トップページへ戻る

レビュー

HOME > レビュー > レビュー記事一覧

公開日 2017/08/02 10:05
3種のスピーカーでサウンド検証

【製品批評】LUXMAN「C-900u」「M-900u」 ー 音と技術を極めた旗艦セパレートアンプ

角田郁雄



プリアンプ/パワーアンプ
LUXMAN
C-900u M-900u
 各¥1,100,000(税抜)



その音、洗練されたデザイン、ミニチュアの工場地帯を見るような内部回路は、オーディオマインドを掻き立てる。現代のアンプにおいて、こうした、佇まいを私に感じさせてくれるアンプをひとつ挙げるとするなら、ラックスマンのセパレートアンプになる。何故かというと、独自の最新技術と古典的とも言える手法で音を極めているからだ。音と技術を極めたフラグシップモデルが、プリアンプC-900uとパワーアンプM-900uだ。

大きなコア技術は、ODNF4・0というディスクリート構成のアンプモジュールだ。これは主アンプと副アンプで構成され、副アンプは、主アンプが増幅した信号の歪み成分だけを抽出し、主アンプにフィードバック(帰還)させる仕組みとしていることも大きな魅力だ。

プリアンプでは、新LECUA1000という88ステップの高精度抵抗ラダー型の音量調節器を搭載する。C-900uは、さらにアグレッシブと言えるほどに、回路を極め、レジストの無い、105μmの厚みのある金メッキを施した銅箔ピールコート基板を採用。これにより、ワイヤー伝送のように、プリントパターンの低容量、低インピーダンス化が実現できる。

完全バランス構成を採用するC-900uは、新LECUA1000を並列に4基搭載し、理想的なバランス伝送を実現。左右のバランス調節や、バイアンプ出力モードでのレベル調節なども、LECUAの制御で行なう

M-900uは、150W/8Ωで、1200W/1Ωの実力を備える。2台、モノラル使用すれば、BTL接続で、600W/8Ωを出力。3段ダーリントンのバイポーラトランジスタ4パラレルプッシュプルの増幅段を1モジュールとし、1chあたり2モジュールを組み合わせた4×2出力段を搭載。増幅回路には、もちろん、ODNF4・0を採用し、回路にはピールコート基板を採用する。

M-900uの電源部には高性能EI型スーパーレギュレーショントランスを搭載し、1,250VA(瞬間最大2,500VA)という大容量によってあらゆる負荷変動にもゆるがないレギュレーション性能を実現する

B&Wの「803 D3」とモニターオーディオ「PL200 II」、TAD「TAD-E1」組み合わせて聴いてみた。歪み1%以下を誇るB&Wの803 D3を再生すると、身が震えた。奏者や歌い手が、微細な動作、息遣いまでも伴い、音楽が展開したからだ。まさに生演奏さながらだ。

PL200 IIでは、独自のハイルドライバーとアルミコーンユニットが織りなす、フレッシュな音質を引き立て、空間にリアルな演奏のさまを描いた。それは往年のアポジーのオールリボン・プレーナー型スピーカーのような質感を伴っていた。

驚くのはTAD-E1であった。筋骨隆々のマッシブな音圧を示し、TADのプロ用ユニットを使ったスタジオ・ラージ・モニターを彷彿とさせる素早い応答特性と躍動感に溢れた、熱き演奏が展開した。その結果、得られたことは、紛れもなく、再生する音楽に内包する空間や躍動感ある演奏をリアルに展開することだ。音楽としての自然な音の立ち上がりと自然の音の階調を見るような解像度の高さ、倍音再現性も堪能できる。ぜひ、一度、この音に、触れてみようではないか。

(角田郁雄)

Specifications
【C-900u】 ● 入力感度/ 入力インピーダンス:アンバランス255mV/43kΩ、バランス 255mV/86kΩ●出力/出力インピーダンス: アンバランス 定格1V/90Ω 最大11V、バランス 定格1V/180Ω 最大22.5V●周波数特性:20Hz〜20kHz( +0、-0.1dB)、5Hz〜120kHz( +0、-3.0dB)●全高調波歪率:アンバランス 0.009%( 20Hz〜20kHz)、バランス 0.005%( 20Hz〜20kHz)●S/N(IHF-A):アンバランス 123dB、バランス 126dB●トーンコントロール最大変化量:BASS:±8dB at 100Hz、TREBLE:±8dB at 10kHz●消費電力:38W(電気用品安全法)、2.2W(スタンバイ時)●サイズ:440W×130H×430Dmm(奥行きは前面ノブ17mm、背面端子14mmを含む)●質量:19.7kg
【M-900u】 ●定格出力:150W+150W(8Ω)/ステレオ時、300W+300W(4Ω)/ステレオ時、600W(8Ω)/モノラル時●瞬時最大出力:1200W +1200W(1Ω)/ステレオ時、2400W(2Ω)/モノラル時●入力感度:1.24V/150W(8Ω)、GAIN 29.0dB●入力インピーダンス:アンバランス51kΩ、バランス34kΩ●周波数特性:20Hz 〜20kHz(+0、-0.1dB)、1Hz 〜130kHz(+0、-3.0dB)●全高調波歪率:0.008%以下(1kHz/8Ω)、0.1%以下(20Hz〜20kHz/8Ω)●S/N(IHF-A):117dB●ダンピングファクター:710●消費電力:520W(電気用品安全法)、280W( 無信号時)、1.0W(スタンバイ時)●サイズ:440W×224H×485Dmm(奥行きは前面ノブ2mm、背面端子38mmを含む)●質量:48.0kg ●取り扱い:ラックスマン(株)


※本記事は「季刊オーディオアクセサリー」161号所収記事の一部を抜粋したものです。くわしいレビューは雑誌でご覧頂けます。購入はこちらから

関連リンク

新着クローズアップ

クローズアップ

アクセスランキング RANKING
1 「オーディオのオンキヨー」復活へ。新スピーカーとセパレートシステムを年明けのCESで発表
2 【完全ワイヤレスイヤホン特集 PART.10】音のプロが選ぶベストバイは?
3 CD再生とファイル再生の架け橋に!Shanlingからリッピング機能付きトランスポート「CR60」が登場
4 今こそ「ミニコンポ」が面白い! デノン/マランツ/B&Wの令和ライフにマッチする厳選5モデルレビュー
5 水月雨、『崩壊:スターレイル』とのコラボ完全ワイヤレス。ダイナミック+環状平面駆動の同軸ドライバー搭載
6 【ミニレビュー】空き電源コンセントに挿入するだけ。オーディオみじんこ「SILVER HARMONIZER AC-ADVANCE」
7 モニターオーディオ「GOLDシリーズ」レビュー。ユニット大幅刷新の第6世代機は「ハイスピードで焦点の明確な音調」
8 AVIOT、『らんま1/2』コラボ完全ワイヤレスイヤホン。完全新録ボイス240種類以上搭載
9 Nothing、スマホ/イヤホンが最大30%オフ価格になるウィンターキャンペーン。先着順で靴下もらえる
10 要注目の新興ブランド、ラトビア「アレタイ」スピーカー試聴レビュー!広大な空間描写力が魅力
12/20 10:05 更新

WEB