公開日 2018/03/22 08:00
名機“Grande Utopia”の設計思想を継承
FOCAL「Utopia III Evo/SOPRA」を聴く ー ハイエンドスピーカーの“到達点”
山之内 正
■高い技術力で充実したラインナップを持つ仏スピーカーブランド「FOCAL」
FOCALは欧州最大規模のスピーカーブランドで、創業以来40年近い歴史を刻んできた。ホームだけでなく、カーオーディオやプロフェッショナルの分野にも多くの製品群を提供する広範な事業展開の背景に、ユニット開発からスタートして、スピーカー設計のノウハウを掌中に収めた同社の強みがうかがえる。そして、技術力の高さとともに忘れてはいけないのが、ハイエンドモデルの開発に果敢に取り組む企業姿勢である。
創設者ジャック・マユールの名を冠した“JM Lab”ブランドの時代から、FOCALのフラグシップ機はオーディオ愛好家の憧れの対象で、特に1995年に登場した「Grande Utopia」は、その後の同社のスピーカー作りの方向を決定付けただけでなく、他社を含む高級スピーカーの設計に多大な影響を与えた記念碑モデルであった。逆ドーム型トゥイーターを中心に据えて上下にミッドレンジとウーファーを配置し、帯域ごとに独立させたキャビネットの角度を最適化することでタイムアライメントを確保。内部損失と剛性を両立させた「Wサンドイッチコーン」の採用もこの製品が契機となった。
Grande Utopiaのコンセプトは進化を遂げながらハイエンドモデルに継承され、FOCALはその後約20年にわたって名機を数多く作り上げてきた。現在のラインナップではトップエンドの「Utopia III」、その進化系として登場した最新の「Utopia III Evo」と各シリーズにUtopiaの名が刻まれているが、さらなる小型化を果たした「SOPRA」シリーズにもUtopiaの設計思想が投入されている。ハイエンドクラスにここまで充実した製品群を揃えるブランドはきわめて貴重な存在といえるが、その基盤になったのがGrande Utopiaなのだ。
■フラッグシップの思想を踏襲した最新シリーズ「Utopia III Evo」
2017年秋に発売されたUtopia III Evoシリーズは、「Maestro Utopia Evo」と「Scala Utopia Evo」の2機種で構成される。どちらも3ウェイ・フロア型だが、Maestroは27cmウーファーを2基搭載し、シングルウーファーのScalaに比べて22cmほど背が高い。トゥイーターはいずれもベリリウム振動板を採用した逆ドーム型で、ミッドレンジとウーファーの振動板にはWサンドイッチコーンを投入。ウーファー、ミッドレンジ、トゥイーターとそれぞれに独立したキャビネットを与えていることが上位グレードの証だ。
各ユニットはEvoシリーズ専用設計で、FOCALならではの独自技術が目白押しだ。トゥイーターは背面の減圧で適切なダンピングと低歪を実現する「IAL2システム」を採用。これは上位のUtopia III譲りの技術で、ベリリウムの音速の速さを最大限に活かす役割を果たす。
ミッドレンジは、ボイスコイルに近接されたファラデーリングで磁場を安定させる「NIC」とサスペンションの変形を制御する「TMD」を併用し、純度の高い中域を再現。ウーファーは再生環境の音響特性に合わせて低域のレベルを調整する「MDS」をMaestro Utopia Evoに採用していることが目を引く。
キャビネットの仕上げの美しさも特筆すべきだろう。ブラックやホワイトも美しいが、クルマの塗装からインスパイアされたメタリックブルーやブリティッシュレーシンググリーンが放つ、深みのある光沢には思わず目が引き寄せられる。部屋の空気を一変させるほどの美しい佇まいを、ぜひ実機で体験していただきたい。
FOCALは欧州最大規模のスピーカーブランドで、創業以来40年近い歴史を刻んできた。ホームだけでなく、カーオーディオやプロフェッショナルの分野にも多くの製品群を提供する広範な事業展開の背景に、ユニット開発からスタートして、スピーカー設計のノウハウを掌中に収めた同社の強みがうかがえる。そして、技術力の高さとともに忘れてはいけないのが、ハイエンドモデルの開発に果敢に取り組む企業姿勢である。
創設者ジャック・マユールの名を冠した“JM Lab”ブランドの時代から、FOCALのフラグシップ機はオーディオ愛好家の憧れの対象で、特に1995年に登場した「Grande Utopia」は、その後の同社のスピーカー作りの方向を決定付けただけでなく、他社を含む高級スピーカーの設計に多大な影響を与えた記念碑モデルであった。逆ドーム型トゥイーターを中心に据えて上下にミッドレンジとウーファーを配置し、帯域ごとに独立させたキャビネットの角度を最適化することでタイムアライメントを確保。内部損失と剛性を両立させた「Wサンドイッチコーン」の採用もこの製品が契機となった。
Grande Utopiaのコンセプトは進化を遂げながらハイエンドモデルに継承され、FOCALはその後約20年にわたって名機を数多く作り上げてきた。現在のラインナップではトップエンドの「Utopia III」、その進化系として登場した最新の「Utopia III Evo」と各シリーズにUtopiaの名が刻まれているが、さらなる小型化を果たした「SOPRA」シリーズにもUtopiaの設計思想が投入されている。ハイエンドクラスにここまで充実した製品群を揃えるブランドはきわめて貴重な存在といえるが、その基盤になったのがGrande Utopiaなのだ。
■フラッグシップの思想を踏襲した最新シリーズ「Utopia III Evo」
2017年秋に発売されたUtopia III Evoシリーズは、「Maestro Utopia Evo」と「Scala Utopia Evo」の2機種で構成される。どちらも3ウェイ・フロア型だが、Maestroは27cmウーファーを2基搭載し、シングルウーファーのScalaに比べて22cmほど背が高い。トゥイーターはいずれもベリリウム振動板を採用した逆ドーム型で、ミッドレンジとウーファーの振動板にはWサンドイッチコーンを投入。ウーファー、ミッドレンジ、トゥイーターとそれぞれに独立したキャビネットを与えていることが上位グレードの証だ。
各ユニットはEvoシリーズ専用設計で、FOCALならではの独自技術が目白押しだ。トゥイーターは背面の減圧で適切なダンピングと低歪を実現する「IAL2システム」を採用。これは上位のUtopia III譲りの技術で、ベリリウムの音速の速さを最大限に活かす役割を果たす。
ミッドレンジは、ボイスコイルに近接されたファラデーリングで磁場を安定させる「NIC」とサスペンションの変形を制御する「TMD」を併用し、純度の高い中域を再現。ウーファーは再生環境の音響特性に合わせて低域のレベルを調整する「MDS」をMaestro Utopia Evoに採用していることが目を引く。
キャビネットの仕上げの美しさも特筆すべきだろう。ブラックやホワイトも美しいが、クルマの塗装からインスパイアされたメタリックブルーやブリティッシュレーシンググリーンが放つ、深みのある光沢には思わず目が引き寄せられる。部屋の空気を一変させるほどの美しい佇まいを、ぜひ実機で体験していただきたい。