公開日 2020/10/15 00:00
前モデル「Pixel 4」とも比べた
“Google純正”の5Gスマホ「Pixel 5」レビュー。同時発売「Pixel 4a(5G)」と比較
編集部:平山洸太
Googleから2つの5Gスマートフォンが登場した。1つめはハイエンドモデルの「Pixel 5」、そしてミドルレンジの「Pixel 4a(5G)」だ。
価格はPixel 5が税込74,800円で、Pixel4a(5G)は税込60,500円。特にPixel 5は、前モデル「Pixel 4」の税込89,980円から、約1.5万円の値下げとなっている。
記者はふだんPixel 4を愛用しているが、両モデルを使ってみると、正直、Pixel 5に買い替えたいと感じた。一見小さな変更が多いと感じられるかもしれないが、積み重なると大きな進化だ。感じていた数々の不満や、こうなったら良いのになというポイントが改善されている。
さらに安いPixel 4a(5G)も、コスパが高いモデルだと感じた。基本的なスペックはPixel 5と同じでありながら、機能面を削ることでリーズナブルな価格を実現している。
ではこれらのモデルはどのように違うのか。そしてPixel 5は、Pixel 4からどこがどう進化したのか。選ぶポイントも交えながら、詳しく解説していきたい。
■“純正スマホ”Pixelシリーズの最新モデル
まずPixelシリーズについて、簡単におさらいをしよう。Pixelは、Android OSを開発しているGoogleによるスマートフォン。つまり、 “Google純正スマートフォン” というわけだ。
その魅力は、最新のソフトウェアをすぐ利用できる点にある。アップデートが頻繁に行われ、新機能をいちはやく使用できる。セキュリティ更新もこまめに行われるため、安全性にこだわる方にもおすすめだ。
アップデートも3年間継続するとアナウンスされているので、すぐに更新が止まるという心配もない。iPhoneのように、長いあいだ最新ソフトウェアを利用できるのだ。またプリインストールされているアプリにメーカーの独自アプリがなく、標準アプリのみなので、たくさんの機能が使いこなせない!という方にもシンプルで使いやすいと思う。
■Pixel 5とPixel 4a(5G)の違いは?
まずはPixel 5/Pixel 4a(5G)の基本スペックから見ていこう。見た目でわかるのが画面サイズの違いだ。Pixel 5は6.0インチ、Pixel 4a(5G)は6.2インチとなる。どちらもパンチホール式のOLEDを採用していて、ほぼ全面を画面が占めている。
細かいことに触れておくと、Pixel 5のほうが下部のベゼルが細い。Pixel 4a(5G)は4辺のうち下部がやや太くなっているが、Pixel 5では4辺のベゼルがほぼ全て同じ細さ。これはフレキシブルOLEDの採用によって実現したものだ。このあたりの違いも価格に影響しているのだろう。
どちらのモデルも解像度はFHD+(1,080×2,340)で、HDRもサポート。コントラスト比はPixel 5が最大1,000,000:1、Pixel 4a(5G)が100,000:1と、Pixel 5のほうが性能が高い。さらにPixel5は、90Hzの滑らかな画面表示もサポートする。このあたりの見え方の違いは、詳しく後述していきたい。
スペックの要となるSoCは、どちらもQualcommのミドルクラス「Snapdragon 765G」を採用する。内蔵メモリはPixel 5が8GB、Pixel 4a(5G)が6GB。ストレージはどちらも128GBとなる。
そしてFelicaを搭載しているので、おサイフケータイも利用可能。背面には指紋認証を備えるため、マスクをしたままでもロック解除ができる。
また、バッテリーはPixel 5が4,000mAhで、Pixel 4a(5G)が3,800mAh。外形寸法は、Pixel 5が144.7×70.4×8.0mm、Pixel 4a(5G)が153.9×74.4×8.2mm。質量はPixel 5が151g、Pixel 4a(5G)が168gとなる。
このように基本性能については、どちらのモデルもほとんど同様。リーズナブルなPixel 4a(5G)はPixel 5とほぼ同じスペックなので、ふつうに使うだけなら、1.5万円ほど高いPixel 5でなくても困らないというのが正直なところだ。
■高級感や機能などはPixel 5が有利
もちろんPixel 5には、1.5万円高いだけの価値はある。大きく異なるポイントの一つが防水性能の有無だ。Pixel 5はIPX8準拠の防水を搭載するが、Pixel4a(5G)は非対応。日本市場は防水の需要が高い傾向があるので、これを重視するユーザーも少なくないだろう。
外観も異なる。Pixel 5はフレームにアルミニウムを採用するが、Pixel 4a(5G)は全てポリカーボネート製。実際に手に持ってみると、Pixel 5は石のような触り心地で高級感がある。一方のPixel 4a(5G)はプラスチック感が強いが、ケースを付けてしまえばわかりにくくなるので、このあたりは好みによるだろう。
そしてワイヤレス充電にはPixel 5のみ対応する。ワイヤレス充電は、1度使い方にハマってしまうと、やはり便利。バッテリーシェアにも対応するので、Qi対応の完全ワイヤレスイヤホンなら、外出先ですぐに充電できる。
液晶のカバーガラスについても、Pixel 4a(5G)はゴリラガラス3、Pixel 5ではより割れにくいゴリラガラス6を採用するなど、全体的にPixel 5のほうが豪華。こういったこだわり仕様は、長期間の満足度にも影響するはず。もし2機種で迷ったら、Pixel 5のほうが後々の後悔はしにくそうだ。
一方、Pixel 4a(5G)にあってPixel 5にない機能もある。それが3.5mmのイヤホンジャックだ。Pixel 4a(5G)のほうが画面が大きいということもあり、ゲームを楽しむユーザーにとってはPixel 4a(5G)のほうが快適に遊べると思う。
また、重さについても注目したい。Pixel 4a(5G)は168gで、Pixel 5は151g。この違いは手に持っただけで明らかに感じられる。Pixel 4が162gであったことを考えると、この軽さは驚き。Pixel 4a(5G)も画面サイズが大きいので、このクラスとしてはかなり軽量な部類だ。
■Pixel 4から良くなったこと、悪くなったこと
ここで、Pixel 5がPixel 4から変わったポイントを挙げてみよう。
まずスペックについては、最上位シリーズのSnapdragon 855から、ミドルレンジのSnapdragon 765Gに格下げされた。価格の影響もあるのだろう。とはいえ、日常生活では困ることはない性能だ。ベンチマークのスコアこそ約半分ではあるが、デレステなど人気ゲームも問題なく楽しめる。なおメモリは6GBから8GBに増加されている。
外観も変更された。Pixel 4はアルミニウムのフレームに、マット仕上げのガラスを背面に配置したデザイン。Pixel 5では先述したように、背面にもアルミニウムを採用する。塗装によるものなのかサラサラした質感ながら、石のように表面が硬く、不思議な印象。上質な質感という印象で、ガッチリとした堅牢感もある。またPixel 5のほうが、本体が薄くやカメラの出っ張りが低いのも嬉しい。
デザインで面白いのが、上部の受話口にあたる部分にメッシュの開口部がないこと。Pixel 4やPixel 4a(5G)にはあるのだが、Pixel 5には見当たらず、おそらくディスプレイ自体を振動させているようだ。YouTubeを再生すると、本体の下部に配置されているスピーカーと合わせてステレオ再生が可能だ。音質についてもさほど悪いとは思わなかった。
また、Pixel 4で初搭載されたSoliレーダーによるジェスチャー機能や、高精度な顔認証は、Pixel 5には継承されていない。色温度センサーもなくなったので、iPhoneでいうTrueToneのように、画面の色温度を自動調整する機能「アンビエントEQ」もなくなってしまった。
Pixel 4では、これら各種センサーがベゼル上部に詰まっていることで、特徴的な意匠になっていた。Pixel 5はこれらを廃することでベゼル上部をスッキリさせたが、多くの目玉機能が1モデルのみで消えてしまったのは、少し寂しい。
逆に嬉しいこともある。コロナ禍でマスクを装着することが増えたが、顔認証だと認識されない。Pixel 5では背面に指紋センサーを搭載するので、ロック解除のストレスがない。指紋認証は少し前までレガシーに思えた機能だが、このようなかたちでメリットを感じるとは思わなかった。
そして、1番嬉しいポイントは「バッテリー持ちの改善」だ。Pixel 4のバッテリーは2,800mAhと、最近のスマートフォンではかなり少なめ。高性能SoCのSnapdragon 855の電力消費と相まって、夜帰宅する頃にはほとんどバッテリーが空になってしまうレベルだった。出番の減っていたモバイルバッテリーも、Pixel 4を使うようになってから再び活躍するようになってしまった。今回のPixel 5では、バッテリーの容量が4,000mAhに増加。Pixel 4の感覚で使っていると、電池持ちの良さに驚いてしまった。
バッテリー容量が増えたにも関わらず、競合モデルと比較しても軽量な約151gに抑えているのも推せるポイントだ。Pixel 4から約11gの軽量化ではあるが、手に持っただけではっきりと分かるほど軽い。スマートフォンは長時間触ることの多いデバイスのため、わずかな質量の差で疲労感も異なってくる。ポケットに入れていても、感じる重みが全然違う。
■カメラ構成が変更。超広角を新搭載
Pixel5/Pixel 4a(5G)のどちらも、同じスペックの背面カメラを採用している。広角/超広角の2眼構成で、広角が12.2メガピクセル・絞りf/1.7、超広角が16メガピクセル・絞りf/2.2となる。広角カメラのみ、デュアル ピクセル位相差検出式オートフォーカスと光学式手ブレ補正に対応する。
Pixel 4では広角/望遠の組み合わせだったが、これが広角/超広角に変更されている。Pixelシリーズのカメラはソフトウェアが特徴で、AIによる超解像ズームも備えている。一方で広く撮りたいとき、ソフトウェアで画角を広げることはできない。そういった理由もあるのかもしれない。旅行の際など、もう少し広く撮りたいと感じることが多かったので、個人的には嬉しい仕様変更だ。
実際、Pixel 4とズーム時の画質を撮り比べたが、条件が厳しい夜であってもその差は大きくはない。特に大きくズームした際は、超解像の効果もあり、SNS向けのサイズでは違いがわかりにくいレベルだった。余談だが、Pixel 4ではデジタルズームの最大倍率が8倍、新モデルでは最大7倍となっていた。
標準カメラの画質については、新旧で全く同じと言っていい水準となっている。ソフト上でボケを再現するポートレートモードや、夜でも低ノイズの写真が撮れる夜景モードも引き続き搭載する。
もともと、スマートフォンの中ではレベルが高い写真画質が継承されているのは嬉しい限り。Pixelのカメラはソフトウェアで進化していくので、今後のアップデートにも期待したい。
■ディスプレイ画質を検証。一番きれいなのはPixel 5
最後にディスプレイの画質を比較していきたい。まず測定をしてみたが、色温度はいずれも6800K前後。色域もP3を87%カバーするレベルで、色再現性能の違いはなさそうだ。
1つだけ差があったのが、画面の最大輝度。Pixel 5は実測値で約475カンデラとなり、Pixel 4/Pixel 4a(5G)よりも40カンデラほど高い水準となっていた。有機ELは最低輝度が0カンデラなので、この最大輝度の違いがコントラスト比のスペックに影響している可能性が高い。
この差は、実際のコンテンツ視聴でも感じられた。HDRコンテンツをYouTubeで比較してみたが、Pixel 5が一番立体感があるように感じられる。コントラストが高いこともあり、暗めの部分では色が濃くリッチな発色。画質にこだわるのであれば、Pixel 5が一番良さそうだ。
意外に思ったのが、Pixel 4とPixel 4a(5G)の画質差。先ほどと同じHDRコンテンツを視聴したが、比べるとPixel 4は全体的に明るく、暗部が引き締まっていない画質だった。Pixel 4a(5G)では制御を改善したのか、暗部が引き締まりながらも有機ELらしい黒の表現力を感じられる階調表現。こちらも十分にきれいだ。
また静止画の画質については、やはりPixel 5がコントラストが高く立体感が感じられるものの、とはいえ3モデルはほとんど同レベル。画質の良さはHDRの場合により強く感じられそうだ。
Pixel 5に搭載されている90Hzモードも試したが、スクロールがなめらかになり、目が疲れにくくなる。Pixel 4も90Hzに対応していたが、画面の明るさが約50%以上でない場合は60Hzで表示されていた。元々少ないバッテリーがさらに消費されるし、屋内ではほとんど60Hzで表示されるため、設定でオフにしていたくらいだ。
しかしPixel 5では、検証の結果、最低輝度でも90Hzで表示できた。なめらかなディスプレイは操作していて気持ちが良いので、この点もPixel 4a(5G)との差別化ポイントとなるだろう。
■多くのユーザーに魅力的。前モデルのユーザーも買い替えたくなる
これまでのPixelシリーズはややマイナーな存在で、ガジェット好きの方の支持が多かったように思う。特に最新OSをいち早く使えるという魅力は、ユーザーである記者もよく感じているところだ。
今回のPixel 5は尖ったポイントこそないが、万人に勧められるような安定感を感じた。一方、Pixel 4a(5G)も安かろう悪かろうではなく、最低限快適に使えるポイントをしっかり押さえており、それ以外を削っているので、コスパが高い。
格安スマホと比べるとやや価格が高いかもしれないが、Pixelシリーズはアップデートが多いのでセキュリティ面でも安心だし、長く使える。シンプルなので余分な機能もない。そしてカメラの画質もよく、それ以外のスペックも高い水準でまとまっている。全方位でスキのないモデルとして、ぜひ選択肢に入れて欲しい。
価格はPixel 5が税込74,800円で、Pixel4a(5G)は税込60,500円。特にPixel 5は、前モデル「Pixel 4」の税込89,980円から、約1.5万円の値下げとなっている。
記者はふだんPixel 4を愛用しているが、両モデルを使ってみると、正直、Pixel 5に買い替えたいと感じた。一見小さな変更が多いと感じられるかもしれないが、積み重なると大きな進化だ。感じていた数々の不満や、こうなったら良いのになというポイントが改善されている。
さらに安いPixel 4a(5G)も、コスパが高いモデルだと感じた。基本的なスペックはPixel 5と同じでありながら、機能面を削ることでリーズナブルな価格を実現している。
ではこれらのモデルはどのように違うのか。そしてPixel 5は、Pixel 4からどこがどう進化したのか。選ぶポイントも交えながら、詳しく解説していきたい。
■“純正スマホ”Pixelシリーズの最新モデル
まずPixelシリーズについて、簡単におさらいをしよう。Pixelは、Android OSを開発しているGoogleによるスマートフォン。つまり、 “Google純正スマートフォン” というわけだ。
その魅力は、最新のソフトウェアをすぐ利用できる点にある。アップデートが頻繁に行われ、新機能をいちはやく使用できる。セキュリティ更新もこまめに行われるため、安全性にこだわる方にもおすすめだ。
アップデートも3年間継続するとアナウンスされているので、すぐに更新が止まるという心配もない。iPhoneのように、長いあいだ最新ソフトウェアを利用できるのだ。またプリインストールされているアプリにメーカーの独自アプリがなく、標準アプリのみなので、たくさんの機能が使いこなせない!という方にもシンプルで使いやすいと思う。
■Pixel 5とPixel 4a(5G)の違いは?
まずはPixel 5/Pixel 4a(5G)の基本スペックから見ていこう。見た目でわかるのが画面サイズの違いだ。Pixel 5は6.0インチ、Pixel 4a(5G)は6.2インチとなる。どちらもパンチホール式のOLEDを採用していて、ほぼ全面を画面が占めている。
細かいことに触れておくと、Pixel 5のほうが下部のベゼルが細い。Pixel 4a(5G)は4辺のうち下部がやや太くなっているが、Pixel 5では4辺のベゼルがほぼ全て同じ細さ。これはフレキシブルOLEDの採用によって実現したものだ。このあたりの違いも価格に影響しているのだろう。
どちらのモデルも解像度はFHD+(1,080×2,340)で、HDRもサポート。コントラスト比はPixel 5が最大1,000,000:1、Pixel 4a(5G)が100,000:1と、Pixel 5のほうが性能が高い。さらにPixel5は、90Hzの滑らかな画面表示もサポートする。このあたりの見え方の違いは、詳しく後述していきたい。
スペックの要となるSoCは、どちらもQualcommのミドルクラス「Snapdragon 765G」を採用する。内蔵メモリはPixel 5が8GB、Pixel 4a(5G)が6GB。ストレージはどちらも128GBとなる。
そしてFelicaを搭載しているので、おサイフケータイも利用可能。背面には指紋認証を備えるため、マスクをしたままでもロック解除ができる。
また、バッテリーはPixel 5が4,000mAhで、Pixel 4a(5G)が3,800mAh。外形寸法は、Pixel 5が144.7×70.4×8.0mm、Pixel 4a(5G)が153.9×74.4×8.2mm。質量はPixel 5が151g、Pixel 4a(5G)が168gとなる。
このように基本性能については、どちらのモデルもほとんど同様。リーズナブルなPixel 4a(5G)はPixel 5とほぼ同じスペックなので、ふつうに使うだけなら、1.5万円ほど高いPixel 5でなくても困らないというのが正直なところだ。
■高級感や機能などはPixel 5が有利
もちろんPixel 5には、1.5万円高いだけの価値はある。大きく異なるポイントの一つが防水性能の有無だ。Pixel 5はIPX8準拠の防水を搭載するが、Pixel4a(5G)は非対応。日本市場は防水の需要が高い傾向があるので、これを重視するユーザーも少なくないだろう。
外観も異なる。Pixel 5はフレームにアルミニウムを採用するが、Pixel 4a(5G)は全てポリカーボネート製。実際に手に持ってみると、Pixel 5は石のような触り心地で高級感がある。一方のPixel 4a(5G)はプラスチック感が強いが、ケースを付けてしまえばわかりにくくなるので、このあたりは好みによるだろう。
そしてワイヤレス充電にはPixel 5のみ対応する。ワイヤレス充電は、1度使い方にハマってしまうと、やはり便利。バッテリーシェアにも対応するので、Qi対応の完全ワイヤレスイヤホンなら、外出先ですぐに充電できる。
液晶のカバーガラスについても、Pixel 4a(5G)はゴリラガラス3、Pixel 5ではより割れにくいゴリラガラス6を採用するなど、全体的にPixel 5のほうが豪華。こういったこだわり仕様は、長期間の満足度にも影響するはず。もし2機種で迷ったら、Pixel 5のほうが後々の後悔はしにくそうだ。
一方、Pixel 4a(5G)にあってPixel 5にない機能もある。それが3.5mmのイヤホンジャックだ。Pixel 4a(5G)のほうが画面が大きいということもあり、ゲームを楽しむユーザーにとってはPixel 4a(5G)のほうが快適に遊べると思う。
また、重さについても注目したい。Pixel 4a(5G)は168gで、Pixel 5は151g。この違いは手に持っただけで明らかに感じられる。Pixel 4が162gであったことを考えると、この軽さは驚き。Pixel 4a(5G)も画面サイズが大きいので、このクラスとしてはかなり軽量な部類だ。
■Pixel 4から良くなったこと、悪くなったこと
ここで、Pixel 5がPixel 4から変わったポイントを挙げてみよう。
まずスペックについては、最上位シリーズのSnapdragon 855から、ミドルレンジのSnapdragon 765Gに格下げされた。価格の影響もあるのだろう。とはいえ、日常生活では困ることはない性能だ。ベンチマークのスコアこそ約半分ではあるが、デレステなど人気ゲームも問題なく楽しめる。なおメモリは6GBから8GBに増加されている。
外観も変更された。Pixel 4はアルミニウムのフレームに、マット仕上げのガラスを背面に配置したデザイン。Pixel 5では先述したように、背面にもアルミニウムを採用する。塗装によるものなのかサラサラした質感ながら、石のように表面が硬く、不思議な印象。上質な質感という印象で、ガッチリとした堅牢感もある。またPixel 5のほうが、本体が薄くやカメラの出っ張りが低いのも嬉しい。
デザインで面白いのが、上部の受話口にあたる部分にメッシュの開口部がないこと。Pixel 4やPixel 4a(5G)にはあるのだが、Pixel 5には見当たらず、おそらくディスプレイ自体を振動させているようだ。YouTubeを再生すると、本体の下部に配置されているスピーカーと合わせてステレオ再生が可能だ。音質についてもさほど悪いとは思わなかった。
また、Pixel 4で初搭載されたSoliレーダーによるジェスチャー機能や、高精度な顔認証は、Pixel 5には継承されていない。色温度センサーもなくなったので、iPhoneでいうTrueToneのように、画面の色温度を自動調整する機能「アンビエントEQ」もなくなってしまった。
Pixel 4では、これら各種センサーがベゼル上部に詰まっていることで、特徴的な意匠になっていた。Pixel 5はこれらを廃することでベゼル上部をスッキリさせたが、多くの目玉機能が1モデルのみで消えてしまったのは、少し寂しい。
逆に嬉しいこともある。コロナ禍でマスクを装着することが増えたが、顔認証だと認識されない。Pixel 5では背面に指紋センサーを搭載するので、ロック解除のストレスがない。指紋認証は少し前までレガシーに思えた機能だが、このようなかたちでメリットを感じるとは思わなかった。
そして、1番嬉しいポイントは「バッテリー持ちの改善」だ。Pixel 4のバッテリーは2,800mAhと、最近のスマートフォンではかなり少なめ。高性能SoCのSnapdragon 855の電力消費と相まって、夜帰宅する頃にはほとんどバッテリーが空になってしまうレベルだった。出番の減っていたモバイルバッテリーも、Pixel 4を使うようになってから再び活躍するようになってしまった。今回のPixel 5では、バッテリーの容量が4,000mAhに増加。Pixel 4の感覚で使っていると、電池持ちの良さに驚いてしまった。
バッテリー容量が増えたにも関わらず、競合モデルと比較しても軽量な約151gに抑えているのも推せるポイントだ。Pixel 4から約11gの軽量化ではあるが、手に持っただけではっきりと分かるほど軽い。スマートフォンは長時間触ることの多いデバイスのため、わずかな質量の差で疲労感も異なってくる。ポケットに入れていても、感じる重みが全然違う。
■カメラ構成が変更。超広角を新搭載
Pixel5/Pixel 4a(5G)のどちらも、同じスペックの背面カメラを採用している。広角/超広角の2眼構成で、広角が12.2メガピクセル・絞りf/1.7、超広角が16メガピクセル・絞りf/2.2となる。広角カメラのみ、デュアル ピクセル位相差検出式オートフォーカスと光学式手ブレ補正に対応する。
Pixel 4では広角/望遠の組み合わせだったが、これが広角/超広角に変更されている。Pixelシリーズのカメラはソフトウェアが特徴で、AIによる超解像ズームも備えている。一方で広く撮りたいとき、ソフトウェアで画角を広げることはできない。そういった理由もあるのかもしれない。旅行の際など、もう少し広く撮りたいと感じることが多かったので、個人的には嬉しい仕様変更だ。
実際、Pixel 4とズーム時の画質を撮り比べたが、条件が厳しい夜であってもその差は大きくはない。特に大きくズームした際は、超解像の効果もあり、SNS向けのサイズでは違いがわかりにくいレベルだった。余談だが、Pixel 4ではデジタルズームの最大倍率が8倍、新モデルでは最大7倍となっていた。
標準カメラの画質については、新旧で全く同じと言っていい水準となっている。ソフト上でボケを再現するポートレートモードや、夜でも低ノイズの写真が撮れる夜景モードも引き続き搭載する。
もともと、スマートフォンの中ではレベルが高い写真画質が継承されているのは嬉しい限り。Pixelのカメラはソフトウェアで進化していくので、今後のアップデートにも期待したい。
■ディスプレイ画質を検証。一番きれいなのはPixel 5
最後にディスプレイの画質を比較していきたい。まず測定をしてみたが、色温度はいずれも6800K前後。色域もP3を87%カバーするレベルで、色再現性能の違いはなさそうだ。
1つだけ差があったのが、画面の最大輝度。Pixel 5は実測値で約475カンデラとなり、Pixel 4/Pixel 4a(5G)よりも40カンデラほど高い水準となっていた。有機ELは最低輝度が0カンデラなので、この最大輝度の違いがコントラスト比のスペックに影響している可能性が高い。
この差は、実際のコンテンツ視聴でも感じられた。HDRコンテンツをYouTubeで比較してみたが、Pixel 5が一番立体感があるように感じられる。コントラストが高いこともあり、暗めの部分では色が濃くリッチな発色。画質にこだわるのであれば、Pixel 5が一番良さそうだ。
意外に思ったのが、Pixel 4とPixel 4a(5G)の画質差。先ほどと同じHDRコンテンツを視聴したが、比べるとPixel 4は全体的に明るく、暗部が引き締まっていない画質だった。Pixel 4a(5G)では制御を改善したのか、暗部が引き締まりながらも有機ELらしい黒の表現力を感じられる階調表現。こちらも十分にきれいだ。
また静止画の画質については、やはりPixel 5がコントラストが高く立体感が感じられるものの、とはいえ3モデルはほとんど同レベル。画質の良さはHDRの場合により強く感じられそうだ。
Pixel 5に搭載されている90Hzモードも試したが、スクロールがなめらかになり、目が疲れにくくなる。Pixel 4も90Hzに対応していたが、画面の明るさが約50%以上でない場合は60Hzで表示されていた。元々少ないバッテリーがさらに消費されるし、屋内ではほとんど60Hzで表示されるため、設定でオフにしていたくらいだ。
しかしPixel 5では、検証の結果、最低輝度でも90Hzで表示できた。なめらかなディスプレイは操作していて気持ちが良いので、この点もPixel 4a(5G)との差別化ポイントとなるだろう。
■多くのユーザーに魅力的。前モデルのユーザーも買い替えたくなる
これまでのPixelシリーズはややマイナーな存在で、ガジェット好きの方の支持が多かったように思う。特に最新OSをいち早く使えるという魅力は、ユーザーである記者もよく感じているところだ。
今回のPixel 5は尖ったポイントこそないが、万人に勧められるような安定感を感じた。一方、Pixel 4a(5G)も安かろう悪かろうではなく、最低限快適に使えるポイントをしっかり押さえており、それ以外を削っているので、コスパが高い。
格安スマホと比べるとやや価格が高いかもしれないが、Pixelシリーズはアップデートが多いのでセキュリティ面でも安心だし、長く使える。シンプルなので余分な機能もない。そしてカメラの画質もよく、それ以外のスペックも高い水準でまとまっている。全方位でスキのないモデルとして、ぜひ選択肢に入れて欲しい。