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公開日 2024/07/24 12:57
ロボット犬が掃除機背負ってやってきた

タバコの吸殻を拾い集めるロボット掃除犬、イタリア技術研究所が開発

Munenori Taniguchi
日本では、ポイ捨てゴミのランキングにおいて、タバコの吸殻が市街地でも路上でも1位となっていることが2016年に食品容器環境美化協会によって報告されている。また、世界的に見てもポイ捨てされるゴミの中でタバコは常に上位にある。

さらに海洋ゴミにおいても、海岸においてもっとも頻繁に発見されるゴミとしてタバコの吸殻が挙げられており、2019年に発表された論文では「毎年世界中で6兆本のタバコが吸われ、4.5兆本のタバコが環境に捨てられている」と報告されている。

自然環境にタバコの吸殻が捨てられると、動物がそれを食べて有毒な成分におかされるほか、フィルター部分がマイクロプラスチック化して回収が困難になる。根本的な話としてはそもそも、タバコの吸殻が自然環境に捨てられないようにすべきなのは間違いないが、世界中の人間の行動を変えるというやり方には無理がある。

イタリア技術研究所(Istituto Italiano di Tecnologia:IIT)のDynamic Legged Systems labでは、人の行動を変えさせるのは無理だという仮定のもと、吸殻を拾い集めることができるロボットを開発することにした。

一般的なロボット掃除機では、草深い茂みや地形的に起伏のある場所をカバーするのは難しい。そこでIITはロボット犬などとも呼ばれる四脚ロボットに掃除機を背負わせ、四肢に吸引ホースをくくりつけることで、センサーによってタバコの吸殻を検知し、背中に吸い上げるロボット掃除犬「Vacuum-cleaner Equipped RObot(VERO)」を作り上げ、Journal of Field Roboticsに論文を発表した。

発想はごく単純ではあるものの、四脚ロボットが地面にあるものを自律的に判別し、タバコの吸殻や小さなゴミを、どのようにして足を使って吸い上げるかという部分は作るのが難しい。IITはその部分に2台の深度センシングカメラと畳み込みニューラルネットワークを使用することで地面に落ちている吸殻を見つけ、その付近に足を持って行き、掃除機のスイッチをオンにして回収する仕組みを構築した。

このプロセスでは、砂地や階段など、表面が不均一な場所で行われることも想定する必要があり、発見した吸殻に対し、VEROは前足の片方をすぐそばに下ろす際に、残る3本の足で、安全かつ安定した姿勢を計算し維持するように考慮された。また、VEROの掃除範囲はオペレーターがあらかじめ設定しておく必要があるものの、あとはロボットが自律的に動作するようにした。

さまざまな環境でVEROの動作を試した結果、このロボット掃除犬はタバコの吸殻の90パーセント弱をうまく収集できたとIITは述べている。無数に落ちているタバコを拾い続ける作業は人間がやるとすぐに飽きてしまいそうだが、ロボット掃除犬ならバッテリーが続く限り黙々とこれをこなすことが可能だ。

これはもしかすると、ロボット犬がその足を移動に使うのと同時に、それ以外の作業のために使用された初めての例と言えるかもしれない。

いずれにせよ、夏のビーチなどではタバコの吸殻が目立つと利用客の印象も悪くなる。テーマパークやハイキングコースなども同じであり、そういった場所でVEROは活躍する可能性がありそうだ。

なお研究者らは、タバコの吸殻回収だけではなく、ほかにも農作物畑の除草剤散布、インフラの亀裂検査、建設現場での釘やリベットの打ち込みなど、VEROの潜在的な用途をいくつか提案している。四脚ロボットは4本の足があるため、複数の作業を同時にさせることもできるかもしれない。

Source: Italian Institute of Technology, IIT(PDF)
via: IEEE Spectrum

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