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公開日 2020/01/31 14:07
デバイス/技術/配信サービスが一丸となり取り組む
シャープとU-NEXTが手を取りエンタメ強化。「AQUOS zero2」に見るドルビーコンテンツの配信事情
編集部:押野 由宇
シャープから新スマートフォン「AQUOS zero2」が発売となった。ゲーミングスマホとしての側面も持つハイスペックモデルだが、AVファンとしてはドルビービジョン/アトモス対応であることにも注目したい。
シャープはスマートフォンについて、自社でディスプレイ開発が行えることを強みとし、美しい画面という価値を提供してきた。最新モデルのAQUOS zero2では、それに加えて世界最軽量の141g、そして “ゲーム系フラグシップ” としてエンタメコンテンツを十全に楽しめるスペックの搭載を特徴として謳っている。
ゲーミング性能では超高速駆動OLEDの240Hz駆動、タッチパネルも4倍速のクイックレスポンスがアピールポイントであり、さらにSnapdragon 855の搭載やROM 256GB/RAM 8GBなど、そのほかのパフォーマンスとしてもAQUOSスマホ史上最高だ。
これらのスペックは映像体験にも良い形で作用する。特に国産第2弾OLEDディスプレイについては、徹底的なこだわりのもと開発が進められた。「AQUOS R」シリーズで培ってきた10億色表現は、AQUOS OLEDディスプレイとしては初採用。100万:1の高コントラストと合わせて、暗所の階調を細かく制御でき、黒つぶれを抑えている。さらに色域はDCI-P3を100%カバーしており、こちらも10億色表現とのマッチングで明るく滑らか、かつ繊細な色階調を表現する。10億色表現が輝度、コントラスト、広色域の性能をアシストする格好だ。
そしてパネル設計をイチから見直すことで最大輝度を大幅アップ。前機種のAQUOS zeroに対して明るさは150%となった。OLEDは特性上、全白表示時よりも部分的に表示させた場合のほうが輝度が高くなるため、高輝度を必要とするドルビービジョンなどHDRコンテンツに対して効果的であると同社は主張している。
またマスターモニターを使った画質調整、光学測定器間の校正、生産ラインで個別調整という工程を経ることで、製品のばらつきが少なく、どの端末においても高品位な映像が体験できるという生産上の工夫も行う。高い表現力と色の正確性という動画向け性能の品質を確保するため、盤石の構えで取り組んでいるわけだ。製品の詳細については開発者インタビューも実施しているので参照していただきたい。
今回、シャープとU-NEXT、Dolby Japanと共同で、AQUOS zero2のドルビービジョン/アトモス対応に関する説明の場が設けられた。
シャープは2018年夏モデルの「AQUOS R2」で世界で初めてドルビービジョン/アトモス両対応を実現。国内のデバイスメーカーとしていち早いドルビー対応を進めてきたが、同社は再生表示デバイスだけでなく、コンテンツ制作技術、配信サービスの事業各社が足並みを揃えることが重要であると説く。
またDolby Japan代表取締役社長である大沢幸弘氏は、「エンターテインメントは次の段階に入っている。HDRが重要と10数年前に訴えかけたときはご賛同いただける声が少なかった。しかし、この数年、その重要性を認めていただいている。従来の映像と比較して、暗部に隠れていた情報やディテールを映し出し、完全な黒、そして炎などを白飛びせずに表現できるといった強みがある」とドルビービジョンコンテンツについて説明。
そして「ドルビーアトモスは単に立体的に聴こえるというだけではなく、オブジェクトオーディオにより、さらに正確な音の定位、包み込まれるようなサウンドを実現できる。モバイルでもホームシアターでも、オブジェクトオーディオは必須と考えている。モバイルのコンシューマーは、本当のドルビーコンテンツの感動を全員が体験できていない。AQUOS zero2により体験の機会が増えることになれば嬉しい」とドルビーコンテンツの普及のきっかけとしてのAQUOS zero2に期待を込めた。
本日1月31日より、U-NEXTが4K/ドルビービジョン/ドルビーアトモスコンテンツの配信をスタートした。国内の動画配信サービスとしては初だ。
すでにドルビービジョン/アトモスを用いた商用ライブ配信を日本で初めて実施するなど、U-NEXTとドルビージャパンの取り組みが推進されてきた。ユーザーからの要望の高いハリウッド作品においては経済的な問題やエンコードリソースの確保という条件面で多くの課題が残されていたが、今回パラマウント・ピクチャーズ作品をドルビービジョン/アトモスで配信することができるようになった。
この背景には、AQUOS zero2がリリースされ、実際に高品質、高画質のコンテンツが楽しめる端末が存在しているにもかかわらず、コンテンツそのものがないという状況を鑑みて、上述のハードルを乗り越えスタートを切ったという企業努力が見て取れる。高品質配信は高価格帯になることが通例だが、U-NEXTでは従来作品と同様の価格で提供を行うこともその一環だろう。
ユーザーとしては煩雑なステップを踏むことなく気軽に視聴できることも重要だが、AQUOS zero2では「Dolby体験」アイコンをホーム画面に置き、タップすることでU-NEXTの対応コンテンツをスムーズに楽しめるようにしている。なお本アイコンからのショートカットはソフトバンク端末からのみで、ドコモ、auではシャープのサイトなどから導線を作る予定となっている。ちなみに、AQUOS R3、AQUOS zeroではau、ドコモ、ソフトバンクの各端末でアイコンが設置されるそうだ。
U-NEXTのドルビーコンテンツ配信を視聴可能な端末は、発表時点でandroid TV、amazon fireTV、そしてAQUOS zero2をはじめとしたドルビー対応のandroidモバイル機器となる。iPhoneについても技術的には対応可能であり、検討が進められているという。
AQUOS zero2というエンターテインメント用途に強いデバイスがリリースされたことや、ドルビーコンテンツの配信がスタートしたことは喜ばしい。ただ、例えばU-NEXTの配信は『ロケットマン』『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』『バンブルビー』の3作品からスタートし、これから数を増やしていく予定だが、その拡充が緩やかであれば普及はストップしてしまうだろう。
『機動戦士ガンダム』劇場版三部作がドルビーシネマフォーマット化して上映されたが、このように新作だけでなく旧作からのコンテンツ拡充も求められるはずだ。今回、各社が説明の場を設けてアピールしたように、他業種が一斉に前を向いて進んでいくことが重要であり、AQUOS zero2の登場やU-NEXTのサービス強化により、そうした取り組みがいっそう加速していくことを期待したい。
シャープはスマートフォンについて、自社でディスプレイ開発が行えることを強みとし、美しい画面という価値を提供してきた。最新モデルのAQUOS zero2では、それに加えて世界最軽量の141g、そして “ゲーム系フラグシップ” としてエンタメコンテンツを十全に楽しめるスペックの搭載を特徴として謳っている。
ゲーミング性能では超高速駆動OLEDの240Hz駆動、タッチパネルも4倍速のクイックレスポンスがアピールポイントであり、さらにSnapdragon 855の搭載やROM 256GB/RAM 8GBなど、そのほかのパフォーマンスとしてもAQUOSスマホ史上最高だ。
これらのスペックは映像体験にも良い形で作用する。特に国産第2弾OLEDディスプレイについては、徹底的なこだわりのもと開発が進められた。「AQUOS R」シリーズで培ってきた10億色表現は、AQUOS OLEDディスプレイとしては初採用。100万:1の高コントラストと合わせて、暗所の階調を細かく制御でき、黒つぶれを抑えている。さらに色域はDCI-P3を100%カバーしており、こちらも10億色表現とのマッチングで明るく滑らか、かつ繊細な色階調を表現する。10億色表現が輝度、コントラスト、広色域の性能をアシストする格好だ。
そしてパネル設計をイチから見直すことで最大輝度を大幅アップ。前機種のAQUOS zeroに対して明るさは150%となった。OLEDは特性上、全白表示時よりも部分的に表示させた場合のほうが輝度が高くなるため、高輝度を必要とするドルビービジョンなどHDRコンテンツに対して効果的であると同社は主張している。
またマスターモニターを使った画質調整、光学測定器間の校正、生産ラインで個別調整という工程を経ることで、製品のばらつきが少なく、どの端末においても高品位な映像が体験できるという生産上の工夫も行う。高い表現力と色の正確性という動画向け性能の品質を確保するため、盤石の構えで取り組んでいるわけだ。製品の詳細については開発者インタビューも実施しているので参照していただきたい。
今回、シャープとU-NEXT、Dolby Japanと共同で、AQUOS zero2のドルビービジョン/アトモス対応に関する説明の場が設けられた。
シャープは2018年夏モデルの「AQUOS R2」で世界で初めてドルビービジョン/アトモス両対応を実現。国内のデバイスメーカーとしていち早いドルビー対応を進めてきたが、同社は再生表示デバイスだけでなく、コンテンツ制作技術、配信サービスの事業各社が足並みを揃えることが重要であると説く。
またDolby Japan代表取締役社長である大沢幸弘氏は、「エンターテインメントは次の段階に入っている。HDRが重要と10数年前に訴えかけたときはご賛同いただける声が少なかった。しかし、この数年、その重要性を認めていただいている。従来の映像と比較して、暗部に隠れていた情報やディテールを映し出し、完全な黒、そして炎などを白飛びせずに表現できるといった強みがある」とドルビービジョンコンテンツについて説明。
そして「ドルビーアトモスは単に立体的に聴こえるというだけではなく、オブジェクトオーディオにより、さらに正確な音の定位、包み込まれるようなサウンドを実現できる。モバイルでもホームシアターでも、オブジェクトオーディオは必須と考えている。モバイルのコンシューマーは、本当のドルビーコンテンツの感動を全員が体験できていない。AQUOS zero2により体験の機会が増えることになれば嬉しい」とドルビーコンテンツの普及のきっかけとしてのAQUOS zero2に期待を込めた。
本日1月31日より、U-NEXTが4K/ドルビービジョン/ドルビーアトモスコンテンツの配信をスタートした。国内の動画配信サービスとしては初だ。
すでにドルビービジョン/アトモスを用いた商用ライブ配信を日本で初めて実施するなど、U-NEXTとドルビージャパンの取り組みが推進されてきた。ユーザーからの要望の高いハリウッド作品においては経済的な問題やエンコードリソースの確保という条件面で多くの課題が残されていたが、今回パラマウント・ピクチャーズ作品をドルビービジョン/アトモスで配信することができるようになった。
この背景には、AQUOS zero2がリリースされ、実際に高品質、高画質のコンテンツが楽しめる端末が存在しているにもかかわらず、コンテンツそのものがないという状況を鑑みて、上述のハードルを乗り越えスタートを切ったという企業努力が見て取れる。高品質配信は高価格帯になることが通例だが、U-NEXTでは従来作品と同様の価格で提供を行うこともその一環だろう。
ユーザーとしては煩雑なステップを踏むことなく気軽に視聴できることも重要だが、AQUOS zero2では「Dolby体験」アイコンをホーム画面に置き、タップすることでU-NEXTの対応コンテンツをスムーズに楽しめるようにしている。なお本アイコンからのショートカットはソフトバンク端末からのみで、ドコモ、auではシャープのサイトなどから導線を作る予定となっている。ちなみに、AQUOS R3、AQUOS zeroではau、ドコモ、ソフトバンクの各端末でアイコンが設置されるそうだ。
U-NEXTのドルビーコンテンツ配信を視聴可能な端末は、発表時点でandroid TV、amazon fireTV、そしてAQUOS zero2をはじめとしたドルビー対応のandroidモバイル機器となる。iPhoneについても技術的には対応可能であり、検討が進められているという。
AQUOS zero2というエンターテインメント用途に強いデバイスがリリースされたことや、ドルビーコンテンツの配信がスタートしたことは喜ばしい。ただ、例えばU-NEXTの配信は『ロケットマン』『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』『バンブルビー』の3作品からスタートし、これから数を増やしていく予定だが、その拡充が緩やかであれば普及はストップしてしまうだろう。
『機動戦士ガンダム』劇場版三部作がドルビーシネマフォーマット化して上映されたが、このように新作だけでなく旧作からのコンテンツ拡充も求められるはずだ。今回、各社が説明の場を設けてアピールしたように、他業種が一斉に前を向いて進んでいくことが重要であり、AQUOS zero2の登場やU-NEXTのサービス強化により、そうした取り組みがいっそう加速していくことを期待したい。