公開日 2022/11/04 06:30
ライン/スピーカーケーブルも開発中!
H.S.E.Grandeトリートメントでさらに進化、サンシャインのハイCP電源ケーブル「SAC-GRANDE1.8」レビュー
林 正儀
オーディオアクセサリーブランドのサンシャインより、新たに発売となる「SAC-GRANDE1.8」。ベストセラーとなった電源ケーブル「SAC REFERENCE1.8」をさらにグレードアップし、ティグロン社のケーブル処理「H.S.E.Grandeトリートメント」でさらに強化されたハイCP電源ケーブルである。その実力を林 正儀氏がレポートする。
忘れもしない3年前。サンシャインがケーブル・ブランドに名乗りをあげた記念すべきデビュー作が、電源ケーブルのSAC REFERENCE1.8だった。価格破壊的な性能で空前の大ヒットを記録。続いてスピーカーケーブルおよびRCAインターコネクトケーブルの新ラインナップも登場して、人気を不動のものとした。
このREFERENCEシリーズは、ティグロンで世界的ヒットとなったTPL-2000シリーズのサウンドポリシーを継承した低価格のOEM製品のようだ。いずれもディップフォーミング式無酸素銅を導体に用い、高度なバーンイン処理であるH.S.E.処理を施したハイクオリティケーブルだ。サンシャインの中でも特に電源ケーブルの“突出ぶり”は今でも鮮明に記憶している。「手持ちの数十万円のケーブルが青ざめそうな」。という比喩は大袈裟じゃない。ヒリヒリする感動だったのだ。
10年余の着想を得て完成させたREFERENCEシリーズだが、そこからさらに3年の歳月をかけケーブルの理想を追求して「Grandeシリーズ」に大進化を遂げたという。その先陣を切った電源ケーブルがわが家に届いた。
だが見たところ手持ちのノーマルと、プラグもケーブルも前作とソックリ同じだ。違いは「Grande」という印字があるかないか。その他にも外周シースの質を上げているという話だが、画期的なのはそこじゃない。
特筆すべきはケーブルの処理そのものがH.S.E.Grandeにバージョンアップされていた。H.S.E.効果をさらに高めるべく3台のマシーンを使う。これまでのスタンダードプログラムから、0〜100kHzのワイドな帯域を高、中域、低それぞれに分け、各帯域に特化したティグロンのオリジナル処理だ。さらにパワーアッップした新時代のH.S.E.トリートメントといえる。
プラグは原価を下げるべく一体型の3Pモールドを継承。だが実はここにもメリットがあった。ケーブルと一緒にプラグにもH.S.E.Grande処理を施すことができるのだ。
早速この電源ケーブルを試聴した。ディップフォーミングのアナログ的な濃くて深い空気。それにH.S.E.処理の圧倒的な静寂感が加わるともう手がつけられない。このケーブルが低価格でありながら妥協は一切ないからだ。言い切って良いなら前作の3倍音がよい。
取り回しは柔軟でサウンドはヴィヴィッドそのもの。入力機器側で試すと雑味やもやつきがすっと消え。一気に3〜4段階格上の再生クオリティとなる。聴力の限界かと思うようなS/Nと強靱なダイナミックレンジが、同時にぐっと拡張される。流れがスムーズになるのは当然だとしても、その度合いが飛び抜けているのだ。
プリなどのアナログコンポでは柔らかさや緻密さ、密度が充実する。自然な広がりや気持ちのよい解放感を実感させるのだ。これぞアナログの音だろう。一方、ハイレゾ音源は解像度重視のカチカチした音になりがちだが、そこにこのケーブルを使うと音場に立体感が生まれ、より厚みや柔らかさが実感できた。ディップフォーミンクの味わいが出るようだ。
音楽ソースとして力強さやエネルギーを要求されるジャズやロック再生の場合、あるいはパワーアンプのような大電力アンプで使用するとどうだろう。実際に聴いてみたところ、立ち上がりやエネルギー表現にゆとりがあるため、大編成のマーラー「復活」やビッグバンドのライブもピークまで実にのびやかに朗々とプレイバックしてくれた。
微細音も解像力が高まる。ゾクゾクと鳥肌が立ち、個人的にはファースト・ワットなど、モノラルのA級パワーアンプでぜひとも使いたい。“強くしなやかに”。私が理想とする音調である。但し、左右2本必要ではあるが………。スピーカーを「Persona B」に変えたことだし、そのくらいの贅沢をさせてあげてもよいはずだ。
今回の「Grande」は前作を圧倒的に乗り越えた電源ケーブルの大革命といってよい。さらにケーブル愛好家の私がわくわくするのは、ラインやスピーカーケーブルのリリースが間もなく予定されていることだ。特にXLRバランスケーブルのH.S.E.バージョンはまだ世に出ていない。乞うご期待だ。
本記事は『季刊・オーディオアクセサリー vol.186』からの転載です。なお、雑誌掲載時の型番は「SAC-reference1.8Grande」となっておりますが、正式名称は「SAC-GRANDE1.8」に変更となりました。
ティグロンの最新ケーブル処理、H.S.E.Grandeを投入
忘れもしない3年前。サンシャインがケーブル・ブランドに名乗りをあげた記念すべきデビュー作が、電源ケーブルのSAC REFERENCE1.8だった。価格破壊的な性能で空前の大ヒットを記録。続いてスピーカーケーブルおよびRCAインターコネクトケーブルの新ラインナップも登場して、人気を不動のものとした。
このREFERENCEシリーズは、ティグロンで世界的ヒットとなったTPL-2000シリーズのサウンドポリシーを継承した低価格のOEM製品のようだ。いずれもディップフォーミング式無酸素銅を導体に用い、高度なバーンイン処理であるH.S.E.処理を施したハイクオリティケーブルだ。サンシャインの中でも特に電源ケーブルの“突出ぶり”は今でも鮮明に記憶している。「手持ちの数十万円のケーブルが青ざめそうな」。という比喩は大袈裟じゃない。ヒリヒリする感動だったのだ。
10年余の着想を得て完成させたREFERENCEシリーズだが、そこからさらに3年の歳月をかけケーブルの理想を追求して「Grandeシリーズ」に大進化を遂げたという。その先陣を切った電源ケーブルがわが家に届いた。
だが見たところ手持ちのノーマルと、プラグもケーブルも前作とソックリ同じだ。違いは「Grande」という印字があるかないか。その他にも外周シースの質を上げているという話だが、画期的なのはそこじゃない。
特筆すべきはケーブルの処理そのものがH.S.E.Grandeにバージョンアップされていた。H.S.E.効果をさらに高めるべく3台のマシーンを使う。これまでのスタンダードプログラムから、0〜100kHzのワイドな帯域を高、中域、低それぞれに分け、各帯域に特化したティグロンのオリジナル処理だ。さらにパワーアッップした新時代のH.S.E.トリートメントといえる。
プラグは原価を下げるべく一体型の3Pモールドを継承。だが実はここにもメリットがあった。ケーブルと一緒にプラグにもH.S.E.Grande処理を施すことができるのだ。
音質は従来モデルの3倍、限界レベルのS/Nと拡張感
早速この電源ケーブルを試聴した。ディップフォーミングのアナログ的な濃くて深い空気。それにH.S.E.処理の圧倒的な静寂感が加わるともう手がつけられない。このケーブルが低価格でありながら妥協は一切ないからだ。言い切って良いなら前作の3倍音がよい。
取り回しは柔軟でサウンドはヴィヴィッドそのもの。入力機器側で試すと雑味やもやつきがすっと消え。一気に3〜4段階格上の再生クオリティとなる。聴力の限界かと思うようなS/Nと強靱なダイナミックレンジが、同時にぐっと拡張される。流れがスムーズになるのは当然だとしても、その度合いが飛び抜けているのだ。
プリなどのアナログコンポでは柔らかさや緻密さ、密度が充実する。自然な広がりや気持ちのよい解放感を実感させるのだ。これぞアナログの音だろう。一方、ハイレゾ音源は解像度重視のカチカチした音になりがちだが、そこにこのケーブルを使うと音場に立体感が生まれ、より厚みや柔らかさが実感できた。ディップフォーミンクの味わいが出るようだ。
音楽ソースとして力強さやエネルギーを要求されるジャズやロック再生の場合、あるいはパワーアンプのような大電力アンプで使用するとどうだろう。実際に聴いてみたところ、立ち上がりやエネルギー表現にゆとりがあるため、大編成のマーラー「復活」やビッグバンドのライブもピークまで実にのびやかに朗々とプレイバックしてくれた。
微細音も解像力が高まる。ゾクゾクと鳥肌が立ち、個人的にはファースト・ワットなど、モノラルのA級パワーアンプでぜひとも使いたい。“強くしなやかに”。私が理想とする音調である。但し、左右2本必要ではあるが………。スピーカーを「Persona B」に変えたことだし、そのくらいの贅沢をさせてあげてもよいはずだ。
今回の「Grande」は前作を圧倒的に乗り越えた電源ケーブルの大革命といってよい。さらにケーブル愛好家の私がわくわくするのは、ラインやスピーカーケーブルのリリースが間もなく予定されていることだ。特にXLRバランスケーブルのH.S.E.バージョンはまだ世に出ていない。乞うご期待だ。
本記事は『季刊・オーディオアクセサリー vol.186』からの転載です。なお、雑誌掲載時の型番は「SAC-reference1.8Grande」となっておりますが、正式名称は「SAC-GRANDE1.8」に変更となりました。