公開日 2021/06/12 07:00
ノイキャンや装着感、音質まで
アップル「AirPods Pro」とソニー「WF-1000XM4」を徹底比較。どちらを買うべき?
風間雄介
ついにというべきか、ソニーから完全ワイヤレスイヤホンの新たなフラグシップ「WF-1000XM4」が発表された。
前モデル「WF-1000XM3」との比較を交えながら、アップル「AirPods Pro」のレビュー記事を書いたのが1年半以上前のこと。光陰矢のごとし、この1年半で様々な新製品が登場し、ノイキャン完全ワイヤレスはもはや当たり前になり、音質が良いモデルも多数登場している。そしてこの間、空間オーディオへの対応など、AirPods Proの機能強化もいくつか行われた。
もちろんほかの選択肢も多くあるが、それでも「アップル対ソニー」という構図にときめく方は多いはず。価格もほぼ同程度のため、どちらを買うか悩んでいる方も多そうだ。本稿では様々なポイントから、AirPods ProとWF-1000XM4を比較していこう。
■装着感
改めて言う必要もないかもしれないが、AirPods Proの装着感は、非常に良い。ノイズキャンセリング搭載完全ワイヤレスイヤホンとしては浅めの着け心地で、パッシブのノイズ遮断を考えていなさそうなイヤーピースなのだが、とにかくすんなり装着でき、長時間着けていても疲れにくい。
この、とにかく脱着しやすく、着けていても疲れにくいという点が、AirPods Proのとても大きな特徴だ。一日に何度も着け外しするものだから、少しでもストレスがあると、使うのが嫌になってしまう。
WF-1000XM4も、このあたりの装着のしやすさ、外しやすさを相当研究したと思われる。イヤーピースは新開発の “ノイズアイソレーションイヤーピース” を採用し、「高い遮音性と安定性、スムーズなつけやすさを兼備する」と説明している。
実際にはどうか。たしかにパッシブの遮音性はAirPods Proよりはるかに上だ。だが、耳に乗せるように着けられるAirPods Proとは異なり、WF-1000XM4では、グッと耳に押し込む動作が欠かせない。そしてこの際、「キュッ」と、イヤーピースから空気の洩れる音が聞こえる。耳の形状によっても異なるだろうが、私の場合、少し本体を後ろに捻りながら押し込むと、装着の安定性が増した。一方、外す際の引っかかりは少なく、すっと外せる。
ただ、取り外しやすいのはよいのだが、WF-1000XM4を着け、大きく口を開けて話すと、顎の動きで少しずつイヤホンが浮き、落ちそうになることがあった。
本体の大きさや重さといった部分についても、AirPods Proの方がはるかに小さく、軽い。WF-1000XM4は、あの大きかったWF-1000XM3に比べると、確かにぐっと小さくなった。だが、AirPods Proとの比較では分が悪い。
総合的に判断すると、脱着のしやすさや装着感は、AirPods Proに軍配が上がる。
■外音取り込み
AirPods Proが登場した際、最も驚いたのは、その外音取り込み機能の優秀さだ。まるでイヤホンを着けていないかのように、外音が耳に飛び込んで来るのがとにかく新鮮だったし、装着しながら周りと違和感なく会話できる利便性は、今でも輝きを失っていない。
AirPods Proの登場後、外音取り込み機能を強化するモデルが増えたが、自然さという点で、AirPods Proに迫るモデルはなかった。
WF-1000XM4では、この外音取り込み機能(ソニーではアンビエントサウンドと呼んでいる)が強化されたという。実際に試してみると、確かに前モデルのWF-1000XM3と比べ、長足の進歩を遂げている。
だが、会話してみるとすぐにわかるのだが、自分の声が少しくぐもって聞こえる。AirPods Proの、驚くほど自然な聞こえ方に比べると、この点ははっきり改善の余地がある。
ただし、ソニーにはアップルにはない付加価値がある。装着者が喋りはじめたことを認識すると、自動的に音楽再生を一時停止し、外音取り込みモードに切り替える「スピーク・トゥ・チャット」機能だ。
実際に使ってみると、これはかなり便利だ。たまに、キータッチ音に反応してアンビエントサウンドに切り替わったりなど、やや動作が不安定な部分もあったが、これは今後、ファームウェアのアップデートなどで直る可能性もある。発話時の外音取り込みとノイキャンを切り替える操作自体を省略してしまおうという発想がチャレンジングで、好感を持った。
前モデル「WF-1000XM3」との比較を交えながら、アップル「AirPods Pro」のレビュー記事を書いたのが1年半以上前のこと。光陰矢のごとし、この1年半で様々な新製品が登場し、ノイキャン完全ワイヤレスはもはや当たり前になり、音質が良いモデルも多数登場している。そしてこの間、空間オーディオへの対応など、AirPods Proの機能強化もいくつか行われた。
もちろんほかの選択肢も多くあるが、それでも「アップル対ソニー」という構図にときめく方は多いはず。価格もほぼ同程度のため、どちらを買うか悩んでいる方も多そうだ。本稿では様々なポイントから、AirPods ProとWF-1000XM4を比較していこう。
■装着感
改めて言う必要もないかもしれないが、AirPods Proの装着感は、非常に良い。ノイズキャンセリング搭載完全ワイヤレスイヤホンとしては浅めの着け心地で、パッシブのノイズ遮断を考えていなさそうなイヤーピースなのだが、とにかくすんなり装着でき、長時間着けていても疲れにくい。
この、とにかく脱着しやすく、着けていても疲れにくいという点が、AirPods Proのとても大きな特徴だ。一日に何度も着け外しするものだから、少しでもストレスがあると、使うのが嫌になってしまう。
WF-1000XM4も、このあたりの装着のしやすさ、外しやすさを相当研究したと思われる。イヤーピースは新開発の “ノイズアイソレーションイヤーピース” を採用し、「高い遮音性と安定性、スムーズなつけやすさを兼備する」と説明している。
実際にはどうか。たしかにパッシブの遮音性はAirPods Proよりはるかに上だ。だが、耳に乗せるように着けられるAirPods Proとは異なり、WF-1000XM4では、グッと耳に押し込む動作が欠かせない。そしてこの際、「キュッ」と、イヤーピースから空気の洩れる音が聞こえる。耳の形状によっても異なるだろうが、私の場合、少し本体を後ろに捻りながら押し込むと、装着の安定性が増した。一方、外す際の引っかかりは少なく、すっと外せる。
ただ、取り外しやすいのはよいのだが、WF-1000XM4を着け、大きく口を開けて話すと、顎の動きで少しずつイヤホンが浮き、落ちそうになることがあった。
本体の大きさや重さといった部分についても、AirPods Proの方がはるかに小さく、軽い。WF-1000XM4は、あの大きかったWF-1000XM3に比べると、確かにぐっと小さくなった。だが、AirPods Proとの比較では分が悪い。
総合的に判断すると、脱着のしやすさや装着感は、AirPods Proに軍配が上がる。
■外音取り込み
AirPods Proが登場した際、最も驚いたのは、その外音取り込み機能の優秀さだ。まるでイヤホンを着けていないかのように、外音が耳に飛び込んで来るのがとにかく新鮮だったし、装着しながら周りと違和感なく会話できる利便性は、今でも輝きを失っていない。
AirPods Proの登場後、外音取り込み機能を強化するモデルが増えたが、自然さという点で、AirPods Proに迫るモデルはなかった。
WF-1000XM4では、この外音取り込み機能(ソニーではアンビエントサウンドと呼んでいる)が強化されたという。実際に試してみると、確かに前モデルのWF-1000XM3と比べ、長足の進歩を遂げている。
だが、会話してみるとすぐにわかるのだが、自分の声が少しくぐもって聞こえる。AirPods Proの、驚くほど自然な聞こえ方に比べると、この点ははっきり改善の余地がある。
ただし、ソニーにはアップルにはない付加価値がある。装着者が喋りはじめたことを認識すると、自動的に音楽再生を一時停止し、外音取り込みモードに切り替える「スピーク・トゥ・チャット」機能だ。
実際に使ってみると、これはかなり便利だ。たまに、キータッチ音に反応してアンビエントサウンドに切り替わったりなど、やや動作が不安定な部分もあったが、これは今後、ファームウェアのアップデートなどで直る可能性もある。発話時の外音取り込みとノイキャンを切り替える操作自体を省略してしまおうという発想がチャレンジングで、好感を持った。
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