公開日 2021/08/20 12:00
過去作のドルビーシネマ化は?
ジブリ×ドルビーシネマ、最新作『劇場版 アーヤと魔女』に制作部も自信。「非常に良い作品になった」
編集部:松永達矢
スタジオジブリ史上初のフル3DCGアニメーション作品『劇場版 アーヤと魔女』が、8月27日(金)から全国東宝系にて劇場公開される。
本作は昨年12月末の劇場公開前にテレビ放送される、それも放送局が日本テレビ放送網ではなくNHKである、などジブリ初づくしであるが、さらにジブリ作品として初めて、ドルビーシネマのフォーマットで劇場公開されることも決定している。
今回、都内某所にて、ドルビーシネマ版『劇場版 アーヤと魔女』を劇場公開に先んじて鑑賞する機会に恵まれたのでレポートしたい。また、スタジオジブリ制作部により語られた制作背景についてもお伝えする。
■ジブリ初のドルビーシネマ作品
『アーヤと魔女』はダイアナ・ウィン・ジョーンズ著作のファンタジー小説を原作に、企画を宮崎駿氏、プロデューサーに鈴木敏夫氏を据え、 “GOROが挑むジブリ初のフル3DCG作品” というコピーの通り、宮崎吾朗氏が監督を務める。また、過去に監督を努めたジブリ作品同様、作中で流れる挿入歌の作詞も宮崎吾朗氏が担当している。
ドルビーシネマとは映写方式、音響効果、劇場設備に付加価値を加えた「プレミアム・ラージ・フォーマット」の一つ。現在、日本国内では7館のシネマコンプレックスにてドルビーシネマを楽しむことができる。ドルビーシネマを構成する2つの主要技術について軽く触れておきたい。
映像面では、広色域で鮮明な色彩と100万:1の幅広いコントラスト比を実現する、HDR(ハイ・ダイナミック・レンジ)映像規格「Dolby Vision(ドルビービジョン)」を採用。音響面では、三次元空間の中にある物体の位置情報と音を記録したトラックを、劇場の再生環境に合わせて再生するオブジェクトベースのサウンドによって、より立体的な音響効果を実現する「Dolby Atmos(ドルビーアトモス)」を採用する。
この2つの技術を用いて劇場上映することで、作品の持つ魅力がより際立つのだ。加えて、作品の世界やスクリーンに没入できるように、シアターの入り口からデザインされるなどの多岐にわたる基準が用意されている。ハイレベルな映像と音を、より集中して楽しめる環境まで整備したのがドルビーシネマといえる。
『アーヤと魔女』の監督を務めた宮崎吾朗氏は、本作のドルビーシネマフォーマットでの公開に際して、以下のようにコメントを寄せている。
■まるで魔法に掛けられるような映像体験
では、そんなドルビーシネマで鑑賞しての感想だが、まずスタジオジブリのロゴマーク直後に導入されるカーチェイスで表現される、追う車と追われるバイクのエキゾースト音の振り回し方に早速圧倒される。掴みから “ドルビーシネマでしか味わえない体験” を内包したシークエンスを配置するのは、実にニクいところ。
そのほかにも、登場人物が主人公のアーヤ(CV: 平澤宏々路)に対して魔法を行使するようなシーンでは、天面に配置されたトップスピーカーから魔法発動時のSEが降り注ぐような効果になっていたり、文字通り「魔法に掛けられた」ような、ドルビーシネマ特有の動的な音響効果を楽しむことができる。
物語クライマックス付近、アーヤがトンネルを抜けてマンドレーク(CV: 豊川悦司)の部屋に転がり込むシーンでは、かかっている挿入歌のボーカル、バンドの演奏といった複数の音声トラックが画面の動きに沿って劇場内を縦横無尽に動き回るような演出となっている。音声トラックに位置情報を記録したドルビーアトモスの真骨頂が体感できるシーンといえる。
映像面においては魔女が作品を彩る一つのキーとなっているように、魔女のベラ・ヤーガ(CV: 寺島しのぶ)が入り浸る作業部屋での薄暗いシーンが多い中、そこに配置された物品のディテールが潰れずに克明に表現されていたのは流石の一言。
また、ロウソクの明かりや、家での生活灯、月明かりといった光の立ち方がそれぞれ異なるような微妙なニュアンスをより顕著に描き出せているのも、HDR規格を巧みに活かした表現力の賜物であるように感じた。
本作は昨年12月末の劇場公開前にテレビ放送される、それも放送局が日本テレビ放送網ではなくNHKである、などジブリ初づくしであるが、さらにジブリ作品として初めて、ドルビーシネマのフォーマットで劇場公開されることも決定している。
今回、都内某所にて、ドルビーシネマ版『劇場版 アーヤと魔女』を劇場公開に先んじて鑑賞する機会に恵まれたのでレポートしたい。また、スタジオジブリ制作部により語られた制作背景についてもお伝えする。
■ジブリ初のドルビーシネマ作品
『アーヤと魔女』はダイアナ・ウィン・ジョーンズ著作のファンタジー小説を原作に、企画を宮崎駿氏、プロデューサーに鈴木敏夫氏を据え、 “GOROが挑むジブリ初のフル3DCG作品” というコピーの通り、宮崎吾朗氏が監督を務める。また、過去に監督を努めたジブリ作品同様、作中で流れる挿入歌の作詞も宮崎吾朗氏が担当している。
ドルビーシネマとは映写方式、音響効果、劇場設備に付加価値を加えた「プレミアム・ラージ・フォーマット」の一つ。現在、日本国内では7館のシネマコンプレックスにてドルビーシネマを楽しむことができる。ドルビーシネマを構成する2つの主要技術について軽く触れておきたい。
映像面では、広色域で鮮明な色彩と100万:1の幅広いコントラスト比を実現する、HDR(ハイ・ダイナミック・レンジ)映像規格「Dolby Vision(ドルビービジョン)」を採用。音響面では、三次元空間の中にある物体の位置情報と音を記録したトラックを、劇場の再生環境に合わせて再生するオブジェクトベースのサウンドによって、より立体的な音響効果を実現する「Dolby Atmos(ドルビーアトモス)」を採用する。
この2つの技術を用いて劇場上映することで、作品の持つ魅力がより際立つのだ。加えて、作品の世界やスクリーンに没入できるように、シアターの入り口からデザインされるなどの多岐にわたる基準が用意されている。ハイレベルな映像と音を、より集中して楽しめる環境まで整備したのがドルビーシネマといえる。
『アーヤと魔女』の監督を務めた宮崎吾朗氏は、本作のドルビーシネマフォーマットでの公開に際して、以下のようにコメントを寄せている。
「ドルビーシネマ版の『アーヤと魔女』は、3DCGで頑張って作った甲斐があったと感動しました。こんなに細部まで色彩や明暗が美しく見えるなんて。アーヤとベラ・ヤーガのお肌が綺麗で素敵です。音響も含めて、もう一本の映画を観たような気持ちになりました」 |
■まるで魔法に掛けられるような映像体験
では、そんなドルビーシネマで鑑賞しての感想だが、まずスタジオジブリのロゴマーク直後に導入されるカーチェイスで表現される、追う車と追われるバイクのエキゾースト音の振り回し方に早速圧倒される。掴みから “ドルビーシネマでしか味わえない体験” を内包したシークエンスを配置するのは、実にニクいところ。
そのほかにも、登場人物が主人公のアーヤ(CV: 平澤宏々路)に対して魔法を行使するようなシーンでは、天面に配置されたトップスピーカーから魔法発動時のSEが降り注ぐような効果になっていたり、文字通り「魔法に掛けられた」ような、ドルビーシネマ特有の動的な音響効果を楽しむことができる。
物語クライマックス付近、アーヤがトンネルを抜けてマンドレーク(CV: 豊川悦司)の部屋に転がり込むシーンでは、かかっている挿入歌のボーカル、バンドの演奏といった複数の音声トラックが画面の動きに沿って劇場内を縦横無尽に動き回るような演出となっている。音声トラックに位置情報を記録したドルビーアトモスの真骨頂が体感できるシーンといえる。
映像面においては魔女が作品を彩る一つのキーとなっているように、魔女のベラ・ヤーガ(CV: 寺島しのぶ)が入り浸る作業部屋での薄暗いシーンが多い中、そこに配置された物品のディテールが潰れずに克明に表現されていたのは流石の一言。
また、ロウソクの明かりや、家での生活灯、月明かりといった光の立ち方がそれぞれ異なるような微妙なニュアンスをより顕著に描き出せているのも、HDR規格を巧みに活かした表現力の賜物であるように感じた。