機能を備えているROG Phone 7 Ultimate。最上位となるUltimate(RAM16GB、ストレージ512GB)は179,800円と、なかなかの価格だが、無印のROG Phone 7であれば、RAM12GB+ストレージ256GBは129,800円、RAM16GB+ストレージ512GBでも149,800円と、多少は手を出しやすくなっている。

国内でメインのスマートフォンとして使うには、FeliCaが非搭載(NFCは搭載している)という点は気になるが、最近はVISAタッチ決済などの利用シーンも増えており、QRコード決済も併用すればそれほど困らないかもしれない。なにより、スマートフォンで快適にゲームを楽しみたいという人には、ぜひ1度体験して欲しい端末だ。

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