公開日 2021/03/04 06:40
【特別企画】「心地よく音楽を楽しめる音」を実現
ビクタースタジオのエンジニア監修、“音質にこだわり抜いた”完全ワイヤレス「HA-FX100T」レビュー
野村ケンジ
ビクターの犬のマークが誇らしげに印刷された、シンプルに音質にこだわり抜いた完全ワイヤレスイヤホン。音楽が生まれる現場、スタジオエンジニアの声がそのままダイレクトに反映された、本当に音楽を愛するユーザーにこそ使ってほしい、魅惑のアイテムが誕生した。
■いつまでも使いたくなる、音楽とゆったり向き合える名機
ビクタースタジオが音質を監修し、「Tuned by VICTOR STUDIO」ロゴが与えられた製品はスタジオモニターヘッドホン「HA-MX100V」が有名だが、新たに完全ワイヤレスイヤホン「HA-FX100T」が発売された。
スタジオで実際に使用する、完全プロ仕様のヘッドホンの次に登場したのがコンシューマー向けの完全ワイヤレスイヤホン、という展開には少々ビックリさせられたが、コンセプトの詳細を見てみると頷ける部分もある。
というのも、このHA-FX100Tは「完全ワイヤレスイヤホンであっても高音質で楽しみたい」というユーザーの要望に応えるため、音づくりのプロ集団であるビクタースタジオに監修を依頼したもの。つまり、プロが考える「ユーザーにとって心地よい音」をいつでもどこでも手軽に楽しめる、というのが最大の魅力なのだ。
もちろん、機能面にも抜かりはない。クアルコム社製SoCを採用し、コーデックはAACとaptXに対応。イヤホン本体で最大8時間、専用ケースからの充電を加えると最大28時間の連続再生ができ、LDSアンテナ採用により接続安定性も追求。
また、リモートワーク拡充で注目度の高いマイク性能は、cVcテクノロジーと厳選したMEMSマイクとの組み合わせによって、クリアな通話が可能なことに加えて、声が聞き取りやすくなるよう自動で音質が切り替わる「はっきり音声」も搭載されている。約4.5g(片側)の小型ボディも軽快なフィット感をもたらしてくれ、IPX4相当の防滴性能もありがたいかぎり。最先端の完全ワイヤレスイヤホンとして、十分なスペックを持ち合わせている。
実際、そのサウンドはなかなかに聴き応えのあるものだった。端的にいえば、アコースティック楽器にピッタリのサウンド。抑揚がハッキリしていて、かつ細かいニュアンスまでしっかり拾い上げてくれるので、音がとてもリアルに感じられる。たとえばチェロは、普段よりタッチが軟らかい、それでいてボーイングが力強いという、なんとも絶妙な演奏を聴かせてくれる。
一方でピアノは、ハンマーがノックした瞬間からボディ、そしてホールへと音の広がりが目に見えるかのような、些細なニュアンスまでしっかり伝わるリアルなサウンドを楽しませてくれる。ドラムなどの打楽器はとにかく迫力満点。ボーカルは距離感が近く、熱気ある歌声がとても魅力的に感じられる。
そういえば、HA-MX100Vも熱気ある迫力の歌声がなんとも魅力的で、製品コンセプトが微妙に異なる2製品だが、ことサウンドキャラクターに関しては、両者はかなり近い存在といえる。
大きな違いがあるとすれば、低域の量感や表現だろうか。HA-FX100Tの低域は結構ボリューミーで、ロバート・グラスパー『ヒューマン』を聴くと、バスドラム&ベースの音が支配的なバランスだった。このあたりは、屋外での利用が多くなる完全ワイヤレスイヤホンならではのバランスなのだろう。それでいて、歌声など中域の音色は変わっていないのだから、なかなか絶妙なチューニングともいえる。
なお、HA-FX100Tにはイヤーチップの内壁にディンプルを設けた「スパイラルドットイヤーピース」が採用されているが、交換用の「スパイラルドットSF(ストレスフリー)」も発売されている。こちらも試してみたところ、フィット感だけでなくサウンドも向上して驚いた。
具体的には、ダイレクト感の高い、定位感のしっかりしたサウンドへと変化する。特に低域は、量感こそ変わらないものの、余計な響きが消えてフォーカス感が高まる。そのおかげか、特に男性ボーカルは落ち着いた響きで、聴き心地のいい歌声を聴かせるようになってくれた。
総じてHA-FX100Tはコンパクトで扱いやすく、そのサウンドも迫力と聴き心地のよさが巧みに両立していて、音楽性も豊かだ。お馴染みのビクターの犬のマークも含めて、なかなかに魅力的な製品だ。
VICTOR「HA-FX100T」
SPEC:●通信方式:Bluetooth標準規格Ver 5.1 ●コーデック:SBC、AAC、aptX ●ドライバー口径:6mm ●連続再生時間:約8時間(ケース込み28時間) ●質量:約4.5g(イヤホン片側)、約41g(ケース) ●付属品:スパイラルドットイヤーピース(S/MS/M/ML/L)、充電用USB Type-Cケーブル
■別売イヤーチップも要注目
ビクター「HA-FX100T」の音質をさらにグレードアップさせてくれる別売オプションとして、新開発「スパイラルドットSF(EP-FX11)」も発売されている。完全ワイヤレスイヤホンとのマッチングに優れた薄型フォルムで、傘の部分に一般的なものよりも柔らかいシリコン素材を採用しており、耳穴に沿って保持する仕様としていることがポイント。ホーン形状の音導筒によって見通しのいいサウンドを目指している。
本記事は「プレミアムヘッドホンガイド Vol.25 2021 SPRING」からの転載です。
(協力:株式会社JVCケンウッド)
■いつまでも使いたくなる、音楽とゆったり向き合える名機
ビクタースタジオが音質を監修し、「Tuned by VICTOR STUDIO」ロゴが与えられた製品はスタジオモニターヘッドホン「HA-MX100V」が有名だが、新たに完全ワイヤレスイヤホン「HA-FX100T」が発売された。
スタジオで実際に使用する、完全プロ仕様のヘッドホンの次に登場したのがコンシューマー向けの完全ワイヤレスイヤホン、という展開には少々ビックリさせられたが、コンセプトの詳細を見てみると頷ける部分もある。
というのも、このHA-FX100Tは「完全ワイヤレスイヤホンであっても高音質で楽しみたい」というユーザーの要望に応えるため、音づくりのプロ集団であるビクタースタジオに監修を依頼したもの。つまり、プロが考える「ユーザーにとって心地よい音」をいつでもどこでも手軽に楽しめる、というのが最大の魅力なのだ。
もちろん、機能面にも抜かりはない。クアルコム社製SoCを採用し、コーデックはAACとaptXに対応。イヤホン本体で最大8時間、専用ケースからの充電を加えると最大28時間の連続再生ができ、LDSアンテナ採用により接続安定性も追求。
また、リモートワーク拡充で注目度の高いマイク性能は、cVcテクノロジーと厳選したMEMSマイクとの組み合わせによって、クリアな通話が可能なことに加えて、声が聞き取りやすくなるよう自動で音質が切り替わる「はっきり音声」も搭載されている。約4.5g(片側)の小型ボディも軽快なフィット感をもたらしてくれ、IPX4相当の防滴性能もありがたいかぎり。最先端の完全ワイヤレスイヤホンとして、十分なスペックを持ち合わせている。
実際、そのサウンドはなかなかに聴き応えのあるものだった。端的にいえば、アコースティック楽器にピッタリのサウンド。抑揚がハッキリしていて、かつ細かいニュアンスまでしっかり拾い上げてくれるので、音がとてもリアルに感じられる。たとえばチェロは、普段よりタッチが軟らかい、それでいてボーイングが力強いという、なんとも絶妙な演奏を聴かせてくれる。
一方でピアノは、ハンマーがノックした瞬間からボディ、そしてホールへと音の広がりが目に見えるかのような、些細なニュアンスまでしっかり伝わるリアルなサウンドを楽しませてくれる。ドラムなどの打楽器はとにかく迫力満点。ボーカルは距離感が近く、熱気ある歌声がとても魅力的に感じられる。
そういえば、HA-MX100Vも熱気ある迫力の歌声がなんとも魅力的で、製品コンセプトが微妙に異なる2製品だが、ことサウンドキャラクターに関しては、両者はかなり近い存在といえる。
大きな違いがあるとすれば、低域の量感や表現だろうか。HA-FX100Tの低域は結構ボリューミーで、ロバート・グラスパー『ヒューマン』を聴くと、バスドラム&ベースの音が支配的なバランスだった。このあたりは、屋外での利用が多くなる完全ワイヤレスイヤホンならではのバランスなのだろう。それでいて、歌声など中域の音色は変わっていないのだから、なかなか絶妙なチューニングともいえる。
なお、HA-FX100Tにはイヤーチップの内壁にディンプルを設けた「スパイラルドットイヤーピース」が採用されているが、交換用の「スパイラルドットSF(ストレスフリー)」も発売されている。こちらも試してみたところ、フィット感だけでなくサウンドも向上して驚いた。
具体的には、ダイレクト感の高い、定位感のしっかりしたサウンドへと変化する。特に低域は、量感こそ変わらないものの、余計な響きが消えてフォーカス感が高まる。そのおかげか、特に男性ボーカルは落ち着いた響きで、聴き心地のいい歌声を聴かせるようになってくれた。
総じてHA-FX100Tはコンパクトで扱いやすく、そのサウンドも迫力と聴き心地のよさが巧みに両立していて、音楽性も豊かだ。お馴染みのビクターの犬のマークも含めて、なかなかに魅力的な製品だ。
VICTOR「HA-FX100T」
SPEC:●通信方式:Bluetooth標準規格Ver 5.1 ●コーデック:SBC、AAC、aptX ●ドライバー口径:6mm ●連続再生時間:約8時間(ケース込み28時間) ●質量:約4.5g(イヤホン片側)、約41g(ケース) ●付属品:スパイラルドットイヤーピース(S/MS/M/ML/L)、充電用USB Type-Cケーブル
■別売イヤーチップも要注目
ビクター「HA-FX100T」の音質をさらにグレードアップさせてくれる別売オプションとして、新開発「スパイラルドットSF(EP-FX11)」も発売されている。完全ワイヤレスイヤホンとのマッチングに優れた薄型フォルムで、傘の部分に一般的なものよりも柔らかいシリコン素材を採用しており、耳穴に沿って保持する仕様としていることがポイント。ホーン形状の音導筒によって見通しのいいサウンドを目指している。
本記事は「プレミアムヘッドホンガイド Vol.25 2021 SPRING」からの転載です。
(協力:株式会社JVCケンウッド)
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